毎日が観光

カメラを持って街を歩けば、自分の街だって観光旅行。毎日が観光です。

奥多摩の春 

2008年04月07日 11時45分58秒 | 観光
 土曜日はFマリノスが名古屋に負けてしまった。やけ酒である。それにしても、勝てば宴会、負ければやけ酒。大騒ぎなのだ。
「私はこういう激しい感情にはとらえられない。私は生まれつき血のめぐりが鈍い。そしてそれを毎日理性によって硬くし、厚くしている」(モンテーニュ「エセー」)
 モンテーニュを敬愛しているのに、このざまはなんざんしょ。
 そんなわけで日曜日は朝寝坊してしまっている。この日も起きたのが朝8時。6時頃から自転車で出かけようなどという計画は初手からつまずいた。そんなわけで出かけたのが9時。少しスピードを意識して走ろうと思う。のろのろのペースだといつになっても上達しないような気がするのだ。そんなわけでなるべく30km/hをキープして進もうと決意(そんなわけで、多すぎ)。追い風ですぜ、旦那と気象庁が請け合ったにも関わらず、向かい風が耳をゴーゴー鳴らしてる中、それでもなんとかその速度を維持する。
 花の季節の荒川。

 これはうちから40km過ぎ、上江橋を過ぎたあたり。以前増水したとき、この道1本を残して全部水没していたところ。ローディーの姿も多い。空気が花の香りに満ちてる。
 入間大橋で入間川サイクリングロードへ。そうしたら、こっちもきれいなんすよ。

 こちらは桜が満開。サイクリングロード沿いに桜並木があって、花吹雪を浴びながら自転車こぐなんざなかなかの気分。さすがは、ぼくの荒川水系(そんな褒め言葉はない)。
 入間川サイクリングロードを走りきると、そこは入間市駅近く。先日は、ここを右折して秩父に向かった。それはそれでよかったんだけれど、また同じとこに行くのもなんだし、今日は左折して青梅の方へ行ってみる。
 自転車の楽しみは目的地へ行くことだけじゃない。その道程の楽しさも大きい。青梅へ向かう小木曽街道は道そのものが楽しいところだった。ちょっとひなびていて、いい雰囲気なのだ。

 車もそんなに多くないし、快適に走る。ああ、いいなあ。旅してるなあ、と。こういうとこに定食屋さんでもあると最高なのにな。そんで店の看板娘が旅人に恋しちゃうわけですよ。旅人=マレビトみたいな発想だ、折口だなあ、とぶつぶつ呟きながら小木曽街道を走り抜けると、そこはすでに青梅。今度は青梅街道を西進。


 自転車を停め、多摩川の遊歩道に降り立つ。ぼくは釣りができないのだけれど、できたら楽しいだろうと思う。荒川も多摩川も上流は本当にきれいだ。
 さらに多摩川を遡っていくと白丸湖があり、「魚道見学できます」みたいな看板が掲げてある。またまた自転車を停め、そそくさと魚道見学に。道草が楽しいのだ。この湖は発電用ダムにせき止められて生まれた人工湖。川はずっと下の方にあるのでそこまで降りて行かなくてはならない。
 で、降りる手段がこれ。

 ぼくのように高いところが異様に怖い人間にとっては恐怖です。こわいっす。マジで無理っす。でも降りる。見なきゃいいもんを、時折螺旋の中心を見ちゃ、ヒーヒー言って怖がる。誰もいないからいいけれど、時と場合によっちゃ、大変うざったい人間である。


 川がせき止められると魚の行き来ができなくなる。そこでこうした魚道を作り、魚の移動を担保するのだ。上から見ていたら、魚が一匹見えた。ほかにも窓があり、川の中を見ることができる。
 川って、ぼくにとっては結構神秘的なものなので、その一部をこうして見せると川の神秘を暴いてしまっている気がする。見ちゃいけないものを見ちゃいそうなので、ガラス窓はあまりのぞかないようにして外に出る。


 ダムの保守用のなにかなんだろう。なんだか上の方から「インディー!」などと叫びながら女の人がトロッコに乗って走ってきそうだ。エメラルド・グリーンの湖面が美しい。
 ほとんど人がいない。車やバイクはひっきりなしに通るのだが、訪れる人は少ない。こういうもんも見ないなんてもったいない。
 ダムをあとに、さらに青梅街道を西に。ここまで来たらあまりあせらない。せっかくだ。あちこちで脚を停めて景色を眺めたり、写真を撮りたい(性能のいいカメラじゃないけれど)。


 写真を撮っているぼくの横を何台もの車やオートバイが音を立てて通り過ぎていく。彼らにとって奥多摩はいくつかの目的地と車窓の記憶だろう。でも、と、写真を撮りながら、ぼくは思う。ぼくの奥多摩の記憶は全部線でつながっている。花の匂いや道の雰囲気、人が訪れようともしない場所。自転車っていい乗り物だと思う。そりゃ歩いた方がずっとずっといろんなものと出会えるかもしれないが、歩いて奥多摩に来ようとは思わない。車じゃ速すぎる。その間の絶妙なスピードだ。


 結局3時半頃、およそ100km走って奥多摩駅に到着。前半に飛ばしたせいか脚がもうなくなっていたので、今日はここまで。この先はまた今度。なにしろ今回は入間川サイクリングロードを使ったので、無駄に遠回りした気がする。奥多摩に行くのに、川越を通る必要はまるでないのだから。
コメント
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