毎日が観光

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我モーゼとなりて前に進まん

2007年09月08日 09時31分26秒 | 観光
 電車で荒川を渡るとき川を眺めながら、しみじみ思う、ああ、ぼくの荒川、だと。
 渡り際、また明日来るからね、などと心の中でつぶやいたりもする。
 その荒川が大変なことになっている、となればである、これは駆けつけねばならない。
 午前中、ワクワクしながらも(やっぱりワクワクかよ!)一日の仕事をまとめて全部片づけ、晴れた午後に出発。


 いつも使っている水場が文字通り水場になっていた。暑い間はこの水道にずいぶんお世話になったのに。洪水も怖いが、水がひいたあとも、上流から流れ着いたマムシが下流河川敷にまき散らされる恐怖が残る。



 笹目橋で河川敷端にあるサイクリングロードも水没。仕方がないので迂回し、北上する。



 朝霞水門手前で、流れに取り残された人をレスキューが救助していた。
 非常に強い南風が吹き荒れ、なかなか作業が進まない。下の方にに四、五人のレスキュー隊員の姿が見えます?



 それでもホバリングさせ、隊員がヘリボーン、無事救出。
 こういう場面を実際目の当たりにしたのは初めて。


 朝霞水門から秋ヶ瀬橋までは完全に水没。川というより湖のような状態になっていた。ここも荒川から降りて一般道を通って秋ヶ瀬橋へ。


 秋ヶ瀬橋からの風景。
 このあともサイクリングロードには多くの人たちがやって来て、川の変化を前にし、黙ったまま見つめていた。見た瞬間驚きの声を上げても、その後が続かないのだ。声は音のままで、言葉とはならなかった。
 不思議な感覚。
 これが、うなりをあげて濁流でも流れているのなら、なんとなくすんなり納得できるのだけれど、現れた風景の、妙に大陸的おおらかさと事態のすごさとの間のギャップに感覚が麻痺してくる。水は流れるどころか、強い南風で下流から上流に向かってさざ波が起きるほどで、テレヴィで見る大河がこんな感じだ。それはゆうゆうと水をたたえ、そこにあった。今までなじんでいた、グラウンドやゴルフ場、河川敷といった景色がいきなり、黄河や揚子江の世界に一変したのだ。それも晴れた空の下、何一つ激烈な調子を奏でることなく、ゆうゆう横たわっているかのように。
 その景色に見とれた。その景色を前に黙って立っている人たちに混じって、ぼくも黙って立ちつくしていた。
 秋ヶ瀬公園は水没しているので、下流に向かって右側の車道は通れない。左側の土手を進んでいく。


 国道16号線と交差する上江橋の途中から北上する。

 自転車道だけ無事で左右とも水没している。
 今んなって考えれば、横風で転倒したら、右でも左でもどっちに転んでも水没しかねない状況だったのだが、前に誰もいない自転車道、そして左右の水を見て、まるで民衆を率いてエジプトを脱出するモーゼのような気分で意気揚々と進んでいったのであった。馬鹿ですね。
 このあと、入間大橋で自転車道は完全に水没。迂回するのもさすがに面倒になったのと自転車がかぼちゃになっちゃう制限時間が来たので、川越まで戻り、そこから輪行。
 早く帰って夕飯作らないと。

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