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霞ヶ浦

2018年08月10日 22時06分01秒 | 観光


霞ヶ浦サイクリングロードは最高なので、関東近辺のサイクリストはぜひ。出かけてその心意気を応援しましょう。
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ユヴァル・ノア・ハラリ「サピエンス全史」

2018年08月09日 19時52分58秒 | 読書


 カンブリア紀に堂々たる存在感を現した、たとえばアノマロカリスなどに比べれば私たちの祖先の脊索動物ピカイアはあまりにもひ弱だった。ひ弱なピカイア以後、脊索動物は強力な捕食者から逃げ回りつつ、劇的な進化を遂げて人類にたどり着いた。では、その人類は最初から堂々たる存在だったのか。否、と著者は言う。「100万年前に生きていた人類は、脳が大きく、鋭く尖った石器を使っていたにもかかわらず、たえず捕食者を恐れて暮らし、大きな獲物を狩ることは稀で、主に植物を集め、昆虫を捕まえ、小さな動物を追い求め、他のもっと強力な肉食獣が後に残した死肉を食らっていた」

 そうした人類がホモ・サピエンスへ変遷したところで肉体的にどれだけの明確な差異が生まれたであろうか。また、それ以上に大きな脳をもつことは生存に不利な状況も生み出す。たった体重の2~3%の重量の脳はじっとしているとき、身体の消費エネルギーの25%を使ってしまう。ヒト以外の霊長類の実に3倍の消費量だ。いわば、ヒトは筋肉に費やすエネルギーを神経細胞に回した。だから、「チンパンジーはホモ・サピエンスを言い負かすことはできないが、縫いぐるみの人形のように引き裂くことができる」

 そのような存在だったホモ・サピエンスがどうやって万物の霊長を自称するようにまで至ったのか、それをこの書では3つの大きな革命として説明する。すなわち、認知革命、農業革命、それから科学革命。

 認知革命によってわれわれは共通のストーリーに基づいて行動するようになり、同じストーリーに基づいた団体行動が可能になった。このストーリーはしばしば「神話」と呼ばれる。

「人間どうしの大規模な協力は神話に基づいているので、人々の協力の仕方は、その神話を変えること、つまり別の物語を語ることによって、変更可能なのだ」

 ネアンデルタール人がついに手にすることのなかった「神話」によってホモ・サピエンスの活動は飛躍的に拡大する。まさに、「認知革命は歴史が生物学から独立を宣言した時点だ」った。

 ネアンデルタール人からホモ・サピエンスへ。そして、狩猟採集民から農耕民へ、農業革命は歴史の授業では進化として教えられている。しかし、果たしてそうであっただろうか。

「古代の骨格を調べると、農耕への移行のせいで、椎間板ヘルニアや関節炎、ヘルニアといった、実に多くの疾患がもたらされたことがわかる」
「穀類に基づく食事は、ミネラルとビタミンに乏しく、消化しにくく、歯や歯肉に非常に悪い」
「食料の増加は、より良い食生活や、より長い余暇には結びつかなかった。むしろ、人口爆発と飽食のエリート層の誕生につながった。平均的な農耕民は、平均的な狩猟採集民よりも苦労して働いていたのに、見返りに得られる食べ物は劣っていた」
「以前より劣悪な条件下であってもより多くの人を生かしておく能力こそが農業革命の神髄だ」
 結局のところ、「農業革命は、史上最大の詐欺だったのだ」
 農業革命で得られたものは、個人の生活水準の向上ではなく、より多くの人を生かしておくこと、人口増加、要するに「ホモ・サピエンスのゲノムの複製の数を」増やすことだった。重ねて著者は言う。「農業革命は罠だったのだ」

 今日私たちの世界を覆うグローバリゼーションのもとになった3つの普遍的秩序も実は紀元前1000年紀に誕生していた、と著者は言う。1つ目の普遍的秩序は経済的なもので、「貨幣」という秩序。2つ目は政治的なもので、「帝国」という秩序。3つ目が宗教的なもので、「普遍的宗教」という秩序だった。これら3つのものは本来異質であるものを等しい価値観で結びつけるものだ。「あれほどアメリカの文化や宗教や政治を憎んでいたウサマ・ビンラディンでさえ、アメリカのドルは大好きだった」から、「貨幣のおかげで、見ず知らずで信頼し合っていない人どうしでも、効果的に協力できる」のだ。

 この3つの普遍的秩序が結果的に推し進めることになったのが科学革命であった。科学的知識の獲得には費用がかかる。これを支えたのが、帝国主義と資本主義であり、それぞれの互恵がループをなして互いに強め合い、そうして現代が誕生した。

 私たちの歩みを俯瞰して、その歩みを相対化することで多角的な視点を与えてくれる、暑さでだれる脳みそにぴりっと刺激的な著作でありました。
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