毎日が観光

カメラを持って街を歩けば、自分の街だって観光旅行。毎日が観光です。

一人旅序章

2015年05月12日 17時16分32秒 | 観光
 旅に出る理由は人それぞれだ。
 「土曜日人が足りないから火曜日休んで土曜に出勤してくれませんか」
 その瞬間問いに対するyes、noの前に頭に浮かんだのが日帰り一人旅だった。
 さあ、冷静になるんだ、坊や。旅気分に浮かれる自分に言い聞かせる。きみはタフで多少世慣れた男だけれど、たまに冷静さを失うきらいがある。OK、マーロー(エリオット・グールドもいいけれど、この時浮かんだマーローがロバート・ミッチャムであったことはこの後の展開にさほどの重要さを持ってはいない)、きみの言う通りだ、まずはウィスキーを注いでくれないか、などと冷静さを失った頭の中で一瞬の夢芝居。こないだ会った人が一日に4回オキシコンチン飲んだら4回めに壁から50人の梅沢富美男が出てきて部屋中を歌い舞い踊っていたという、そうあの夢芝居。
 冷静さを取り戻し、ええと、どこ行こうどこ行こう、青春18じゃないとJRって結構高いし、そうだ、子どもの頃よく親の会社の旅行に連れて行かれた私鉄有料特急の旅なんかいいんじゃないか、いいんじゃないかい。
 ぼくの右手はピストルの形を作り、日本地図の一点をさしていた。「箱根だ」
 まあ、正直言うとその右手から弾が出ていたらそれは多分箱根の西南根府川あたりだったんだけれど、これもそれほど重要な話ではないから割愛。
 でもぼくは急な旅行に対してフェアな態度をとろうとした。つまり、そんなに気負うな、焦るな、と。急に合コン決まったあと、参加者のプロフィール調べて対策練ったりするの格好悪いもの。世慣れてますから、こちとら(合コンに一度出るのと女性と自転車二人乗りするの、それからナンパするの、これが3大生涯の夢ではあるんだけれど)。
 フリーハンドで行きましょう、でもあまりにもフリーハンド過ぎるとそれはそれで相手に失礼、じゃあ、芦ノ湖に行く、それから箱根神社に行く、あと温泉入る、ずいぶん低めのハードルを設定してぼくは箱根に向かう。電車も調べませんよ。来た電車に乗る。来ない電車に乗れる人間はいませんから。
 それで朝起きたのが5時。おいおい、はしゃいでんじゃないよ。まだ早いよ、箱根やってないよ、山とか閉店してるよ、きっと。それでも逸る気持ちを抑えてご飯食べたり、シャワー浴びたり、別に用もないのにミネストローネ作ったりして、家を出たのが7時前。
 びっくりしました、小田急線。朝の通勤ラッシュって上りは羊羹なみにみっちり詰まってるけれど、反対側はガラガラっていう図に慣れていたのに、小田急線、下りもみっちり混んでる。え? なに? みんな大山登りに行くの? 綱島温泉入りに行くの? 町田に買い物? 相模大野に彼女とかいるの、え、全員?
 町田でも減らず、相模大野に恋人いもせず、綱島温泉も入らず、大山にも登らず、電車が空いたのは東海大学前。東海大すごい。隣で仏検3級の教本を開いたままぼくの肩に頭を載せてすやすや寝ていた彼女も東海大生なんだな、がんばれ。
 あ。これだけの字数を費やしてまだ箱根に着いてない。
 次回箱根編どうぞよろしく。
コメント (5)
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