毎日が観光

カメラを持って街を歩けば、自分の街だって観光旅行。毎日が観光です。

鶏ハム

2024年03月12日 20時35分15秒 | 食べ物

歳を重ねても、いえ、歳を重ねたが故にタンパク質の摂取に関して意識的にならないといけません。とはいえ、脂が多いものは体にとってあまり好ましくない。ということで重宝するのが鶏の胸肉。タンパク質豊富で脂肪分が少ない。

ところがふつうに蒸したり茹でたりすると、ちょっとパサパサで食べにくかったりするのです。ここが難点。で、最近知って重宝している料理法がブライン液に一晩漬けるという方法。

200mlの水に、塩10g、砂糖10g溶かしてそこに胸肉を一晩漬けます。翌日、鍋に水を張り、そこに漬けておいた胸肉を入れて煮ます。沸騰したら火をとめて、そのまま放置。冷めたら適当な厚さに切れば、立派な鶏ハムのできあがり。

これがしっとりしていて、全然パサつかずおいしい。毎日でも食べられるくらい。ワサビ醤油でも食べるラー油をかけてもだいたい美味しいです。ぜひ、一度お試しください。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

寒いところでごちそうお鍋

2016年12月12日 12時55分16秒 | 食べ物
 12月ももう2週目。冬が深まって参りました。冬といえばお鍋の季節。仲間や家族、あるいは一人でも熱々のお鍋がおいしい季節です。
 でも、なぜ冬に鍋なんだろう。たぶん、外の寒さに対比して鍋のあったかさがよりおいしさを加えてくれるからかもしれません。であるならば、寒ければ寒いほど鍋はおいしいのではないか。
 そんな素朴で小さな疑問からこの旅は始まったのでありました。そう、「寒いところで鍋を食べたらおいしいんじゃないか」という仮説を実証するための大人の社会実験。雪の中で鍋を食べに行こう。
 早起きして、上野東京ラインで高崎に向かいます。快晴の高崎、雪一つありません。もしかしたらこの実験は失敗なのではないか、多少の危惧を胸に水上行きの上越線に乗り換えます。しばらく走っても雪はありません。後閑を過ぎたあたりから景色は一変、一面の雪景色が広がっています。よしよし、こうこなくちゃ。水上で長岡行きの電車に乗り換えて土合に向かいます。

 土合駅の下り線ホーム。486段の階段を上り、地上に出るまで10分くらいかかるといわれる通称「日本一のモグラ駅」。登山は駅から始まっていると言っても過言ではありません。



 確かに多少の雪は期待していたものの、明らかにオーバーワーク。行くも地獄、引くも地獄の鍋行脚が続きます。「これがホントの氷結」、ただこれをやりたいがために三脚に缶チューハイを持参したものの、思ったほど面白くなくてがっかり。それにしても状況的には鍋をやりに行くというより遭難していると言った方が的確もしれない、外は吹雪。気温は零下。しんしんと降り積もる雪が足あとを消していきます。行方不明なんて言葉も浮かびます。今1番近い状況は映画「八甲田山死の彷徨」で高倉健ではなく北大路欣也の方が率いる部隊、あれに近いかもしれません。雪が吹き込んでくるので目をあけているのも辛い…… 鍋担いで、おれ、なにやってんだろう。人生の根本的な疑問すら浮かんできました。思えば小学校5年をピークにおれの人生は負け続けだったかもしれない。かつて切った没落の約束手形の回収に残りの人生すべてを費やしているんじゃないか、降り積もる雪の中で静かに絶望が心を染めていきます。



 それでも鍋をやるんだよ。鍋をやるためにここに来たんだ。あたりを踏み固め、整地します。リュックから鍋やバーナーを取り出そうとする気持ちと、決してこの手袋を脱ぐものか、脱いだら凍えてしまうという切実な現実が火花を散らします。泣く思いで手袋をはずし、かじかみ震える手で用具を取り出します。冷たくて触るのもためらわれるほど凍てついた鍋が容赦なく手のひらから人間の暖かみを奪い去っていきます。ようやくすべての用具や鍋の具材を取り出したところでぼくの気力は底を尽きます。「天はわれを見放した……」心が振り絞る静かな慟哭の声を聞きながら撤収を決意します。



 駅へ向かう後ろ姿もどこか悲しげです。



 土合から水上へ、そして水上から朝と逆に上り電車で高崎方面へ向かいます。敗北感と挫折感がやすりがけした心はざらつき、悲しみが群馬全体を覆い尽くすようでした。そんな時、闇を払う光の一閃が脳内を貫きます。そうだ、新前橋なら利根川に近いから利根川の河原で鍋をやればいいんじゃないか。雪こそ降ってはいませんが、そこは前橋、寒さは東京の比ではありません。寒い中鶏鍋を作ります。上州名物からっ風が北から吹きすさぶ中、はふはふ言いながら熱いお鍋を食べます。鶏肉が、鶏団子が泣きたくなるくらいおいしい。寒い中で食べるお鍋、おいしいと同時に、生命をつなぐ糧という感じ。


 今回の教訓は、何事もやり過ぎはよくない、中庸こそが人生を楽しむのに一番の近道だということで、凍えたり、泣きそうになったりした割には、得たものが案外普通のことで、まあでも、そういう普通のことこそがかけがえのないものなんだよ、と薄っぺらな曲の歌詞みたいな着地点に行き着いてしまって、まだまだ修行が足りないな、と自分への反省ひとしきりの週末でありました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北埼玉グルメ旅

2009年11月09日 16時54分51秒 | 食べ物
 実は若い頃のぼくは大食いだった。18歳くらいの頃、昼ご飯にカレーを9杯、そのあとうどんを1杯なんて無茶な食べ方をしていたものだ(それなのに今より痩せてたんだよな、あのころは)。
 大人になってからはそれほど食べなくなったんだけれど、自転車に乗るようになって大食いまではいかないけれど、そこそこ食べるように。とくに自転車で食べ歩き(走り?)というのが楽しくて楽しくて。
 で、今回は吉見~熊谷~越生という平地オーゴンパターン。山にも登らず、たいした距離も走らず、食べるものだけ食べる、と。


 道の駅「よしみ」で、まずは焼き鳥。北埼玉の焼き鳥は味噌だれが特徴。ここの焼き鳥は作り置き、あっためじゃなくて、ちゃんと生から焼いてくれるので肉やわらか。味噌だれ、これうまい。なんか店主、めちゃくちゃ訳ありっぽいし、その店主がギターいじってて、年の差ありそうな若い奥さんが店を切り盛りしてた。どんな経営だよ。



 80km近く走って熊谷「ささや」到着。
 実は熊谷、小麦の生産日本2位。その地粉を使った手打ちうどん屋さんが軒を連ねてる街。市のページでも地粉を使ったうどん屋さんを紹介してるほど。
 うまい。東京だったら、名店になるのに、熊谷だと普通のうどん屋さん。熊谷のうどんレベルの高さに仰天する。もしかしたら、ぼくのレベルが低いのかもしれないけれど。でも、うまいんだもん。蕎麦好きからすると小麦粉ってつなぎという位置づけなんだけれど、そうじゃなくて、小麦だって立派に主役を張る実力の持ち主、紅天女はきみだ。
 熊谷から戻って鳥羽井沼から西へ。



 越生に行って、シメにいつものおとうふ屋さんに。
 店頭で飲み物持ち込み食べするわけにはいかないので、駅のホームへ。次の電車が出る15分間で豆腐とノンアルコールビールを楽しむ。平坦で、ものを食べ食べ130kmって、必死さのなさが心地よい。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

道の駅 いちごの里よしみのうどん

2009年10月26日 17時50分50秒 | 食べ物
 どこかに行くのに自転車はとても便利だ。だから走り回っていたのだけれど、なんだか最近ちょっと気持ちが変わってきた。
 別にどこかに行かなくてもいい。
 ただ自転車に乗っていたい。乗って走っていることそのものが気持ちいい。


 60km走って吉見の道の駅に。
 ここのうどんがうまい。地粉の手打ちうどんがたまらない。



 こんな感じ。
 小麦粉って、こんなにうまいのかと。
 補給気分でうどんを食べて、来た道をまた引き返す。
 そりゃ、往復120km走ってうどん食べただけって昔なら考えられなかったけれど、今は走ることそのものが楽しくてたまらないので別に気にならない。
 だから、どうか週末は晴れてください。
 お願いします。



 こんなふうに。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ビール

2009年09月23日 16時15分01秒 | 食べ物


 恵比寿で今日までビール祭り。
 外の会場でビールやら食べ物など楽しめるのだけれど、長蛇の列。
 行列が苦手なので麦酒記念館で琥珀エビス。
 うまい。
 痛いことはいや。苦い薬は飲みたくない。
 でも、あるとき、たとえば足の裏をマッサージしてその痛くて気持ちいい感覚に気づく。ビールの苦みがうまいと感じる。
 相反するはずの2つの感情が解け合うことの楽しさや豊かさに気づくと、ちょっぴり成長した気がする。


 「グラスが足らなけりゃ、俺はラッパ飲みでいいぜ?」
 広治郎が言ったが、正吉は厳しい顔で首を振った。
 ラッパ飲みなど絶対に許さないというのだ。
 「ビールってのは本来、麦芽とホップの香りを楽しむもんだ。ラッパ飲みなんて、香りのしねえ大量生産品に飼い慣らされた馬鹿のやることだ」
                                      竹内真「ビールボーイズ」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

岡村屋

2009年06月11日 15時55分06秒 | 食べ物

 前回加須に来た時は新川うどん店へ行き、そこは町中から離れていたので実感しなかったけれど、駅周辺に来てみればうどん屋さんの多いことにびっくりする。ディープなうどん町であることだな、と思う。
 1軒目、ちょっとコケちゃったのだが、不動尊真ん前にある岡村屋さんへ行ってみる。創業200年以上らしい。


 待つことしばし。運ばれてきたざるうどん。本日2食目。
 コシはそんなに強くないんだけれど、ヘタレてるわけじゃない。この食感もうどんの一つのありかただと思う。つゆとともに普通においしい。1軒目がひどすぎた。
 帰りは東武線の特急両毛で。嬉しいことにある時間以降特急券が割引になる。浅草発着がちょっとぼくには不便なんだけれど、浅草からまた自転車こいでぶらぶら帰る。なんだかもう少し特急に揺られて音楽を聴いたりしたくなってしまった。じゃ、先日日射病で断念した渡良瀬川サイクリングロード起点への旅に再チャレンジして、新桐生から帰って来ようではないか。




コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新川うどん店

2009年05月15日 08時45分37秒 | 食べ物
 いつもの通り、荒川サイクリングロードへ。約10km走り、サイクリングロードを降り、国道6号線を約7km進んで江戸川サイクリングロードin。ここから江戸川を北上。北上すること約45km。利根川サイクリングロード着。
 コンビニで食事と黄金色の発泡する液体を買って利根川沿いで食べるという黄金パターンも存在するが、今回はひと味違うのである。利根川を20km近く走って南に戻り、加須市内へ。加須。これ、「かぞ」と読む。

 加須は関東の讃岐と言っても過言ではないうどんのメッカなのだ(あと、こいのぼり)。
加須市のページにも「加須といえばうどん!」と銘打たれ、市内の手打ちうどん店30店ほどのうどんマップがあるほか、埼玉県のページにも彩の国のうまいものとして加須のうどんが紹介されている。加須はうどんの街なのだ(手打ちうどんだけで30軒ってすごいね)。
 そう言えば2年前、自転車を乗って楽しく走り回り始めた頃、埼玉県のうどんレベルの高さに驚いたことがあった。2007年うどん祭。うどんの生産量は香川県が日本一だけれど、埼玉県は2位だ。
 さ、うどんだ、うどん。

 今回は町からちょっと離れた新川うどん店へ。

 写真は閑散としているのだけれど、店の前に名前を書いて待機するシステムなので、写っていないところにも待っている人達が。
 しばらく待ってようやく入店。でも、注文するまでにもまだ時間がかかる。満員の店内に仕切るおばちゃんの声が響く。
 「注文取りに行くまで待ってて下さいね、ごめんなさいねえ」
 びた一文悪いと思ってなさそうな「ごめんなさい」の声に萎える部分もあるんだけれど、客と店員の比率から考えるとこれくらいの押しの強さが必要なのかもしれない。客単価が高い名店蕎麦屋とは違うのだ。
 だけど、これだけ混んでるうどん屋さんなのに、蕎麦もある。そして蕎麦を食べている人もいる。不思議な光景だ。


 今回は冷やしたぬきを注文。つゆは別にあって、つけて食べることもできるし、ぶっかけにすることもできる。
 味は、実はよくわからなかった。
 うどんを食べているというより、うどんが勝手に口に入ってくる感じ。大盛りにするか、もう1杯食べないと味まではわからない。あっという間になくなってた。
 ここまで来るのに80km以上自転車をこいで来たんだから、たいていのものはおいしく感じる。だけれど、それを差し引いても、このうどんは名品。このあとも走るつもりだったので、おかわりもしなかったし、大盛りにもしなかったんだけれど、うどん巡りだけに来てもよさそうな加須でありました。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

一人酒盛り

2009年02月20日 22時18分35秒 | 食べ物


 どうでもいい疑問なんだけれど、いったい誰が初めてイカスミなんてもの食べようと思ったのだろう? イカスミ食べるぐらいだから、タコスミも食べてみて、だめだ、スミはイカに限るなんて、自らの身体をもって実験した上で結論づけた人もあったに違いない。頭が下がる。臆病なぼくなんて、賞味期限を2週間越えた卵を食べることすらビクビクもんである。あ、タンパク質の食中毒はひどいことになるので実験しない方がいいです。
 さて、そんなわけでイカスミ。偉大なるソース。だって、魚介にかけるだけでうまいんだもん。トマトソースに合わせれば、海の生き物に関してはかなりの支配率。エビだって、タコだっておいしい。
 しかも至極簡単に極上の味が楽しめる。イカスミ様々である。
 ガーリックをオリーヴオイルでローストしてイカをいためる。作り置きのトマトソースを加えて、プチトマトも入れましょう。今回は発作的な冷やし中華と違ってちゃんとトマトの用意も完璧。
 いい具合にトマトにも火が入ったらイカスミを加える。これだけ。簡単。
 はふはふ言いながら食べるトマトが甘い。きゅっきゅっとした歯ごたえのイカがうまい。
 ぼく何にもしてない。ほぼすべてはイカスミの風味のおかげ。


 ついでに作ったきぬさやとベビーホタテの煮付け。
 きぬさやはできあがり直前に入れました。色が悪くなるからね。

 さあ、今晩は、会社で一人酒盛り。DVDを見て、本を読んで、原稿の準備を致しましょう。

 あ、なんで写真のサイズが違うんだ? すでに酔っぱらってるのか、わたくし。
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

冷やし中華始めました

2009年02月19日 10時26分39秒 | 食べ物


 人間の欲望など千差万別である。
 それを理解できない人間は「あんな男のどこがいいんだっ!」「やめてお父さん」などという事態を招いたり、「え? 帰ったらまず自分の足の臭いかがないの?」などと自分の欲望と世間の欲望と同一視したような発話の挙げ句、周囲からの視線に絶えきれずに自爆炎上したりするのである。
 だから、人の欲望は聞き流し、自分の欲望は黙っているのに越したことはない。しかし、それでは町の便利な聞き上手として一生を終わらざるを得ず、何というか生きている甲斐もないではないか。
 そこでぼくは自分の欲望を暴露しようと思う。あますところなくぶちまけてしまおうと思っている。そしてそれを実行に移して、どんな目にあったのか、頬を赤らめながら語ってしまおうではないか。
 この冬一番の寒気が日本中を席巻したある日のことだ。
 ぼくは、自分でもなぜかわからないまま、強い欲動に心身ともにとらわれていた。
 ああ、冷やし中華が喰いたいっ。
 人の欲望が千差万別であると同時に、その欲望を評価する眼も千差万別である。中には体中縛られ、「この豚野郎」などとののしられながら天地真理にムチふるわれたがる奴より変態だ、と思う人もいるだろう。中には、わかる、わかる、俺も夏に鍋焼きうどん喰いたいしな、と共感してくれる人もいるだろう。だが、夏に鍋焼きうどんを喰いたがるような変態野郎に共感されたかないんだ、こちとら(→なんです、あんたは)。
 そんなわけで昼休みに会社であり合わせの材料で作った冷やし中華。
 麺を冷やし、かじかんだ手をふるわせながら拷問とか刑罰とかの言葉が頭をよぎりました。何かの罰か、こりゃ。
 なにしろ冷やし中華そのものが売っていない上、材料がないので苦労惨憺。具だってろくなもんはない。
 中華スープのもとに醤油とラー油とお酢でタレを作り、具はトマトやキュウリなどの買い置きはないので、三つ葉とシソと薄切りにした豚バラ角煮のみ。
 一口すする。案外いける。まあ、もっとも自分で自分のために作ったものだから、うまさの閾値はおのずから低め設定である。まあ、こんなもんかな、と思いつつ、人には出さないよなあとも。
 ごちそうさまでした。ああ、寒かった。もうやりません。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中華そば「大咲」

2008年09月24日 13時02分10秒 | 食べ物
 巾着田の曼珠沙華も見頃だというので高麗観光に出かけることにした。川が蛇行して、ほんと巾着みたいな形をした地形のところに曼珠沙華が花の絨毯のように群生しているのだ。これは是非見たい。秩父までが120kmほどだから、高麗までは80kmもないだろう。自転車にまたがり荒川サイクリングロードへ。
 前を走っている人に追いついた場合、その人を抜くか抜かないか悩むことがある。わざわざ抜いておいて疲れちゃって抜き返されるのも恥ずかしい。それに彼に追いついたのは、ぼくの前を走っていたから。目標物があると走りやすいのだ。彼を抜いたが最後、目標物は消え去り、なんのモチベーションもないまま、そのスピードを維持しなくてはならなくなる。うーん。
 この日も一人抜き、二人抜きしているうちに懸命にこいでいる自分を発見してしまう。違うだろ、と。今日はトレーニングに来たわけじゃないだろ、と。今日の目的は巾着田ならびに高麗周辺地域観光なんだ、と。
 ところが、いろんな偶然から初対面の人たちと3人で初めてトレインを組んで引っ張り合う状況になってしまった。これが速いのだ。一人じゃせいぜい25~30kmで巡航しているところ、この日は35km巡航。これはめちゃくちゃ速い。スピード感が違う。断然楽しいのである。ああ、若いときに自転車部に入っていればこれを楽しめたのに、と後悔する。後悔は得意技だ。こないだ板橋の花火大会に行ったときは「ボート部に入っていれば特別席で見られたのに」と後悔したばかりだ。口だけの後悔が好きなのだ。
 ぐんぐん走っていって、途中入間川に入らなければならないところを何も考えずに素通り。吉見の桜堤手前で気づいたものの、吉見総合運動公園のところで解散するまで結局走り続けてしまった。すぐに目標を喪失してしまう。目的地を変えようかとも思ったのだけれど、思いつかずに引き返すことに。はかったら往復で30kmのロス。左折しなきゃならないところから15kmも走ったのか、と我ながら感心してしまう。
 入間大橋まで戻って入間川サイクリングロードへ。なんだか面倒くさくもなってしまったが、23km走り切って入間市着。ここから飯能を抜け、高麗へ行くのだが、その途中入ったお店がここ。

 中華そば「大咲」
 ぼくは行ったことがないんだけれど、有名な「永福大勝軒」の流れなんだそうだ。
 店の前に自転車を停めて鍵をかけていると、店の中からなんとも言えないにぼしのいい香りが漂ってきた。あ、こりゃいけそうだ。


 写真で伝わるかどうかわからないが、普通盛りでこの面の量。約1.5培あるそうだ。
 うまい。別注でもっともらえばよかった、と思うほど歯ごたえのいいメンマ、見た目は素っ気ないんだけれど噛むほどにいい味の出るチャーシュー。と書いているうちにも食べたくなってしまった。スープは煮干しのだしが濃厚だけれど、嫌みがなく食べやすい。いや、おいしい、おいしい。道を引き返して来た甲斐もあろうと言うもの。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

椋庵

2008年02月12日 13時48分26秒 | 食べ物
 お昼ご飯でも食べようと前から噂を聞いて気になっていたお蕎麦屋さんまで自転車で出かけたのでありました、片道40kmこいで。
 荒川の都市農業公園から芝川に入り、見沼ヘルシー東縁を北上、県道2号線を西進して到着。


 椋庵。
 お店は明るく、とてもきれい。大きな窓から差し込む光が優しく店内を包んでる。
 最近のお蕎麦屋さんはインテリアにもいろんな工夫をしていて気持ちよく食事ができるところが多くなった。
 この日は前日降った雪が道に残っていたりして自転車をこぐコンディションとしてはあまりいいものではなかった。自転車に泥よけがないので、しぶきが背中にかかり、ちょっとみっともない。
 四角く大きめのお盆にそば茶を盛ってきてくれる。まあ、とりあえず、ごま豆腐と厚焼き卵を注文。自転車でもお酒は飲酒運転になるので自粛。おいしい。ごま豆腐の薬味にとんぶりとわさび、わさびの葉、それにふきが乗ってる。かわいい。かわいいのだが、写真を撮る前にがっついたので、写真はなし(あ、しまった! やっちゃったよ、と思いましたよ)。前日に鴨料理を食べていたので、やめておいたが、隣のテーブルに運ばれた鴨の柳川はすてきにおいしそうだった。今度は柳川と天ぷらで一杯やりたいもの。
 女将さんのもてなしと雰囲気がとてもよく、ほんとに気持ちのいいお店。


 2点食べ終わり、かけそばを注文。
 薬味のネギは別皿に持ってきてくれる。
 残雪を見ながらのかけそばはいいねえ。
 そばの食感はもちっとした感じで、かけそばにはちょうどいい。


 最後の〆にせいろ大盛り。
 そうそう、この色。自転車用のちっちゃなデジカメで色の再現がよくないんだけれど、ほんのーり緑っぽい。神田の藪のような緑じゃない。ほんとにかすか。初めて蕎麦を打ったとき幌加内産のかなりいいそば粉を使ったのだけれど、あれがこんな色だった。こちらでは福井産のものを使ってらっしゃるとのこと。
 もう見るからにおいしそうなので、まずはつゆなしで数本すする。エッジが立った、すてきな食感。うまい。味も香りもいい。こりゃうまいや。
 前に蕎庭のところでも書いたんだけれど、薬味の美しいところに蕎麦のまずかったためしはない。ここの薬味がまた美しい。わさびは丁寧にすり下ろされているのがわかる味。ねぎも美しい。なぜ、その美しいと絶賛する薬味の写真がないかと言えば、ピンボケだったんですねえ。ああ、だめですねえ。
 いいあんばいの頃にそば湯が出され、静かな休日の憩いを存分に楽しんで店をあとにした。いやあ、いいお店だったなあ。
 また自転車で行ってもいいな。
 自転車で行かない場合は大宮駅か東武野田線の大和田駅が近いと思う。


椋庵
さいたま市見沼区大和田町一丁目221-4
tel/fax048-687-0596
昼11:30~14:30
夜17:00~19:30LO
定休日 月曜日(祭日の場合は翌日)
url:http://www2.odn.ne.jp/~cfo38190/




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

石月

2008年01月08日 22時30分11秒 | 食べ物
 東京駅の八重洲にあった三日月という絶品蕎麦屋さん。
 去年の4月に周辺が再開発されることに伴って閉店してしまった。
 三日月の店長が新丸ビルで店を出した、と聞いたのでさっそく行って参りました、店名「石月」。



 新丸ビルってえビルも面白い。ここんとこ東京駅周辺が様変わりしていて、OAZOだの、TOKIAだの、新しい大丸だの、大変なことになっている。

 焼き味噌とやっこを頼んで昼からビール。
 うん、おいしい。ゆずの味がきいた焼き味噌がいい。
 実はね、焼き味噌をずいぶん作った時期があって、蕎麦の実を揚げてみたり、フリーズドライのゆずをばらばらにして入れてみたり。しゃもじの上でいろんなことを試してみた。
 この焼き味噌も美味しかったけれど、自分で作ってみるのも楽しいと思う。

 そして蕎麦を注文。

 細い麺はキコキコした歯触りと喉ごしでツルツル入っていく。ああ、おいしい。
 つゆはきりっとした辛口のつゆだけれど、鰹のダシがきいてる。これもおいしい。
 つけあわせのねぎもわさびも絶品。
 ああ、もう、たまんなくうまい。
 11時半頃入ったんだけれど、どしどしお客さんが入ってくる。愛されてるんだな、と、別に関係者なわけじゃないのに、ちょっと嬉しくなってしまった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

埼玉B級ご当地グルメ王座決定戦

2007年11月07日 00時04分12秒 | 食べ物
 何で見たんだろう、覚えていないのが残念なんだけれど、「先進国の住民が、ズボンのベルトの穴1つ分ウエストを細くすれば食糧問題は解決する」なんていう文を記憶している。
 でも、それって嘘だと思う。
 事実、ぼくのベルトの穴は1つ細くなったけれど、食べる量は以前より増えてる。
 ぼくは高校時代体重が50kgないガリガリくんだったのだが、高田馬場の「ボルツ」でライス9杯お代わりしたあと、1階の立ち食いうどんを食べたりする大食漢でもあった。
 「ボルツ」懐かしいなあ。昔は池袋にもあったのだけれど、今は神田と宇都宮にあるくらいらしい。激辛カレーにすると、少しのルーでライスが一杯食べられる気がして、かなり辛いカレーを食べていた。今から25年前、一部の好事家をのぞけばカレーはインド料理ではなく、日本食だったと思う(スパゲッティがイタリア料理じゃなかったように)。そんな時代にあのスパイシーなカレーは真新しかった。ああ、食べたい、食べたい。
 そう、四半世紀を経て、またぼくは大食漢になりつつあるのだ。
 実によく食べる。自転車に乗っているので体重は増えないが、去年のぼくが見たらやんわりと注意するであろうほど食べる。
 そんな折、こんな催しを見つけてしまった。
埼玉B級ご当地グルメ王座決定戦!味の競演in GYODA
 なにも戦わなくてもいいような気もするが、これは確かにそそられる企画である。
 こないだ高崎へ自転車で行ったときも、実は妻沼で雪くまを食べようと思ったのに、ふられた腹いせに遠くまで行ったようなものだし、行田のフライは一度食べてみたかったし、埼玉はうどんがとにかくうまいので、加須(これ、「かす」って読むんじゃないんですよ、「かぞ」って読むんです)のうどんも食べてみたい。
 日曜日は早稲田対帝京のラグビーを青山の秩父宮へ見に行こうと思っていたのだけれど、これはまた自転車にまたがって行田まで行かざるを得ないか、と。
 っていうか、これほど埼玉県に頻繁に出かけたことは人生初めてだと思う。群馬に行こうが栃木に行こうが、とにかく埼玉を通り抜ける。普段走るのも埼玉。関東平野にありながら、日本三大峠の一つ雁坂峠のある県。最近、ぼくの中で好感度上がりまくりの県である。
 やっぱり日曜日は青山じゃなく埼玉かあ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

手打蕎麦 むとう

2007年11月01日 17時02分25秒 | 食べ物


 ああ、三日月と同じ風情だよなあ、としみじみ。
 三日月はこの春まで八重洲の富士屋ホテル脇にあったお蕎麦屋さん。ネウマ譜がインテリアとして飾ってあったり、蕎麦もおいしいが、雰囲気もたいそうよかった。
 こちらは同じ八重洲と言っても三越の方。住所で言うと日本橋室町1丁目にあたる。


 店内は少し暗めで雰囲気がいい。しかし、各テーブルの上には照明があるので手許は明るいし、料理ははえる。この照明は最近のしゃれた蕎麦屋さんに多い。
 行ってみたら、夜はおまかせコース(7000円)のみの設定。一緒に行った友人がその後飛行機で帰らないと行けないので、だめもとで尋ねてみる。そうしたら、せいろかおろしそばのようなものでしたらできます、とのこと。親切である。


 蕎麦は十割の手打ち。十割でこの歯ごたえは素晴らしい。
 つゆは強すぎず穏やかなお味。もちろん、蕎麦を受けとめるだけの強さはある。
 うまいっす。
 薬味はネギとわさびと大根おろし。丁寧におろされたわさびは香りがよく、蕎麦と相性がいい。ああ、うまい。
 名店盛りではなく、量もちゃんとあるが、うまいのであっという間になくなってしまう。


 頃合いを見計らって出された蕎麦湯。
 そうなんだよねえ。いつも思う。蕎麦湯って、最初薄くて、最後濃厚になるんだけれど、あれどうにかならないかなあ、と。で、湯桶を振ったりして、こぼれてやけどしたりしていたのだけれど、ここは竹のスプーンがついてきた。かき回してお飲み下さい、とのこと。
 気が利いてます。
 うまい蕎麦を愉しみ、濃厚な蕎麦湯に舌鼓を打ち、八重洲の夜は更けていく。
 ああ、いい店でありました。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

恩田

2007年09月13日 09時33分54秒 | 食べ物
 大塚駅北口は池袋駅とともに子どもが近づくと怖いところだった。
 風俗街のネオンがまばゆかったり、目つきの悪い人たちが何するでもなくたむろしていたり、傷痍軍人が軍歌をアコーディオンで演奏していたり。
 経済白書が「もはや戦後ではない」と断言してから15年たった1971年でも、本物か偽物かわからないけれど、白い軍服の傷痍軍人たちは池袋にいた。それが本物か偽物かはどうでもいい。それ以上に傷痍軍人という存在が世間的にまだ有効だったということがその時代の空気を物語っている。
 池袋はもともと土地柄のよくないところだ。池も袋も水を表している。低地で湿ってジメジメしたところ。なぜか風俗街はそうしたところに栄える。
 一方、大塚は昔からの花街だった。南口には今でも大塚三業地がある。三業がしっかりしていた南口はいいのだが、北口は、明らかに子どもが近づいちゃいけない雰囲気の風俗店が軒を競っている。この風俗街のど真ん中を毎日、巣鴨中学・高校の生徒たちが通う様はなかなか異様である。
 そんな北口ではあるが、なかなかのグルメタウンでもあるのだ。
 ぼくが好きなのは沖縄料理屋さんの「なは」。となりがスナックの「はな」ってえとこがちょっと笑えるのだが、別に系列店でもなんでもない。この店のウマイ料理を楽しむコツは、なるべく早めに注文すること。時間がたつにつれ、店のおばちゃんがお客さんと一緒に飲んでしまうので、料理どころじゃなくなってしまう。途中、みんなで踊り出すなんてこともそれほど珍しいことではない素敵な店だ。安いし、ウマイ。欠点は、営業日が不定なこと。何度かフラレた。
 ほかにも韓国、中国などの安くて美味しいお店が立ち並ぶ地区でもある。
 その一角に店の造りはちゃちいが、いいうどん屋さんがある。


 恩田である。
 夕飯を食べたあとなのに、なぜか誘蛾灯に釣られる虫のようにふらふらと立ち寄ってしまった。
 客席はU字型のカウンターのみ9席。料理をする手許が見える造りだ。あまりジロジロ見ているのもぶしつけな感じがしたので、チロチロのぞき見。
 となりで体育会系な体つきをした人たちが大盛りの天ぷらやうどんと格闘しているのをみて、それだけでお腹一杯になりつつ、ざるうどんを注文。周囲を見回すと、注文を間違えてしまったことに気づいた。天ぷらやおでんなど豊富なサイドメニューで一杯やって、それからうどんという楽しみ方ができる店だった。おでんはセルフで取って自己申告。天ぷらは格安。どちらも旨そうだ。ああ、これでうどんが旨ければ言うことなしの店だと、うどんが来るのを待ちわびることしばし。


 ああ、見るからにうまそうなうどん。
 ワクワクしながら、箸で口に運ぶ。
 歯に楽しいコシを楽しみながら噛むと、口の中にあふれる良質の小麦粉の香りとともに、喉をつるつると通っていく。
 ああ、うどんという快楽。食には味覚とは別の感覚的な快楽があるって、こういうのを食べると思う。
 今度は、つまみと酒から始めないと。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする