失敗の多い人生だった。そしてその失敗のほとんどが、ぼくの忘れ物から生まれた。ぼくが今までの人生で費やした捜し物の時間を学問に費やしたならぼくは立派な学者になれたかもしれないし、女性をくどくことに費やしたなら、ぼくは新宿あたりにお店を持てたかもしれない。その莫大な時間をどぶに捨て、ぼくは忘れ物を探し、なくしものを探し続けてきた。
そういうもんだ、仕方ないさ、とある程度納得してきた。
だが、今日、テニスに行くのに、ラケットを忘れたときには、もうぼくはだめなんじゃないか、と思った。自分の行動の動機すら忘れてしまうなんて。
これでは、犬を散歩させようと公園に行ったときに、犬を家に忘れてきた母親を笑えないではないか。
というか、思いっきり、血か、これは?
そういうもんだ、仕方ないさ、とある程度納得してきた。
だが、今日、テニスに行くのに、ラケットを忘れたときには、もうぼくはだめなんじゃないか、と思った。自分の行動の動機すら忘れてしまうなんて。
これでは、犬を散歩させようと公園に行ったときに、犬を家に忘れてきた母親を笑えないではないか。
というか、思いっきり、血か、これは?