毎日が観光

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山下洋輔「ジャム・ライス・リラクシン」

2005年09月05日 11時00分29秒 | 音楽
 ブルックナー開始。
 フリージャズを聴くとこんな言葉が浮かんでくる。
 ブルックナー開始は、弦のトレモロによる神秘的な開始のこと。原始霧と呼ばれるもわ~んとした音の中から次第にブルックナーの世界が形作られてくる。
 簡単な約束だけで演奏されるフリージャズもそう。一人一人がためらいがちに、試すかのように、音を出していく。そのうち誰かがイニシアチブをとって、なんとなく雰囲気が決まってくる。
 宇宙の始まり。
 それに対し、アルバート・アイラーの「ゴースト」などはこの逆だ。まず「ゴースト」の旋律があり、演奏が進むにつれカオスへ突入する。
 カオスからなんとなく形作られた音楽は、しかし、明瞭な形を作ることなく推移していく。その推移する音楽の雰囲気が日本っぽい。しかも、ハナモコシ語による浪曲(スキャットとは言わないよなあ、これ)入りだ。ハナモコシ語はタモリのハナモゲラ語に先立ち、サックス奏者坂田明の発明した言語。いや、誰、ということではないか、中村誠一も絡んでるし。
 どことなく、夜の神社の雰囲気だ。にぎわう見せ物があり、酔っぱらいがいて、子どもたちが駆けずり、夜店のアセチレン灯が輝き、闇があって、うごめくカップルがいたり、拝んでるおばあさんがいたり。近藤等則のトランペットがすごい。坂田明が二人いる感じだ。「三つ指ついて、婆さんが、ネ、そうでござんしょという度に身をのりだして迫ってくる」(平岡正明)感じ。
 同じフリーにしてもコルトレーンの「アセンション」は、なんか涙ぐましい感じがして好きじゃないのだが、これは楽しい。
コメント
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