毎日が観光

カメラを持って街を歩けば、自分の街だって観光旅行。毎日が観光です。

見沢知廉

2005年09月09日 17時25分57秒 | らくがき
 またまた中学時代の話。期末試験の帰りに友人がぼくに言った。
 「なんでも、高校で試験中、テストをビリビリに破って、こんな管理教育なんか下らない、とかなんとか、叫んだ人がいるんだって」
 おいおい。
 ランドセルを降ろし、中学に入ったばかりの頃、学校の近くの電柱には「***君の死を忘れるな」などと書かれた内ゲバで殺された水死体の写真が一杯貼ってあったりして度肝を抜かれたものだ。そうした政治的雰囲気の最後の尻尾みたいなのが残っている時代と地域だった。
 その先輩は退学、ぼくはいつの間にかそんなことなど記憶の奥底に沈めて暮らしていた。
 あるとき川村毅率いる「第三エロチカ」の芝居を見ている内に、あれ? これって、あの先輩のことじゃないか、と急に思い出したのだ。
 そしてぼくはその芝居によって、彼がその後極左から極右に転向したこと、極右の内ゲバで人を殺して服役したこと、獄中で書いた小説が賞をとったこと、そしてその人の名前が見沢知廉であることを知った。
 「囚人狂時代」「天皇ごっこ」、興味深い題材を彼独自の視点で描き、どちらも大変深い印象をもった。極左と極右というのは、正反対でいるが故に通底する部分がある。共産主義社会の北朝鮮の中に、一人の国家元首を中心に、それを崇め、愛している構造を見出し、このような体制が日本でもできないかと夢想する。もちろん、そのときの中心は天皇である。
 北朝鮮に理想の君主国の姿を重ねるなんて並の右翼ではない(というか、どういう間違いで北朝鮮も日本の右翼を入国させたのかねえ)。
 そうした著書の一方、彼を狂的に追っかける熱烈なファンとの格闘(「隣のサイコさん」宝島)など、楽しいものもあった。
 その彼が飛び降りて自殺した、との報道を見た。
 何が苦しかったのか、何に耐えられなかったのか。
 人の心の闇が怖くてたまらない。
コメント
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