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全館輻射熱冷暖房住宅システムの開発者・福地建装・代表取締役会長
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職人の業は盗むもの…北斗市

2008年03月01日 16時51分22秒 | Weblog
ある年老いた大工さんと話をする機会がありましたが、命が燃え尽きたと思われるような風貌に、怖ろしく厳しい仕事をしたと言う昔の面影など微塵も感じません。
しかし、檜材で継ぎ手を刻む話になった時に、煌々とした眼力が込み上げて来るのです。
人は自分でも気付かないうちに多くの技術や情報を内包して行くのでしょうか。
この大工さんも棟梁として一時代を築いたのだと言いますが、コンピューターでプレカットを行なう時代になってから一気にヤル気が失せて唯の老人になってしまったと言います。

大工さんの仕事はコンピューターのプログラマーの仕事によく似ていると言います。
手板と言われる平らな板に平面図が書いてあり、柱の部分が黒い四角の■点が付いており、桁が線、梁は二重線の印がついており、その手板を見ながら木材に墨を付けて行きます。墨付け作業と言うのは、横に伸びる土台や桁など、平面部分の部材と、上に立ち上がる柱や間柱、筋交いなどを立体に組み上がるように刻み印を付けるのです。

このような技能や技術は、理屈で教えても絶対に覚えないものです。
大工見習いは、ひたすら棟梁や兄弟子の手元や勢子に徹し、身体に仕事を染み込ませて行くのです。これは大工の弟子だけでなく、私が過ごしたトビ職だった少年時代も同じでした。
何トンもある橋梁を橋桁に渡す仕事は、その準備や段取りがポイントとなりますが、誰も手取り、足取りしてなど教えてくれません。「お前が遣ってみろ」と放り出された時、意識ではなく、身体が自然と仕事をしてくれるものなのです。

大工職人もまったく同じで、あの複雑な墨付け作業と切込みが理屈ではなく、身体が動いてくれます。自分も気付かないうち、いつも間にか身体が覚えてくれているのでしょう。
このようにな身体に内包した技術を後継者に指導するには、遣って見せるのより眼力での指導が最も向いていると言えるでしょう。職人世界はとても特殊な世界のように思います。冒頭の枯れた老人も木材を刻む仕事を指導する時はあの眼力がものを言うのでしょう。
「技術は盗むもの」だと言いますが、目で盗んだ技能は身体に染み込むのものなのです。

写真は研究開発室で撮ったのですが、向って左から社歴30年で元大工棟梁で現在、お客様担当の近江松男 課長と社歴32年、やはり元大工棟梁で現在、ハウジング事業部担当の小泉泰久 常務、社歴10年ではや中堅社員となった研究開発室の久保田公明 主任、入社半年となる久保田の部下の冨田武美です。小泉も近江も私と同じ中卒者ですが建築技能は、知識より身体で教え込む事が不可欠のようです。
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