ダウンワード・パラダイス

「ニッポンって何?」を隠しテーマに、純文学やら物語やら、色んな本をせっせと読む。

HUGっと! プリキュア 44話 夢と決断の旅へ! さあやの大冒険!

2018-12-16 | プリキュア・シリーズ
 


 「ファンタジー内ファンタジー」とでもいうのかな。「HUGっと!」の世界そのものがすでにしてファンタジーなのに、今回はさらにその内側にファンタジー世界をこしらえて、そのなかでキャラたちに動いてもらおうという。
 それはそれでアリでしょう。天下の村上春樹さんだって、この手法を愛用してて、『海辺のカフカ』(新潮文庫)なんてそれだけで成立してる小説ですからね……ただ、「ほんとにそれはリアリズムでやれなかったの?」ってギモンは、『海辺のカフカ』に対しては、ぼくは捨てきれないけども。
 プリキュアは、まあ、児童向けアニメなんだから(そうでしたよね?)、これを多用したくなるのもわかる。なかんずく、このシリーズは、お子様にはやや難しそうなテーマを盛ってきてるから……。三角関係とか、母娘関係とかね……。これをリアリズムでやるのは厄介だわなあ。
 三角関係ってのは、32話「これって魔法? ほまれは人魚のプリンセス!」のことね。いやあれは、ビシン君も入れて四角か。もっとややっこしいじゃないか。「ファンタジー内ファンタジー」は、あの回いらい2度めですよね? あのとき浦島太郎に(しかも玉手箱をあけたあとの)なってた野乃はなが、今回は勇者のコスチュームってのはよかった。この人はもともと「勇者(ヒーロー)」なんだし、もう最終盤なんだから、カッコいいとこ見せてかないとね。勇者スタイルでの活躍場面はとくになかったけど。
 40話「ルールーのパパ!? アムール、それは……」でも、異空間にリープしてたけど、あれは「未来世界」だから、ファンタジー世界とは違う。うん。だからやっぱり2度めですよね。
 「ファンタジー内ファンタジー」は、キャラたちの内面の葛藤や、お互いの関係性を「象徴的」にビジュアル化できるんで、使い勝手のいい手法だけれど、むろん頼りすぎると全体が安っぽくなっちゃう。
 26話「大女優に密着! さあやとおかあさん」できちんと母と娘の来し方を描き、撮影所内のようすや、さあや母娘を取り巻くスタッフさん達の心情やなんかをていねいに描き込んだ。
 その次の27話「先生のパパ修行! こんにちは、あかちゃん!」も、一見すると「父親になるということ」ってテーマを扱った回のようだったけど、じつは「さあや回」でもあったんですよね。2週連続の当番回だった。さあやはあそこで、産婦人科医のマキ先生と出会い、「女優」とは異なる夢(選択肢)をもった。
 そのときの気持をずっと保ち続けて、35話「命の輝き! さあやはお医者さん?」があり、そうして今回のお話がくる。それだけの積み重ねがあるわけだ。1年ものの強みですね。
 はなの母すみれは、さながら「母親」の理想像として描かれている。しかし、娘に対する母の愛情は、(ぼかぁオトコなんで実感としてはわからないけども)時には娘を自分の庇護下に抱え込んで、「外」に出すまいという欲望にかわることもある。ちょうどグリム童話のラプンツェルみたいに。今回その面を担当したのが、さあやの母れいらさんなんですよね。
 シリーズ構成の坪田文という作家さんは(ここ終盤ではずっと脚本も担当)、とにかくぎゅうぎゅう詰め込んでくるんで、ストーリーラインにキャラたち全員の感情がしっかり乗り切ってるのかどうか、見定めがたいところもあるけど(とくに、好敵手である「一条蘭世」の感情とかね……)、さあやとれいら2人の心情は、説得力をもって描かれてたと思います。
 細かいとこでは、ネズミ姿のハリーを助けたほまれが、「いいってことよ」と、江戸っ子みたいな口調で答えてたのがよかった。「義侠の女」の面目躍如というか。べたべたした「恋心」を吹っ切って、「仲間」としてハリーに接してるってことでしょうね。
 しかし、ここにきて空からサンタさん召喚かあ……。日程も押し詰まってきてるのに、大胆というかなんというか……。もちろん、脚本はもうラストまで上がってるんだろうけど、とにかく「完成度よりもボリューム重視」の姿勢は一貫してますね。ただ、来週はどうやらロスジェネさん……じゃなかった、名前なんだっけ? あ、ジェロスさんか、あの人の「退職」回になるみたいなんで(パップルさんのとこに行くのかな? パップルさんそこまで太っ腹かな?)、ノルマは着実にこなしてるわけだけど……。
 ひきつづき楽しみにしています。




コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。