ダウンワード・パラダイス

「ニッポンって何?」を隠しテーマに、純文学やら物語やら、色んな本をせっせと読む。

暫定記事・井沢元彦『逆説の日本史』

2022-05-18 | 歴史・文化
 井沢元彦『逆説の日本史』(小学館文庫)の電子書籍版がバーゲンセール中だったので、最初からきちんと読んだらべらぼうに面白かった。1992年から、「週刊ポスト」に目下のところ30年にわたって連載されているノンフィクション。以前から名前は知ってはいたが、なにしろ掲載誌が掲載誌だし、「言霊」だの「怨霊」だのを通して日本史を読み直すという趣旨の作品と聞いていたので、これまで真面目に読んだことはなかった。歴史おたくによる梅原猛日本学の亜流だろう……くらいに高を括っていた。いや、とんでもない思い上がりであった。そんなレベルの話ではない。
 いま立て込んでいるため詳しいことは書けないが、これはぼくが今まで読んできた中でもっとも明快で本質を抉った「日本通史」だ。むろん、そこに記された内容がすべて正しいとはいわない。学術的には荒っぽいところもいっぱいある(作者の井沢さん自身がそれを認めている)。しかしそれでも、一人の作者が共著者を持たず自分だけの力で「日本通史」を試みているという点で、これは他に類を見ない画期的な作品なのだ。
 ぼくはこれまで自分が中公文庫と講談社学術文庫の「日本の歴史」シリーズや、歴史関連の新書などを頼りにこつこつと作りあげてきた自己流の「日本通史」が、はるかに広く、深く、鮮烈なかたちでアップグレードされたことを認めざるを得ない。
 もっと前にこの『逆説の日本史』シリーズを読んでいたなら、当ブログの「歴史」カテゴリも、まるで違ったものになっていたろう。
 もちろん『鎌倉殿の13人』の背景もよくわかる。広常は出てこないけれども。



Smells like teen spirit 和訳

2022-05-05 | 雑読日記(古典からSFまで)。
 「子どもの日」だからってわけではないんだろうけど、とつぜん発作的に、ニルヴァーナの『スメルズ・ライク・ティーン・スピリット』が聴きたくなって、CDを探したけれども見つからなくて、you tubeでオリジナル・バージョンを立て続けに10回聴きました。そのあとブラッド・メルドーのバージョンと、ロバート・グラスパーのバージョンを見つけて、こちらも3回ずつくらい聴いたかな。現代最高クラスのジャズの大家2人にカバーされるとは、「90年代のロックシーンを一変させた一曲」というに留まらず(それだけでも凄いことだけど)メロディーそのものもよほど優れているのでしょう。そのあとさらに、ONE OK ROCKによるカバーを見つけて、正直、カバーとしてはやっぱりこれがいちばん刺さりましたけどね……。








Nirvana - Smells Like Teen Spirit (Official Music Video)
https://www.youtube.com/watch?v=hTWKbfoikeg





Brad Mehldau  Smells like teen spirit
https://www.youtube.com/watch?v=50p5MxZ8GF0



Robert Glasper Experiment  Smells like teen spirit
https://www.youtube.com/watch?v=KdgWiWrtMZo



ONE OK ROCK  Smells like teen spirit
https://www.youtube.com/watch?v=AmZTRPEfoAg





 それでまあ、これも半ば発作的に、自分で訳を付けてみました。スティングの『シェイプ・オブ・マイ・ハート』、スザンヌ・ヴェガの『トムズ・ダイナー』に続く第3弾……というほどのものでもないですが……。言葉遊びが肝なので、そのあたりには留意したけれど、あくまでも私訳であり、試訳ですのでご了承のほど。あと、皮肉にみちた、反抗精神の塊みたいな詞ですので、いくぶん不穏当なイメージや表現も含みます。そのこともご了承ください。


☆☆☆☆☆☆☆






teen spiritはお手軽なデオドラント剤の商品名。カート・コバーンはじっさいに或る女性からこう言われたそうで、それは「ちゃんとした香水もつけてないようなコと付き合ってるのね。」という揶揄だったんだけど、カートはそれがわからなくて、「あ。10代のスピリットのニオイか。いいね」と思ってこの曲をつくったそうな。というわけでこのタイトルの解釈は、「ガキの魂みたいに臭うぜ。」みたいな感じでいいと思う。そんなつもりで訳してみた。






Load up on guns
Bring your friends
弾込めした銃、しこたま抱えて
ダチもいっぱい連れてきなって


It's fun to lose and to pretend
She's over bored and self assured
負けるのも なんか偽ってんのも悪かない
彼女はめちゃ退屈すぎ そんで気ィ強すぎ


Oh no, I know a dirty word
弱ったね、失点だ、オレ汚ねぇ言葉を知ってんだ


Hello, hello, hello, how low?
Hello, hello, hello, how low?
Hello, hello, hello, how low?
Hello, hello, hello
やあ、やあ、やあ、どれくらい落ちてる?
なあ、なあ、なあ、どれくらい落ちてる?
よう、よう、よう、どれくらい落ちてる?
おい、おい、おい、どんだけ落ちてんの?


With the lights out
It's less dangerous
Here we are now, entertain us
明かりを消せば ヤバさも減るさ
さあ来たぜ、せいぜい楽しませてくれよ


I feel stupid and contagious
Here we are now, entertain us
なんかバカっぽいし、伝染りそうだな
でも来たぜ、せいぜい楽しませてくれよ


A mulato
An albino
A mosquito
My libido
ムラート(注①)
アルビノ(注②)
モスキート(蚊)
俺のリビドー(性的衝動)


イェイ!
へい!
イェイ!


I'm worse at what I do best
And for this gift I feel blessed
ベスト尽くしてもどうにもダメだ
でも才能はあると思うんだよね


Our little group has always been
And always will until the end
うちらはずっとこんなだったし
しまいまできっとこんなだろうぜ


Hello, hello, hello, how low?
Hello, hello, hello, how low?
Hello, hello, hello, how low?
Hello, hello, hello
やあ、やあ、やあ、どれくらい落ちてる?
なあ、なあ、なあ、どれくらい落ちてる?
よう、よう、よう、どれくらい落ちてる?
おい、おい、おい、どんだけ落ちてんの?




明かりを消せば ヤバさも減るさ
さあ来たぜ、せいぜい楽しませてくれよ
なんかバカっぽいし、伝染りそうだな
でも来たぜ、せいぜい楽しませてくれよ


ムラート
アルビノ
モスキート
俺のリビドー


And I forget just why I taste
Oh yeah, I guess it makes me smile
で、俺はなんでこいつに嵌ったんだっけ
あ そうだった 笑わせてくれるからだな


I found it hard, it's hard to find
Oh well, whatever, nevermind
キツいって気づいたか 気づいたのがキツいのか
まあいいや、どっちでもいい 気にしない 苦にしない


やあ、やあ、やあ、どれくらい落ちてる?
なあ、なあ、なあ、どれくらい落ちてる?
よう、よう、よう、どれくらい落ちてる?
おい、おい、おい、どんだけ落ちてんの?


明かりを消せば ヤバさも減るさ
さあ来たぜ、せいぜい楽しませてくれよ
なんかバカっぽいし、伝染りそうだな
さあ来たぜ、せいぜい楽しませてくれよ


ムラート
アルビノ
モスキート
俺のリビドー


A denial
A denial
A denial
A denial
A denial
A denial
A denial
A denial
A denial


断固!
断固!
断固!
拒絶!
拒絶!
拒絶!
否定!
否定!
全否定だあああーっ!










注① ムラート (Mulatto, Mulato) は、ラテンアメリカおよび北アメリカでヨーロッパ系白人と、アフリカ系の特に黒人との混血を指す言葉である。ムラットともいう。なお、女性だけを指していう場合はムラータ (Mulata) という。


注②アルビノとは、目と皮膚と毛髪をはじめとした全身(眼皮膚白皮症)、または目のみ(眼白皮症)が、先天的にメラニン色素をつくれない、もしくは少ししかつくれない体質のこと。