『反社会学講座』(イースト・プレス→ちくま文庫)などの著作をもつ覆面作家パオロ・マッツァリーノ氏(いかにもイタリア人っぽい筆名だが、じっさいにイタリアの人かどうかは謎)のブログ内記事。持ち前のユーモアあふれる筆致で、現時点での「松本人志問題」をめぐる状況をまとめている。
冒頭部分を抜粋。
「ジャニー喜多川さんは、いい人でした。多くの芸能人を育て、テレビ界に貢献した功労者であり、育てられた芸能人にとっては恩人です。
でも、ジャニーさんは犯罪者だったのです。
24時間、つねに犯罪者でいる人などいません。犯罪者としての顔は、個人が持つ多くの顔のうちのひとつにすぎないのです。犯罪をしてるとき以外は、何食わぬ顔で暮らしてます。それはマジメな職業人の顔であったり、優しい父親・母親の顔だったり、情にあつい先輩の顔だったりします。
でも、そういう「いい人」が、犯罪者の顔も持ってたりするんです。」
(eminus注 山下達郎氏におかれては、ここいらあたりを熟読玩味のうえ、紙に書き写してレコーディングスタジオの壁にでも貼っておいて頂きたく思う。)
「ジャニーズ問題から我々が学ばねばならないもっとも重要な教訓、それは、予断をもって犯罪告発の声を封じてはならない、ということです。」
「犯罪の告発は、明らかな虚偽が認められないかぎりはいったん信用して受理しなければなりません。その上で、双方の主張内容を比較検討し、どちらが正しいのかを考える。これが法治国家における正しい手順です。」
ここから、
●的外れな人情論と損失論
●性犯罪に無関心なテレビ局
●週刊誌という入れ物を叩く人たち
●女性側の主張の信憑性は?
●携帯を取りあげる異常性
●もうひとつの罪・松本さんのパワハラ
●芸人のみなさんは河原者に戻りたいのですか?
●合意の有無でなく、合意の中身こそが重要
●記者会見の提案
など、まことに尤もな意見がつづく。あらためて浮き彫りになるのは、口先だけで反省の弁を並べ立てつつ、ジャニーズ問題から何ひとつ学ぼうとせぬ(というか、端から学ぶ気とてない)テレビというメディアの異常性である。
②【独自】松本人志を切らないと「万博」「公的事業」「落札」を切られる…吉本興業のビジネスの生命線がヤバすぎるワケ
現代ビジネス編集部
https://gendai.media/articles/-/123611
今やたんなる芸能事務所の枠を超え、「政商」と化した吉本興業が、いかに国政および地方行政に食い込んでいるか、その一端を明らかにした記事。
一部を引用。
「吉本興業は、大阪府に横山ノック氏が知事に就任した際、国や自治体の仕事のうまみを実感しました。大阪府がお笑いの歴史的な施設とすべく開館した『ワッハ上方』には、吉本所有のビルを提供し家賃が入る。そこでは展示や劇場も手掛け、さらにカネがもらえる。」
「いまや、国や自治体の方から誘われて入札に参加するのが日常茶飯事です。金額さえ決まれば、わざわざ集金にいかなくとも確実に収入が入る。それに吉本のブランド力もアップする。一石二鳥どころか三鳥でした。」
「吉本が手がける公的事業は非常に幅広い。今年1月4日、吉本興業は外務省発注の「令和5年度開発協力工法動画の制作及びプロモーション事業」を約2400万円あまりで随意契約している。」
「昨年9月には、こども家庭庁発注の「令和5年度こどもまんなか社会機運醸成こどもの日イベント企画・運営等業務」を約590万円で落札。
吉本興業の地元、大阪府や大阪市に目を移しても、昨年9月に「大阪文化芸術祭(仮称)」の実施にかかる企画・運営等業務」を大手旅行代理店JTBとともに、19億8千万円あまりで受託。昨年6月には「大阪マラソン開催に関する企画調整・大会運営等業務」「介護職・介護業務の魅力発信事業」、昨年5月には「御堂筋オータムパーティー2023の開催に係る企画調整、警備及び運営等業務」……
数え切れないほど多くの公的なイベント、プロモーションの運営事業を吉本興業は多数受託し、いまや経営の中核となっているのだ。」
そして、
「国や自治体と吉本が「一体」になっている象徴が、何を隠そう2025年の「大阪・関西万博」である。」
詳細はリンク先の元記事にて。
③もうひとつ、「現代ビジネス」の記事
#MeToo運動を連想させる松本人志の性加害疑惑
笹野 大輔(ジャーナリスト)
https://gendai.media/articles/-/123338?imp=0
いわゆる「#MeToo運動」の発端となった「ワインスタイン事件」と、このたびの「松本人志事件」との類似性について述べた記事。「#MeToo運動」および「ワインスタイン事件」のかんたんなお浚いにもなっている。
松本の件は、本人と事務所が途中で方向転換したので争点はテレビ視聴者側が正確に認識がまだ難しい段階なのかも知れないと思って私は静観していました。去年までのワイドショーの私刑の流行の不倫が騒ぎたいのか、性行為や売春を指摘したいのか、性犯罪や性被害を糾弾したいのか、いまいちわかってる人が当事者含め誰もいないのではないかと感じるのです。名誉毀損に関しては一点、性犯罪が刑事の時効を過ぎてしまっている場合なら、週刊誌報道自体はいくらでも可能だと思うし加害者の名誉を毀損してでも事実らしき犯罪行為を世にしらしめたい目的は果たされるのだろう、そして名誉毀損を争えば時効を過ぎた事実の過去の犯罪をしらしめた側が民事上は負ける可能性は高いのだろうと(それでも世の中に言いたい)素人ながらに考えていたのですが。TVやネットでは、単純化された極論2論とプラスアルファのパターンくらいしかお目にかからなくて、SNSの台頭と機械的な扇動によって世論は劣化していると今回の件でも痛感していました。
本記事の引用一つ目もネットで大勢の方が引用していたようで私も本記事を拝読する前に確認していましたが、引用元の匿名の方の主張も若干というか文字に表さない部分でかなりバイアスのかかった文章ではあったかなと感じていました。ワイドなショーに自主謹慎前に出演できなかったことと訴訟を起こす前に記者会見をしなかったことと忖度したメディアが徒党を組んで突撃の記者会見を試みなかったことで
記者会見らしきものは訴訟の目処の都合でやらないことが確定している現段階で、一部の芸人・芸能人・自称有識者・一般人のSNSがいくら騒いでも、現段階で記者会見を強要するのは私刑でしかないと私は思っています。一つ目の引用の外国人記者クラブでの記者会見の提案は現段階で利用・悪用されるような解決策とは思えませんでした。
平成期からマナー講師が新しいマナーを作ることが問題になっていましたが、ネットで調べると、たかだかここ数年のネットで一般人の誰かが無根拠で言った不倫と浮気の違いみたいな記事にもなっていないような言葉の断片を引用して引用して不倫とはみたいな新たな不倫の意味が形成されつつあることにここ十数年一人危惧しながら過ごしてきたのですが、不倫と浮気の対比や既婚未婚問わず、不倫とは
倫理にあらず(不)、であって人の道理から外れている関係性や行為が不倫だと私は幼少期から大人に教わっていたし私のコミュニティではそれで通用していたのですが、ネットで調べてもほぼほぼその認識の説明にはヒットしないのです。既婚者と誰かの恋愛は全て悪で、独身同士だったら年齢差がいくつあっても法を逸脱しない範囲で犯罪では無い、とは別で、法の及ばない部分でも倫理に反していれば正解では無いのが不倫だろうと、一つ例を挙げると独身同士でも師弟関係からただれた関係になったら結婚して責任とろうと不倫である、不倫のあってないような広い定義ってそういう物だったのではないかいつからこんな単純な良し悪しが世間で通じなくなったのか、そういうことに不安をかんじています。
松本への直接的な言及も引用批評も極力避けました。松本のことはどうでもいいです。反社行為をしていたタレントが一人消えるだけです。おこぼれを預かっていた他の小物の芸人が一掃されるわけでも無いので残念ですね。
言及を避けた理由と、コメントをした理由は
先日ある程度知名度のある漫画家の先生の自害があったからです。仲間内でもSNSでもこの話を語りたいし、辿り着けない真実に近づきたいしできることなら無かったことになって生き返って欲しいし、とにかく悔しくて悔しくて仕方がないことと、
この話題も極論2パターンとプラスアルファと正解に近い推測と忖度と沈黙(黙認)しか検索上位には来ず
話題をネットにアップするだけで死体蹴りに加担してしまう怖さと、ネットの声に加担して加害者が間違いを起こす可能性を増やしてしまうことへの自制とで
いのちのダイヤルのリンクなど無意味以上に害悪でリンクを貼れば良いって問題でも無いし
私ごときのやり場の無い憤りを、知人に直接話す以外で全世界から見れる場に残してしまったところで
スペースデブリ同士の衝突でデブリのパンデミックを起こすデブリを爆増させるような要因にしかならないんだよなと
だから自殺相談ダイヤルにすら相談できないことも、ネットに気持ちを吐露することも不正解な場合なんていくらでもあるんだよな、と無力感に苛まれていました。亡くなった先生は突発的では無かったのでしょう追い込まれて万事窮すの結果だったのでしょう。中途半端でも徹底抗戦でも結論が出たとしても望む未来がもう見えなかったのでしょう。心を蹂躙されて、余生で原状回復以上にならないことを悟ってしまったのでしょう。私が勝手に悔しいのは、たまたま見たドラマの終盤や、以前の漫画作品やら、面白かったです素敵でした、マンガの続きを楽しみにしていますってファンレターなりSNSなりで声を先生に送れなかったこと届くすべが永遠に断たれてしまったことです。まさか亡くなるとは思っていなかったので存命でSNSがクローズになる前に一つでも前向きな声を届けられなかったのも無関係な視聴者の勝手な後悔として私の中にも残ってしまいました。
ネットには文筆を生業にしている加害者は言葉で他人を殺めたのだから筆を折れとの無関係者の意見がそこそこの数で引用されていましたが
先に述べた不倫の定義にもつながるしパーティー券問題にもつながるのですが
法を犯していたら当然アウトです。起きてしまった事象に後から決着をつける為の方の裁き以外に
世の中の当たり前、普通、倫理に反することへ、私刑ではなく
いさめたり、逸脱を未然に回避できるような、成熟した大人になりたいしそういう社会を目指してもいい社会になって欲しいです。
こちらで漫画家先生の自害について触れることがあるかも知れないし無いかもしれませんが、個人的にはブログ主の方の見解をうかがってみたい気持はありましたが、公表=加担と私が考えているので私は当面の間はリアルの知人とネット以外の場で慰め合っていようと思っています。
松本の件は検討の材料のリンクを紹介して下さっていらっしゃいますがブログ主様は個人の途中経過も結論も語っていらっしゃらないようなので少し安心しました。
漫画家先生の自害がショックすぎて震災関連以外のクソみたいなニュースがどうでもよくなってしまった感もあります。
加害者のことはもちろん個人的に嫌悪していきますが私が私見を流布して私刑の世論に加担したり加害者の1人にならないようにと思っております。(後追いなどの心配はございません)(本投稿が不適切とご判断された場合は、承認せず削除して下さいませ)
松本氏に関する記事と同じように、ぼく個人の意見を打ち出すよりも、今ネット上にて無料で読める記事のうち、参考になりそうなものを紹介するという形式です。とはいえ、それなりの分量のコメントは附しておりますし、そもそも紹介先を選んだのはぼくだから、そこにぼく自身の見解や心情は自ずから反映されています。
よかったら、当の記事についても、思ったところをお聞かせいただければ幸いです。もちろん、急ぐことはまったくないですし、もし気が向かなかったら、そのまま収めておいてください。
ともあれ、ありがとうございます。ただ、頂いたコメントを何度かよく読み返して、しばらく考えたのですが、内容そのものは別にして、いくつかの表現にいささか穏当を欠くところがあると感じました。申し訳ないのですが、こちらのコメントのほうは掲載を見合わせることに致したく思います。
コメントは、削除してしまうわけではなく、せっかく頂いたものなので、このまま置いておきます。ただ、掲載は差し控えるということで……。あしからず、ご了承ください。
素人記事とも違うし、文春批判も含んでいます。
内容に関しては個人的には完全同意では無いです。
芦原先生の問題点も材料がだいたい出揃った感じと世間の興味が薄れてきた感じが目立ち始めたように思います。
おっしゃっている記事はこれですね。ご教示ありがとうございます。さっそく目を通しました。
https://bunshun.jp/articles/-/68988
デーブ・スペクター「松本さんはアウト、文春もやり過ぎ」……松本人志報道に「私はこう考える」
デーブさんもだけど、この記事の前にある箕輪厚介氏の発言は、もっと手厳しく文春を批判してますね。まあ言ってることはわかるんだけど、「それならば、これまでに一体誰がジャニーや松本の乱行を批判したの? あんたらも一応マスコミないしジャーナリズムの内側にいる人間なんだろうけど、そういった悪しき習俗を是正するための努力を少しでもしたの?」と訊いてみたいですね。ごくごく僅かなものとはいえ、自分たちにも責任の一端があるとは思わないのかな。なんで他人事みたいに喋ってられるのかわからない。
芦原妃名子さんの件、たしかにもう風化しかけてる感がありますね。このネット社会にあっては、人の噂も七十五日どころか、一ヶ月も持たないような……。でも問題はなにも解決してないですからね。小学館(しかも上層部ではなく現場の編集者たち)の出したコメントは、いたずらにセンチメンタルなだけで、肝心なところは不明のままだし、日本テレビのほうも、時間稼ぎをしてるとしか思えない。
原作者にとっては「精魂込めて生み出した、掛け替えのない大事な作品」であるものが、テレビのプロデューサーや脚本家にとっては「使い勝手のいいコンテンツの一つ」でしかない。その径庭を少しでも縮めるのが編集者……。つまりはそういうことだと思うんだけど、このたびは原作者が最初に自身の意図をきちんと示して、それが契約の条件になってたんだから、誰かに責任があるのは明白なんですよ。それなのにみんな、ふにゃふにゃと要領の得ないことばかりいって、責任を押し付けあっている。誰も責任を取ろうとしないまま、じわじわとすべてが腐っていく。結局は、どれもこれも、いまの日本を象徴する事件に見えてきますね。
このまま未来永劫サシハラとして造語が定着して欲しい。
だとすると、察するに、この方は女性によくスキンシップを試みる癖があるとされていて、その行為を「サシハラ」と称する……という、そういった理解でよろしいですか。
それはまあ、相手が内心嫌がっているのであれば、「ハラスメント」と呼んでしかるべきかとは思いますが、むやみにこんなことばかり言ってると、たぶんまあ、人類は早晩絶滅しますよね(笑)。
ぼくとしては、それで一向にかまわない……というか、地球の生態系のためには、むしろそれこそが最良の道である……と思っているのですが。