アフリカ、キンシャサの鼓動と混沌とした空気が
身体に満ちていくような。
「わたしは、幸福(フェリシテ)」69点★★★
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幸福、という名を持つフェリシテ(ヴェロ・ツァンダ・ベヤ)は、
バーで歌を歌って生計を立てている。
夜な夜な疲れ切って
一人、家に帰る彼女は
常に、幸福に縁のなさそうな、厳しい表情だ。
そんなある日、彼女の一人息子が交通事故に遭ったと電話が入る。
病院にかけつけた彼女は
手術費を前払いできなければ、手術はできないと医師に告げられる。
高額な費用をなんとかしようと
フェリシテは奔走するのだが――。
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幸福という名にまったくそぐわない、
顔立ちは美しいのに、陰気な表情の主人公フェリシテ。
強く自立心がある女性なんだけど
ゆえに尊大で、
正直、感じが悪い(笑)
そんな彼女の息子が交通事故に遭い、
彼女は手術費用のために奔走する――という展開。
赤い夜の街、闇夜の森、清らかな朝の光――
その場の空気がリアルに映し出され
アフリカの鼓動と混沌が
体の隅々へと満ちていくような感覚になった。
ていうか、予備知識ナシで観たので
最初はずっとドキュメンタリーと思ってた。
主演フェリシテを演じたヴェロ・ツァンダ・ベヤは
キンシャサ生まれで、本作が映画初出演の女優。
彼女の存在感が、この映画の要でしょう。
青い背景のなかの西洋楽団と
赤い光のなかのアフリカンミュージック。
絶望の夜と、お構いなしにやってくる朝。
さまざまなものが暗示を含みながら
反復されるのが印象的なんですが
この繰り返しがちょっと単調で
惹きつけられつつも
129分はちょっと長かった、が正直なところ。
あと
昼間やってくる修理人と夜の店で酔っぱらうタブーを、
ラスト5分前まで別人と思ってた。
このどうしようもなさを
笑ってください(笑)
ちなみに資料によると
タブーを演じたパピ・ムパカもコンゴ生まれ。
キンシャサでガソリンスタンドを経営し
近隣の恵まれない若者を雇っているそうです。
いいね!
★12/16(土)からヒューマントラストシネマ渋谷、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開。
「わたしは、幸福(フェリシテ)」公式サイト