ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

彼女が目覚めるその日まで

2017-12-16 01:21:25 | か行


悪魔憑き、とされた病がここに。


「彼女が目覚めるその日まで」68点★★★★


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憧れのニューヨーク・ポストの記者として採用された
21歳のスザンナ(クロエ・グレース・モレッツ)。

やる気に満ち満ちた彼女は
バリバリ企画を出し、
恋人のスティーヴン(トーマス・マン)との関係も良好で
充実した日々を送っていた。

――が、そんな彼女に異変が現れはじめる。

視界がぼやけ、会議中もぼんやり。
〆切りも守れなくなる。

しかし病院に行っても
異常は見当たらない。

そしてある夜、
決定的な出来事が起こり――?!


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抗NMDA受容体脳炎という病を発症した
ニューヨーク・ポスト紙の女性記者の実話がもと。

映画「エクソシスト」のモデルとなった少年が
この病を患っていたといわれている病で
彼女が発症した09年には、まだほとんど認知されていなかったそうです。


病気の発露から、ゆるゆると症状が進む様子も
診断がつかないもどかしさも、

彼女の苦しみを追体験するように
非常につらく感じる。


仕事が近い、ということもあるのかもしれないけど
原稿がまとめられないとか
インタビュー中にこんな事態に陥るとか
恐ろしくて考えられない。

気の毒さもあいまって
マジで
全編89分とは信じられないほど長く感じました。


でもって、診断がついてからは
尻端折り的にあっと言う間なんですよね。

そこが
ちょっとアンバランスな感じ。

「悪魔祓い、聖なる儀式」の記事をAERAで書くにあたって
まず調べたのが、この映画の原作『脳に棲む魔物』で
すごく読み応えがあった。
(著者近影も、美人!笑)

本にはエクソシストとの関連の記述もあって
おもしろかったんですが
それについての言及が、映画には一切ないのもちょっと気になった。

まあ、映画は彼女を支えたボーイフレンドとの話や
家族の物語が
メインになっているのはわかるんだけど

何か事情があるのかなあとか
考えてもしまいました。

映画で光るのは
先輩記者役のジェニー・スレイト!
「ギフテッド」のあの女優さんです。
やっぱり、いいなあ。


★12/16(土)から角川シネマ有楽町ほか全国で公開。

「彼女が目覚めるその日まで」公式サイト
コメント
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