ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

皆さま、ごきげんよう

2016-12-14 23:48:49 | ま行

ほのぼの系?
いやあ、そんなもんじゃありません(笑)


「皆さま、ごきげんよう」68点★★★☆


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中世のギロチンの時代、ある戦場。
そして現代のパリへと舞台は移る。

パリのアパート管理人(リュファス)
アパートに住む人類学者(アミラン・アミラナシュヴィリ)
古い友人。

彼らと、その周辺の人々が巻き起こす
あれこれが紡がれていく――。


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「月曜日に乾杯!」「汽車はふたたび故郷へ」の
82歳、オタール・イオセリアーニ監督の新作。

ポスターのイメージから
仲良しそうな老人ふたりの、ほのぼの系?
はたまた人生の教えを請う系?――と思いきや
いやあ、そんなもんじゃありません!(笑)


まるで一筋縄ではいかない、人生標本箱のようで。
若輩者には歯が立たちませんでした(苦笑)


冒頭、中世のフランス革命のギロチンの時代から始まり
「え?これって、コスチュームプレイものだっけ?」と思っていると、
また時代が変わり、近代の戦争風景。

続いて現代パリになり
ローラスケートを履いてスリを行うギャル集団が写される。

うーん「略奪」「蛮行」をキーにしつつ
何かが展開しているのかなと思うんだけど
そう簡単でもないんですよね。

結局、舞台は現代のパリに固定され
パリの街を闊歩する
やんちゃな老人たちのあれこれが写される。

全体に
サイレント映画のような身振り手振りのおかしみがあって
ジャック・タチ作品のようでもあり

ひかれてペシャンコになる男のシーンとか
プッとなるブラックさがあり
現代の寓話集のようで、標本集のようで。

さあ、どう解明すればいいのか。
じっくり宿題にしたい・・・気分です。


★12/17(土)から岩波ホールほか全国順次公開。

「皆さま、ごきげんよう」公式サイト
コメント
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