ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

こころに剣士を

2016-12-23 23:58:22 | か行

実話から生まれた
素直に、いい話。


「こころに剣士を」69点★★★★


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1950年代初頭。

エストニアの小さな村に
エンデル(マルト・アヴァンディ)がやってくる。

第二次世界大戦中、ドイツ対ソ連となったエストニアは
いまソ連に併合され、

当時ドイツ軍にいたエンデルは
秘密警察に追われる身となっていた。

そんな彼が小学校の教師になり
クラブ活動でフェンシングを教えることに――?!


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エストニアの元フェンシング選手だったエンデルは
第二次大戦後に追われる身になってしまう。

身分を偽り、息を潜めて生きてきた彼が、
田舎の小学校でフェンシングを教えることになる。

最初はしぶしぶだった彼が
子どもたちとの出会いを通して
変わっていく――というお話。


展開は順当で、そんなに「えっ!」はない反面、
非常に誠実に作ってあると感じました。

しかも実話がもとだそう。


エンデルは子ども嫌いで
子どもたちも最初は彼を遠巻きにしている。
でも、子どもたちは彼にすごく関わろうとする。

なぜだろう、と思うと
映画の後半で
同僚の女性教師が彼に言うんです。

「あの子たちは“父親”に飢えている」と。

戦争で家庭のなかの“男性”がいなくなってしまう
そのいびつで悲しい状況について
「ハッ」と思わされました。

エストニアの時代・政治的背景を
予習しておいたほうが
わかりやすいかもしれないけれど

まあ、だいたいの状況はわかるし
なにより
子どもたちの純真さに、叶うものはない!ですね。

ポスターにもなってる
この少女・マルタの意志の強そうな表情!いいよなあ。


★12/24(土)からヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開。

「こころに剣士を」公式サイト
コメント
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