また北欧から、最強の「孤独モノ」が現れた…!(笑)
「幸せなひとりぼっち」75点★★★★
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スウェーデンのある街。
中年男オーヴェ(ロルフ・ラスゴード)は
規律に厳しく、偏屈な男。
唯一の理解者だった妻に先立たれてからは
気むずかしさに拍車がかかり、
共同住宅でも鼻つまみ者だった。
だが彼はひょんなことから
向いに越してきた騒がしい一家と関わることになり――?
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珠玉の「孤独もの」を編み出し続ける北欧から
新たな名作が誕生。
今度の人物も相当手強い。
しかし、この人物には泣けた・・・(笑)
マジメで規律正しい偏屈おやじ。
彼の人生に何があったのか…?と興味をそそれらるし
北欧の渇いたユーモアに、
感動を盛り上げる劇的要素がうまく両立している。
誰の人生も劇的だ。そんな感じ。
監督は
「フォレスト・ガンプ」などへのオマージュを込め
「アバウト・シュミット」「恋愛小説家」などもお手本にしたそうで
なるほどー。
原作者は元ジャーナリストだそうで
「100歳の華麗なる冒険」と通じるものもありました。
しかしこの主人公オーヴェ、
相当な偏屈じじいなんですよ。(といっても、まだ59歳。笑)
マジメゆえにルールが曲げられず、人付き合いもヘタ。
でも
「いるいる、こういう人」なリアルさ。
そんな高潔さゆえの“生きにくさ”を持った彼を
たった一人理解してくれていたのが奥さんだったわけです。
でも、彼女はもういない。
「この世で誰もわかってくれなくていい。彼女だけがいてくれれば」
そう思っていた相手がいなくなってしまった。
オーヴェを知っていくにつれ、
彼女の不在が悲しくて。
彼が幸せな日々を振り返るシーンに、本当に泣けた。
そんな彼を変化させるのは、やっぱり「人との関わり合い」。
しかも相手がマイノリティ(移民やゲイとかね)だったりするのも
効くんですよねえ。
オーヴェが住む共同住宅の
隣人同士の近さもなんだかよくて。
オーヴェが昼間からウロチョロする隣人たちを見て
「みんな働いていないのか?!」とつぶやくシーンもウケた。
日本も似たようなもの。
「それでもまあ、やっていけるんじゃない?」って
ちょっとあったかくなりました。
★12/17(土)から新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開。
「幸せなひとりぼっち」公式サイト