女流棋士の皆さんの見送りを受け会場を後にする。
「安食さん、秒読み頑張ってください」と、安食女流に声を掛ける。
相変わらずのピンとはずれな言葉だ。彼女は「秒読み」ではなく、「棋譜読み上げ」。しかも、本当に頑張ることは、将棋であろう。
今回のパーティーについて、ひとこと。充分楽しめたが、料理をもう少し頑張って欲しかった、量だけでも。質を確かめる量がなかった。私の場合、料理は二の次で、棋士とのふれあいが目的だったので、それほど不満は残らなかったが。
ともあれ、小暮さん、yutanpoさんと3人で、2次会へ。
以前にも書いたが、小暮さんは、一昨年、福井の芦原での王位戦でお会いして、SMSの日記を見てくれて、わざわざ、「あの福井での方だったんですね」とコメントをくださったことがある。
お会いしたと言っても、二言か三言、言葉を交わしただけである。なのに、会場でいろいろ気を配ってくださっただけでなく、2次会までご馳走してくれた。
小暮さんなじみの居酒屋?で、料理が切れることなく、あれこれ注文してくれた。すごく、おいしかった。
いや、白状すると、味はよく覚えていない。というと、小暮さんはがっかりするかもしれない。何しろ、朝から、仕事、靴の破損、慣れない東京、新型インフルエンザ、パーティと怒涛のごとく押し寄せてくる緊張や興奮、味覚まで神経が回らなかった。
でも、「おいしかった」という記憶は鮮明に残っている。好きな将棋が縁で知り合い、将棋を語り合う、楽しく、幸せなひと時だった。
小暮氏は、人と人との縁を大切にし、その喜びを知っている男だ。特に今回は、私が遠い福井の地から、新型インフルエンザの脅威に決死の覚悟(おおげさ)で上京して来たことに対して、将棋を愛するものとして、歓待しなければ男が廃るという思いで、声を掛けずにいられなかったそうだ。熱い、篤い男だ。
ありがたい。ほんとうに嬉しかった。
yutanpo氏も、ブログで多少のやり取りがあったとはいえ、私のブログを読んで、千葉から駆けつけてくれた。ありがたい。
世知辛い世の中で、すごくいい気分になった。
小暮さんは、このように兄貴肌で、しかも、口が堅い。観戦記も指し手の変化など手を抜かない(他の将棋ライターの方がそうでないと言っているのではありません)。なので、棋士にも信頼が厚く、棋士も本音をさらす。
あの夜、そういった話もいろいろ伺えた。
えっ、「口が堅い」じゃあなかったの?
と、突っ込みたくなったが、「口が堅い」ではなく「書かない」と言っていたのかもしれない。まあ、今回は、私へのサービスと私を信頼してくれて、いろいろ語ってくれたのだろう。
だから、私も書かない。では、ここまで読んでくださった方は、納得できないでしょう。
なので、小暮さんに了解を取って、一番、面白かった話をひとつだけ。
(小暮さんは、将棋界を混乱に陥れることでなければ、どんどん書いてくださいと言ってくれた。と書くと、そんな話も飛び出たのかと勘ぐられてしまいますが、「何を書いてもいい」という意味です)
名人戦第3局、横歩取り8五飛戦法の5五に飛を振り、△4五桂の丸山新手を採用し進んだのが第1図。
ここから、△5六同馬▲同歩△2五歩▲3六飛△5二玉(第2図)と進む。
将棋世界7月号の観戦記(谷川九段)には
「△5六同馬からが未知の将棋となる。この手を予定していたので横歩取りに誘導したのだろうか。郷田は意外だったか、▲同歩に36分考えている。
△5二玉が柔らかい手渡し。▲3四歩△3五歩▲3三歩成の決戦に備えている」
とある。
まさに、羽生名人らしい柔らかい指し回し。「羽生新手」の評判はよかった。
しかし、小暮さんは
《あの手順は、佐藤九段が自分の著書に記した手順と同じ。「羽生名人らしい柔らかな手順の新手」という評価は、佐藤九段にしてみれば、納得がいかないだろう》
と、思っていた。
なので、佐藤九段に、その辺りの思いをたずねてみた。
ところが、それに対する佐藤九段の言葉が、意外なものだった。
ええぇっ!本当ですか?
佐藤九段は、自分がその変化手順を書き記していたことを、全く、忘れていたのだった。
嘘みたいな話だ。
佐藤九段とは友達になりたい。
yutanpoさんの疑問も面白かった。
「NHK杯の女流枠、矢内女王が勝ち取ったけれど、矢内さんの対局の時、誰が司会や聞き手をするのだろう?」
そういえば、そうだ。
司会を矢内女王がするとしたら、自分で自分を紹介するのだろうか?
自分で「矢内女王」とは言わないだろうが、言ったら面白い。でも、年度初めのトーナメント表の紹介の時、「矢内」と言っていたように思う。
個人的には、解説部分は、局後撮り直して、矢内、山崎七段のコンビでやってほしい。
長々と続いた『女流パーティ記』も、今日で終わりです。お付き合いくださったみなさま、ありがとうございました。
女流棋士のみなさんも、お疲れ様でした。
小暮さん、yutanpoさん、いい思い出になりました。本当にありがとう。
「安食さん、秒読み頑張ってください」と、安食女流に声を掛ける。
相変わらずのピンとはずれな言葉だ。彼女は「秒読み」ではなく、「棋譜読み上げ」。しかも、本当に頑張ることは、将棋であろう。
今回のパーティーについて、ひとこと。充分楽しめたが、料理をもう少し頑張って欲しかった、量だけでも。質を確かめる量がなかった。私の場合、料理は二の次で、棋士とのふれあいが目的だったので、それほど不満は残らなかったが。
ともあれ、小暮さん、yutanpoさんと3人で、2次会へ。
以前にも書いたが、小暮さんは、一昨年、福井の芦原での王位戦でお会いして、SMSの日記を見てくれて、わざわざ、「あの福井での方だったんですね」とコメントをくださったことがある。
お会いしたと言っても、二言か三言、言葉を交わしただけである。なのに、会場でいろいろ気を配ってくださっただけでなく、2次会までご馳走してくれた。
小暮さんなじみの居酒屋?で、料理が切れることなく、あれこれ注文してくれた。すごく、おいしかった。
いや、白状すると、味はよく覚えていない。というと、小暮さんはがっかりするかもしれない。何しろ、朝から、仕事、靴の破損、慣れない東京、新型インフルエンザ、パーティと怒涛のごとく押し寄せてくる緊張や興奮、味覚まで神経が回らなかった。
でも、「おいしかった」という記憶は鮮明に残っている。好きな将棋が縁で知り合い、将棋を語り合う、楽しく、幸せなひと時だった。
小暮氏は、人と人との縁を大切にし、その喜びを知っている男だ。特に今回は、私が遠い福井の地から、新型インフルエンザの脅威に決死の覚悟(おおげさ)で上京して来たことに対して、将棋を愛するものとして、歓待しなければ男が廃るという思いで、声を掛けずにいられなかったそうだ。熱い、篤い男だ。
ありがたい。ほんとうに嬉しかった。
yutanpo氏も、ブログで多少のやり取りがあったとはいえ、私のブログを読んで、千葉から駆けつけてくれた。ありがたい。
世知辛い世の中で、すごくいい気分になった。
小暮さんは、このように兄貴肌で、しかも、口が堅い。観戦記も指し手の変化など手を抜かない(他の将棋ライターの方がそうでないと言っているのではありません)。なので、棋士にも信頼が厚く、棋士も本音をさらす。
あの夜、そういった話もいろいろ伺えた。
えっ、「口が堅い」じゃあなかったの?
と、突っ込みたくなったが、「口が堅い」ではなく「書かない」と言っていたのかもしれない。まあ、今回は、私へのサービスと私を信頼してくれて、いろいろ語ってくれたのだろう。
だから、私も書かない。では、ここまで読んでくださった方は、納得できないでしょう。
なので、小暮さんに了解を取って、一番、面白かった話をひとつだけ。
(小暮さんは、将棋界を混乱に陥れることでなければ、どんどん書いてくださいと言ってくれた。と書くと、そんな話も飛び出たのかと勘ぐられてしまいますが、「何を書いてもいい」という意味です)
名人戦第3局、横歩取り8五飛戦法の5五に飛を振り、△4五桂の丸山新手を採用し進んだのが第1図。
ここから、△5六同馬▲同歩△2五歩▲3六飛△5二玉(第2図)と進む。
将棋世界7月号の観戦記(谷川九段)には
「△5六同馬からが未知の将棋となる。この手を予定していたので横歩取りに誘導したのだろうか。郷田は意外だったか、▲同歩に36分考えている。
△5二玉が柔らかい手渡し。▲3四歩△3五歩▲3三歩成の決戦に備えている」
とある。
まさに、羽生名人らしい柔らかい指し回し。「羽生新手」の評判はよかった。
しかし、小暮さんは
《あの手順は、佐藤九段が自分の著書に記した手順と同じ。「羽生名人らしい柔らかな手順の新手」という評価は、佐藤九段にしてみれば、納得がいかないだろう》
と、思っていた。
なので、佐藤九段に、その辺りの思いをたずねてみた。
ところが、それに対する佐藤九段の言葉が、意外なものだった。
ええぇっ!本当ですか?
佐藤九段は、自分がその変化手順を書き記していたことを、全く、忘れていたのだった。
嘘みたいな話だ。
佐藤九段とは友達になりたい。
yutanpoさんの疑問も面白かった。
「NHK杯の女流枠、矢内女王が勝ち取ったけれど、矢内さんの対局の時、誰が司会や聞き手をするのだろう?」
そういえば、そうだ。
司会を矢内女王がするとしたら、自分で自分を紹介するのだろうか?
自分で「矢内女王」とは言わないだろうが、言ったら面白い。でも、年度初めのトーナメント表の紹介の時、「矢内」と言っていたように思う。
個人的には、解説部分は、局後撮り直して、矢内、山崎七段のコンビでやってほしい。
長々と続いた『女流パーティ記』も、今日で終わりです。お付き合いくださったみなさま、ありがとうございました。
女流棋士のみなさんも、お疲れ様でした。
小暮さん、yutanpoさん、いい思い出になりました。本当にありがとう。
矢内さんの対局相手の櫛田六段は振り飛車の名手で強敵です。でも、純情そうなので、お色気攻撃が有効かもしれませんね。
女流のNHK杯は対振り飛車に分が悪い印象があるので、今回それを打ち破れるかに注目しています。
英さんの矢内、山崎コンビは8月30日放送分。対局者も注目の組み合わせですし、こちらも楽しみです。
対局スケジュールに余裕があるからでしょうか、8月の解説陣は豪華ですね。
余分なことばかり書いて、肝心なことは書ききれていないなあという思いもあります。
それに、何か大事なことが抜けている。……そう、パーティの登場人物にnanaponさんがいないことなんですよ。
またの機会は、よろしくお願いします。
勝手さん、こんにちは。
>山形旅行でもUpしようかな
ええ、期待しています。息子さんの健闘も祈ります。
正直羨ましい内容でした。
私の場合、自力では到底無理なので、
息子の付き添いでの山形旅行でもUpしようかな?(英さんほどの文才がないですが・・・)
長い間、楽しませていただき、ありがとうございました。
15回連載と踏んでいたので、若干がっかりですけど、秘蔵写真やギャグも交えて期待通りの出来でした。
英さんの興奮度合いが伝わってきましたよ。
小暮さん、魅力的な方でお目にかかりたいです。
あっ、失礼、その前に英さんですね。
また上京される際は、ぜひ。