「羽生将棋 早指し将棋における強さ① ~NHK杯戦から思う~」 の続きです。
早指し棋戦の範疇に入ると考えられる棋戦は、大和証券杯最強戦、銀河戦、JT将棋日本シリーズ、朝日杯将棋オープン戦、NHK杯将棋トーナメントの5棋戦。一番持ち時間が長いのは、朝日杯の40分だが、チェスクロック使用なので1分未満切り捨ての場合と比べると、実質はもっと短い。
この5棋戦について、最近5年間の羽生二冠の成績を振り返ると(括弧内は最終対戦相手)
2007年度 王座・王将防衛、王位・棋王失冠 年度成績44勝18敗
大和杯 準決勝敗退(丸山九段)
銀河戦 2回戦敗退(飯島五段)
日本シリーズ 準決勝敗退(森内名人)
朝日杯 準決勝敗退(丸山九段)
NHK杯 準々決勝敗退(長沼七段)
2008年度 名人・棋聖奪取、王座・王将防衛、王位・竜王奪取失敗 年度成績44勝21敗
大和杯 1回戦敗退(渡辺竜王) 時間切れ負け
銀河戦 ブロック戦敗退(中原16世名人)
日本シリーズ 準決勝敗退(深浦王位)
朝日杯 2回戦敗退(渡辺竜王)
NHK杯 優勝 (○…森内名人)
2009年度 名人・棋聖・王座防衛、王将失冠 年度成績30勝18敗
大和杯 1回戦敗退(山崎七段)
銀河戦 1回戦敗退(北島六段)
日本シリーズ 2回戦敗退(行方八段)
朝日杯 優勝 (○…久保八段)
NHK杯 優勝 (○…糸谷五段)
2010年度 名人・棋聖・王座防衛、竜王奪取失敗 年度成績43勝11敗
大和杯 2回戦敗退(久保二冠)
銀河戦 準決勝敗退(丸山九段)
日本シリーズ 優勝 (○…山崎七段)
朝日杯 準優勝 (木村八段)
NHK杯 優勝 (○…糸谷五段)
2011年度 棋聖防衛、王位奪取、名人・王座失冠 2月15日現在41勝18敗
大和杯 1回戦敗退(菅井四段)
銀河戦 準決勝敗退(糸谷五段)
日本シリーズ 優勝 (○…渡辺竜王)
朝日杯 優勝 (○…広瀬七段)
NHK杯 ベスト4以上が確定
年度総合勝敗は、2009年度がやや不調である他は、ほぼ安定した成績。タイトル戦は2008年度が6タイトル戦登場(2防衛、2奪取、2奪取失敗)と凄まじい成績。失冠はなく、敗れた竜王、王位戦も3-4の惜敗で再び7冠制覇かという勢いだった。ああ、3連勝4連敗……。
今年度は2失冠(名人・王座)が目立つが、王座失冠後、怒ったように勝ちまくり、10月20日以降は18勝2敗。A級順位戦8連勝で挑戦権獲得、その他日本シリーズ、朝日杯で優勝、NHK杯戦でも準決勝に進出している。
ちなみに、2007年度は朝日オープン選手権から朝日杯将棋オープン戦へ移行した年度で、この年度の4月~5月に行われた朝日オープン選手権5番勝負では阿久津五段を3-1で降している。
早指し戦での傾向
日本シリーズ、朝日杯、NHK杯戦と相性がよく、日本シリーズでは2連覇、朝日杯ではここ3年で優勝2回、準優勝1回、NHK杯では3連覇中。
年度的には、2007年度は振るわなかったが、ここ3年間は絶好調。
大和杯では、ここ4年では1勝4敗と苦手にしている。
上記の最終対局者で丸山九段が3回登場(3敗)している。ここ5年間では、羽生二冠の7勝4敗だが、早指し戦に限ると1勝3敗で、2006年にもNHK杯で敗れている。
大和杯での苦戦の原因は?
インターネット大局という特異な対局環境が影響していると考えることが可能である。
①PC操作が苦手、あるいは苦手でなくても、それに気を取られ読みに集中できない。
②実際の盤駒でなく、モニター画面なので勝手が違う(読みにくい、考えにくい)。
③PC操作の分、NHK杯での30秒秒読みより実質は短い。このわずかな違いが大きい。
④対局相手が面前にいないので、相手の読みの気配(形勢判断や攻めるか守るかなど)を察知できない。
⑤対局相手が面前にいないので、闘志が湧かない。
⑥対局相手は羽生二冠のオーラを感じない
さて、現在、早指し戦においても他の棋戦においても、恐ろしい強さを発揮している羽生二冠、目下の目標はNHK杯戦の4連覇。これを果たせば、NHK杯戦は10度目の優勝となり名誉NHK杯選手権者となる。もし決勝戦が羽生王位・棋聖×渡辺竜王・王座となったら、それは盛り上がるだろう。
早指し棋戦の範疇に入ると考えられる棋戦は、大和証券杯最強戦、銀河戦、JT将棋日本シリーズ、朝日杯将棋オープン戦、NHK杯将棋トーナメントの5棋戦。一番持ち時間が長いのは、朝日杯の40分だが、チェスクロック使用なので1分未満切り捨ての場合と比べると、実質はもっと短い。
この5棋戦について、最近5年間の羽生二冠の成績を振り返ると(括弧内は最終対戦相手)
2007年度 王座・王将防衛、王位・棋王失冠 年度成績44勝18敗
大和杯 準決勝敗退(丸山九段)
銀河戦 2回戦敗退(飯島五段)
日本シリーズ 準決勝敗退(森内名人)
朝日杯 準決勝敗退(丸山九段)
NHK杯 準々決勝敗退(長沼七段)
2008年度 名人・棋聖奪取、王座・王将防衛、王位・竜王奪取失敗 年度成績44勝21敗
大和杯 1回戦敗退(渡辺竜王) 時間切れ負け
銀河戦 ブロック戦敗退(中原16世名人)
日本シリーズ 準決勝敗退(深浦王位)
朝日杯 2回戦敗退(渡辺竜王)
NHK杯 優勝 (○…森内名人)
2009年度 名人・棋聖・王座防衛、王将失冠 年度成績30勝18敗
大和杯 1回戦敗退(山崎七段)
銀河戦 1回戦敗退(北島六段)
日本シリーズ 2回戦敗退(行方八段)
朝日杯 優勝 (○…久保八段)
NHK杯 優勝 (○…糸谷五段)
2010年度 名人・棋聖・王座防衛、竜王奪取失敗 年度成績43勝11敗
大和杯 2回戦敗退(久保二冠)
銀河戦 準決勝敗退(丸山九段)
日本シリーズ 優勝 (○…山崎七段)
朝日杯 準優勝 (木村八段)
NHK杯 優勝 (○…糸谷五段)
2011年度 棋聖防衛、王位奪取、名人・王座失冠 2月15日現在41勝18敗
大和杯 1回戦敗退(菅井四段)
銀河戦 準決勝敗退(糸谷五段)
日本シリーズ 優勝 (○…渡辺竜王)
朝日杯 優勝 (○…広瀬七段)
NHK杯 ベスト4以上が確定
年度総合勝敗は、2009年度がやや不調である他は、ほぼ安定した成績。タイトル戦は2008年度が6タイトル戦登場(2防衛、2奪取、2奪取失敗)と凄まじい成績。失冠はなく、敗れた竜王、王位戦も3-4の惜敗で再び7冠制覇かという勢いだった。ああ、3連勝4連敗……。
今年度は2失冠(名人・王座)が目立つが、王座失冠後、怒ったように勝ちまくり、10月20日以降は18勝2敗。A級順位戦8連勝で挑戦権獲得、その他日本シリーズ、朝日杯で優勝、NHK杯戦でも準決勝に進出している。
ちなみに、2007年度は朝日オープン選手権から朝日杯将棋オープン戦へ移行した年度で、この年度の4月~5月に行われた朝日オープン選手権5番勝負では阿久津五段を3-1で降している。
早指し戦での傾向
日本シリーズ、朝日杯、NHK杯戦と相性がよく、日本シリーズでは2連覇、朝日杯ではここ3年で優勝2回、準優勝1回、NHK杯では3連覇中。
年度的には、2007年度は振るわなかったが、ここ3年間は絶好調。
大和杯では、ここ4年では1勝4敗と苦手にしている。
上記の最終対局者で丸山九段が3回登場(3敗)している。ここ5年間では、羽生二冠の7勝4敗だが、早指し戦に限ると1勝3敗で、2006年にもNHK杯で敗れている。
大和杯での苦戦の原因は?
インターネット大局という特異な対局環境が影響していると考えることが可能である。
①PC操作が苦手、あるいは苦手でなくても、それに気を取られ読みに集中できない。
②実際の盤駒でなく、モニター画面なので勝手が違う(読みにくい、考えにくい)。
③PC操作の分、NHK杯での30秒秒読みより実質は短い。このわずかな違いが大きい。
④対局相手が面前にいないので、相手の読みの気配(形勢判断や攻めるか守るかなど)を察知できない。
⑤対局相手が面前にいないので、闘志が湧かない。
⑥対局相手は羽生二冠のオーラを感じない
さて、現在、早指し戦においても他の棋戦においても、恐ろしい強さを発揮している羽生二冠、目下の目標はNHK杯戦の4連覇。これを果たせば、NHK杯戦は10度目の優勝となり名誉NHK杯選手権者となる。もし決勝戦が羽生王位・棋聖×渡辺竜王・王座となったら、それは盛り上がるだろう。
>NHK杯の郷田九段戦は、明らかに大局観の勝利で、短時間でも凄さを感じました。
ええ、強いと思いました。大局観に狂いがないということもありますが、発想や指し手に柔軟さを感じました。
4連覇ですか、この際、渡辺竜王を破って決めて欲しいです。