英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『将棋世界』5月号④

2009-06-07 00:00:01 | 将棋
★『渡辺竜王物語㊦』 小暮克洋氏
 前編、中編はスルーしてしまいました。
 奥さんや息子さんや若手棋士との係わり合いやエピソードを介して、渡辺竜王の人間性や人生観が浮き彫りにしている。
 その上、年度ごとの戦績などもしっかりと紹介してあるので、人生観と成績も対比できてよかった。こういう、きっちりした構成は小暮氏らしいなあと思う。

 「攻めの技術と玉を固める技術を武器に、駒の効率を高めつつ、シンプルに勝ちやすい展開を目指す渡辺将棋」
という表現は、実に的確。特に、「シンプルに勝ちやすい」というのは、まさにその通りではないだろうか。

 しかし、そのスタイルが、竜王の苦悩を生み出しているという事実は驚きだった。
 若くして最高峰に君臨し、早婚で子どももいる。もちろん、その地位いることの重圧もあるであろうが、順風満帆に思え、将棋も割り切って考えていることと思っていた。
 ところが、「シンプルで勝ちやすい」というスタイルで、将棋そのものをシンプルに割り切ろうと真理を求めたため、真理にたどり着けず、分からないまま将棋を指すことにジレンマを感じてしまう。
 一局の将棋としてなら割り切れるが、ずっと将棋を指し続けることを考えた場合、今の将棋に向かう姿勢や指し方でいいのか、迷いが生じてしまうそうだ。
 苦しいかもしれないが、その答を追い続け、答を出して欲しいなあ。
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