忍布の強引な尖がったシーンが少なく、ライバル記者・胡桃沢も動いており、過去3回より面白く感じた。
それにしても、ヒロインの売り「出入り禁止」を強調すればするほど、ヒロインの魅力を損なってしまうのは大きな弱点だと、つくづく感じた。(今回も、むりやり店長に「出入り禁止」を言わせている感が強かった)
忍布が事件の背景に切り込むきっかけとなった、唐揚げの味の低下(担当のパート社員の解雇)は忍布の主婦視点を活用して良かった。しかし、パートの中核を担い、このスーパーの売りのひとつの“唐揚げの味”を切り捨てるのは、経営者の手腕に疑問を感じる。
もう一つの突破口の息子の友達・幸太の万引きの件は、ご都合主義だった。幸太の告白は、事件の背景の名門学校の生徒の腐敗を知るための道具にすぎず、幸太の万引きの原因を解決せずに放ったらかしになってしまっていた。
防犯隠しカメラの追及は面白かったが、現実的に電波受信範囲が30mで、セキュリティシステム社の社員が夜間2週間張り込むというのは無理があり過ぎ。担当社員は気の毒だった。
「名門学校の腐敗→窃盗団」の事件の背景は安直過ぎ。
また、防犯カメラは人の出入りするための必須の地点をカバーするべきで、従業員入口に防犯カメラを設置していないのはおかしい。店長の息子を説得する場所に、防犯カメラの死角に選んだとしても、ふたりや窃盗団がその地点までにまったく映らないのはどうなのか?
被害者の人物像を掘り下げていった点は、事件記者らしく良かったと思う。
「あたしがあった那須は、真面目な子を捕まえて万引き犯扱いするような男だった。
でも、彼を“いい人だった”と言う人もいて、人によっていうことがまるで違う。
実像がはっきりしないのに、『“美談”とか“前科持ち”とか決めつけて書け』っていうのが、気持ち悪くてしょうがない」
と胡桃沢に吐露し、被害者・那須がどういう人物だったのか問い掛け、胡桃沢も自分が過去に中断した取材を再開する。胡桃沢がこのように動いてこそ、面白さがアップする。
今回は、事件の真相については疑問に思うことも多かったが、ドラマの核心である事件記者という要素は良かった。
レビューは書いていないが、今クール『警部補・杉山真太郎〜吉祥寺署事件ファイル』も視聴している。
こちらの方は、事件の展開は突っ込みどころが多いが、登場人物に魅力を感じていたが、回を重ねるうちに脚本がよれてきており(第4話…主人公の亡くなった妻と瓜二つの女性が登場するという“昭和ドラマ”の設定。第5話…逃亡中の犯人の元妻を張り込むシーンがメインだったが、乳児と母のふたり暮らしだというのに、夏でもないのに夜カーテンを閉めない不自然さ)、主人公たちの言動も納得のいかないことが多くなってきて、今週、私の中でこの2ドラマの評価が逆転した。
この『出入り禁止の女』、視聴率で大苦戦(6%台)しているが、このタイトルが原因であるように思われる。『斎藤さん』を代表する観月ありさの「自分は正しい、ずけずけと自分の主張を言い切る」というキャラが、ドラマタイトルとオーバーラップしてしまい敬遠されてしまったと大いに考えられる。
【ストーリー】番組サイトより
仕事帰りにスーパーで買い物をしていた京都タイムス社会部記者・鉄忍布(観月ありさ)は、息子・一路(前田旺志郎)の小学校時代の友人・吉野幸太(渋谷龍生)が、副店長・那須慎二(蟹江一平)に万引きを疑われているところに出くわす。忍布は、幸太の所持品を那須に確認させて彼の潔白を証明、家まで送り届けた。
ところが翌朝、なんと那須がスーパーの駐車場から刺殺死体となって見つかった…! 実は、那須は京都タイムスの前身、“京都新報”時代に“町のヒーロー”として取り上げたことのある人物だった。10年前、スーパーの前で刃物を持った男が無差別に通行人に襲いかかる事件が起きたのだが、その際、逃げ遅れた子どもを命がけで救ったのが元ボクサーの那須だったのだ。かつての記事を思い出した京都タイムスオーナー・磯村憲吉(小林稔侍)は、那須の死を徹底的に美談に仕立てるよう、社会部デスクの古林千華子(財前直見)に指示する。
しかし、10年前の記事には曰くがあった…。執筆したのは胡桃沢洋(甲本雅裕)だったが、掲載直後、那須には傷害の前科があるという投書が舞い込み、密かに連載を打ち切りにした経緯があったのだ。
那須の死の真相を探るため、忍布はスーパー店長の西孝彦(升毅)らを取材。那須は10年前の事件を機にスーパーで働くようになり、昨年から副店長に昇格し、店の警備責任者を任されていたという。取材を進めるうち、忍布はベテランのパート女性・沢田雪野(岩橋道子)がつい最近、店を辞めさせられたことを知る。パート勤務の女性たちが売れ残った惣菜を持ち帰っていた行為がバレ、古株の雪野がその責任を負わされたらしい。直撃した忍布に対し、雪野は、西店長や那須ら店側が従業員を監視する隠しカメラを設置していた事実を明かし、那須のことを“裏切り者”だと非難するが…!?
その後、忍布たちの調べで浮かび上がってきたのは、10年前の取材ではたどり着くことができなかった、那須の真の姿だった…!? スーパー副店長殺人事件に隠された、切なくも悲しい事実とは…!?
監督:田竜太
脚本:岡崎由紀子
それにしても、ヒロインの売り「出入り禁止」を強調すればするほど、ヒロインの魅力を損なってしまうのは大きな弱点だと、つくづく感じた。(今回も、むりやり店長に「出入り禁止」を言わせている感が強かった)
忍布が事件の背景に切り込むきっかけとなった、唐揚げの味の低下(担当のパート社員の解雇)は忍布の主婦視点を活用して良かった。しかし、パートの中核を担い、このスーパーの売りのひとつの“唐揚げの味”を切り捨てるのは、経営者の手腕に疑問を感じる。
もう一つの突破口の息子の友達・幸太の万引きの件は、ご都合主義だった。幸太の告白は、事件の背景の名門学校の生徒の腐敗を知るための道具にすぎず、幸太の万引きの原因を解決せずに放ったらかしになってしまっていた。
防犯隠しカメラの追及は面白かったが、現実的に電波受信範囲が30mで、セキュリティシステム社の社員が夜間2週間張り込むというのは無理があり過ぎ。担当社員は気の毒だった。
「名門学校の腐敗→窃盗団」の事件の背景は安直過ぎ。
また、防犯カメラは人の出入りするための必須の地点をカバーするべきで、従業員入口に防犯カメラを設置していないのはおかしい。店長の息子を説得する場所に、防犯カメラの死角に選んだとしても、ふたりや窃盗団がその地点までにまったく映らないのはどうなのか?
被害者の人物像を掘り下げていった点は、事件記者らしく良かったと思う。
「あたしがあった那須は、真面目な子を捕まえて万引き犯扱いするような男だった。
でも、彼を“いい人だった”と言う人もいて、人によっていうことがまるで違う。
実像がはっきりしないのに、『“美談”とか“前科持ち”とか決めつけて書け』っていうのが、気持ち悪くてしょうがない」
と胡桃沢に吐露し、被害者・那須がどういう人物だったのか問い掛け、胡桃沢も自分が過去に中断した取材を再開する。胡桃沢がこのように動いてこそ、面白さがアップする。
今回は、事件の真相については疑問に思うことも多かったが、ドラマの核心である事件記者という要素は良かった。
レビューは書いていないが、今クール『警部補・杉山真太郎〜吉祥寺署事件ファイル』も視聴している。
こちらの方は、事件の展開は突っ込みどころが多いが、登場人物に魅力を感じていたが、回を重ねるうちに脚本がよれてきており(第4話…主人公の亡くなった妻と瓜二つの女性が登場するという“昭和ドラマ”の設定。第5話…逃亡中の犯人の元妻を張り込むシーンがメインだったが、乳児と母のふたり暮らしだというのに、夏でもないのに夜カーテンを閉めない不自然さ)、主人公たちの言動も納得のいかないことが多くなってきて、今週、私の中でこの2ドラマの評価が逆転した。
この『出入り禁止の女』、視聴率で大苦戦(6%台)しているが、このタイトルが原因であるように思われる。『斎藤さん』を代表する観月ありさの「自分は正しい、ずけずけと自分の主張を言い切る」というキャラが、ドラマタイトルとオーバーラップしてしまい敬遠されてしまったと大いに考えられる。
【ストーリー】番組サイトより
仕事帰りにスーパーで買い物をしていた京都タイムス社会部記者・鉄忍布(観月ありさ)は、息子・一路(前田旺志郎)の小学校時代の友人・吉野幸太(渋谷龍生)が、副店長・那須慎二(蟹江一平)に万引きを疑われているところに出くわす。忍布は、幸太の所持品を那須に確認させて彼の潔白を証明、家まで送り届けた。
ところが翌朝、なんと那須がスーパーの駐車場から刺殺死体となって見つかった…! 実は、那須は京都タイムスの前身、“京都新報”時代に“町のヒーロー”として取り上げたことのある人物だった。10年前、スーパーの前で刃物を持った男が無差別に通行人に襲いかかる事件が起きたのだが、その際、逃げ遅れた子どもを命がけで救ったのが元ボクサーの那須だったのだ。かつての記事を思い出した京都タイムスオーナー・磯村憲吉(小林稔侍)は、那須の死を徹底的に美談に仕立てるよう、社会部デスクの古林千華子(財前直見)に指示する。
しかし、10年前の記事には曰くがあった…。執筆したのは胡桃沢洋(甲本雅裕)だったが、掲載直後、那須には傷害の前科があるという投書が舞い込み、密かに連載を打ち切りにした経緯があったのだ。
那須の死の真相を探るため、忍布はスーパー店長の西孝彦(升毅)らを取材。那須は10年前の事件を機にスーパーで働くようになり、昨年から副店長に昇格し、店の警備責任者を任されていたという。取材を進めるうち、忍布はベテランのパート女性・沢田雪野(岩橋道子)がつい最近、店を辞めさせられたことを知る。パート勤務の女性たちが売れ残った惣菜を持ち帰っていた行為がバレ、古株の雪野がその責任を負わされたらしい。直撃した忍布に対し、雪野は、西店長や那須ら店側が従業員を監視する隠しカメラを設置していた事実を明かし、那須のことを“裏切り者”だと非難するが…!?
その後、忍布たちの調べで浮かび上がってきたのは、10年前の取材ではたどり着くことができなかった、那須の真の姿だった…!? スーパー副店長殺人事件に隠された、切なくも悲しい事実とは…!?
監督:田竜太
脚本:岡崎由紀子