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生きる

思い出を抱えて生きる

いーじさん

2011-05-30 13:41:50 | Weblog
父の妹は、よく二人の子供をつれて帰ってきていました。
それはしおれた花の風情でした。
そんな時は きまって
「あのね・・・」とひそひそ話が聞えてくる。
「いーじさんが悪いけれど家に帰れ!」
2、3日するとおばさんは、泣く泣く帰るのだけれど
いったい いーじさんって誰なのかとても興味がありました。
「おかあさん いーじさんって誰なの?」
「おばさんの旦那様でいーじさんなのよ」
「いじんなの?」
「そうよ」
このあたりでどういうわけか おじさんは、異人さんになってしまった。

そして『赤い靴』の歌はおばさんのためにあるのだとひそかに思っていた。




赤い靴(くつ) はいてた 女の子
異人(いじん)さんに つれられて 行っちゃった
横浜の 埠頭(はとば)から 汽船(ふね)に乗って
異人さんに つれられて 行っちゃった
今では 青い目に なっちゃって
異人さんの お国に いるんだろう
赤い靴 見るたび 考える
異人さんに 逢(あ)うたび 考える


おじさんの葬式までどこの異人なのだろうって思っていました。

名前は、平凡だった。
えいじさん
笑ってはいけないところで どうしても笑いたくなった。
その名を皆がなまって発音していたのに気づいたからだ。
考えてみれば えいじさんは、いーじさんというかもしれない。
このいーじさん 死ぬまで艶福家でいらっしゃったそうです。
ふっと寂しい顔をして笑った叔母は、まもなく亡くなりました。

日常で勘違いってよくあるね




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