とりあえず一所懸命

鉄道の旅や季節の花、古い街並みなどを紹介するブログに変更しました。今までの映画や障害児教育にも触れられたらと思います。

嫌われ松子の一生

2006-06-13 22:44:04 | 映画
 「嫌われ松子の一生」を見てきました。一言で言うならミュージックコメディーというジャンルに入るのではないかと思います。評価に関しては好きな人はめちゃくちゃ好き、そうでない人は首をかしげるというような映画です。

 この原作を読んだのは去年の9月のことで、2泊3日の人間ドックを控えていて、きっと退屈だと思って、本屋さんに行って大量の文庫本を買いました。買う時の留意事項として、とにかく頭を使わずに時間をつぶせるものとしました。確か、15冊くらい買ったと思います。それを全部読み終わるほど、退屈な日々でした。しかも、台風が迫ってきていて、退院するのが早いか、台風が交通機関を遮断するのが早いかという予断を許さない状況の中だっただけにその時読んだ本は非常に頭に残っています。

 その中の一冊が(上下2巻)が「嫌われ松子の一生」だったのです。映画化するということで、どういう形になるんだろうと思っていたら、主役が中谷美紀ということでちょっと興味がわきました。私は中谷美紀のきつい目線がけっこう好みなのです。映画「リング」で真田広之の助手役で出ていた時から注目していました。余談ですが、最近の『電車男』のエルメス役はちょっといただけませんでした。確かに最近の出演映画は泣かず飛ばすという面があったように思います。

 監督が、『下妻物語』の中島哲也監督ということで、どういう形に仕上がってくるのか非常に興味を持ちました。あの深刻な原作、しかも登場人物のディテールもかなり詳しく設定されている原作をどのように映像化していくのか、楽しみでした。オープニングは笙役の瑛太のナレーションが入って、コマーシャル張りのテンポの速い映像で次々に引っ張っていき、奇妙な顔の少女時代の松子のアップでタイトルインに入っていく。

 下妻の世界をここでも展開するわけ?と思っていたら、予想通り下妻の時のような映像美が繰り返し現れていく。ストーリーを書きたいが、まだ上映中ということもあり、映画館に行こうとしている人たちに迷惑をかけるといけないので伏せませす。

 松子の一生のエピソード的なものをすべてミュージカル仕立てに仕上げることで、深刻さとメジャー化を図ったことはわかりますが、原作のもつ味わいはそのぶん薄まったかな?と思います。原作をすでに読んでいる人にとっては、こういう解釈もあるかな?と思わされる省略化のためのミュージカル仕立てという面も感じられます。

 映画を見ながら、深刻なテーマをミュージカル仕立てでやっていた『ダンサーインザダーク』を思い出しました。あの映画も、テーマに迫ろうとするといきなりビョークが踊って歌って気持ちがそがれたものです。今回もそんな感じがします。登場人物に入ろうとすると、中谷美紀が変な顔を見せたり、いきなり踊り始めたりと、やっぱりミュージカル苦手なおじさんには、きつい映画だったかもしれません。

 結論です、楽しめる人には本当に楽しい映画だと思います。瑛太演じる笙が、松子のことを探る間にだんだん松子に愛着をもっていく様子は、見る側に近い目線だったことが、暖かみのある映像につながったかもしれません。

 
コメント (1)
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