とりあえず一所懸命

鉄道の旅や季節の花、古い街並みなどを紹介するブログに変更しました。今までの映画や障害児教育にも触れられたらと思います。

はじめてのおつかい

2006-06-07 23:55:37 | 障害児教育
 「はじめてのおつかい」と言っても、子どもが母親に頼まれて買い物に行くテレビの人気シリーズではなく絵本「はじめてのおつかい」のことです。筒井頼子さん作林明子さん絵の福音館の人気絵本です。発行年は1977年と大変古い絵本です。この絵本を教育実習生と一緒に国語として授業に取り組んでいるのです。

 ストーリーはかいつまんで言えば
 いつつ(5歳)のみいちゃんは、ある日ままからおつかいを頼まれます。
「あかちゃんの ぎゅうにゅうが ほしいんだけど、まま ちょっといそがしいの。ひとりでかってこられる?」
いままで一人で出かけたことが一度もなかったみいちゃんは驚いて飛び上がりますが、「うん!」と引き受けます。
百円玉を2つ握りしめて、坂のてっぺんにあるお店まで向かいます。道中どきどきのみいちゃんは坂で転んでしまい、手足がじんじん、百円玉がころころ...
お店では声を振り絞って「ぎゅうにゅう くださあい!」と叫びますが、なかなかお店のおばさんに気づいてもらえません。ようやく牛乳を買うことが出来てほっとして、ずっと我慢していた涙がぽろりとこぼれます。
帰り道、坂の下で、ままが赤ちゃんをだっこして手を振っていました。

 この絵本は、ずいぶん前(20数年前)に山口で障害児教育の学習会をした時に大阪のT先生が紹介してくれた絵本です。私たちに読み聞かせてくれたT先生の優しそうな大阪のおっちゃん振りとセットでファンになった本です。

 この絵本を国語の教材として使って、ドキドキ感や達成感を子どもたちと一緒に感じ取ろうというのだから難しいのです。

 まずこの本の何が面白いのか、どこを感じ取ってほしいのか、そこらへんが教師の側でしっかりつかんでないと伝わる物も伝わらない。どのような方法で、どのような教材を準備して焦点化していくのかがまた難しい。ああでもない…こうでもない…と議論しながら読み進めています。

 五つのみいちゃんは、坂道で転んだ時「どうして泣かなかったのか?」「大事なお金を落として気になったから」「おかあさんの役に立ちたかったから…」「赤ちゃんのミルクを買うというお姉さんの仕事があったから…」など解釈を続けます。

 お母さんはどうして5歳のみいちゃんを買い物に行かせたんだろうか?帰りには坂道の途中まで迎えにきたのはどうしてか?物語として読み込んでいく必要があるのではないか、といろんな理屈を重ねていきます。

 教材としてはパワーポイントを使ったり、絵を貼って視覚的にアプローチしたりしています。要は、子どもたち(この場合3人)が共通のイメージを持つということ、持ちながら自分の価値と照らし合わせて判断していく、話し合いを通して自分と友だちの判断を比較してさらに判断するそういった学習をしていくうえで、ストーリー性のある絵本は重要なポイントになると思っています。

 いよいよ明日が研究授業です。どんな授業になるのか楽しみです。この授業を通して、子どもに何を伝えるのか、子どもの何を大切にしていかなければならないのかを発信していきたいと思います。不毛の職場に少しでも芽が出るといいのですが。
コメント
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