とりあえず一所懸命

鉄道の旅や季節の花、古い街並みなどを紹介するブログに変更しました。今までの映画や障害児教育にも触れられたらと思います。

小路幸也ってなかなかです。

2010-11-01 23:29:09 | Book
最近、気に入った作家ができました。
小路幸也といいます。
今まで全く知らなかったのですが、最近できた図書館に出かけるようになって見つけた作家です。

周南市の熊毛というところに、新しい図書館ができました。
古い建物の時は何度か行っていたのですが、新しくなったので出かけることにしました。

新しい建物で、かび臭くなく、読書コーナーも一人がけで窓に向かって腰掛けることになっています。
ここが一番のお気に入りです。
時間ができると、何時間でも座って本を読んでも大丈夫です。

何冊かいろんな本を借りたり返したりしている間に偶然見つけたのが
「バンドワゴンシリーズ」です。
バンドワゴンというのは、古本屋さんの店の名前です。
その古本屋さんを巡ってたくさんの登場人物が出てきます。
その登場人物のキャラも際立っているのですが、会話が粋なんです。

1巻「東京バンドワゴン」
2巻「シー・ラブズ・ユー」
3巻「スタンド・バイ・ミー」
4巻「マイ・ブルー・ヘブン」
5巻「オール・マイ・ラビング」となっています。

2006年から毎年1冊ずつ出版されています。
私は全部熊毛図書館で借りて読みました。
すぐに読めてしまうのが、この作者の特徴だと思います。
シリーズだけにストーリーに無理が生じてくることもありますが、そんなことを気にかけるより面白いです。
本当はストーリーを話したいところですが、まだ読んでいない人に悪いのでここでは我慢します。

全部読み終わって次に、『東京公園』という本を借りました。
このくらいの長さの小説の方が、この作者は力を発揮するようです。
実に面白い小説でした。

今は『ダウンタウン』という小説にかかっています。

HPで検索したら小路幸也氏は1961年生まれということでした。
実に多くの著書を持っていることを知りました。
しばらく癖になりそうな作家です。
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絵本「おこだでませんように」

2010-01-20 22:11:12 | Book

「おこだでませんように」くすのきしげのり・作 石井聖岳・絵
小学館 1500円

先日、大阪であった研究会でパネラーとして登場した東京の杉山先生が最後に読み聞かせをしてくれた絵本です。
私はこの絵本の存在を知りませんでした。

杉山先生の読み聞かせを聞きながら危うく涙が出そうになりました。

「ぼくは いつも おこられる。 
いえでも がっこうでも おこられる。」

主人公は小学校の1年生。おかあちゃんは仕事に行って時々帰りが遅い。
妹の世話をしてやっても、うまくいかない。
妹が泣き出したらおかあちゃんが怒る。
「また いもうと なかして!」
(いもうとのくせに わがままばっかりいうからや)
「まだ しゅくだい してないの!」
(いもうとと あそんでやってたからや)
「けれど、ぼくが そういうと、 おかあちゃんは もっと おこるに きまってる。 
 だから、ぼくは だまって よこを むく。 
よこを むいて、なにも いわずに おこられる。」

「あーあ、ぼくは いつもおこられてばっかりや」

学校に行ってもやっぱりおこられてばかり。
でも、本当はそれを良しと思っていない。

「ぼくは どないしたら おこられへんのやろ。 
 ぼくは どないしたら ほめてもらえるのやろ

ぼくは……『わるいこ』なんやろか……  

せっかく しょうがっこうに にゅうがくしたのに。 

せっかく 1ねんせいに なったのに」

そして、七夕のお願いに一所懸命考えた結果のことばを書く。

ひらがな一つずつ、心をこめて書く

それが… 「おこだでませんように」

その願いは果たして届くのでしょうか。

そういう絵本です。

今の教育のなかで困っている子どもたちの心を描いた珠玉の絵本だと思います。

私は大阪から帰るとすぐにアマゾンで注文しました。

届いた次の日から、幼稚園の研修会や保育士さんたちの集まりで読み聞かせをしています。

何人かは涙を流して聞いてくれています。

それほど、心ある人たちの琴線にふれるような本です。

ぜひ、読んでみてください。

 
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「自閉症裁判」を読んで

2008-11-17 21:54:44 | Book
「自閉症裁判」を読んで

数年前にレッサーパンダの帽子をかぶった青年が女子大生を殺害するという事件がありました。
その青年は高等養護学校の卒業生という報道があった時にはショックを受けたことを覚えています。

その事件の裁判記録と、被害者、加害者の周辺の状況を調べて書いてある本です。
作者は20年くらい養護学校に勤務した後、著述業をしているという佐藤幹夫さんです。

ニュースだけを聞いていると、高機能自閉症の人の犯罪なんだろうな程度の感想でしたが、この本を読んでいろんな感想を持ちました。
レッサーパンダの男についても詳しく述べてありますが、被害者の周辺も詳しく語られています。

特に両親の思いについては身に迫るものがありました。
男は、人一人を殺害しているのだからそれ相応の罪に問われて仕方ないという気もします。

ただ、障害について何の理解もない警察が、事情聴取をしてまとめた供述調書については問題があるような気がしました。自分の意見がまとめられない人のえん罪は過去にもたくさんあったのではないかと思います。

男は、自分は「障害者ではない」と主張しているということも心に残る事実です。養護学校卒業という事実を隠し通していたといいます。

この本を通じて強調されていることは
①彼ら、知的障害や発達障害をもつ人たちが、どうすればこのような傷ましい事件の当事者となることを避けることができるか。
②もし、障害をもつ人が何らかの形で加害の側に立つことになった時、法の裁きをしっかり受けてほしい。自己を守ることに弱い、障害のある人々を司法はどのような裁くのか。
③レッサーパンダ帽子の男が、なぜ殺人まで追い込まれたのか。彼が生きてきた30年から何が見えてくるのか。
④なぜ凶行に及んだのか。彼の持つ発達障害の関係からひもときたい。
⑤彼がみずからのなしたことを振り返り、省みるということがどのくらいできるのか。
などです。

この本のすぐれている点は、自閉症の特性に基づく、事件の解明です。

今学校の教室の中でも、発達障害の子が引き起こす事件がいろいろと問題になっています。
世間の常識から判断すると、いけないことだし、批判されるべき事柄が多いと思います。
でも、このことも障害特性からひもといていくと別の側面も見えてくるのではないかと思います。
教室の中で加害者、被害者の関係にならないためにも教育的な働きかけが重要になります。

また、養護学校の卒業生のその後の生活というのも考えていかなければいけないのではないかと思います。
教育と福祉の連携も重要になると思います。

この本はいろんなことを考えさせられる一冊でした。
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大阪ハムレット

2007-06-03 23:25:04 | Book
 漫画というものはあまり読む方ではないのですが、今回ちょっとツボにはまった本があります。「大阪ハムレット」という少し変わったネーミングの本です。作者は森下裕美です、昔少年アシベで大ブレークされた方です。

 本屋をぶらついていたら「第11回手塚治虫文化賞短編賞、第10回文化庁メディア芸術祭優秀賞 W受賞!」という帯のついた漫画を見つけました。表紙を見ていたら何か癖のありそうな感じで、(最近のコミックは全部ビニ本化していて中が見えない)買ってみようかなとちょっと思いました。

 家に帰って高3の息子に見せると「前から読んでみたかった」と親子揃って似たような感性をしているんだと納得しました。

 中身ですが、いくつかの話がオムニバス形式で入っているのですが、どれもめちゃくちゃ感動するわけでもなく、さりとて「くだらない」と吐き捨ててしまうような話でもないそんな話がいっぱい詰まっているのです。読後感としては、映画を観てきたあとのような…。

 映画にするといい話なのかもしれません。もしかしたら、すでに誰かが映画化に動いているかも知れません。これを映画化するなら監督は誰がいいのかな?と勝手に想像してしまうようなそんな本です。

 勝手ながらついでに言わせてもらうと女性監督がいいような気がします。荻上直子監督なんか良いのかと思ったり、でも荻上監督だとキャストももたいさんなんかが出てきそうで…。関西バリバリで阪本順治監督あたりでもいいかもしれません。

 ストーリーは大阪では当たり前の日常なのかもしれません。「こんなん、こんなん」「こんなん、あるでー!」ということなのかもしれません。絵も適当に不細工だし、ちまたにいるおっちゃん、おばちゃんが等身大で出てくるようなところもいいと思います。

 今2巻まで出ていますのでぜひ一度読んでみてください。
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「パッチギ!LOVE&PEACE」観るならこの本を!

2007-06-02 23:18:15 | Book
 「パッチギ!LOVE&PEACE」の感想についてブログに書いているといろんなコメントが寄せられます。人それぞれ感想を持つのは、自由だと思うのでそのことについてはとやかく言うつもりはありません。ただ、この映画は在日コリアンの問題を強く意識した映画だということは間違いありません。在日コリアンという存在をどういう立場で理解するかによって映画の見方が変わってくると思います。

 「映画を観てから読むか、読んでから観るか」昔の角川のコマーシャルみたいですが3冊の本をお薦めします。

「東京のコリアン・タウン枝川物語」江東・朝鮮人の歴史を記録する会編 樹花舎

「愛、平和パッチギ!」井筒和幸 李鳳宇 講談社

「民族の壁どついたる!在日コリアンとのつき合い方」井筒和幸 河出書房社

「東京のコリアン・タウン」の本は、映画の舞台になった江東区枝川の歴史と民族学校(東京朝鮮第二初級学校)の明け渡し裁判についての記録の本になっています。映画の中で宇野重吉役の俳優が演じていた紙芝居についての具体的証言がたくさん載っています。

 「民族の壁~」は、14才から大人までという制限の中でわかりやすく在日のもんだいについて書かれています。入門書としてはぜひお奨めの本です。

 一つ一つについての推薦文は少しずつ載せていこうと思っていますが、今回は「愛、平和パッチギ」について少し紹介したいと思います。

 この本を読めば「パッチギ!LOVE&PEACE」の秘密やなぞが全て解明されていきます。今回私にとって最大のなぞだったチャンスが筋ジスになった設定ですが、これは、李鳳宇さんの一家の実話からだったそうです。李鳳宇さんの実の兄が進行性筋ジストロフィーで、その治療のために李さんのオモニが、転居を繰り返しながらいいと言われる病院を転々としていたそうです。
 枝川のサンダル工場も李さんの家とそっくりだそうです。扉1枚あけると工場があって、職人も一緒にご飯を食べて、人数が多かったら交代で食べるそういう生活だったそうです。
 映画の中で出てくる韓国語は済州島弁だそうで、辺境の地の言葉で韓国本土でもわかる人は少ないそうです。韓国で上映するものは、全編韓国語の字幕つきだそうです。

 本の構成は、第1部が李鳳宇さんが書いていて、第2部が姜尚中さんと李鳳宇の対談になっていて、第3部が井筒和幸監督と加藤和彦の対談になっています。第4部が井筒監督と李プロデューサーの映画についてのいろいろな秘密になっています。もう少し詳しく紹介したいのですが、これ以上書くと買って読む楽しみがなくなるのでここらへんにしておきます。

 最後に映画を観た後で何人かが話題にした前作の主人公の一人康介(塩谷瞬)のその後ですが、井筒監督は本の中でこのように書かれています。

「彼の役目は終わった、ということですね。あの子は寺の跡取り息子で、坊主の世界に入って悟りを開いていくんでしょう。おそらく煩悩はかかえながら精進していくわけですよ。
 キョンジャとの関係は自然消滅やないですか。彼は坊主やっていかなあかんわけだし、あのあと何回かデーとして、やることやったにしても、キョンジャに「私は東京いかなアカンのよ。ちょっと深刻な問題がいっぱいあんのよ。だから、お別れするわ」と言われたら、「そうか残念やなぁ」って別れるしかない。そういうことです。
 そういうまどろっこしいことをいちいち映画で説明することもないでしょう。用は、青春は終わって、大人になっていくということですよ。」

 これ以上詳しく本の内容をお伝えすることはやめておきます。他にも面白い記述がたくさんあります。ぜひ読んでください。 
 
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「自閉っ子自立への道を探る」紹介

2006-09-06 23:37:49 | Book
 高機能自閉症の方が、いろんな場で発言されるようになって目からうろこというような場面に出くわすことがあります。この本もその1冊に当たる本です。
 著者は佐賀県で自閉症の方の支援センターをされている方です。

 ADS者(自閉症スペクトラムの人々)に直接インタビューすることによって、
1 何に困難を感じていたのか
2 周囲に何を望んでいたのか
3 生活していく上でどういう工夫を重ねているか
4 仕事を見つけ、胃にするためにはどういう努力がいるのか
 
 などなどをインタビュー形式で聞いていく本になっています。
本書では3名のADSの方と対談しています。初めは、著者が支援している『他の誰かになりたかった』の著者の藤家寛子さん、2人目は現役の小学校の教師、3人目は作家でバイク便ライダーの男性です。
 
 私は、藤家さんの話に特に興味を持ちました。
いくつか、興味を持ったものを紹介します。詳しくは本書を読んでください。

「買い物はどう使い切るか考えたり、残ったらどうしたら良いか考え出すと買い物ができなくなって、最後は面倒くさくなって白湯だけ飲むようになって食べるのを放棄してしまう話」とか、

 「中学生の頃に嫌な先生がいると、大人になってからもテレビにそっくりのキャスターが出てくるだけで、突然フラッシュバックが始まって、具合が悪くなって中学時代のことばかり話すようになる。」

「経験は上書きだけど、やったものは全部保存になってしまう。」

「自分自身の生活実像は実は目に見えるものではないから、見えるところ、つまり他者の生活でしか判断できない。自分のことも、自分ではない人たちの姿や彼らの反応を通してでしか理解できない。」

「多動の子どもたちが「じっとしていなきゃいけない」と一所懸命になると、シングルタスク(一度に一個しかこなせない)の人たちだから、勉強に集中できなくなる。多動の人は多動にしていおいた方が、身体が楽…。だからジッとしていたらそれだけでぐったり疲れる」

などなどです。大変示唆に富んだ本になっています。ぜひ読んでみることを勧めます。

自閉っ子、自立への道を探る

花風社

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