とりあえず一所懸命

鉄道の旅や季節の花、古い街並みなどを紹介するブログに変更しました。今までの映画や障害児教育にも触れられたらと思います。

「東京物語」1953年

2011-04-06 21:49:07 | 映画

 

東京物語』1953年 監督小津安二郎

 

久しぶりに観ました。

実際は何度も観ている作品です。

 

以前観た時は動きが少なく、笠智衆がやたら動かない映画だという印象がありました。

 

「まれにみる名画だ!」といろんな本に書いてあって、

若い頃に何度も観たのですが、正直言ってどこがいいのかわかりませんでした。

 

年寄り夫婦が尾道から東京に出て来て、子どもたちの家を転々とするだけの話にしか思えませんでした。

台詞も棒読みだし、演技らしい演技も感じませんでした。

 

でも、今日観ると違った風景に見えました。

私が年をとったと言うことかも知れません。

年齢を重ねてみないとわからない作品名なのかもしれません。

 

棒読みの演技だったり、動きのない演技の中にこそ人々の気持ちの彩が出てきているのです。

これもすべて計算の上で撮影しているのだから小津安二郎はただ者ではありません。

 

簡単にあらすじを簡単に紹介します。

 

周吉(笠智衆)、とみ(東山千栄子)の老夫婦は尾道で末娘(香川京子)と暮らしています。

東京に住んでいる息子と娘を訪ねてみることにします。

 

途中、大阪に住んでいる三男の敬三(大坂史郎)にも駅で会い、

東京で開業医をしている長男幸一(山村総)の家に行きます。

 

疲れて長男の家に着いても、それほど落ち着ける場所ではありませんでした。

二人が寝るために部屋を明け渡した孫の機嫌はあまり良くなく、

近くに住んでいる長女しげ(杉村春子)や死んだ息子の嫁紀子(原節子)も来てくれて歓迎されるけど、

どこか居心地の悪いものでした。

 

長男の家から長女の家に寝場所を変えても、なかなか落ち着けるものではありません。

 

しげは美容院をやっていて、忙しく面倒がみられないので、老夫婦を熱海に旅行に行かせます。

ところが、アクシデントがあって予定より早く帰って来た老夫婦につらくあたります。

 

仕方なく二人は、別の知り合いを頼って家を出ます。

とみは、戦争未亡人の息子の嫁の紀子の家に泊まります。

そこで、やっと暖かい心遣いをうけます。

 

周吉は同郷の士を訪ねて、酒を酌み交わすことで少しだけ心が慰められます。

 

結局二人は、尾道に帰ることにします。

 

ところが、二人が尾道に帰ったらすぐに東京の子どもたちのところへ「ハハキトク」の電報が届きます。

 

とみは幸一にみとられて静かにその一生を終わります。

 

駈けつけたみんなは悲嘆にくれますが、葬儀がすむとまたあわただしく帰っていきます。

 

若い京子には兄姉達の非人情がたまりません。

 

紀子は京子に大人の生活の厳しさを言い聞かせます。

でも、自分自身何時まで今の独り身で生きていけるか不安を感じています。

 

東京へ帰る日、紀子は心境の一切を周吉に打ちあけます。

 

周吉は紀子の素直な心情に心打たれて、老妻の形見の時計を紀子に贈ります。

 

翌日、紀子の乗った上り列車を京子は小学校の教室から見送ります。

 

周吉はひとり家でぼんやりしています。

 

そこで終わります。

 

東京までわざわざ出かけてきた老夫婦に対して、子どもたちが冷たいように見えますが、

 

そのことを決して悪く描いているわけではありません。

 

人ぞれぞれ生活があって、みんなそれほど楽ではなく、生活を守ることで精一杯の生活をしている。

そういうことを淡々と描いていきます。

 

時代が大きく変わろうとしている時代を反映している映画だと思います。

 

それにしても、原節子さん演じる京子さんの献身的な態度に対して、

杉村春子演じるしずのすれかっらし的な態度が何とも言えない対比になっています。

 

葬式の日に「形見がほしい」と言い出すしずに京子はひどく腹をたてます。

 

人の気持ちをあらわすシーンが随所にちりばめられています。

 

居場所がなくて、物干しに上がって遠くを眺めている笠智衆は秀逸です。

 

映画としての完成度の高さと小津監督の人間を見つめる視点の厳しさと優しさを感じる作品です。
 

小津監督と言えばローアングルです。

固定したカメラによって捉えられた映像の美しさはまさに秀逸です。

 

淡々と描かれながらも親子関係の隔たりや老いて時代から取り残されていく悲哀や諦観、そして生きていくことの孤独。

 ラストの妻に先立たれた主人公がひとり佇むシーンは生きていくことの無常さが感じられます。

 

やっぱり映画史上に残る名画だと思います。

 

クロサワ映画とは対極にある映画だと思います。

 

もちろんどちらも素晴らしいことには変わりはありません。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「山田洋次が選ぶ日本映画100選」

2011-04-06 20:52:41 | 映画

山田洋次が選ぶ日本映画100選がNHKBSで始まりました。

 

山田洋次が選ぶというのが最大の魅力です。

 

最初の50本は「家族」をテーマにした作品をラインナップするそうです。

 

最初の1本目が「東京」(小津安二郎監督 1953年)で始まって最後の50本目が「家族」(山田洋次監督 1970年)だそうです。

 

番組のHPから山田洋次監督がメッセージを発しています。

 

ちょっと紹介しようと思います。

 

100本の作品を選ぶにあたって、二つの基準をたてました。一つは監督。映画を作るのは監督です。

 

日本映画を支えて来たたくさんの監督の作品が並ぶように工夫しました。

 

もうひとつの基準は、「家族」を描く映画と、「喜劇」という二つの柱を立ててそれぞれ50本ずつ選ぶということ。

 

これで今までの傑作100選とは少し違った形になるのでは、と思います。

 

 

 

まず1年目は「家族」を柱に50作品放送します

今日ぐらい、家族のあり方について日本人が悩んだり、不安を抱いたりする時代はないんじゃないか。

 

もうこれ以上先送りできない、という崖っぷちにいるように思います。
 

この50作品の中に、日本人の家族の歴史を見る事ができるはずです。

 
この50作品の映画を見て、家族同士が、家族について話し合って下されば幸いです。どうぞ楽しんで下さい。』

 

非常に楽しみな企画です。

 

山田洋次監督が出演された前夜祭のような番組では、いろいろうんちくのあることばがたくさんあって、勉強になりました。

 

ラインナップを観るとほとんど一度は観たことのある作品ばかりです。

 

でも、私はこの際全部観るつもりです。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

浅草界隈散歩4

2011-04-05 10:41:00 | 写真日記

次の日は11時集合です。

合羽橋に行かなければいけない用事があって向かいました。

「食品サンプルのストラップを買ってきてほしい」というリクエストがあったので、それに応えることにしていました。

合羽橋の位置を確認してから、浅草界隈を歩きました。

浅草公会堂の前にあるタレントの手形を見に行くと面白い人の手形があります。

 

 

喜味いとし・こいし、獅子てんや・瀬戸わんや、古今亭志ん朝、昭和の名人たちの手形です。

 

 

続いて、柳家小さん、ビートたけし、柳家小三治の手形です。

好きなものでなければ「だから何なの?」という話ですが、妙に感動して、じっと見て歩きました。

合羽橋の目当ての店の営業は9時半からです。

歩いていくと合羽橋の看板のような建物が見えてきます。

 

食品サンプルの店は感動的です。

本物よりもはるかにおいしそうなものが並んでいます。

ストラップも目移りがします。

 

 

餅菓子など、そのままだし、ビールになると何とも見事な霜までついています。

スパゲティーは、例の空中に浮かんだフォークが見事です。

 

  

他にも店の看板ばかりを取り扱っている店もあります。

 

店のユニフォーム専門の店もあります。

見ているだけで楽しくなる街です。

以前来たことがあるのですが、今回も満喫しました。

ご飯をいれとくジャーも半端ではありません。

業務用のジャーが店頭でお買い得品で売られています。

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

浅草界隈散策3

2011-04-03 07:36:51 | 写真日記

浅草の街を路地ごとに歩いて行くと面白いものにたくさん出くわします。

「モボモガ御用達」と書いてあって、アンティーク生活骨董」と書いてある看板を見つけました。

見ると狭い路地の奥に、いかにもそれとわかるお店らしきものがあります。

店の中に入る勇気がなかったので外から撮影しました。

  

 

 

変わったおじさんにもたくさん出会います。

時代劇に出てくる蕎麦屋さんのいでたちで街を練り歩いている人がいます。

演歌のポスターを貼って歩いているので、サンドイッチマンかと思ったら、まんじゅうを売っているようです。

散策しているとそろそろ、お腹がすいてきたので食事をしようと思いました。

それらしき店がずらっと密集している場所があり、ここに決めたと思いました。

 

店の前には呼び込みがたくさんいて、「お兄さん、一杯いかがですか?こっちへどうぞ」と盛んに声をかけてきます。

こういう雰囲気はどうも苦手で、「どこに入ろう」とウロウロしている間に、「えーい!」とばかり入りました。

 

「とりあえず、ビール!」といかないで下町ではホッピーと決めています。

注文すると「白ですか?黒ですか?」と聞いてきます。

ホッピーに白と黒があるの?と田舎者にはびっくりです。

下町らしく、レバ刺しともつ煮込みを頼みました。

 

もつ煮込みは、3種盛というのがあり、醤油、味噌、塩ということになっているのでそれを頼みました。

量が半端ではなく、一つで十分なほど出てきました。

結局全部食べられませんでした。

近くに映画のワンシーンのようなカップルがいたのでこっそりパチリしました。

女性はもしかしたら本物の女優さんかもしれません。

ホッピーを追加注文して、お腹いっぱいほろ酔い気分で、ホテルまで歩きながら撮影をしていきました。

提灯だけの店を見つけました。

テレビで観たことがあります。

名前を入れてくれる店です。

時間がかからずに30分くらいでできるようなことが書いてありました。

ちょっと心が引かれたのですが、荷物になるのでやめました。

  

歩いて行くと普通の下町の風景にもたくさん出会います。

こういう雰囲気も好きなのです。

 

 

ホテルに入る前に、コンビニでちょっとしたものを買っていこうと思い近くのローソンに立ち寄りました。

びっくりです。

テレビで話は聞いていたのですが、ショーケースはガランガランです。

 

取りあえず、お茶とビールを買ってホテルに帰りました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする