とりあえず一所懸命

鉄道の旅や季節の花、古い街並みなどを紹介するブログに変更しました。今までの映画や障害児教育にも触れられたらと思います。

映画「害虫」

2012-10-01 23:34:49 | 映画

WOWWOWで「害虫」を観ました。2002年の公開ということで結構前です。

主演は宮崎あおいです。蒼井優も出ています。今を代表する若手二大女優が出ているというのがすごいです。

「害虫」というタイトルだからけっこうコアな中身になるんだろうと予想していましたが、その通りになりました。

監督は、『黄泉がえり』や『どろろ』で有名な塩田明彦さんです。

ストーリーを簡単に紹介しておきます。

サチ子(宮崎あおい)は、小学校時代に担任の先生と怪しかったことや、母親(りょう)が自殺未遂したことが学校で噂になり不登校状態になります。

家は普通に出て行きながら、町中をふらふらしながら時間を過ごします。

コンビニで時間をつぶして夜道を一人で歩いていると、後ろから中年(石丸 謙二郎)に付け狙われます。

その時助けてくれたのが、万引きや当たり屋で生活する少年タカオです。

タカオの導きで知的障害だろうと思われるキョウゾウとも知り合います。

この二人の奇妙な生活に付き合いますが、そこにもサチコの居場所はありません。

お金を得ようとして、サチコはタカオのまねをして当たり屋をしようとしますが、肝心な所で怖じ気づいてできません。

お金があればタカオの中に自分の場所を得られると思いますが、うまくいきません。

援助交際を考えてラブホテル近くにいきますが、中年男性(大森南朋)から声をかけられて、慌てて逃げ出します。

母親には新しい彼氏(天宮良)ができ、さらに家に居づらくなります。

そういう時にタカオから「どっか遠くへ行かないか?」と聞かれ、待ち合わせの場所にタカオは現れません。

タカオのアパートに行くと、タカオともめていたヤクザの死体があります。怖くなって逃げ出します。

一方、クラスメイトの夏子(蒼井優)は何度も登校するように説得してくれていました。

居場所がなくなったサチコは再び学校に行くようになります。

文化祭の合唱のピアノ伴奏者にさせられたり、夏子が好きだった男の子と付き合うようになったりと少しずつ変化が見られるようになります。

居場所ができたかなと思えた時に母親の彼氏にレイプ未遂をされてしまいます。

助けてくれたのは、様子を見に来てくれた夏子でした。

少し遅れて母親が帰ってきます。

夏子は母親を罵倒します。

「おばさん、さーちゃん(サチ子)可哀そうです。こんなこと…どうして…どうして…やっと学校にも来れるようになったのに…。父さんはいなくて、お母さんは自殺未遂して…さーちゃんだって辛いんです。私たちまだ中一です…さーちゃんだけがこんなに可哀そうなの…私、さーちゃんが…」

サチコは無言で無表情のままです。

母親は人格が破壊されたように泣き崩れていきます。この親子に今まで何があったんだろうと思わせるシーンです。

その後、学校ではまた噂が広まり、学校に居づらくなります。

彼氏も、小学校時代の話を持ち出されてしまいます。

再び登校拒否になったサチ子は、キュウゾウのもとを訪れるようになります。

キョウゾウはサチコに好かれようとしていろんなことをして見せます。善悪の判断が難しいキョウゾウはどんどんエスカレートしていきます。

最後には、キュウゾウとともに夏子の家を火炎瓶で放火するに至ります。

途中までははしゃいでいたサチコですが、夏子の家が激しく燃えているのを見て後ずさり、一人で逃げ出します。

秋田の原発で働いている小学校時代の先生緒方(田辺誠一)のもとへヒッチハイクで向かいます。

2人はあるファミリーレストランで待ち合わせをしますが、車が故障して先生はきません。

そこへ急に見知らぬ男(伊勢谷友介)が現われ、お金を稼げる仕事があるからとサチ子を誘います。

誘いに応じて車に乗り込みます。

その車がレストランを出たのと同じときに、緒方の乗った車が到着します。

振り返ったサチ子に男は「どうしたの?」と尋ねますが、サチコは前を見据えて「何でもない」と呟きます。

何が「害虫」なんだろう?と考えてしまいます。家にも学校にも居場所のないサチコが害虫なのか…

サチコの周りにいつもつきまとう嫌な大人たちが「害虫」なのか…

みんなサチコに恋をしていきます。そしてみんなが不幸になっていきます。

同級生でさえも、健康的で優等生の夏子には恋をせずに、サチ子に恋をします。

サチコのことを真剣に考え、母親に訴えかけようとまでする夏子に男子は恋をしません。

サチコもそんな夏子に放火という方法で応じます。(どういうこと???)

サチコはとにかく無防備なのです。

夜中に一人で歩いて襲われかけたり、タカオの肩に頭をのせたり、母親の彼氏からレイプされかけた後でもヒッチハイクでトラック運転手(男)の助手席に乗ったり

最後には、「いい仕事があるよ」と言って声をかけてきた男についていく。

その無防備さは自分の魅力というものを知っていて計算されたものなのか、単に純粋で無防備なのか…そこらへんが「害虫」の意味とリンクするのかもしれません。

話が淡々と進んでいくわりには、サチコの状況はどんどん悪い方向へ向かっていきます。

観ている方が辛くなるような流れです。

居場所のないサチコが求めていたのは、小学校時代の担任の緒方との文通です。

緒方はサチコとの噂のためか、学校をやめて原発労働者として秋田で働いています。

サチコは映画の随所で文通をしている様子を文字で映し出します。

宮崎あおいはこの映画で賞を得ています。

こうした演技が彼女の魅力を最大限に引き出すのかも知れません。

でも、今は笑顔100%で健康的な女性を演じています。大河ドラマで篤姫でも圧倒的な国民的人気を博しました。

どっちの宮崎あおいが本物なのか、そんなことはどうでもいいのですが、彼女のキャラクターはたぐいまれなものだと思います。

映画の主題に戻ります。

居場所がないことは、自分自身を見失うことなんだと思います。

映画の中でいくつかの事件が登場しますが、事件があったから居場所がなくなったのか、事件がなくてもサチコの居場所はなかったのか…

いろいろ考えさせられる映画です。

決して面白い映画ではないので、観る人は心してみないといけないと思います。



 

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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えっ!ここで終わり!? (かっちゃん)
2014-11-08 17:57:21
前にWOWOWであったのを今見ました。
とにかく、考えさせられる…と言うか、
見てる側が自分で理解しながらの内容だった。
火炎瓶で火を着けた家が夏子の家だとは わかりませんでした(苦笑)
とにかく、ここで終わりかぁ…と…
返信する
Unknown (Unknown)
2016-02-08 01:18:14
よくこんな駄作がプロ大賞取れたものですね
返信する

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