とりあえず一所懸命

鉄道の旅や季節の花、古い街並みなどを紹介するブログに変更しました。今までの映画や障害児教育にも触れられたらと思います。

DVD「天然コケッコー」

2007-12-25 01:20:28 | 映画


DVD「天然コケッコー」を借りてきました。
映画館で観たかった作品なのですが、観ることができませんでした。
たぶん、いつものシネコンにはかかっていなかったのだと思います。

キネマ旬報にも特集が組んであった作品だけにちょっとだけ期待していました。
原作は漫画らしいのですが、読んだことはありません。

さて、映画ですが、一言で言うと実におおらかで吹っ飛んでしまう作品です。
私の趣味に完全にど真ん中ストライクの作品です。

映画が始まると見事な方言が飛び込んできます。
イントネーションからすると、私の住んでいる地方に限りなく近いような感じです。
「四国?広島?島根?」と考えながら観ていると、「はぶてる」という言葉が出てきました。
やっぱり山口の近くだ!と実感しましたが、気になって仕方ありません。
結局島根県の浜田市ということがわかり、安心しました。

映画のストーリーですが、方言まるだしの主人公そよの通う学校は小中合わせても全校生徒6人の小さな学校です。
そこへ、東京から転校生大沢が現れます。
大沢はそよと同じ中学2年生、しかも超イケメンときています。
初めてできた同級生にそよの心は揺れ動きます。
でも、世話好きの田舎娘まるだしのそよとは違い、大沢はちょっととっつきにくい。
それでもそよと大沢は次第に仲良くなっていく…というようなストーリーです。

全体的に大きな事件があるわけではなく、淡々と田舎の風景と人の交流が表現されています。
新人の子どもたちが中心になって描かれていますが、脇役は佐藤浩市、夏川結衣など脇役はしっかり固められていて安心して観ることができます。

主人公のそよは、小学校1年生のおもらしパンツを洗ってあげたり、一緒にトイレについて行ってあげたりと女神のような純粋な女の子です。
「今どきこんな子がいるわけないじゃない!」という思いと「いてほしい!」と思ってしまうそんなキャラです。
夏帆という子役さんのようですが、実にいいキャスティングだと思います。

郵便局員役しげちゃんで出てくる廣末哲万氏は実に存在感のある俳優さんです。
こんな人いるよな…という演技を見事にやっています。
この人の存在感で妙にリアリティーが出ているような気がします。

個人的には写真を趣味にしているため、画面に出てくる田園風景に目を奪われていました。
ロングで回しているのですが、一つ一つの風景がちゃんと飛び込んできます。
いい映像だと思いました。

私としては、絶対お勧めの映画です。
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子どもの事実が教師を変える。

2007-12-03 23:32:55 | コーでないと
先日、大変勉強になる出来事に出会いました。
結論から言えば「子どもの事実が教師も変えていく」ということです。

ある小学校に特別支援教育の支援に行きました。
その学校は、かつての同僚が赴任していた学校でした。
1学期に行った時は、個別の支援計画を見せていただいて、子どもたちの具体的な話を聞く程度でした。

その後、その学校の校内コーディネーターの方から市教委にに訪問するコーディネーターを変更してほしいという申し出がありました。
つまり、私では役に立たないので別の訪問者にしてほしいということでした。

事情を聞くと、かつての同僚の教育実践に非常に不満をもっている。何とかその実践内容を変えてほしいのに、かつての同僚では馴れ合になってしまうとのことでした。

別に馴れ合いをしているつもりはありませんでした。
一度目の訪問では、当たり障りのないことを話してきただけでした。

親御さんも強い不満をもっているということも聞いていたので、つてを使って親御さんとは直接話をすることにしました。
親御さんの話を要約すると、「自閉症の特質を理解していない。障害特性に応じた指導をしてほしい。今年になって不適応な行動が目立ってきた」というような内容でした。

校内コーディネーターと相談をして、まず授業を見てから支援についての話をしようということになりました。
授業を見せてもらうと確かに、子どもにわかりにくい授業が展開していました。
協議のなかで、相手が傷つかない程度に具体的なアドバイスをしました。
教材もできるだけ具体的に紹介してきました。

すると、1週間後に校内コーディネーターからもお礼の電話があり、親御さんからも子どもが落ち着いたというメールをもらいました。
文化祭に訪れたかつての同僚のIさんからも最近うまく行っているという話を聞きました。

やれやれ、何とかうまく行っているならいいかと思い、しばらく忘れていました。
すると金曜日の夜にIさんから電話がありました。
何の話だろう?と少し気になりながら電話に出ました。

すると、以下の話を一気に話し始めました。
「Aさんは、あれから落ち着いて勉強ができるようになった。でも、まだおしっこだけはトイレでしてくれなかった。それが、ここ数日自分でトイレカードを指さしてトイレに向かうようになってきた。何度かトイレでおしっこができるようになった。それだけでもうれしいのに、今日、市内の障害児学級の集まりで、初めて行った体育館のトイレでも2回おしっこをすることができた。」

すごいうれしくて、この喜びを誰かに話したくて仕方なかった。誰に話そうかと思っていたら、Dylanを思い出した。

…ということでした。

この同僚のIさんとはそんなに親しい仲ではありませんでした。
むしろ、敵対することが多かったように思います。
そのIさんが「誰かに話したい」と思って私に電話してきたことだけでも驚きです。

もう一つ、このIさんを「子どもの事実を我が子とのように喜び、誰かに伝えたくなる」ような教師に変えたのはまさに子どもの事実なのです。
そのことに感動してしまいました。

「子どもが変われば親が変わる」「子どもが変われば教師が変わる」そんな事実をまた確認させてもらったできごとでした。
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