とりあえず一所懸命

鉄道の旅や季節の花、古い街並みなどを紹介するブログに変更しました。今までの映画や障害児教育にも触れられたらと思います。

メトロに乗って

2007-03-28 01:15:25 | 映画
 映画館で見損ねた「メトロに乗って」のDVDを見つけたので、借りて見ることにしました。原作浅田次郎ということでわりと期待していた映画でした。

 東京の街を張り巡らせている地下鉄(メトロ)。田舎者にとっては地下鉄という乗り物は何とも言えないものです。高校を出て東京に行って初めて乗ったのが丸の内線です。高校時代、猫というバンドが歌っていた「地下鉄に乗って」という曲がけっこう好きで歌詞の中で「何を話しているか聞き取れない」という内容の歌詞が理解できなかったのですが、実際、丸の内線に乗った時に騒音がすごかったのに素直に納得したことを覚えています。「今赤坂見附を過ぎたばかり…新宿まではまだまだだね。」という歌詞をそのまま追体験して納得したのも、今思えば懐かしい思い出です。

 映画ですが、下着メーカーに勤めている慎次(堤真一)が、地下鉄を待っていると、タイムスリップしてしまうという奇想天外なストーリーになっています。出た所は、昭和39年の新中野の駅で、東京オリンピックの直前の街の様子になっています。昭和39年は、慎次にとって、人生を左右する事件のあった年で、重大な岐路になっています。これ以上書くとストーリーに触れてしまうので避けます。

 父(大沢たかお)の存在が、慎次にとって影響が多大のものであって、病床にある父親の人生を振り返るようにタイムスリップを繰り返します。恋人(不倫相手)も一緒にタイムスリップを繰り返します。そのわけは最後当たりで明らかになっていきますが、ここでは言わないことにしておきます。

 戦後すぐの、バラック街だったり、戦争中の出征シーンだったり、戦中の満州だったりと自分の存在そのものを規定するようなシーンに幾度となくタイムスリップしていきます。

 面白い言えば面白いのかもしれないけど、ストーリー自体に脈絡が感じられなくて、ちょっと緊張感が乏しいような気がしました。同時に原作の文庫本を買っていて、DVDを見た後で読んだのですが、原作の方がはるかに優れていたように感じました。この原作があったから映画化に踏み切ったのだと思いますが、キャスティングに少々不満が残ったように思います。でも、これは個人的な趣味の問題かもしれないので、どうぞ観てください。

 そう言えばキネマ旬報の記事でもあまり良い評価は与えられなかったように思います。

 昭和39年は、個人的にはとても印象的な年です。当時私は小学校2年生で、東京オリンピックにはずいぶん興奮したものです。東京オリンピックの映画も映画館ではなく公民館のようなところで観た覚えがあります。重量挙げの三宅選手の物まねをよくしていたように思います。体操の遠藤選手の吊り輪も印象的でした。それまでは見たことのない光景の連続だったように思います。そういえば、裸足のアべべや自殺した円谷選手も忘れられない存在です。
 もう一つこの年は阪神タイガースが久しぶりに優勝した年でもあるのです。映画の中でもちょっとだけ阪神のニュースが流れます。

 何だかんだ言いながら、「メトロに乗って」を勧めているのかもしれませんね。
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今熱海に来ています

2007-03-25 08:09:16 | 日記
 24日(土)25(日)の日程で熱海に来ています。熱海なんていうと贅沢温泉旅行と思われるかもしれませんが、残念ながら会議で来ています。

 昼1時集合でそのまま会議に入り休憩2回はさみながら6時まで連続で会議で、30分後から交流会という強行スケジュールです。

 25日(日)は9時から会議が始まり、昼食をはさんで3時までの日程です。

 天気がよければまだ朝の散歩といきたいのですが、2日間ずっと雨だということになっていたので、そんな気にもなれません。雨が強いと聞いていたので、カメラももってきていないので携帯で写真を数枚撮りました。どんな写真に撮れているかわかりません。帰ってから良ければアップしようと思います。

 ここでの楽しみは、昨晩プールのような温泉に入って、今朝6時過ぎにもう一度温泉に入ったくらいです。もうすぐ第2弾の会議が始まります。頑張るしかないか!
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春の瀬戸内(笠戸島)

2007-03-18 17:30:45 | 写真日記
 何もない日曜日ということで家でぼんやりしていました。昼食を済ませた頃からあまりに天気が良いのでちょっと出てみようかな?と思いました。近場で思いつくところがあまりなかったのですが、笠戸の家族旅行村に行ってみようかなと思いました。きっと菜の花が咲いているだろうし、海の風景と菜の花の写真が良い感じになるかなと思いました。

 笠戸島に入るといつもの夕日岬のあたりに車がぎっしりと停めてあります。何か行事でもあるのかな?とちょっと不安になってきました。あの「何とか祭」が好きではないのです。頼むからああいう風景には会いたくないと思っていました。

 笠戸ハイツに近づいても駐車場はぎっしりです。何かあるのかな?と不安の気持ちをもちながら、家族旅行村の方へと車を走らせました。すると旅行村からも車がひっきりなしに下りてきます。「しまった…」と思いながらとにかく行ってみることにしました。駐車場に着きました。車は多いのですが、駐車場はちゃんと空いていたし、人も少なくはないけどたいしたことはありませんでした。この天気に誘われてちょっと出かけた人たちだったようでほっとしました。

 旅行村周辺は予想通り菜の花が咲いていて、晴れた空と海の風景にばっちりマッチしていました。

 

  

 天気も良くて気持ちのいい日だったのでハーブ園の所まで登って行くことにしました。ハーブは少しだけ咲いていましたが、写真に撮るほどのことはないかと思い、取りませんでした。しばらく登っていくと木に小さな花がポツンと咲いているのが見えました。幹を見ると桜のようにも見えます。日当たりもいいし、暖かい所だから早咲きの桜があってもいいのかなと思いました。

 でも、この花は桜ではありませんでした。杏の花だということがわかりました。幹はほとんど桜のようだし、バラ科の植物ということなので遠くから見ると見間違えても仕方ないくらいでした。よく見るとピンクの花が杏で白い花はすももだったそうです。

 

 他にも空に向かって1本だけたくさんの花を咲かせている木がありました。こぶしの花です。



 もう少しもう少しと斜面を上がり続けました。眼下に広がる瀬戸内の海は穏やかで春の陽射しをいっぱい浴びて実に穏やかな気分にしてくれます。

 

 

 さらに上へ上へと上がり続けたら急斜面に出会いました。このまま登ると山頂に着けるのかもしれないと思い登り続けました。山頂かなと思ったらそこは尾根のような場所で、3方向への道標があるだけで見晴らしは全くきかない場所でした。仕方ないのでもと来た場所へと道を急ぎました。

 

 なかなか良い場所です。そのまま車で上がれますので、この季節来てみるのをお奨めします。    
   
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フラガール

2007-03-17 22:18:03 | 映画
 感想を書こうと思って、タイミングを逸した作品がこの「フラガール」です。他にもたくさんあるのですが、アマゾンに注文していたDVDが届いたので、もう一度観ることができたのであらためて感想を書いてみます。

 キネマ旬報の第1位に輝いた作品だけに評価は決定的であるので、今さらという側面もあるかと思いますが、私の住んでいる田舎のシネコンではわずか1週間しかやってくれなかったので見逃している人もたくさんいるのではないかと思います。レンタル屋さんで借りてくる人も多いのではないかと思います。
 
 どうもシネカノンの作品は、長期ランがかからないようです。配給の問題なのかもしれませんね。

 最初にフラガールを観た時には、ダンスの教師役の松雪泰子とダンサーのリーダーの蒼井優の二人が印象的で、クライマックスのダンスに至るサクセスストーリーというイメージが強くて、映画館を出た時には「ああいい映画を観たなー」という感想を持ったことを覚えています。主人公たちの東北弁にも引きずられたのかスウィングガールズを観た後のような感じさえしたものです。

 この映画は、最初は常磐ハワイアンセンターの成功へ向けて男目線の映画の企画だったようです。でも、企画の途中でダンサーを主体にすることに切り換えることになったようです。それによって成功したのではないかと思います。

 古い炭坑の町に新しい文化のフラダンスが入ってきて、古いものと新しいものがぶつかり合う構図の描き方は観客にわかりやすくていいのではないかと思います。古い町に異質の文化の伝道者としてのまどか(松雪泰子)は見事なキャスティングだと思います。オープニングでの耕耘機の荷台で酔っぱらいながら、「私のハワイはどこ?」と言わせて、次に炭坑住宅を見せるというスピーディーな展開はいいと思いました。

 エネルギー産業が石炭から石油に大きく変わっていった時代を描きながら、ダンスに打ち込む青春を描き出すというなかなかツボを押さえた演出だったように思います。日本映画の場合、時代背景を描くとつい深刻になってしまうのだけど、さらっと流すだけにしていたために、フラガールの目線で観ることができたように思います。

 監督は李相日(り・さんいる)で、私にとっては「69sixty nine」の監督として印象深い監督です。観る者を楽しませるコツはわきまえた監督だと思います。音楽にもなかなかいいセンスをもっているようで、ジェイク島袋の音楽は効果的につかわれていると思います。

 それにしても、終始ぼんやりとしてしか見えなかった蒼井優の顔がクライマックスのフラダンスの時には、「この人しかこの演技ができる人はいない」ぐらいに輝いて見えるのは映画のもつマジックですかね。蒼井優がいろんな賞を取ったのは本当に理解できます。女優というのはすごいですね。

 もう一つ、炭坑で働いてすすで顔が真っ黒になっている男とたちと、ステージでちょっと派手目の化粧をして踊っているダンサーたちが、同じ家に住んで同じ空気を吸っているように思えませんでした。そういう意味でも豊川悦司のセリフじゃないけど「女ってつえーな!」と思いました。

 豊川悦司は、「愛の流刑地」に出てくる豊川よりも、「やわらかい生活」やこの「フラガール」に出てくる田舎の青年が似合っているような気がするのは、男目線だからでしょうか。
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ゆれる

2007-03-16 00:05:08 | 映画
 ブログに映画の感想を書こうとするのですが、頭でまとまらないうちにどんどん時がたってしまい、タイミングを逸してしまうことがよくあります。最近その傾向が強くなっているので気をつけなくてはと思っています。

 さて、このゆれるですが、映画館で一度見てインパクトの強い作品だと思いました。キネマ旬報で何度も記事になっていて、特集も組まれていたので、ある程度知識は得て、映画は観たのですが、本音と建前、明と暗の間で揺れる人の心、揺れ動く人と人の関係の不確かさを、感じた作品だと思いました。動を演じるオダギリジョー。静を演じる香川照之。彼らの対照的な演技は、作品の骨格を浮き上がらせるには十分な演出だと思いました。

 監督・脚本ともに、若手の中ではぐんぐん話題に上っている『蛇イチゴ』の西川美和だし、出演者がオダギリジョー、香川照之と芸達者ぞろいで、見応えのある映画だったのですが、もう少し、兄弟二人の心理描写と画面の映像がイマイチ理解できていなくて、なかなか感想が書きにくいものでした。

 レンタル屋さんでDVDを借りてもう一度観たらいろいろと思うところが出てきました。このタイトルの「ゆれる」はもちろん犯行現場の吊り橋の揺れるだし、田舎のGSをついでおとなしく暮らしている兄のもとに、突然東京でカメラマンをやっている弟が戻ってきて、自分の今までの安定していた生活がどんどん不安定になっていくことや、憧れの女性を間にした弟への思いによって大きく揺れ動いてしまう兄のゆれるもあると思います。
 
 弟の側も、最初は兄を守ろうとしますが、兄の中にある暗部に触れるにつれて、だんだん兄に対する思いが変わってきて、裁判で別の証言をしてしまうまでの心の中の「ゆれる」もあると思います。
 
 殺されたのか、事故死なのか最後までわからない女性のゆれるもあります。GSで勤めていて、このまま香川照之扮する兄貴と結婚してもいいと思っていたところに昔の恋人のオダギリが帰ってくる。今まで安定していた田舎の生活に突然都会の風が吹いてくる。自分の今の生活を変えてくれるのではないかと思い始める。そういった揺れるもあるのだと思います。

 兄弟の父である伊武雅刀とその弟である弁護士(蟹江敬三)の中での揺れるも表現されています。父と叔父の間もしっくりいっているわけではない。そういった揺れるもあります。

 登場人物のそれぞれのたくさんの揺れるを表現しながら、ストーリーを展開していく西川美和の脚本は見事といっていいと思います。

 洗濯物をたたみながら、弟と女性のことに探りをいれていく兄のシーンと、逮捕後に洗濯物を干す父親のシーンは何となく印象的なシーンだと思いました。

 脇役に木村祐一、田口トモロヲが配してあってしかも二人は検事、裁判官という堅物の役所というのも大変興味深いキャスティングだと思いました。

 DVDが今度発売されるというのでアマゾンでフラガールと共に予約しました。発発送したというメールが届いているのでそろそろだと思います。届いたらもう一度細かく観てみたいと思います。

 キネマ旬報ではフラガールに次いで2位だったのですが、私としては1位を取って当然だと思っています。

 まだ観ていない人のためにあらすじには触れないようにしたつもりだったのですが、少し邪魔になったかもしれません。

 
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大丈夫か?タイガース

2007-03-11 23:55:46 | 阪神タイガース
 久しぶりに何もない日曜日にテレビの前に座って番組表を見ていたら、CSで阪神巨人戦を中継するというので、見る気になってどんと腰を落ち着けて見ることにしました。ここまで阪神はオープン戦単独最下位ということで少し気にはなっていたのですが、まあオープン戦だし何とかなるかなと思っていました。

 阪神は先発が太陽ということで、少し期待をしていました。福原、安藤が怪我で出遅れている時にこの太陽が活躍しないとどうなる!という思いと、いい加減出てこいよ!という思いでこの投手に注目しているのです。

 さて、1回表の巨人の攻撃。一番は何とか討ち取ったものの2番の谷(柔ちゃんの旦那)にヒットを簡単に打たれ、3番ひげのなくなって迫力不足の小笠原の3塁強襲ヒット(今岡が飛びついたもののボールをファンブルして、結果記録はヒット)
4番のイ・スンヨプが簡単にライト前にタイムリーヒット。 1・3塁 から5番のゴンザレスにまたまた簡単に レフトタイムリーヒット T0-2G その後、フォアボールを出しながら何とかチェンジにしたものの、ボールは全部高めに浮いていて「打ってください」的なピッチングで腹立たしい限りです。

 その裏阪神の攻撃。簡単に2アウト取られても、シーツ金本の連続ヒットで2アウト1・3塁のチャンス。ここで復活今岡に回ってきたので、これで1点差は固いと思っていたら、今岡は初球に簡単に手を出して、ファウルフライでチェンジ。昔の弱いタイガースを見ているようで…。やれやれです。

 2回の表も太陽は相変わらずで1アウト満塁のピンチを招きます。でもイ・スンヨプが打ちそこねてゲッツーが取れてやれやれでした。

 その後もヒットは出ても得点に結びつかず、いやなムードが漂って、最終回の裏になりました。鳥谷が倒れて1アウト。途中交代の赤松がヒットで出て、その後不振が伝えられていた濱中が代打で出場してきました。この人が復活しないと阪神の優勝は絶対あり得ないと思っています。濱中は見事なセンターオーバーの2ベースヒットで1アウト2塁3塁のチャンスです。何とか点を取ってくれると期待しました。ところが、浅井の打った打球はピッチャー正面。3塁ランナーも飛び出している。「草野球か!」とテレビに向かってつっこみを入れていると、巨人の真田投手が3塁に悪送球。その間2人が帰って2-3です。尚も1アウト2塁と当然同点になってもおかしくない場面で、赤星レフトフライ。関本三線これで万事休す。

 今年のタイガースちょっと黄色信号じゃないの?でも今年はプレイオフ制度が始まるのでAクラスに入ればいいということでもあるけどね。
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周防大島の夕日

2007-03-09 22:25:11 | 写真日記
 3月になって忙しい日々が続いていてなかなか更新できませんでした。今日は卒業式でした。勤務時間で終了ということになったので周防大島の夕日を撮影にいきました。知人に「大島大橋を渡って、すぐに右に取ってしばらく行くとトンネルがあってそこからの夕日がなかなかですよ」と教えられていたので向かうことにしました。この人は以前大島の小学校に勤めていたので大島はなかなか詳しいのです。

 教えられた通りに行ったら、トンネルを過ぎて坂道を下ったあたりで大きな夕日にぶつかりました。正面が大きな島になっていたのでもう少し、車を左へ走らせました。海岸沿いの細い道を進んで行くと、なかなかいい夕日がついてきます。でもまでこれという風景にぶつかりません。しばらく行くと右側に岩ばかりの小さな島が出てきました。この島ごしに夕日が見える場所だったらいい絵になるかもしれないと思い車を走らせました。

 なかなか夕日とマッチングしませんでしたが、車を走らせてここだ!というポイントに到着して車を停めました。カメラのレンズを2本持って撮影を開始しました。

 


 海岸通りにちょっと小高い丘があってそこに小さな墓なのか石碑なのかわかりませんが立っていました。そこから夕日を眺めるとまたきれいな光景が広がりました。

   

 まあままいい色が撮れたと満足しながら、帰っていると大島商船高校の近くの海岸でまたまたいい光景に出会って、少し引き返して撮影をしました。

     
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良心的でも押しつけはこわい!

2007-03-01 23:24:24 | 障害児教育
 火曜日に勤めている養護学校で教職員向けの研修会がありました。講師は和田山企画の大橋さんという方でした。大橋さんはNHKの教育テレビの番組にも何度も出演されている方です。本人は自らをLDだと語られ、日本LD学会やLD親の会などを中心に何度も講演されているそうです。テレビでは何度かお話を聞いていたのですが、直接本人から話を聞く機会を得られることでとても楽しみにしていました。

 自らの、趣味の話から入られたのですっと話に集中できることができました。映画が大好きで昨年も1年で80本以上の映画を観られたそうです。大橋さんの昨年のベスト映画は1位が『ゆれる』で2位が『フラガール』ということで、Dylanとまったく同意見でした。ここで一気にどんな人なのか興味がわいてきました。

 ご自分の特性として、計算が全くできないことをおっしゃっていました。簡単な足し算はできるけど、引き算が全然できないそうです。10までの引き算は、指を使って数えればできるけど「11-3」になると全くできないそうです。今でもその傾向は続いているそうです。大橋さんのことばを借りれば「足し算と引き算は頭の中の使い方が違う」そうです。

 大学を出られて、ずっと新聞記者をされていて、テレビでも選挙速報の解説を論説軽やかにしているのをずっと見てきた者としては、にわかには信じられない光景でした。

 小学校の頃の授業時間の苦しさや、友だちからのいじめについても話されていましたが、教師から理解されなかったことについて話されると身につまされる思いがしました。

 講演に出かけるようになってからのエピソードも紹介されていました。

 ある学校に講演に行った時の話で、計算が苦手だと説明され、かけ算の九九もまだできていないことを話された後のことです。あるベテランの女性の先生がニコニコして来られて「私は図を使って簡単にできる九九の方法を知っています」と言いながら、今にも教えようとしたそうです。そこで急にしばらく忘れていた“教わる恐怖感”が湧いてきたそうです。やんわりと自分の心情を話されると、その先生は「私たちは、これがダメならこの方法で、これなら何とかなるんじゃないか、とすぐに教えようとするんです。そういう姿勢が結局は押し付けであり、子供の心を傷つけるんですね。」と言われたそうです。

 そこでは、何とか苦手を克服させようといろんな方法を工夫してでも、指導しようとしてしまう教師の特性が出ています。おそらくその時は、相手のことを思ってやっているんだろうけど、相手がどうしてわからないのかが理解できずに、どうしてしまうと苦痛に感じてしまうのかが理解できないために、このぐらいなら…と苦痛な部分を押しつけてしまいがちになるのかもしれません。

 昔から障害児教育の基本として、「進んだところに目を向けて、遅れたところに手をあてる」ということがよく言われています。でも進んだところを伸ばしていこうとするより、遅れたところだけが目についてしまい、遅れたところばかり指導しようとしていることがあるのかもしれません。

 もう一つの例として、中学校の時の校長先生の例を出されました。その先生は数学の苦手な大橋さんのために、高校受験の特別の補習をしてくれたそうです。苦手だった数学の補習ということで、大橋さんにとってさぞかし苦痛だったと思うのですが、話によるとそうでもなかったそうです。

 もちろん、高校受験という大きな目標があって見通しがあったということもあると思いますが、 さっきの先生と違いこの先生は決して押しつけなかったそうです。初日、全く勉強を教えずに、自分の自慢話と、君は個性がある、なかなか面白い、という誉め言葉だけだったそうです。「この先生なら大丈夫かもしれない」という余裕を与えてくれたと言われていました。

 ゆっくりゆっくり人間関係を作っていければ、一方的に押しつけられる「教わる恐怖症」も克服できるという教訓を意味しているように思います。

 このことは、私たちの教育にも当てはまることだと思いました。一方的に押しつけられる恐怖と、わからないことへの不安をどう取り除いてあげるかが、教える者としての基本として忘れてはいけないことだと思います。
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