とりあえず一所懸命

鉄道の旅や季節の花、古い街並みなどを紹介するブログに変更しました。今までの映画や障害児教育にも触れられたらと思います。

映画「20世紀少年」を観てきました

2008-08-31 22:05:00 | 映画
映画「20世紀少年」を観てきました。
土曜日が公開だったのですが、会議が入っていたので日曜日の午前の部に行ってきました。
原作はすでに数年前に読んでいましたが、もう一度ストーリーを押さえたくて、昨日からまた読み返して、映画館に出かけました。
あの超大作(コミック22巻)をどういう仕上がりにしているのか楽しみでした。
すでに3部作で仕上げるということも予告しているので、この第1部はどこで終わるんだろう?
いろんな考えを巡らせていました。

オープニングは何と原作の通り、中学校の放送室から始まります。
お昼の放送に流していたポールモーリアの『エーゲ海の真珠』から始まります。
それを、無理矢理Tレックスの『20センチュリーボーイズ』に変えて放送するという原作をそのまま生かしたままスタートしました。

多少、時代の流れをアレンジしてあるにしても、ほとんど原作をそのまま表しているところが何ともすごい感じです。

映画でどうアレンジしているのか興味はあったけど、あまり原作をいじってほしくなかったことも事実です。それほど、原作は不気味でわくわくしてしまうものです。

登場人物たちは物語で象徴的に描かれている1970年の大阪万博の時に小学生という設定になっています。
…ということは私の少し後輩にあたります。
そこらへんが、大阪万博に関しての見方が異なるのかもしれません。
私はすでに中2でしたので、作り物的なパビリオンには少し引いてしまうところがありました。
もちろん「月の石」には少しだけ気持ちが動いたのは事実です。

1970年はベトナム戦争の報道がテレビから流れてくるし、エンタープライズ佐世保寄航の問題、もちろん70年安保はどうなるのか?など少しませた中学生には気になることがいっぱいあって、万博気分に踊らされるのは少し違うかな?と思っていました。でも、一番万博から気持ちを引かされたのは南春夫大先生の「こんにちは♪
こんにちは♪」で始まる気持ちの悪い歌のせいかもしれません。

でも、同じような時代を生きた空気のようなものは感じ取れます。
そういう意味では居心地のいい映画だったかもしれません。

原作を尊重するということは、キャスティングにもよく現れています。子役はよくあんなに似たような子どもを集めたもんだと感心してしまいます。
双子の凶暴なヤン坊マー坊は原作とうり二つです。

大人になってからの登場人物もまた似たような人間を集めてきています。
ただ、大人のキャスティングを見ているとこれからの登場人物の役の重さが想像できてしまう欠点があるように思います。

でも、魅力的な俳優をずらっと並べてスピーディーに流していくのは、何とも小気味よいものです。

私は原作を読んでから映画を観ましたが、映画を先に見てしまってしかも第1部しか見ていない人はこの映画をどう解釈するんだろう?そのあたりのところは未知数です。

ベースにはカルト宗教、ファシズムへの恐怖、自由と責任いろんな隠しテーマがあると思います。

ぜひ映画館の大画面で観ることをお勧めします。
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京都に行ってきました 2

2008-08-30 22:32:00 | 日記
京都に行ったのは、“教育の集い”という集会に参加するためでした。
初日は全体会があります。挨拶や基調講演という難しい話は、これだけの人数の中では集中できにくいような気がします。
ましてや今回の会場はいつもの階段状のホールではなく、大きなフロアーでした。
中央に少しだけ台が用意してあるような会場で、メインのスクリーンを見ながらの集会だったせいもあるかもしれません。



挨拶等が終わると京都らしく創作狂言によるおもてなしがありました。
就職を前にした息子に心配する父親が「将来何になりたいのだ?」と聞くと、
「楽でお金がもらえて、働きたい時だけに働けて、休みたい時に休める仕事がいい」ととんちんかんな答をする。
早くゲームセンターに行きたい息子は父親をやりこめて、その場を逃げ出すというストーリーになっています。
たいしたストーリーではないのですが、狂言の口上で聞くと何ともユーモラスに聞こえるのが不思議です。



次に、今回楽しみにしていた劇作家井上ひさし氏の講演がありました。演題は「憲法について、いまどうしても伝えたいこと」でした。
氏は、憲法擁護の立場で様々な場で発言してきています。そういう意味で非常に興味がありました。

  

講演の要旨をかいつまんで紹介したいと思います。
初めにデンマーク陸軍大将フリッツ・ホルムの紹介を始めます。何の話を始めるんだろう?と思っていると彼が起草し制定を促すべく各国へ配布した「戦争を絶滅させること受合ひの法律案」(「戦争絶滅受合法案」)のことでした。
日本での紹介者は長谷川如是閑だということも紹介します。
そこで始めてピンときました。
長谷川如是閑については学生の頃に注目して研究をしたことがあります。
丸山真男氏の師匠にあたる人でもあり、後に貴族院議員として、日本国憲法制定に参加したことからしても興味深い人でもあります。
「戦争絶滅受合法案」このことについてもすっかり忘れていました。

その骨子については実に興味深いので紹介しておきます。

「戦争行為の開始後又は宣戦布告の効力の生じたる後、十時間以内に次の処置をとるべきこと。即ち下の各項に該当する者を最下級の兵卒として召集し、出来るだけ早くこれを最前線に送り、敵の砲火の下に実戦に従わしむべし。

一、国家の元首。但し君主たると大統領たるとを問わず、尤も男子たること。
二、国家の元首の男性の親族にして十六歳に達せる者。
三、総理大臣、及び各国務大臣、並びに次官。
四、国民によって選出されたる立法部の男性の代議士。但し戦争に反対の投票を為  したる者は之を除く。
五、キリスト教又は他の寺院の僧正、管長、その他の高僧にして公然戦争に反対せ  ざりし者。

上記の有資格者は、戦争継続中、兵卒として召集さるべきものにして、本人の年齢、健康状態等を斟酌すべからず。但し健康状態に就ては召集後軍医官の検査を受けしむべし。
以上に加えて、上記の有資格者の妻、娘、姉妹等は、戦争継続中、看護婦又は使役婦として召集し、最も砲火に接近したる野戦病院に勤務せしむべし。」

戦争犠牲者の具体的な内訳についても触れています。
第1次大戦   軍人…95% 一般市民…5%
第2次大戦   軍人…52% 一般市民…48%
朝鮮戦争    軍人…16% 一般市民…84%
ベトナム戦争 軍人…5%  一般市民…95%

こんな戦争はやめなければいけない。
イラク戦争になるとイギリスの医療誌によるとイラクの死者は65万人、傷者はその10倍、難民は400万人(イラクの総人口は4000万人)

ここで、雑誌「論座」での赤城氏の論文を紹介します。

「今の凝り固まった世の中において、一度負け組とされた者はもはやそこからぬけだせない
だからもう一度社会を流動化する必要がある。
その手段で考えられるのは戦争だ。
戦争が社会を流動化し負け組にチャンスが訪れる

だから戦争を望むこともありうる。」

「閉塞状態を打開するには戦争しかない」でも殺されるのは市民そのものなのだ。
「平和とは、戦争がない状態を示すだけでなく、将来の希望があることなのだ」と氏は強く強調されました。

次にイラク戦争の原因について解説されました。
イラクのフセイン大統領は「石油をドルでなくユーロで売りたい」と言っていた。アメリカは赤字が出るとドルを刷ればいいから楽である。
現在の状況はアメリカの実力の2倍のドルが出回っている。ドルの価値は不安定そのものだ。

フセインはユーロで売りたい。それに対してサウジとイランが賛成していた。そのうちサウジが脱落して、イラクとイランだけが残った。
そのためにイラク戦争は引き起こされた。
事実、アメリカが主張していた武器は一切出てこなかったことから明らかです。

暗い話ばかりではなく暴力と戦争をなくそうという動きも起こっている。
話は変わるが…ということで脳の話になります。
脳には辺縁系と新皮質があって辺縁系は主に感情を司り、新皮質は情報や分析、知識を司ると言われます。
(途中略)
感情で物事を判断するのであるから豊かな感性が育たなければ正しい判断も育たないことになる。
知性や知識だけでは判断できない。理性だけでも判断できない。
私たちは「どうしてこんな人を選ぶの?」と思えるような不釣り合いのカップルをたくさん見てきた。
ここに感情の尊さがある。

南極条約の話をするのに、戦後腹腔の話から入って行く。
戦争に負けて外交ができないなかで国家の予算を維持してきたのはタバコ産業であることを主張する。
昭和23年の国家予算8000億その2割がタバコ税で補ってきたことを強調していきます。自分は今まで2000万の税金を納めてきたことになると主張します。
世の中から灰皿がどんどんなくなっていくのをみると「世の中を変えるのは簡単だ」と空恐ろしくなると愛煙家の主張を繰り返すが、さすがに同調できない。

戦後の文部官僚に木田ひろしという人がいる。この人は『新しい憲法のはなし』を書いた人で、国民体育大会を企画して予算がないなか各県を回すことでスポーツ施設を建設したことでも知られている。
この人が関わったことで戦後我が国が学術面で世界に復帰したことに南極探検があります。
当時南極は、オーストラリア、ニュージーランド、アルゼンチン、チリ、イギリス、フランスが領土権を主張していたり、アメリカ、ソ連が軍事基地を建設することで牽制しあっていてまとまりがつかなかった。
木田氏は日本国憲法を英訳したものを配り、大演説をして、次の日まとまったという。
そしてできたものが南極条約である。
・南極地域の平和的利用(軍事的利用の禁止)
・科学的調査の自由と国際協力
・南極地域における領土主権、請求権の凍結
・核爆発、放射性廃棄物の処分の禁止
・条約の遵守を確保するための監視員の設置
・南極地域に関する共通の利害関係のある事項についての協議の実施
・条約の原則及び目的を助長するための措置を立案する会合の開催

まだまだ講演は続くのですが、これ以上長くなっても読みにくいのでこのあたりで終了します。




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京都に行ってきました。

2008-08-29 11:18:23 | 写真日記
夏もおしずまった時期に、京都に行ってきました。
目的は、集会参加のためです。
山口からこの集会に参加する人間も何人かいるので、団体行動を余儀なくされます。
どうもこの団体行動が苦手で、ちょっと気が重い感じでした。
新岩国から乗車したのですが、4名はやっぱり隣り合わせに席が取ってありました。
無言で本でも読もうと思ったのですが、それもやっぱり気づまりなのでずっと話をして過ごしました。
難しい話は、また気づまりになるので最近マイブームになりつつある手作り弁当についての話題に終始しました。
「お昼ごはんは着いてからにする?」と全体のリーダー格のI氏がみんなに呼びかけます。

もう一人一緒に行動する人間がいたのですが、はるか別の車両でした。
でもその人は京都に詳しくないということなので、京都駅から団体行動ということになります。
京都駅からのことを打ち合わせしなければいけないので彼女が座っている場所まで伝言に向かいました。

私が乗っている車両が16号車で彼女が座っている車両が、4号車ということでとんでもない移動です。
途中、グリーン車の中も移動しましたが、グリーン車は床もカーペットが敷いてあるので車両全体の匂いが違いました。
防臭効果の処理をしてあるため、ちょっと新車の匂いがしました。
芸能人でも乗っているかなと思いましたが、広島を朝発つ便に芸能人が乗るわけありません。

やっとたどりついた4号車、N氏をやっと見つけました。
でも、こともあろうに弁当を広げ、缶ビールをぐびぐび飲んでいます。
「なんてやつだ!」と思いながら、連絡を済ませて自分の席までたどりつきました。
揺れる車両の中の移動は思ったより疲れました。
途中車内販売のワゴンに2度ほどすれ違ったのですが、私たちのいる16号車には一度も来ませんでした。
「どういうこと!」

京都駅に着くとけっこういい天気でした。
まず迎えてくれるのが京都タワーです。駅ビルはずいぶん近代的な建物になってしまったけど、この京都タワーは昔のままです。
若いころは「なんと悪趣味な建物だ!」と思っていましたが、東寺の五重塔と京都タワーは京都駅のシンボルとまで思えるようになってきました。



キャリーバッグを持っていたので、とりあえずホテルに行って荷物を預けてから移動ということにしました。
車内で食事を済ませたN氏は、荷物もすでに宅配便で送っていたので身軽だったのですが、私たちと同行することになりました。
タクシーの中から奇妙な壁の建物を目にしました。




タクシーをホテルで待たせて、荷物だけ置いて会場に向かいました。
会場は平安神宮の近くの都メッセという場所です。
タクシーの運転手は「その場所ならわかります」と向かおうとしましたが、「会場近くは機動隊に封鎖されているからできるだけ近くでいいです」と言うと「へー!そんなもんですか?」と軽く返事をされたのですが、近くに行くとやっぱり止められました。

タクシーを降りたところで、機動隊と右翼がひと悶着をやっていました。
「ここは公道だろー!何の権限があって、通らせないのだ!」自分たちの騒音を棚に上げて噛みついています。
機動隊にエスコートされながら端っこから抜けて喫茶店で昼食を取りました。

  

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DVD「人のセックスを笑うな」

2008-08-07 00:12:06 | 映画
劇場で未損ねた気なるDVDを借りて来ました。タイトルは「人のセックスを笑うな」です。
何ともエキセントリックなタイトルです。
原作は山崎ナオコーラさんです。
キャストは、永作博美、松山ケンイチ、蒼井優などなど全編4、5人を中心に展開する何とも不思議なお話です。

19歳の松山ケンイチが、恋をしたのは39歳の永作博美しかも、美大の講師という設定です。
蒼井優は、松山に恋するボーイッシュな女の子、その蒼井に恋するもう一人の大学生。

でも、その恋する永作博美はれっきとした人妻という設定になっています。
何んの事件もなくただ淡々と松山と永作の恋愛模様を描ききるという何とも不思議な映画です。
まるで他人の恋愛を覗いているようなそんな気分になります。

映像はロングショットを多用して、しかもワンシーンがやたら長い。
構図もちょっとこだわっていて、よく言えば透明感がすごくある映像になっています。
そういう意味で、テーマの割には変にいやらしくないのがいいところかもしれません。

永作演じるゆりが自由奔放でなかなか魅力的です。
ゆりに翻弄される松山演じるミルメが女性には魅力的に写るかもしれません。
「ミルメくんに触ってみたかったんだよね」とあっけらかんに言い放つユリは一昔前の前衛芸術家タイプかも。

ユリのだんな役の不思議なおじさんは何とあがた森魚さんでした。
他にも桂春団治さんや温水さんも出ています。
時間があれば観てもいい映画かもしれません。
「わけわからん!」と怒られる方も多いかもしれません。
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前進座「銃口」

2008-08-06 23:36:21 | 映画
前進座の「銃口」を観て来ました。
久しぶりの演劇だったせいか、迫力に圧倒されてしまいました。
三浦綾子さんの原作を読んだのはずいぶん前のことで、ストーリーも忘れていました。
とにかく圧倒されてしまいました。

前進座の「銃口」が来る事は知っていたので、観てみたいとは思っていたのですが、どうアプローチしていいのかわかっていませんでした。
この日昼間に周南市文化会館で特別支援教育の研修会の講師を引き受けていました。
地下のロビーに高校の時の漢文のY松先生が座っていて、尋ねると今から演劇の荷物の搬入の手伝いをすると言っていました。
「銃口」を観てみたい旨を話すと、今日入会して会費を払うとすぐにでも観られるということだったので、
その場で入会金と今月分の会費を払いました。

その日はかなり疲れていたので後日柳井市で観ることも可能だったのですが、思い立ったが吉日ということで観ることにしました。

出演者がほとんど舞台に出ずっぱりという何とも大変な演出でした。
空席の子ども机に向かって話しかける教師に対して、両端に座っているとっても子どもとは思えない俳優たちが声だけで出演するという不思議な光景で、慣れるまで少し時間がかかりました。

物語の中心は戦前の日本で、治安維持法のもとで何でも弾圧がかけられてしまう時代です。
北海道街道の良心的な教師たちの生活綴り方の運動がきびしい弾圧を受けるという話です。

冒頭、たこ部屋から逃げ出した朝鮮人労働者をかくまう話からスタートします。
警察のきびしい捜索からかくまった朝鮮人労働者が後のキーパーソンになっていきます。

主人公から尊敬される坂部先生が、遅刻した芳子を子どもたちのはやし立てからかばうシーンが出てきます。
「芳子が毎朝5時に起きて納豆を売りに行くんだ。売れる日はいいが、売れない日はご飯を食べる時間もなくて
腹をすかしたまま学校にくるんだ。芳子は…芳子は…」と言いながら坂部先生が泣き出してしまい
子どもたちがしゅんとするシーンです。
忘れていたはずの原作があっという間に思い出されてきました。

一方、天皇絶対主義の教育勅語の教育シーンはとってもいやなものです。

やがて、きびしい弾圧が迫って来ます。
特高の弾圧のシーンは何とも嫌なものです。芝居だとわかっていてもとっても嫌な気分になりました。
さらに戦争に駆り出され、戦場のシーンは、迫力がありすぎて悲鳴さえ聞こえてきました。
中国人を虐殺しようとするシーンでは、私の席の周りのおばさんたちが一斉に顔を伏せていました。

3時間くらいの演劇でしたが、片時も目を離す事ができませんでした。
日々の仕事でくたくたになっていたのに、見終わった時には頭がすっきりしていました。
次の日もあたまが妙に冴えていました。
違う世界に未を委ねることでこんななにリフレッシュできるということを今更ながら実感させられました。
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