金本選手の引退試合をテレビでずっと観ていて複雑な気持ちになりました。
引退を発表してからは、ずっと応援する気持ちになっていたので、ちょっとさみしい気持ちになりました。
金本選手が阪神に入団した時には本当に驚きました。
いつも広島戦で打たれていたイメージがあったので、ちょっといいかな…と思っていました。
星野監督の誕生と言い、根っからの阪神ファンとしては複雑な心境だったことは、隠せない事実です。
でも、入団してからすぐに優勝を決めて、すっかりわだかまりは消えていました。
二人のパフォーマンスでタイガース人気はうなぎ登りでにわかタイガースファンもたくさん登場してきて、なんだかな~という気にさせられたのを覚えています。
金本選手が肩をけがをして、そのままレフトの守備にずっとついていた時には、連続試合フルイニング出場がかかっていたとはいえ、スタメンを外すことを希望していました。
それでも、試合に出続ける金本選手を観て、「記録なのか?チームの勝ちなのか?」金本選手の起用に対しても反感をもっていました。
レフトから内野に返球する時にゴロでなければ投げられない選手がスタメンでいること、それを許している阪神に対して不信感をもっていました。
でも、引退試合を観ていると、終わりよければ…といことで今までのわだかまりも消えるのだから不思議なものです。
最後の打席がキャッチャーフライだったことや、試合終了のアウトボールが金本選手の所に飛んでくるのも金本選手らしいと思いました。
引退セレモニーの挨拶は長すぎて、いろいろ不評を買ってしまったようですが、それも金本らしいなと思いました。
録画していたので、全文を紹介したいと思います。
まず最初に、僕を産んでくれた両親、アマチュア時代から広島時代、阪神時代、僕の野球人生に関わったすべての人々に心から感謝を申し上げます。
思い返せば10歳の時に野球を始め、常にプロ野球選手を夢見てボールを追っかけてきました。
その夢がかなったのは21年前の地元、生まれ育った広島カープへの入団でした。
プロ野球の世界は自分が思ったよりも、とにかく厳しい世界でした。
必死にバットを振って、必死に重たいバーベルを担いで、一生懸命、本当に一生懸命、無我夢中でやってきましたが、なかなか結果が出ず、苦しい思いをした最初の3年間でした。
今もその3年間の苦しみというものは、僕の野球人生、僕の人生そのものにおいても大きな財産となっています。
2003年にタイガースに移籍してきまして、いきなり2003年、感激の優勝を味わわせていただきました。
立て続けに2005年も4番としてリーグMVPを獲得し、また優勝させていただきました。
2003年からは常にこの甲子園球場は毎年300万人の観客を動員し、あのジャイアンツにも10年間で2回しか負け越していません。
この甲子園球場というのは自分の持っている力以上のものを引き出してくれました。
しかし、そうも人生はうまくいきません。
3年前に肩をけがしてからは、自分の思うようなプレー、パフォーマンスを出すことができなくなりました。
それから常に引退の二文字が頭をよぎるようになりました。
自分でも、もう辞めたい、もう嫌だと、悔しい思いをしながらも、ファンの皆様の、あの金本の特大ホームランがもう一回見たい、
あの弾丸ライナーのホームランがもう一度見たい、もう一度3割30本を打つ金本を見たいという思いに励まされ、
必死にリハビリに励んできました。しかし、なかなか元のパフォーマンスに戻ることができず、きょうここでユニホームを脱ぐ決意をしました。
悔いや心残りはたくさんあります。チームとして2回優勝を経験しましたが、最後にもう一度、優勝したかったです。
そして、阪神ファンが一番よろこぶ瞬間である日本一という瞬間を、この甲子園球場でどうしても達成したかったです。
残念ながら、その悔いと心残りは、きょうここにいる後輩たちに託すことにします。
DeNAベイスターズのみなさん、きょうは自分の引退セレモニーにご参列いただき、ありがとうございます。
DeNAベイスターズは今年、中畑新監督を迎え、チームの雰囲気もガラッと変わり、常に注目されるチームでした。
しかし、一番目立っていたのは中畑監督でした。
選手のみなさん、選手より監督が目立つようではダメだと思います。
監督より選手が目立つことを、中畑監督も望んでいることと思います。
来年ベイスターズが優勝争いをするようなことになると、一番日本で注目されるチームになると思います。
日本球界のためにも、何とか来年意地を見せて、優勝争い、期待しています。
最後になりますが、もう僕はこの甲子園の左バッターボックスでフルスイングすることはありません。
ダイヤモンドを全力で走り抜くことも、もうありません。
レフトのポジションでボールを必死に追いかけることも、もうありません。正直言って寂しいです。
やり残したことはたくさんあります。僕のやり残した分まで、今ここにいる後輩たちが、僕の分まで必ずやってくれると信じています。
そして、外野を守っていると、『アニキ夢をありがとう』とか『ありがとう』とか、いろいろ看板というかボードが目につきます。
それは、僕がファンの皆様に言いたい言葉です。タイガースに移籍してきて、本当に快く迎え入れてくれたファンの皆さん。
たまにキツいヤジもありましたが、こんな僕でも、成績が落ちたときでも、大多数のファンは『頑張れ頑張れ』と背中を押してくれました。
阪神ファンは温かかったです。やさしかったです。
最後に、最後に、ファンの皆様にひと言。本当に夢をありがとうございました。心からありがとうございます。
そして、野球というスポーツ、野球の神様、ありがとうございました。
DeNAの金本選手らしいジョークだったと思うのですが、誰も笑わなかったので、ジョークにならずに空気が凍るような感じでした。
…とは言え、城島選手が引退し、藤川球児投手はメジャー希望、鳥谷選手までもがフリーエージェント権を獲得しているという状況です。
来季、タイガースで輝く選手が見当たりません。
地味なチームになってしまうような気がします。
岩本投手、歳内投手などの若手に期待して、今年のような不甲斐ない成績にならないようにしてほしいと思います。