活眼明察日記

物事の道理や本質を見分け、真相を明らかにする眼力を養いたい

背景に身分差別  坂本発言

2009-01-13 22:04:48 | Weblog
日比谷公園の派遣村(既に閉村)について、坂本総務政務官が「本当にまじめに働こうとしている人たちが集まっているのか」と総務省の仕事始めで、暴言を吐いたのはつい最近のことだ。

野党の辞任要求に釈明会見を開き、発言を撤回したが辞任する考えがないことを強調した。失言で済ますことができない暴言であった。

企業の一方的都合で解雇され、住まいを奪われた人たちに、追い打ちをかけるように「人情味」はまったく感じられない、差別に満ちた発言だからだ。

国会で野党の罷免要求に、任命責任者の麻生首相からは明確な答弁は得られなかった。鳩山総務相は「反省していれば辞める必要はない」と擁護した。つまり政府は坂本発言を不問としたいのだ。

冗談ではない。坂本発言の背景には、麻生政権が雇用問題の解決を棚上げしたい本音が隠されているからだ。政府・与党は経済界に都合のいいように「派遣法」を相次いで規制緩和してきた。

不安定雇用の大本の登録型派遣は雇用期間が、僅か1~3ヶ月で契約更新の繰り返しだ。派遣会社は労使折半の社会保険や厚生年金の手続きさえ取らない。そのくせ不当なピンハネすることには熱心だ。

だから労働者の手元に入るのは、ごくわずかだし、「首切り」されたあとの保障はなにもない。セフティネットが揃わないまま、経済界の求めに、大急ぎで「派遣法」を献上した結果が、いまの派遣切りの実態に反映されたものだ。

このように「派遣法」が労働者を保護する法律ではなく、不利ばかりを押しつける法律であることは、誰の目にも明らかである。それにもかかわらず、坂本氏は国会議員で行政トップの立場にありながら、「派遣法」の不備を十分に認識していて、このような暴言に至ったことは、すべて派遣労働を「自己責任」として片付けたい、政府の本音が露呈されたものである。

派遣をはじめとする非正社員たちを差別発言した、坂本氏を辞任に追い込むまで、野党は中途半端な追及で終わらせてはいけない。


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