透明水彩絵具は、後から修正することが不可能に近い。だから色を置くときはよく考えておくしかないだろう。それでもしまったということはよくある。そこで少しリカバリーの方法を映像化した。ドローイング774.小説:小樽の翠685.のイラストの制作過程を映像化した。
当初青い空に夏の海を描こうとした。だから下塗りは青い空で進むはずだった。しかし絵具が濁っており、おもわず予期せぬ色になってしまった。そんなときは色の乾くのをまって、考えよう。絵具の濃淡からすれば雲に見立てられそうだ。そこで夏の雲に変更した。
次に絵の具の乾きが遅かったので水平線がにじんでしまった。修正していたら水平線がガタガタになってしまった。そこでドラフティングテープを水平線に貼り付け海の色を置いた。絵具の乾きをまってテープを剥がして、なんとか水平線になった。
こんなふうにリカバリーの方法がある。もちろん描こうとした当初の意図とは違ってくるが、それにこだわらないというのが透明水彩絵具の使い方のように思われる。しまったと思ったら絵具のトーンを睨みながら、何に見立てようかと考えるのもリカバリーの方法だと私は考えている。
そうした透明水彩絵具と水とのせめぎ合いのなかで自然な描写に近づいて行くのだろうと私は考えている。
ドローイング779 透明水彩絵具の技法 リカバリーの方法 HD 1080p