いつもの午後3時を回った頃、日課の散策だ。アチキは今日は趣向を変えて教会建築のスケッチをしようと目論んだ。
街を歩けば、扁平な陸屋根の建築ばかりだ。どうも日本の建築は、いや現代建築は平らな屋根ばかりで退屈且つ寂しく、スケッチのしがいがない。だから今日は尖塔がある教会建築だ。
それに、ヨーロッパのように道の正面にドンと教会があるなんていう風景は、日本では期待できない。断片的に描いといて、あとは創作だな。
こんな所までは、いつもの小春は来ないだろう。
・・・
そう思っていたら遠くから「アチキー」と呼んだ声がする。
\(><)/ギョッ
教会の窓から誰かが手を振っている。近づいてみると玲香さんではないか。
「あれ、なんで、ここにいるの?」
玲香「今日は病院勤務がお休みだから、ここでボランティアですぅー」
「はあ!、教会でボランティア?」
玲香「お掃除したり、整理したり、だって今月はクリスマスがあるじゃん・・・」
「あっ、そうか、ママがクリスチャンだからかぁー」
玲香「そうよ、私もクリスチャンだもん」
げっ!、昔ヤリマンだった玲香姉ちゃんがクリスチャンだったとは、世の中よくわかんねぇー。汝、愛をもって報いよ、そんな神の言葉があっただろうか。
玲香「教会のお仕事も終わったの。途中まで一緒に帰ろうよ!」
ツカモッチャン家の家風か、人見知りという事がない。むしろ人なつこいこと。アチキは、気遣いばかりの考えすぎ女に比べたら、それは明るくて大好きですねぇー。それにしても、クレージーなメイクだ。でも、見慣れると、それなりに可愛いと思うから、人間の感覚って不思議だ。
玲香姉ちゃんが大きいから、赤ちゃんは大きくはみえないが、それでも平均よりはでかいのだ。
「まだ、お乳飲む?」
玲香「時々ね。最近離乳食だから、お乳が余るんだよ。アチキ飲む?」
「いえ、いえ、お乳の配達は、間に合ってます」
玲香「あっ!、私のお乳じゃ気持ち悪いんだろう?」
「えっ!、そんなことはないですが・・・」
(女って、なんで自分のお乳を周囲の人間達に飲ませたがるのだろうか)
玲香「じゃ、自分で飲むか、あらそれって、またお乳になるの?」
「多分栄養分を摂取して・・・またお乳になるのかなあ・・!?」
玲香「お乳はよくでるんだけど、アタシ太ったままだよ」
「太っていてもええんちゃう。痩せたきゃエクササイスの教室に通うとか・・・」
玲香「それかぁ、旦那と相談してみよ!。なんか旦那の身体が子供みたいにみえるんだよね」
「うん!、やはりスポーツ教室へ通うことをオススメします。あそこ育児室がありますから・・・」
箸にも棒にも引っかからない話をしながら、家路についた。
平和な1日を、お授けくださる神に感謝!、か・・・。