Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

PEN LIFE366. 死に至る病

2012年06月02日 | field work
 高機能、高性能といえば、日本の家電製品が世界市場を占有していたときの指標なのだが、現在は日本の大手家電メーカーが総じて赤字におちいるなど低迷現象の象徴になっている。「失敗の本質」の著者によれば、それは指標が動いたからであり、体験学習主義の日本人はフィールドの異なる新たな指標を創造できない、と論じている。
 それは撮影機材の世界でも同じである。高機能という指標が変わってしまったにもかかわらず、世界一の高画素をうたいながらニコンD800Eが登場したが、すでに時代はマイクロフォーサーズの軽薄短小という指標の世界であり、もはや時代遅れである。それはどこか世界一と銘打ちながら登場したが、時代の主役は航空機にうつり、時代遅れとなった戦艦大和のようだ。まあニコンもあえなく沈没しなければよいが。
 まだある、電波塔では日本一の高さといいながら登場した東京のスカイツリーだ。およそ建築物の高さでは、数年前に世界一の高さのブルジュ・ドバイが完成したので、もはや建築物の高さという指標を競う時代ではない。鉄塔ではという但し書き付きで高さを誇示しても、説得力がなく一時の話題性でしかない。いずれ人々に飽きられること必須である。
 その他にも日本のスーパーコンピュータの開発がある。もはやコンピュータはWindowsの互換性やネットワーク、Macの携帯性やテイストといった時代であるにもかかわらず、世界一を目指している。大体小さな特殊市場で世界一を目指してなんの経済効果があるのだろうか。
 このよう日本人は、大きく考えることが苦手=戦略がない、革新が苦手、ルールを変える事が苦手、思考が集団感染しやすいなどなど負の特質を引きずっているわけだ。現在の低迷した日本をみると、指標が変わっているのにもかかわらず、あいかわらず戦艦大和をつくる発想がそれだろう。当然日本企業は低迷する。それは死に至る病といってよい。
 さて今日も、負の思考に集団感染した院生達の授業だ。でかけよっと。

鞆の浦,2012年5月18日
OLYMPUS PEN E-PM1,M ZUIKO DIGITAL12mm/f2.0
ISO200,露出補正-1/3,f6.3,1/640,iFinish
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする