京料理 道楽のブログ

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《持ち場》

2011-01-14 | Weblog
昔の料理屋では、仕事の持ち場がそれぞれ決まっておりました。「しん」とは板長のことで、献立を考えて板場全体を監督します。

「板(板前)」は、刺身をひいたり、果物を切ったりします。文字通り一番立派なまな板の前に立ちます。「向板(むこういた)」は、造りのあしらいを揃えたり、山葵をすったりします。

「煮方(にかた)」は、椀物や煮炊きもんです。「脇鍋(わきなべ)」は、煮方の下拵えや段取りをします。

「焼き方」は焼きもん全般。揚げもんをする人は「揚げ方」。「盛り付け」「道具出し」「追い回し」…。各お店によって、呼び方や役割は異なります。「しん」が「花板」として刺身をひくところもあれば、「煮方」と兼ねるところもあります。

白ごはんを炊いたり、雑用をしはる「台所のおばちゃん」・「掃除のおばちゃん」・「配膳さん」・「仲居さん」「燗酒をつけはる人」…。出入りの業者もよおけいたはりました。「まな板削り」「鍋修理」「大工さん」「庭師」「道具屋はん」なども定期的にきはりました。

昔は板場での仕事はかなり厳しく、朝早くから、深夜まで休むことのない丁稚の生活は、大変な忍耐がいるもんでした。 自分自身を振り返りますと、ただ直向(ひたむ)きに頑張って、何年も掛かって身についたもんは、今でも決して忘れることはなく、本当に有り難く感謝しております。

現代は、板場の若い衆に厳しく指導をし、営業していくことは無理ですし、料理の世界におきましても、労働時間や賃金に関しても社会通念に反することは、許されない時代になり、どこの料理屋さんもご苦労なさっておられるようです。