書道家Syuunの忘れ物

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大前研一氏の「大胆な歳出減と増税、資産課税強化」という経済音痴

2012-02-04 23:56:26 | 日本の経済議論
大前研一氏の「大胆な歳出減と増税、資産課税強化」という経済音痴

大前研一『ニュースの視点』というメルマガがある。
以前に「日本崩壊を助長する大前研一氏には野田政権がよく似合う」と言うエントリーを上げておいた。
ここで「野田新内閣発足~リーダー必須の思考力で国難を乗り越えよう。」という記事を再録してみる。

「▼野田内閣の人事は、それなりに評価できる2011/9/9
今回の閣僚人事の評判はあまり良くないようですが、私はそれほど悪いものとは思っていません。党3役の幹事長に小沢氏に近い輿石氏を、政調会長代行に自民党と対話ができる仙谷氏を任命するなど、小沢氏と対立し自民党からは叩かれまくるばかりだった菅政権に比べると、もう少し落ち着いて仕事を進めることができると思います。」
「あまりにも喧嘩腰の人事を組んでも結局物事は前に進みませんが今回の人事はそれなりに評価できると感じています。」(抜粋)

また野田新首相自身について財務省の操り人形などと揶揄されているようですが、財政改革が必須である今の日本経済の状態を考えれば、適任と言えなくもありません。

この大前研一氏の観点は、今では笑ってしまうようなものである。なぜなら「今回の人事はそれなりに評価できると感じています。」とかは誰も思うまい。
しかも「財務省の操り人形」を否定する大前氏の観点も見込み違いである。

大前研一氏の議論、論点を言うと普通は「大前研一か!」と相手にされないことが多い。
なぜそうなのかというと、野田政権の本質を看破できなかったように大前氏には何かの「フィルター」が掛かっていると言う感じなのである。
大前研一氏と言うのは、外見は東洋人で日本語も話すのだが、中身は非常にリベラルな米国人という感じがする。
だから日本に対する歴史観も所詮リベラルな米国人並であるし、日本の伝統や歴史を守ろうという姿勢は当然無い。
そしてそのフィルターとは何かというと、日本国民を裏切っても日本政府に取り入ろうという商売っ気である。

従って、2012/1/27版の大前研一『ニュースの視点』では妙な事が書いてある。
『日本国債~明日ではなく今日かもしれない暴落の瞬間』
▼日本に余裕はなし。明日は我が身ではなく、今日は我が身だ

内閣府の試算によると、税収の減少などで2015年度の基礎的財政収支の赤字は17兆~18兆円程度になる見通しで、昨年掲げた目標である財政赤字対GDP3.0%どころか、長期的には3.5%ですら守ることは難しいということです。」

------中略-----
日本の財政赤字を解消するための方法として、私は『大胆な歳出減と増税で日本国債の暴落を防ぐべき』だと主張してきました。」
「日本国債の暴落を防ぐために、万一の際には95%の国債を保有している国内金融機関に、日本国債を売り浴びせないように協力を要請するのはどうか? いう意見があります。私はもうこの方法では対処できないと思います。

わずか5%とはいえ、外国人機関投資家が保有している金額は約60兆円になります。これだけの金額が売り浴びせられたら、それだけで日本国債は暴落するでしょう。」
---------------★
日本の長期金利0.99%、その他経常収支黒字国・ドイツ(1.83%)、スウェーデン(1.69%)、基軸通貨国の米国(1.88%)、そしてスイス0.6%
国債の暴落とは、長期金利が高騰すること、アイルランド7.2%、スペインは5.7%、イタリアは6.5%

ここで大前氏がなぜ日本の銀行が持っている自ら日本国債を売り払うのかと言う疑問である。
日本国債は日本円で発行されているから、余程のことがあれば日銀が買い取ればそれで済む話。
そして、現在外国人機関投資家が日本国債の購入を進めている状態であるのになぜ日本国債は暴落すると言うのかと言うことである。

(共通通貨建て(ユーロ)で国債を発行しているEUのフランスなどと、自国通貨建ての日本を混同する間違い)

大前研一氏が経営コンサルタントのくせに経済の基本も知らないというのは次ぎに示されている。
ですから基本的には、日本国債が暴落しないように今から手を打つべきで、それが『大胆な歳出減と増税で日本国債の暴落を防ぐべき』です。日本のプライマリーバランスが均衡するためには40兆円のギャップがあります。これを埋める『決意』が必要です。」

そのためには消費税は最低でも『+8%』で『13%』に上げざるを得ないでしょうし、20兆円規模のコストカットとなると、国家公務員や学校の先生などの数を25%くらいカットする必要が出てくると思います。」

例えば、日本の銀行が日本国債を売り払って、国債金利が上がったと仮定しよう。

そうしたらどう言う事が起きるのかと考えると思わず笑ってしまうことになる。
国民は、即刻銀行から金を下ろして直接高い金利の国債を買うと言う事になる。
(例えば、10年もの国債額面100万円のものが50万円で買えると言うこと。)
なぜなら、銀行に預金しているのは日本国民であって、銀行の資金では無いと言うことである
今まで銀行が買っていた国債を今度は国民が直接買う事にって、金利は上がらない、即ち暴落しない。
他方、取り付け騒ぎになった銀行は破綻するかも知れないことになる。

すると、銀行は国債を売り払うことが出来ない。
大前研一氏の言うことは出鱈目なのだろうね。

「大胆な歳出減と増税」によって経済のダメージを受け、税収が減れば「日本国債の暴落」する可能性があると言うのは間違ないから大前研一氏の言ってることは真逆である。

IMFではこんなことが書かれている。

財政調整:過ぎたるは及ばざるがごとし?
2012年1月29日

カルロ・コッタレリ
結論
多くの先進国の政府債務が依然として著しく高い水準にあり、中期的に債務を削減する財政調整が不可欠です。大半の先進国が、今年、財政赤字の削減に取り組む予定です。しかし、成長が予想以上に鈍い場合、成長をさらに損ねることになっても、一層の引き締めを行い短期計画を堅持しようとする国もあるかもしれません。そうした国に対する私の結論はこうです。『必要がないなら、実施すべきではない』

IMFの分析は大前研一氏とは全く逆な事を述べている。

緊縮財政と市場の動き

ただし、少なくとも今般の危機においては、市場の動きはこれ以上に複雑です。確かに、市場は巨額の債務や財政赤字を嫌いますが、低成長も好みません。

以下はスタンダード・アンド・プアーズの引用です。『雇用の確保や可処分所得に関する消費者の懸念の高まりに呼応し、内需が落ち込み税収が損なわれるなか、緊縮財政のみを柱とした改革プロセスは、自滅する危険性がある』」

「IMF の分析の一部が、これを明確に示しています。
債務比率と財政赤字の縮小とともに一段と急速な短期的経済成長も、国債の金利の低下につながります。

従って、加盟国が財政の引き締めを行い経済が減速すれば、財政のファンダメンタルズの改善から得られるプラスの結果の一部が、成長の鈍化により損なわれるのです。
経済成長とソブリン債スプレッドとの非線形関係の証拠も見て取ることができます。
成長が既に減速し、財政の引き締めが強化されると、スプレッドがさらに上昇する傾向があります(図を参照)。
財政引き締めの結果、成長が十分に低下すると、財政赤字は縮小するなか、金利は実は上昇する可能性があるのです。

-------------------★★

 近年のIMFの経済路線は従来型の緊縮財政、増税によってアイルランドなどが破綻にひんしたことを受けて今や路線変更をしている。

要するに大前研一氏は、企業や家計の経済と国の経済を混同している。
従って、GDPと税収とは相関関係も意図的に分かっていないのではないかという疑惑がある。

財政再建の達成とは「政府の負債対GDP比率の改善」という定義になっている。
従って、名目GDP即ち景気が良くなれば負債が大きくても財政再建されたと言うことである。

その他 2012/2/3
▼今こそ、資産課税が必要だ」というところまで来ると、大前研一氏と言うのが実は共産主義思想に染まっていることが良く分かる。

余りに馬鹿馬鹿しいので全文を再録して見る

「内閣府が25日発表した2010年度の国民経済計算によると、10年末の土地などの資産から負債を差し引いた国全体の正味資産(国富)は前年比1.2%減の3036兆2000億円となりました。
この3000兆円という数字は、ぜひ記憶しておいて欲しいと思います。国の資産には、「金融資産」「土地などの非生産の有形資産」「在庫や工場などの生産資産」という3つがあり、正味3000兆円になります。

私がずっと主張してきている「資産課税」は、この3000兆円部分に課税するという考え方です。

正確に言えば、工場が生産に利用している在庫などは対象外とするので、3000兆円弱が課税対象となります。
家計資産だけを見ても1000兆円を超える金融資産があり、さらに土地もあります。

こうした部分に、わずか1%の課税をするだけで3000兆円を課税対象とすれば、30兆円の収入になる試算です。少々資産が目減りしたとはいっても、未だに3000兆円の潤沢な資産があるのですからこれを利用しない手はありません。

私は様々な本や記事で、資産課税について説明してきました。
ぜひ、これを実現させて欲しいと思います。

もしこういうことになったら、日本の企業は海外に出で行き中小企業も日本国内ではやって行けないことになる。
即ち可処分所得の減少は、デフレと共に失業者が溢れ、資産課税が払えないから資産は競売差し押さえで国民は貧乏になってゆく。財政再建どころか益々破綻である。
大前氏が住んでいる米国でそんなことをするのかと言えば一笑に付されるというのは当たり前の話。
要するに大前氏には関係が無い。

しかも、収入とは関係なく固定資産税という税が掛かっている土地に新たに税をかけるというのは無理がある。
こういうふうに見てゆくと、大前研一氏というのは日本解体を目差すくせ者でしか無い。
誰もが大前研一氏の考えを聞いて馬鹿にするのはもっともなことある様だ

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