書道家Syuunの忘れ物

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儲けすぎた男―小説・安田善次郎を読む・前橋の歴史

2010-09-11 12:40:53 | 映画、書評など

儲けすぎた男―小説・安田善次郎を読む・前橋の歴史

「安田善次郎(1838~1921)実業家・銀行家。日本橋の両替店「安田屋」から金融業を成長させ、一代で安田財閥を築いた安田善次郎。金融・経済界の発展だけでなく、東京大学安田講堂の寄贈など社会事業にも貢献した銀行王の知られざる生涯を、厖大な日記・手控を駆使し克明に描き出す。」(安田善次郎―果報は練って待て・(「BOOK」データベースより)

儲けすぎた男―小説・安田善次郎

安田善次郎の伝記を探してみると、最新のものまで数々ある。
それは、上述のデーターベースに書かれているとおり「厖大な日記・手控」と言うだけでなく、 安田善次郎本人の書作、「富之礎」、「克己実話」、「意志の力」、「富の活動」やその他膨大な記録によるところが多いようだ。
この「儲けすぎた男―小説・安田善次郎」は、近刊と言うこともあって以前に出された安田善次郎の伝記の一部を作品としている。
それは、「東京大学安田講堂を寄付した人物」と冒頭に上げて、安田講堂の由来を説明して読者の興味を引くものである。
しかし、書かれているのは富山の田舎からで出来て、露天商の銭両替屋から安田銀行を作るまでである。大方明治13年(1880年)頃までの話。
江戸から東京に時代が移るときの大変動期、この安田善次郎の様な人物は日本中に沢山いた。実際はこの安田銀行が出来てからの後がその他の「旭大尽(あさひだいじん)」と言われた人達との違いである。
この「旭(朝日)大尽」という言葉は、小生も知らなかった。この言葉が出たのはもう随分前に、ある税理士が揶揄して言った事からである。
予測がつく事は「朝日将軍(旭将軍)」・木曾義仲である。
寿永3年(1184年)1月15日、征東大将軍宣下とあるから、正真正銘の将軍になったものの敗死(討ち死に)。それで一夜将軍というような意味合いをものものである。
即ち、「旭(朝日)大尽」とは一夜成金という意味であろう。
その一夜成金たる朝日大尽というのがこの安田善次郎の明治13年頃の話である。
少し話が逸れるが、明治14年、1881年という年。
この年は小生が住む群馬県前橋市にとっては象徴的な年になっている。
それは、「1881年に正式に群馬県庁が前橋に置かれました」(前橋リビングガイド・前橋市の歴史)とある。
前橋市が県庁所在地になったのは、松平氏の厩橋(前橋)城があったからではない。
確かに最初は前橋に県庁があったが、その後高崎に一時的(臨時)に移されたときがあったのである。
高崎も高崎城の堀が今でも残っているとおり、城郭都市で当時としても前橋に劣ることはない。但し、当時は生糸の生産地として前橋は特に活況を呈していたとは事実である。
そこで、生糸商人の下村善太郎氏(初代市長1892年)が、前橋に県庁所在地を戻す運動をして、中央官庁と掛け合い100,000円を用意すれば県庁を前橋に定めるとされた。
そこで、下村氏は現金10,000円を出資。
あとの90,000円をその時の「旭大尽」に出資を募ったのである。
(現在の2億円くらいか、ちなみに当時の安田銀行の資本金は20万円。但し安田善次郎総資産62万円超)
実は、小生の先祖の其次郎翁がその大役を引き受け、自らも5,000円を出資し募金を成し遂げたのである。ちなみに其次郎翁は公園整備など当時の前橋市の貧弱な財政事情を鑑み、不動産を買っては寄付を繰り返したもののその名は残っていない。
その後の旭大尽は、戦後のGHQによる財産税(税率90%)でほとんど破綻(物納により)し、その寄付を拒否した「不動産金融の高利貸し」が現在まで残ると言うのが実態なのである。
従い、小生の先祖のことを言われてsyuunの家は明治の「旭大尽」だったと馬鹿にされたのがあの税理士の言葉だったのである。
群馬には山崎種二という元の山種証券株式会社を起こした人物がいる。
米相場の相場師から証券会社を起こしたものの、1893年(明治26年)生まれで後世代になる。
それにしても、この安田善次郎の金儲け、金の儲けすぎは尋常ではない。
戦前の四大財閥の内、小説に出で来る三井財閥は江戸時代からの幕府御用の本両替商。安田善次郎は、単なる銭両替屋にすぎなかったし、三菱の岩崎弥太郎は政商として新政府に取り入っていたはずである。
この岩崎弥太郎が巨万の富を得るのもこの安田善次郎が大儲けした「各藩が発行していた藩札を新政府が買い上げ、藩札を大量に買占め莫大な利益を得る。(ウィキペディア)」のも同じ。
但し、大久保利通の死後、明治14年(1881年)には政変で大隈重信が失脚し、福沢諭吉の慶応閥と組んだ岩崎弥太郎は政府から排除される事は書かれていない。

元々金融という直接金に係わる事というものは、何時も妙な事が多いと共に儲けすぎという事が多い。
あの楽天でさえ、楽天市場という架空商店街よりもクレジットカードや銀行、証券などの金融に力を入れていると言うことから見ても「胡散臭い」という感じは否めない。
そして、安田善次郎は、露天の銭両替屋から店を持っても両替の行商するワケだが、こんなもので大金持ち(旭大尽)になれるはず無いのが常である。
不動産屋の話で、一見して儲かりそうなものだが、真面目に誠実にやって一生かかって自宅の一軒が持てれば大成功した口なのだと言う。
明治維新や戦後の混乱期でもない現代では、どこの世界でも一攫千金や人を泣かせないで大金持ちになるなどいうのは皆無に近いと思われる。
だから、この安田善次郎も普通なら単なる銭両替屋、そして銭両替屋が成立しなくなった以後は乾物、鰹節屋で終わってしまうところ。
それが、幕府の金貨改鋳に絡む「古金、古銀の回収」による大儲け。
「太政官札の買い占め」、「公債、秩禄公債の買い占め」と普通の人なら一生に1回ありつくかどうかの大金を三度も経験していることである。

種々の伝記や記録を読むと、人というのは一生に一度はその分に相応(ふさわ)しい大金を手にする。
それが、会社員などのの退職金であることも多いだろうし、そうでないこともある。
但し、人生のどの時期でその大金を手にするのか、それによって人の人生というものは変わってくる事がある実態を実感させられる。
しかし、何時の代の常識でも血気盛んなときに大金を手にするときなどは皆無に近い。
大方、もう何もすることがなくなった引退の時期の手にする退職金。
大金持ちになるには年が取りすぎてた時期。そして、それで事を起こして成功したと言う話はほとんど聞かないのが実態でもある。
それにしては、安田善次郎の大金を手にした時期というのは「金持ちになれ」と天が差配しているように思えてくる。
第一銀行への出資を避けて破産を回避したのも、安田善次郎の先見の明ではあるけれども、
「天は自らを助ける者を助く」とはよく言ったものである。

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