書道家Syuunの忘れ物

趣味のパソコンやカメラの実機レビュー、書道展の情報発信、CyberLink MVPなのでYouTube配信をしています。

米国の深謀遠慮・2010年度農林中金破綻の筋道

2009-02-09 17:32:21 | 日本の経済議論


米国の深謀遠慮2010年度農林中金破綻の筋道

米国がオバマ政権になって以降も米国経済において、抜本的な回復策というものは聞こえてこない。
この件に関して、以前のエントリー「強いアメリカ、強いドルを標榜するオバマ政権」その他で、いずれ「ゼロ金利政策」に見切りをつけ高金利へ移行すると述べた。
高金利へ移行すると言っても精々FF金利は4%以上にはならないと思う。
ところが、4%と言う数字が高金利に見えてしまうから今まで如何に低金利であったかと言うことがよく分かる。日本のバブル経済以前では、郵便貯金では複利で10%で運用できる本当の高金利時代があったことから見れば驚くに値しない。
そのブログエントリーに中で、米国政権が高金利政策に転換して、米国債を日本、中国などに買わせて経済を立ち直らせると言うシナリオの前提に
「米連邦住宅抵当公社(ファニーメイFNMA(Federal National Mortgage Association))と米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマックFHLMC(Federal Home Loan Mortgage Corporation))など民間会社の政府保証を破棄する。」
要するに、この債権処理をしない限り立ち上がれないと述べた。
ついでに言えば、産経新聞編集委員 田村秀男氏が「推測するとおり」米国はドル安維持が望ましい。
なぜなら、ドル安ならばより多くの米国国債を買ってくれるからである。どうせ償還しない紙切れであるから多く買ってくれればそれだけ米国経済が助かるというものである。
しかし、債権を償却してしまうというのは中々難しい。
ところが、債権を限りなくゼロに近くする方法が別にあった事に気が付いた。


「ムーディーズ、米ローン証券格下げへ…金融機関にも打撃(読売新聞2009年2月8日02)」「【ニューヨーク=山本正実】米格付け会社のムーディーズ・インベスターズは6日、計3026億ドル(約28兆円)分の米国の商業用不動産ローン担保証券(CMBS)の格付けを下げる方向で見直すと発表した。
 金融危機の影響で金融機関などが都心部のオフィスビルから撤退、ビルの持ち主がローンを払いきれなくなり、CMBSが債務不履行に陥る可能性が高まっているためだ。格下げでCMBSの価値が一段と下落すれば、CMBSを多く保有する金融機関の経営にも打撃となりそうだ。
 格下げ検討の対象は、2006~08年に発行されたCMBSが中心とみられる。」

この記事にあるように、証券の格付を合法的に下げてしまうと言う手法がある。
確かに、債務不履行が多くなって価値が無くなれば格付は下げなければならない。
最終的には、ジャンク証券、債権と言うことになるかもしれない。
そして、その時前出の田村秀男氏が言うようにドル安が進めば、持っている債権者の外国金融機関の債権は限りなくゼロに近くなる。
そうなった時、時価会計を行っている金融機関はその資産を償却しなければならない事になるかもしれない。その時、米国は「金融危機の元凶になった証券化商品の償却が出来る。」ことになる。
さて、日本ではどうなのであろうかというとこんな記事がある。

「農林中金3月期増資、1.6兆円に 国内最大級(朝日新聞)」「‥‥‥に有価証券で運用しているため、金融危機が直撃。09年3月期は、大幅赤字に陥るのは必至とみられる。赤字になれば『住専』の処理に追われた96年3月期以来13年ぶりだ。元農林水産事務次官の上野博史理事長が3月末に引責辞任し、後任には河野良雄副理事長を軸に初めて生え抜きをあてる方向で調整している。
 すでに08年9月中間決算の時点で、証券化商品や投資信託などの含み損が1兆5737億円(単体)に膨らみ、自己資本が目減り。『09年3月期に含み損が倍増しても財務の健全性を示す自己資本比率10%を維持できる想定』(役員)で自己資本を厚くする。‥‥‥‥」(産経新聞では、「上野博史理事長が退任する方向」であって「引責辞任ではない。」「上野理事長は、JAグループからの1兆数千億円規模の資本増強が3月末には完了、財務の健全性を高めるめどが付いたため、体制を一新する方針。」)

要するに、政府からの資本注入を避けて、今の天下り理事長は満額の退職金を貰って勇退し(?)、責任を取らされそうな天下りは来ずに、「後任には生え抜きの河野良雄副理事長」が就任するというわけだ。
予てから言われていたように、「政府からの資本注入」されると「退職金」の辞退というのは当然らしいから、早々と逃げたと言うところだ。
天下り官僚が逃げる、そして続いて天下り官僚がこないというのは、その組織が天下り官僚にとってもう甘い汁の組織ではないということ。

農林中金は、今年は何とか増資で乗り切ったが、「時価が簿価を下回る『含み損』は1兆5737億円(日経新聞)」とあるように、来期以降益々「含み損」が増える傾向にある。
その上、債権の格付が下がれば急速に進むはずだ。
間違いなく、平成21年度には同額以上の「含み損」が目に見えている。
その時は、政府による「資本注入」しかあり得ない。
要するに破綻と言うことになる。
その時、日本はどうするのか、今からでも考えておく必要がある。