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書道家Syuunの忘れ物

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為替介入を主張するホンダ・福井威夫社長の経済感覚

2008-11-07 00:24:04 | 日本の経済議論

為替介入を主張するホンダ・福井威夫社長の経済感覚


「トヨタ、営業利益が7割減に…09年3月期決算見通し」とは、今日の読売新聞他各新聞社の記事である。
国内製造業で売上高トップのトヨタが業績の大幅下方修正を迫られたことは、企業業績の悪化が深刻化しつつある現状を浮き彫りにした。」と書かれている。
元々、日本では景気低迷と車の維持費に膨大に税金がかることから、少なくともその抵抗で車の買い換えのサイクルを増してきた。
誰だって、買うときの経費が下がればこの時と思うが、今更大枚を払って買い換えても何のメリットはない。
これが以前から言っていた、景気対策としての車に関する減税なのだか、どうも実現しそうにもない。
一方、日経新聞には、
‥‥ホンダ社長「為替介入当然やるべき」国内で輸出車減産 ‥
ホンダの福井威夫社長は6日の新車発表会で、為替相場の動向について「為替が安定しないと(業績)回復のきっかけがつかめない。政府は動かないとダメで各国との協調介入も当然やるべきだ」と述べ、政府は為替相場を早期安定化に尽力すべきと強調した。
‥‥‥とある。
こう言うのを余程のノーテンキというか、「馬鹿抜かせ 」と言うものだ。
なぜなら、為替介入というのは日銀か政府が米国債か、あの米国の資産担保証券(ABS)や債務担保証券(CDO)を買うということであって、この時期こんなものを買えるはずもない。
しかも未だに「円キャリー取引」の逆転現象が生じて急激な円安には戻りそうもない。
要するに、今円ドルの介入というのは無理な話だ。
何と言っても、米国がドル紙幣を増刷し、一方日本の円は増えていないから相対的にドルが安くなると言うのは誰でも分かる経済原理だ。
なぜ日本の経済人は「内需拡大」と言わないのだろうか不思議なものだ。

その上、米国では今までなんでもローンで買い込んでいたのだが、そのローンがクラッシュしたのだから今後も中々車も売れるわけがない。
あのアイスランド経済破綻のその後‥‥の記事が大きく報じられたコラム記事(読売夕刊2008/11/03頃) の写真には、一見テレビのマイホームドラマに出てきそうな広い居間に大きな液晶テレビ。
品の良い身なりをした夫婦が新しそうなノート型パソコンを見入っている姿だった。
振り返って我が身を見れば、狭いマンションの居間にまだ25インチのブラウン管テレビ(を見ずに)ではなく、15インチ液晶テレビ。
服装は着古したユニクロ‥のユニクロ崩れ、ローンは嫌いで借金はないとはいうもののどう見たって貧相ではないか。
こんな財布の紐の固い連中に物を買わせようというのが、実は最近の商法はずたろう。
何と言ったってゼロ金利同然で、利子はほとんど無し。
余裕資金などあり得ないのだ。
あのライブドアとフジテレビとの文化放送株でもめたとき、時のトヨタ自動車社長、日本経団連会長の奥田碩(ひろし)氏は、トヨタ自動車が持っている膨大な文化放送株はライブドアとフジテレビどちらにも売らないと公言した。
そして付け加えて、売るときはこの件が収まったときに少しずつ売る。
ところがどっこい、その様に高値安定させたまま最高値で(ライブドア側)に売り抜けた。(報道による。トヨタ自動車の持ち株売却後、その分程度がライブドア側で増えた事実から推測。)
よくよく見れば、庶民には出来ない結構きたないことでもやるというのはが彼らの本質。
ここで国民に負担をなど言うのが大間違いだ。
ホンダなど元々米国では米国生産が主。
何を甘えているのかと言うものだろう。

そして、最近の日本株の様子を見ると、日銀が利下げをした効果など全く雲散霧消した。何と言っても、再三言うように利下げによってマネーサプライが減るのが大きい。
政治は、未だに経済問題ではなく、10月末に突然発狂したかのような自民党、野党、マスコミの前航空幕僚長の更迭問題。
朝日新聞は、「『4幕僚長、国会同意人事に』民主が法改正案提出へ」と書く中で、「国会が幕僚長候補の所信を聴取したうえで同意・不同意を判断すれば、田母神氏のような政府見解と異なる信条を持つ人物の起用を防ぐことができ、文民統制の徹底につながると判断した。」と口を滑らせてしまった。
それは、「(田母神氏のような政府見解と)異なる信条を持つ人物」ということである。

浜田防衛大臣は6日の参議院外交防衛委員会で、
今回の件の重大性を考えれば、退職金の自主返納ということで、わたしとしては本人の判断を待ちたい
そのうえで、浜田大臣は、懲戒処分ではなく定年退職とした理由について、
懲戒手続きを行いたかったが、懲戒免職という形をとろうとすると、手続きに10か月以上かかる場合がある。今できる一番早い処分ということを考えて、今月3日の定年退職ということにした」と述べたが、嘘も方便というところだろう。

防衛省は、「信条」を理由として「懲戒処分」をすることが出来ないとして「定年退職」させたのであったはず。
それは、もし「懲戒免職」とすると憲法との絡みから裁判で100%負けるからである。
もし勝てるとするなら、軍法会議でしかない。ところが、自衛隊は「警察予備隊」で軍隊ではないから軍法会議はない。
そして、軍隊でないものは憲法の枠内にあって、何人犯すことが出来ない。
浜田防衛大臣というは、全くノーテンキだ。

ジャーナリスト・東谷暁氏に異議あり

2008-11-04 21:42:00 | 日本の経済議論

ジャーナリスト・東谷暁氏に異議あり


産経新聞Web2008/11/04「【今日の突破口】ジャーナリスト・東谷暁 枠組み抜け出せない日本」と題して、東谷暁氏が記事を書いている。
東谷暁氏とは、最近では雑誌「正論」で「日本経済の突破口」、「寸鉄一閃」という記事を連載している。
しかし、今現在のところ11月号では専門外の筈の「パール判決書」で小林よしのり氏に噛みついたり、その他八木秀次氏に言いがかりを付けたりと支離滅裂な大活躍をしている。
そして、現在発売中の雑誌「正論12月号」では、小林よしのり氏に「寸鉄一閃(11月号)」で本論の「パール判決書」とは別の論点でケチをつけ、本題の「パール判決書」に触れないとやり込められている。
この東谷暁氏の論調については、以前訳も分からぬ参考文献の抜き出しばかりで文章を構成していると批判した。
一方、経済問題に関しては、未だに小泉政権の構造改革と郵政民営化を強く非難するのが持論となっている。
ところが、小泉政権の郵政民営化とは元々小泉氏が常々言っていたとおり、郵便貯金の絡む第二の国家予算となっていた「財政投融資資金」の問題であった。
これが役人の裁量だけで運用されて、天下り法人への無駄な補助金として、又再現もなくODAとして使われた。
それの尻ぬぐいするのは、国家財政の危機としてとらえたからである。
その上、構造改革は小泉政権以前に、為替、貿易、防衛問題と絡めて脅されて約束させられた案件である。
不思議なことに、東谷暁氏というのは、こういう事情は一切無視する傾向がある。

さて、【今日の突破口】ジャーナリスト・東谷暁 枠組み抜け出せない日本」の記事では、小泉政権の経済政策を批判しなから、
(http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/081104/plc0811040304004-n1.htm)

「米国の証券取引委員会(SEC)は9月30日に時価会計の適用緩和を打ち出し、10月の先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)でも凍結が示唆されたが、欧米で議論が始まったのは、実は、いまから半年以上も前のことだった。それは当然のことだろう。不況期に時価会計を継続すれば破綻(はたん)企業が続出する。過去においても、ルーズベルト大統領が就任後すぐに行ったのは時価会計の凍結であり、高橋是清蔵相も国債への時価主義適用の停止を断行した。」

‥‥と書いて、小泉政権で時価会計の見直しをしなかったことに対して

「小泉政権のある経済閣僚経験者は、日本の不況が続くなかで時価会計の見直し論が出てきたとき、そんなことは世界の恥だと思ったと回想録に書いている。」
として、
「しかし、国際規約といえども危機に際しては、世界に日本の事情を説明することで、弾力的な運用をすることが可能だったはずだ。それをしなかったのは、定められた枠組みを金科玉条のごとく崇拝する、日本の政治家や経済学者の奇妙な性癖のせいといってよい。」

こんな風に批判している。
我々の一般庶民ならともかく、一応ジャーナリストと名前が付いている人物がこんな認識なのかと唖然とする。
なぜなら、日本がバブル崩壊の後の後遺症と共に、その経済政策の失敗から未だに内需主導型の経済に移行できていないとき、米国では今で言う債権バプルで好景気だった。
当然、今のEU、金融立国を打ち立てたアイスランドの惨状を見ても分かるように、当時は大好景気だったはず。
それは、当然時価会計やBIS規制は、当然のように機能していた時代。日本だけが経済政策の失敗で不況だから「時価会計やBIS規制」を見直すと言うことなど出来るはずもない。
そして、BIS規制自体、日本がバブル経済で浮かれていたときに、日本の官僚が当時の「株高」から何も考えずに歓迎した結果だったはず。

そして、お笑いなのは「高橋是清蔵相」の話。
「時価主義適用の停止を断行した。」と書かれているが、いわゆる経済の主導を握る米国が「不況なら」許されることで、日本単独で許されるはずがない。
まして、東谷暁氏が言うように、「国際規約といえども危機に際しては、世界に日本の事情を説明することで、弾力的な運用をすることが可能だったはずだ。」
として、実行していたら日本の銀行は国際決済を停止させられて海外で活動できなかったことは間違いない。




近年「『国連』という錯覚」‥日本人の知らない国際力学‥‥内海善雄著
を読むと、東谷暁氏のようなノーテンキな思考回路では到底認められないと言うことがよく分かる。
はっきり言って、東谷暁氏にはもう訳の分からない「戯れ言」はもういいと言いたい。
そして、常に過去を振り返って批判ばかりするものの、それでは将来の経済の方針はと聞けば、「米国経済に毒された」マスコミと同じように‥異口同音に‥‥「日銀の利下げ」しかいわない。
そして、それしか考えが浮かばないというのは、多分東谷暁氏が大嫌いであろう旧帝国軍人参謀殿と同じ思考回路であると言って間違いない‥‥のではないか。


ここで少し補足をしてみたい。
なぜなら、産経新聞のWeb版に書かれた事は、雑誌「正論」12月号の
「日本経済の突破口」第6回の前半に書かれていることとほとんど同じであるからである。
そこで「いまだにサッチャー改革やレーガン革命が無条件に正しかったと論じる日本経済学者や政治学者およひ評論家は少なくない。しかし、その内実について検討することなく称賛するのは、‥‥以下略」
といかにも日本が「レーガン」の政策を真似して実行した風な書き出しだ。
ところが、日本では官僚の抵抗と、社会主義に傾倒した政治家によって
「サッチャー改革やレーガン革命」などどちらかと言えば一つも実現していない。
実現したのは、日本は米国に対する金、技術その他の「みつぐ君」となることぐらいであって、逆に、バフル潰しという社会主義的思考が蔓延して、失われた10年を創出させると共にも増税路線となった。
東谷氏は、レーガノミックスによって、「福祉国家に傾斜したアメリカを自由主義に戻した」と評価しているのではなく「酷評」している。
思想的に、民主主義的というよりも社会主義的であり、反米思想で塗り固められたような経済論評というのは、実は迷惑至極である。
それならばいっそこと、米国的経済思想も捨ててしまえばよいものを、後生大事に抱えているようなのでいつも議論は支離滅裂で何がいたいのか分からぬ案配だ。
但し、おまえは頭が悪い‥‥と言われてしまえば、それまでというものではある。


株、債権に期待出来ず、内需主導での景気回復として不動産の次に来るもの

2008-11-03 12:31:32 | 日本の経済議論

株、債権に期待出来ず、

内需主導での景気回復として不動産の次に来るもの


「きしむ暮らし」‥‥「通知書1通『派遣』クビ」という記事は、2008/11/03読売新聞朝刊の記事である。これは、日本の輸出産業の基幹の一つである自動車産業の人員削減の一幕である。
近年の自動車産業というのは、世界中に工場を持ちそこで組み立て生産をしている。
しかし、今でも主要部品として3-40%程度は日本国内から、場合によっては車そのものを輸出することもある。
今日の読売記事以前にも、この秋の金融恐慌で仕事が減ったという記事には不思議と自動車産業が多い。
バブル以前では、不動産、建築という住宅産業というものが景気の底上げに貢献した。
その理由は、いわゆる大家族から核家族化への流れで住宅を必要としていたからで、今でも続くというものの「バブル潰し」のために今や見る影もない。
その崩壊は、「景気循環の輪」を断ち切ると共にデブレスパイラルに導かれたことで、今でも「羮に懲りて膾を吹く」状態になっているのは、金融機関による不動産業への貸し剥がしを見れば明らかだ。
さて、その不動産の次に来るものというのは「車」であることは、以前でも米国の例として述べたようである。
しかし、日本では車は贅沢品という元々の思想の元にかけられた税金、そして取れるところから取れと考え出された揮発油税などによって高負担を余儀なくされて、事実上制限されている。

本来日本経済は、国内景気を刺激して内需主導を喚起すべきであったのだが、日本の金融政策担当者、マスコミはあの「ハブル潰し」と全く同じ思考回路で日本経済を潰した。
なぜなら、米国経済の指標には、「不動産で持つ資産」と「預金、貯金で持つ資産」が入っていないからだ。
米国経済での資産とは「株、債権で持つ資産」のみであって、あのメリルリンチが山一証券の後を継いで日本に進出したとき、全財産を預けてくださいというのは「株、債権」だった。
結果、予定の「株、債権」が集められず、又資産として集められた「株、債権」は株安、債券安で元値の半分として戻された筈なのは「苦笑」を禁じ得ない。
映画で見ると、ジェームズ・ディーン主演の「『エデンの東』(East of Eden)1955」。
確か、その中で米国の大恐慌の遭遇して全財産を無くしてビル上から自殺する「父親」が出で来る。
今回の金融恐慌でも米国で同じ様な自殺者が出たという報道もあったが、日本では聞いたことがない。
一方、日本では発注ミスで22億円を一瞬にして稼いだ個人トレーダーが秋葉原のビルをキャッシュで90億円で買ったという話が出でいるくらいである。

その内需を無視してまでも何とかここ数年日本経済が一部回復したというのは、米国の「借金経済」を元にした金融バブルであったことは誰の目に見ても明らかである。
その間、日本は「預金、貯金で持つ資産」を低金利政策として目の敵にして来たというのが事実である。
そして、「預金、貯金で持つ資産」よりも株、債権へと金を海外のより高い利子を求めて債権を買わせる事をしてきたことも事実である。
そして不思議なことに、今回の利下げに関してマスコミ論調では、
「日銀は量的緩和に歯止めをかけゼロ金利を避ける、というのが今回の利下げの真相なのである。とすれば、日銀は自身の利害を優先して危機対策という大局を見ない、狡(こす)いやり方ではないか。」(産経新聞・【円・ドル・人民元】「狡(こす)いぞ日銀」2008.11.2)
と金利の下げ方のタイミングと利下げ幅の不満をぶちまけているものがある。

冗談言っちゃいけないよ‥‥とは庶民の意見だろう。
この利下げで、日本国民の懐に転がり込む利息約1兆円という金が少なくとも1年以内に消える。
一方、利下げによって貸出利子はほとんど変わらないのが普通だ。なぜなら、変動金利型ローンでも根拠となるのは長期金利。
貸し出しは、新規の貸し出しに限るからである。
マスコミは利下げ、利下げと叫ぶが、結局日本の内需の足を引っ張っている。
今まで、10年以上低金利政策を続けながら、いっこうにその低金利の効果が生まれないのならどういう理由なのか考えたことがあるのだろうか。

先の大戦中、陸海軍の参謀殿が敵に「見破られてしまった作戦」に対して、なぜその作戦が上手く行かないのか「(陸大・海大で習ったことに反して)おかしい」と連発しながら、またも同じ作戦を繰り返すというのに似ている。
海軍ではと思うこともあるかも知れないが、ほとんど戦果も上げられずに撃沈されてしまった潜水艦でもそうだった。しかし、戦後まで生き残った潜水艦もあった。
その艦長は、陸大・海大も出でおらず、生き残った理由を簡単に述べた。
それは、「昼間浮上して、夜間潜航していた」ということにすぎない。
潜水艦は、夜間浮上して充電するが、これが夜間戦闘機の標的になった。月夜などだと海面に浮上している潜水艦はよく見えるそうだ。
学校で習ったことが、実地体験で違っていても「理論が正しく現実が異常だ」というのは元々その理論が間違っていると普通なら考える。
しかし、その様に考えないのが頭が硬直した学校秀才という人達だろう。
だから、日本にはノーベル経済学賞をとる人物が生まれないというものだ。
まるで、今の小学生の勉強を見るようである。

今内需拡大を叫ぶが、政府の掲げる景気対策の内容が批判を受けるのは、この金融恐慌、株安に対して影響が出なかった国民、産業に対して金をばらまこうとしているからだ。
特に、公明党などはかっての「地域振興券」の失敗を反省していないなど政権政党にあるまじきだ。
内需拡大とは、金を使えば使うほど減税効果があるということにつきる。
金のない人に金を使わせるというのは、米国のサブプライムローンと同じで破綻を招く。やはり金持ちに金を使わせるしか、そうでなくとも小金持ちに金を使わせるしか今の内需拡大はないというのが間違いない事実だろう。

取りあえず、車の購入に関して大幅な優遇措置でもすれば、古い車を買い換えるという需要も生まれる。
何と言っても、あと3年経てば10%の消費税となるとなれば、日本経済の破綻は目の前に迫っている。
まだ余力のあるうちに、又商品が売れずに在庫処分をしているうちに、耐久消費財を買って、10年後に備えるという庶民のいると言うのは間違いない。

日銀、0・20%の利下げ・これで景気はさらに悪化する。

2008-10-31 15:32:17 | 日本の経済議論

米国が利下げした関係から必ず利下げすると思われていたとおり、0.2%利下げして0.3%とした。ここで0.25%利下げしなかったのはせめてもの慰めというものだ。
この様に疑問を持つような利下げをしなければならなかったのは、少なくともこの春にEUが利上げをしたときに利上げを躊躇した付けが来たというものだ。
日経新聞の報道によると「日銀は31日の金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を年0.5%から0.2%引き下げ、0.3%とすることを決めた。」とあるだけでなく、「今回の利下げは政策委員8人のうち賛成4人、反対4人の同数となり、最終的に議長の白川方明総裁が決めた。」とあるように利下げには反対論が多い。
それは、近々米国が再利下げをする可能性があるからだ。次回米国が0.5%にそして、ゼロ金利政策に移行したら日本もそれにつれて悪名高い「ゼロ金利政策」に戻るのかというものだ。よくよく見てみれば、EUは大幅利上げしてあったから利下げの余地が充分あった。しかし、日本はどうしたことだろうかというものだ。
さて、「政策金利を下げると銀行融資の金利も下がるため、企業や個人がお金を借りやすくなり、消費や生産活動の活性化が期待される。」と書く論調もあるが、こういう人達は金を借りたことがないこと人達だ。
なぜなら、金融機関は政策金利を直接融資の利率に反映しないからだ。
中小企業などは、上場企業とは違って元々貸出金利が高い。
たとえゼロ金利政策になっても率など変わらないと言うのが真実だ。
まして、借り換えなら従前通りの金利が適応されると言うのが常識で、多少安くなると言うのは新規の場合だ。
今不動産業には、貸しはがしをしている最中であるし、新規に貸し出すところは危ないところばかりと言うなら、リスクをとって高い金利で貸さなければ元(元金)も子(利子)も取れない。
もっとも、危ないところは、高い金利をふっかけてリスクを金利で補うのだが、今は貸し出ししない方が得というものだ。
結局、国民は預金の利子がまたまたゼロに限りなく近くなるから、しばらく金を使うのは我慢を強いられる。
それで、最近地方銀行の勇・群馬銀行などが「ピクテ資源国ソブリン・ファンド」(2008/10/20広告)という債権を募集しているからと投資したら、為替変動、高い手数料2.1%(群銀)、信託報酬、その他を取られて大損間違いなし。
それならと2008/10/28上毛新聞24面全面広告「ぐんぎんマネープラン」年2%と言うものに申し込むと、半分は投資信託に回され組み込みの「スーパー定期」2%も半年だけ。
結局リスクは預金者持ち、リスクのない手数料は銀行持ちという具合。
ちなみに、「ソブリン」とは、「格付けA以上の先進国の国債や国際機関が発行する債券」なのだが、早い話米国国債で運用するというヤツだ。
こんな今の国際金融恐慌のなかに大事な虎の子を投げ出すバカというのはどこにもいまい。
政府は、内需拡大と言っているがますます懐具合が寂しくなる昨今であることよ。


「追加経済対策」は、車関係の税の減税で

2008-10-30 23:30:19 | 日本の経済議論

「追加経済対策」は、車関係の税の減税で


政府は、「追加経済対策」として「財政支出5兆円、総事業規模26.9兆円に及ぶ新総合経済対策を発表した。」
まあ見てみれば、新味に乏しいというか発想の貧弱が良く分かる。
なぜそうなのかというと、いわゆる東京という特殊な地域で考える景気対策であるからだ。

公明党の言うがままに受け入れた「所得制限を設けずに年度内実施を目指す定額給付金」など全く意味がないというのは、大方の意見で「単純計算で1人当たり約1万6000円」で何を買おうと言うのだろうか。
特に低所得者層なら景気対策というより、生活資金になって単に使われるだけ。
そんなことは、誰だって分かるだろう。
又、「住宅ローン減税」というのは、今だんだん減税効果がなくなってくるのを拡充すると言うもの。しかし、今まともに土地と家を買えるというのは、公務員か上場企業の社員くらいだ。
その上場企業の社員だって、この景気ならいつリストラされても不思議はない。
不動産会社の倒産も多いと聞けば、無闇にマンションも買うことが出来ない。
たとえば関東の老舗の建築会社の井上工業(東証2部)の破産によって、建築が止まってしまったマンション工事がある。
こんなものを買った日には、いつ引き渡しが出来るかどうか分かったものではない。

だから、「追加経済対策」で経済通は「住宅ローン減税」を重要視するというのは、お門違いだろう。
元々の景気循環論では、不動産の活性化から景気の上向き傾向がはじまるのだが、今の金融機関はその不動産業者を狙い打ちにして黒字倒産させている。
バブル崩壊の後のデフレスイパイラルが始まったのは、住専処理という強硬措置による土地神話を崩壊させたことからだった。

従って「景気循環論」の思想による「住宅ローン減税」の拡充など大した効果はないのではないか。
20-30年ほど前の米国では、ヒスパニック系とか、教育を受けられなかった黒人層は、建物を買うことが出来ず、賃貸のアパート暮らしだった。
そんな人達を対象にしたのがサブブライムローンだったのだが、それ以前は住宅を買えないから車に投資すると言うのが当たり前だった。
今の日本もそんな時代になりつつあるの気がする。
そうであるならば、住宅取得減税の他に車の購入に対する減税の方が効果がある。
誰だって、新車ならそれで旅行に行こうかと思うが、くたびれ果てていつ動かなくなるか分からない車で高速道路を走ろうなどと思わないのが人情というものだ。
そして、車が売れれば古い車が淘汰されて、省エネにもなるし、輸出で苦しんでいるという自動車産業も一息つけるというものだ。
ついでに、揮発油税の暫定税率を廃止すれば、益々車も買い安く、また使いやすくなる。

こんなことは、タクシー、公用車しか使わない高級官僚、政治家諸君は思いもよらないだろう。
しかし、車を使う地方の住民にとっては大きな問題なのだ。

日本の政治というか官僚諸君は、昔の帝国陸海軍の(陸大・海大出の)参謀殿と同じように教わったことしかすることが出来ないようだ。
例えそれが間違っていても、昔の参謀殿が「おかしい・なぜだ」と思っても同じことを繰り返すのとよく似ている。
我々庶民は、いっぺん失敗すれば、同じ間違いは繰り返さない様に、間違いを検証して原因を探り出し、二度と失敗は繰り返さない。なぜなら自身の「命」が掛かっているからだ。

ところが、官僚政治家というのは、間違ったことは「無かったことにして」ひた隠し、隠せないものは「しらばっくれて」批判が通り過ぎるのを待つ。
そして、国民が忘れた頃もう一度同じ間違いをする。
こんな道楽息子のような政治では、大橋巨泉氏の言うように「国は信用しない」ということの方が正しくなる。
そして、国が信用出来ないのであれば、誰もそんな国に多額の税金を払いたくないと言うのが信条だろう。
但し、払いたくても収入が無くて払えない(課税標準以下)という現実もある。

日銀は国民の見方か、敵か判断する「利下げ」観測

2008-10-30 01:08:33 | 日本の経済議論
日銀は国民の見方か、敵か判断する「利下げ」観測

日銀は、「金融危機による急激な円高・株安を受けて、日銀が31日の金融政策決定会合に向け、利下げの検討に入った。(朝日新聞)」
朝日新聞報道には、良く読むと重要な事柄が書かれている。
「米欧の追加利下げ観測が強まる中、財務省には『米欧が利下げし、日銀が金利を据え置くと、米欧と日本の金利差がさらに縮小して、円高が一段と進行してしまう』との懸念があった。」という部分。
そして、米国関係者と同じ意見だと思われる‥‥
「もはや市場は日銀の利下げを前提に動き出しており、「日銀が利下げを見送れば、株価が暴落しかねない」(クレディスイス証券の白川浩道チーフエコノミスト)との指摘がある。」

今日本の経済状況というのは、スタグフレーションStagflationに入っていると言われている。別の言い方をすれば、資本主義社会では理論上起こりえないと言われる「流動性の罠」である。
要するに、金利を下げたりしても経済には何の影響がないということなのだ。
そして、今まで低金利にして経済は発展せず、低迷したというならば利上げをして金融機関も国民にも「金を回してやる」必要がある。
それをしないというのは、はっきり言って米国のキッヤシュディスペンサーに日本をしているという政策担当者の悪辣さだ。
その証拠が、「米欧と日本の金利差がさらに縮小して、円高が一段と進行」と述べているところで、財務省幹部は図らずも「日本の政策金利は米国よりも2%以上‥‥下げる」という暗黙の了解をバラしているようなものだ。
本来日本の景気を良くするためには、金利を上げて円高にすれば、投資資金は日本に集まり景気が活性化すると言うのが原則だ。
だから、景気の良くないところほど利上げをしていたりするのである。

ちなみに、実質0.25%利下げしたとしても単なるポーズにすぎないが、欧州中銀は今3.75%、米国は1.5%。
結局、損をするのは預金者である国民そのもの。
今でもコンマ以下の利息がその半分になれば、又タンス預金が増えるというものだ。
今までは、そのタンス預金が投資信託、FX、株などに回ったかも知れないが、そんなこともない。
そして、そのタンス預金の特徴というものは「使わない」と言うことにつきる。
そうすれば、これで内需は喚起されないと言うことが決定してしまう。

例え高速道路が1000円になろうとも、使う金が無くては高速を使いようがないというものだろう。
本来なら、もっと円高になっても金利を上げて、国内に金を回すと言うのが本筋というものだ。そうすれば、米国の株と日本の株というものの連動が止まり、本来の株取引が成立する。
外国証券会社の人物がはっきり言っているではないか、日本が貧乏になっても米国に貢げば米国株は上がり、連動するPCプログラムで日本株は上がると‥‥
本来その連動を断ち切ると言うのが、課題と言うところなのではないか。

3000億円増資報道・事実上の破綻に近い?農林中金 その2

2008-10-29 17:33:36 | 日本の経済議論

農林中央金庫は、金融機関に公的資金を注入できるようにする改正金融機能強化法案の対象になっているのだが、この金庫は部分的な情報開示はやってこなかった。
元々一般国民には縁のない金融機関で、そもそも存在自体疑問と言えば疑問というもの。
それが、公的資金を注入を希望する批判を避けるために役員報酬を開示したと朝日新聞が報じた。
歴代農水事務次官の天下り先の理事長の報酬が約4100万円。

「特殊法人や独立行政法人のトップの平均報酬(07年度)がそれぞれ2231万円、1838万円であることに比べて高額で、批判が高まる可能性がある。 」(朝日新聞)

農林中金など、本当に存在意義が疑われるものだ。そして、農協が金融機関として機能しているというのが多分間違っているに違いない。


農林中金、理事長報酬4100万円 金融強化法案の対象
金融機関に公的資金を注入できるようにする改正金融機能強化法案の対象に挙がっている、農林中央金庫の理事長の報酬が4100万円にのぼることが29日、明らかになった。
同金庫の理事長職は、現在の上野博史理事長(70)をはじめ歴代農水事務次官の天下り先。特殊法人や独立行政法人のトップの平均報酬(07年度)がそれぞれ2231万円、1838万円であることに比べて高額で、批判が高まる可能性がある。  農林中金は、下部機関の信連やJAバンクからの資金を吸い上げて国内外で積極的に運用。金融危機で、保有する証券化商品の価格が暴落し、財務悪化の懸念が強まっている。民主党は、中小企業への融資比率の低さや政治的中立性を理由に、農林中金を注入対象とすることに慎重で、トップの報酬やサブプライムローン関連損失額などの情報開示を求めていた。これを受けて、農林中金側が同日、自主的に衆院財務金融委員会に報告した。  今後の改正法案の国会審議では、麻生首相も修正に柔軟に応じる姿勢を示しており、農林中金の扱いが大きな焦点となりそうだ。


3000億円増資報道・解体か存続か事実上の破綻に近い?農林中金

2008-10-28 23:52:26 | 日本の経済議論
解体か存続か事実上の破綻に近い?農林中金

10月24日政府は「地域金融機関などへの公的資金の注入を可能にする金融機能強化法の改正案を閣議決定し、国会に提出した。3月末に期限切れになった旧法で注入の条件としていた再編促進や経営責任の追及は求めず、金融機関が資本注入を受け入れやすい仕組みにする。 (朝日新聞)」

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金融機能強化法は、「金融機能の強化のための特別措置に関する法律」(2004年6月18日法律第128号)に基づいて2004年8月に成立し2008年3月末までの時限立法。
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この中で、「おや」と思った人がいれば相当感が強い。
それは、「民主党は農林中央金庫が資本注入先となりうる点など内容の一部を問題視しており、審議日程は不透明だ。」と言う部分と、今度は資本注入で経営責任が問われないという「徳政令」の意味合いが強いという点である。
この農林中央金庫というのは、「農林中央金庫法という農水省の法律に基づき設立された金融機関」でいわば農林省の天下り先。しかも、貸し出しよりも投資を主として行っている金融機関だと言うことだ。
そして、その問題は2007年9月決算でサブプライム問題で4767億円(償却384億円引き後)を持ちその時点での約533億円の評価損。
2008年3月決算で2873億円(損出額1022億円、評価差損743億円反映)。
公表されている。
その19年度決算を詳細に見てゆくと、リスクが高い債務担保証券(CDO)が2兆5,159億円(資産担保証券ABSを含めると4兆3575億円、住宅担保証券(RMBS・サププライム関連)を含めると5兆2052億円)もあり、4450億円も損失を計上している。

農林中金は、将来7兆円まで買い増すという報道が、7月20日の時点でなされていたがその後追い記事がある。
 [東京25日ロイター]25日付の英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙は、農林中金が資産担保証券(ABS)や債務担保証券(CDO)などの証券化商品への投資を拡大する計画だと伝えた。向こう1─2年間で投資規模を少なくとも6兆円(540億ドル)拡大するという。
 農林中金の幹部はFTに対し「証券化商品に投資しているのは、それらが10年前のようにクリーンになったためだ」と述べた。
 FTによると、農林中金は投資ポートフォリオにおける証券化商品の割合を37%から50%に引き上げることを目指している。 (2008年 08月 25日 07:42 JS)

これは、リーマンが破産する前の話で、今は、住宅担保証券(RMBS・サププライム関連)の8154億円がぶっ飛び、4000億円程度の為替差損でも起きているのではないだろうか。
それだから、


「<農林中金>3000億円規模の増資実施へ 経営安定化狙う
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10月28日11時51分配信 毎日新聞
 農林中央金庫は28日、3000億円規模の増資を年内にも実施する方針を明らかにした。世界的な金融市場の混乱で、保有株式などに多額の含み損を抱え、資本増強で経営の安定性を高める狙い。
 農林中金の下部組織である県レベルの信用農業協同組合連合会(信連)から永久劣後ローンで調達する。全国36信連のうち10を超す信連が資金提供に応じる見通しだ。
 経営の健全性を示す自己資本比率は6月末時点で11.9%と高水準にあるが、市場混乱の影響で09年3月期決算の業績見通し(経常利益3500億円)の下方修正は必至とみられている。今回の増資で自己資本比率を1%程度引き上げる効果を見込む。
 農林中金は、政府が国会に提出した金融機能強化法案で、新たに公的資金の投入対象に加えられた。自力増資によって、「現時点で公的資金の投入は必要ない」との姿勢だ。 農林中金は海外での運用資産が多く、08年3月期決算では米低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)関連の損失が約1800億円に達した。【大場伸也】 」


この件に関して農林中金はHPで否定しているが、状況証拠からして事実だろうという感じはする。
この金融恐慌がはじまる前夜の8月末、この農林中金の言動は笑いものにされていたが彼らはどう思っていたのだろうか。
現状を見てみれば、資産担保証券(ABS)や債務担保証券(CDO)など今買う人はいないし、将来的には精算される運命にある。
文藝春秋11月号によれば、中国も米国債権を多く持っていると言われているが、資産担保証券(ABS)や債務担保証券(CDO)などは早めに売り抜け、米国債に。
そして、その米国債も結構売り抜けていたというから日本の対応というのは、どうしたものかというものだ。


社会主義国に回帰しようとする日本経済の惨状  その2

2008-10-27 22:24:47 | 日本の経済議論
社会主義国に回帰しようとする日本経済の惨状  その2

「低金利になれば、銀行の預金金利が下がり、家計や企業は預金をしないで又は、銀行から金を借りて消費や投資をする。その結果景気が良くなる」

この経済原理というものは、日本の経済には余り適応せず、元々米国などの貯蓄をしない人達ぐらいにしか成立しないと言うことを知っているだろうか。
政策当局が知っていたら、ゼロ金利政策などしないはずなのであるのだが。
さて、米国の国民の多くは銀行を利用できない人が多い。
しかも当座預金をもてる人は極めて少ない。
またしても映画で申し訳ないが「ゴースト ニューヨークの幻(1990)」Demi Moore デミ・ムーア(恋人役)が主演のこの映画に、霊能者Oda Mae Brown役としてWhoopi Goldberg ウーピー・ゴールドバーグが出で来る。
このウーピー・ゴールドバーが扮する霊能者も銀行とは縁がなく銀行送金を受け取れない。
それで、ゴーストになったパトリック・スウェイジが策略を使って銀行に口座を作らせて小切手を受け取るというシーンがある。
この様に、一般の米国人というのは、銀行に口座を作れず、小切手換金店小切手は現金化。‥‥およそ15-30%の手数料。
現金はペイディ・ローン(Short-term lenders )‥‥2週間ローンで平均15%の利子。
ものを買うときは、Rent-to-own storesという毎週レンタル料を払うと一定期間後にはその商品を所有できるもの。
‥‥などを使う。
要するに生活するためには、借金漬けになる必要があると言うものである。
そうであるならば、金利が下がればより多くの物を Rent-to-ownで買い込むし、金もペイディ・ローンで借りると言う事になる。

ところが、日本ではそんなことにはならなかった。
金利が下がれば、タンス預金が増えるという状況になったことは日銀の調査で分かったことだった。
要するに、日本人は借金が嫌いなのである。
高金利ならば、銀行に金を預けでその利子で温泉旅行の足しにすると言うことでも起きようが、低金利なら元本を減らしてまで温泉旅行へ行くはずもない。
結局、消費は先細りデフレは進行するしデフレスパイラルに落ち込んだ。

しかも、政府は景気対策、消費拡大政策ということは取らず、不良債権処理の名目の元、中小企業を潰してきた一方、不思議なことに貯蓄から投資へだった。
だから日本の株へと言うこともあったが、あのホリエモン事件あたりから株離れも始り、昨年からはサブプライム問題顕在化して‥‥と言うところだったのだが対岸の火事だった。そして、株でない人達はFX(外国為替証拠金取引)だとか、海外の債権を買った。
そんな政府の無策を救ったのが、中国需要が一時的に発生して、鉄鋼、紙その他のものが上がって、国内需要を無視しても何とかなっていたと言うのがこの春先までの話しだ。

そして、今日本の政策は大恐慌中にもかかわらず全く計画変更もなしに、2-3年後に消費税と相続税などの資産課税の増税と言うことを主張している。
しかもそれを煽っているのか、マスコミときているから妙なものだ。
要するに金がないから取れるところから取れというもの。
この増税というものも、実は資本主義社会で今までどこもやったことがない実験であると言うことだ。
しかも、その実験の影響がどうなるのかというシミュレーショなしでのいきなり本番だ。それで、あの橋本政権での3%→5%へ増税したときの議論になる。
増税派は、景気がどうなろうと増税して単に税収が増え増税効果があったではないかという議論であった。(「麻生太郎と小沢一郎の「ヤバい経済学」(2008/10/6)清水 真人 編集委員」)
しかし、その影響で公的資金の注入と「三洋証券、北海道拓殖銀行、山一証券などがよもやの連鎖的な経営破たん」に見舞われるが、そんなことは無視するのが彼らの言い分と言うところだった。
「消費税と相続税などの資産課税の増税」が実験と言った。
この夏頃NHKからアンケート調査があって、スウェーデンをモデルとして消費税を増税するなら、同様に他の税制も直すべき。
特に、米国、EUなどが相続税を廃止する傾向にある中、日本だけが相続税強化を唱えるのはおかしいと述べた。
その後NHKから電話取材があって、「相続税廃止議論の根拠を問いただされた」。
本来、高負担国家(高間接税国家)というものは、国に対する信頼関係というものが重要である。スウェーデンもその国に対する信頼関係がなければ高負担国家は成立し得ない。
そのためには、先祖からもらったものはそのまま相続し、新たに必要なものは日々の生活に必要なもの‥‥という前提が必須だ。
ところが、高額な相続税を掛けると言うことは、必然的に国に対する信頼関係を崩すことになる。
いや、富の再分配だ、相続税廃止は金持ち優遇と言う議論がある。
しかし、それは古い偏狭な「社会主義思想」であると言うことは、各国が随時相続税を廃していることから見ても明らかだ。
一方、車関係諸税の不公平をそのままに一般財源化し、消費税を増税すると言うことは、日本の消費、内需を止めて消費社会であると言うことを止めることである。
米国は、この経済恐慌によって当分大消費国とう地位を去らなければならない。
ならば次には中国に期待する‥‥と言うのが朝日新聞の論調なのだが、どうもそうも行くまい。

今までのハブルのハードランディングによる崩壊、それに対処する低金利政策。
官僚達だけバブル崩壊せずに続いた「失われた10年」の結果として、今またも検証なしに消費税増税、資産課税増税路線を模索する。
この政策というものの基本理念というものは資本主義経済を否定する「社会主義経済」思想であって、大きな政府である。
考えてみれば、建築基準法厳格化などの官製不況は「規制強化」、官僚の権限強化にすぎなかった。
そして、遡及効果を持つ法律をすんなりと受け付けてしまった政府、自民党も国民から見れば信頼の置ける政府ではないと言うことになるのではないか。

社会主義国に回帰しようとする日本経済の惨状  その1

2008-10-26 23:39:06 | 日本の経済議論

社会主義国に回帰しようとする日本経済の惨状  その1

2008年10月26日付読売新聞朝刊13S一面に「市場大混乱・どう立ち向かう」(中)では、あの「加藤寛」氏がインタビューに応じている。
題して「内需主導で活路を探れ」内容は、‥‥大前健一氏「ニュースのポイント」http://blog.goo.ne.jp/ohmaelive/m/200810‥‥というWebサイトで主張する大前健一氏の意見と、瓜二つで今は総論としてそんなところしか思いつかないというのが誰でも思うことだ。
しかし、この加藤寛氏はかっての国鉄民営化に関しては功があったかも知れないが、その後のバブル経済に関しては「ハブル潰し」に荷担した言動をしていた。
後に、自身は「バブル潰し」には反対していたと「嘘」を言っているのが白々しいものだ。
「バブル潰し」反対だったのは竹村健一氏のみだったことは、当時を知るものとしては記憶に新しいものではないだろうか。
早く言えば国鉄民営化で終わってしまった経済学者で、その後はその時の雰囲気で言動をすると言う人物だろう。
さて、今の日本経済は一時的に強烈なスタグフレーションに入ったが、この経済危機に入って逆にすくわれた感が強い。
ほんの少し前の夏、ガソリン価格180円・190円(レギュラー)していたのに、10月26日スタンドの前を通ったら139円だった。
そうであるならば、他の製品の価格も下がったかと思えば夏に高止まりしたまま下がっていないものが多い。今後年末に向けて全体に価格が下がらない限り、物価は上がったままと言うことになりかねない。
そして、今の日本が、スタグフレーションStagflationに陥っていると言うことは、日銀は否定しているかもしれないが誰もが認めるところではあるのではないだろうか。
昨日25日紹介した「アメリカの高校生が読んでいる資産運用の教科書」山岡 道男 (著), 淺野 忠克 (著) アスペクトISBNコード978-4-7572-1550-4 /1,785円/ 2008年10月
においても、スタグフレーションStagflationに陥っているとはっきり書かれている(p110)から経済学者もその認識だと言うことだ。
そして、なぜその様になってしまったかと言うことに対して、あまり検証されていないと言うのか、どこからもそんな意見が聞かれてこない。
「バブル潰し」の時は躍起になって批判したNHKも、今は住宅ローンの借り換えの勧めぐらいで、日本経済を検証しているように見えない。
その借り換えとて、出来るのは余程運の良い人しかいない。

要は、いつも述べているように「ゼロ金利政策」という「バブル潰し」と同じように、有史以来どこの国もしたことがなかった経済の原則を破った実験だったと言うことにつきる。
そして、「バブル潰し」による影響が失われた10年と呼ばれる不況を起こしたように、「ゼロ金利政策」とその後に続く「低金利政策」と言うものが、スタグフレーションを起こして、もう一つの失われた10年を引き起こしていると言うことだ。
この低金利政策による弊害は、生保の破綻、年金、社会保険組合の事実上の破綻ということに出でいる。
又、円キャリートレード、「米国主導の」貯蓄から投資へという流れを作って、日本から資金の流出と今回のサププライムローン(ランク付け‥‥プライムニアプライムノンプライムサブプライム)の破綻による経済恐慌によって被害を被った。
物の本に寄れば、
「低金利になれば、銀行の預金金利が下がり、家計や企業は預金をしないで又は、銀行から金を借りて消費や投資をする。
その結果景気が良くなる」
‥‥と言うのが米国的な経済の原則と書かれている。
多分、日銀などの政策当局はその米国経済の教科書通りのことをやった。
但し、彼らは実際のところ物を買ったことはないし、個人として運転資金を銀行から借りたこともない人種だ。
かって、バブル(1989年頃)潰して有名になって「平成の鬼平」の異名を取った三重野康総裁(1989年12月17日 - 1994年12月16日)は、満員電車で通勤したこともなく、スーパーで買い物をしたこともない人物だった。(「平成の鬼平三重野康日銀総裁は日本経済を滅ぼしたのか」、「世界デフレは三度来る」竹森俊平・講談社・2006年4月)
所詮役人にすぎないというところだ。

日本が低金利政策そして、遂に「ゼロ金利政策」に突入したとき、どのような状況になったのか、多分日銀などの金融当局は分からなかったのだろう。
政策金利を下げれば、金を借りる人が増え消費が増えると思ったのだろうか。
実際は、「ゼロ金利政策」時の経済状況はリチャード・クー氏の言うとおりである。
バブル景気の崩壊と共に土地価格の下落は、土地価格の含み益を半減させて金融機関は低金利にも係わらず貸し渋り、貸しはがしを始める。
特に、返済不能と判断した途端に差し押さえ、競売を強行して時の政府が奨励していた不良債権の処理を促進させた。
そして、未だ余力ある企業には返済を迫るという構図は最近の傾向と変わっていない。
その上、企業も個人も未だ利子が高いときに借りた資金や住宅ローンが残った。
企業は高い金利そのままに借り換えて、利子だけを払い続け、個人の住宅ローンは土地建物の資産価値が減少したために、借り換えも出来ない状態が続くと言う次第だった。
「ゼロ金利政策」による低金利時代になっても、実態は結構高い金利を支払わされていたと言うのが現実なのである。
そうした中での資産デブレと言われた経済は、実体経済としてのデフレに移行し、デブレの時は低金利とはいえ実質金利は上昇する。
デフレの時は預金よりも借りた金を返すと言うのが鉄則である以上、市中から金がなくなってデフレスパイラルになったと言うことだ。
 その2 へ続く。