福井 学の低温研便り

北海道大学 低温科学研究所 微生物生態学分野
大学院:環境科学院 生物圏科学専攻 分子生物学コース

C.Q. C.Q.

2007-04-18 01:17:04 | フィールド

C.Q. C.Q.・・・・・  C.Q. C.Q.・・・・・
C.Q. C.Q.・・・・・  C.Q. C.Q.・・・・・
C.Q. C.Q.・・・・・  C.Q. C.Q.・・・・・
C.Q. C.Q.・・・・・  C.Q. C.Q.・・・・・
だれかいますか だれかいますか だれかいますか どこかには
だれかいますか 生きていますか 聞こえていますか
C.Q. C.Q.・・・・・  C.Q. C.Q.・・・・・
C.Q. C.Q.・・・・・  C.Q. C.Q.・・・・・
送ってみる 送ってみる あてのない呼びかけを
耳をすます 耳をすます あてのない空へ
 (中島みゆき『C.Q.』より)

今日は、C.Q.を一度も送ったことのない無線局長さんの話題です。

その方は、行政系の国立研究所に勤めていた頃、ミッション型の研究開発を行っていました。10年程勤務した後、大学の理学部のセンセイに転職したのですが、研究テーマも一新することに。新たなテーマの一つが、山岳地帯の熱水環境における生態学。携帯電話のつながらない中部山岳地帯で、もしも、調査中に大学院生が80℃を越す熱水に落ちてしまったら、どうしましょう。全身火傷を負った院生をいち早く救急ヘリを呼んで、手当をしなくてはなりません。携帯電話が通じない場所での連絡手段をどうしましょう。

考えついたのが、アマチュア無線。そこで、学生には内緒で、勉強して国家試験を受験しました。会場は、東京都中央区の晴海で、砕氷艦「しらせ」が出航する晴海埠頭の近く。久しぶりの試験で緊張しましたが、なんとか合格。

その後、無線従事者免許証を申請し、野外調査で携行しやすいハンディー型無線機を購入。そして、コールサイン申請と、実際に電波を発射するまでには1ヶ月半ほどかかりましたでしょうか。そして、付与されたコールサインが、7N4XZS。なんとまあ、言いにくいコールサインではありませんか。

7N4XZSさんは、もともと機械音痴なので、無線機の使い方が良くわかりません。チンプンカンプン。なん01_80とか受信方法を理解したところで、439メガヘルツ帯で、なにやら、CQCQとコールせずに、楽しいコミュニケーションをしている方々に気づきました。特に、朝夕の通勤時、20局くらいの常連さんが楽しく交信しているのです。後で知ったのですが、レピーターと言って、435メガヘルツ帯で送信された電波を中継局で受信し、さらに中継局から439メガヘルツ帯で送信するというもの。このレピーターを利用することにより、送信出力の小さなハンディー機でも広範囲に無線交信ができるというシステムです。

レピーターを利用する場合、通常のCQCQとは異なる作法があるのですが、小心者の無線局長は交信の輪に入ることが出来ません。野外で非常時の無線機の使用法を会得するためにも、多少の練習が必要かと思い、レピーター利用者のコールサインを聞き取り、メモすることにしました。

その利用者の中心的役割を演じているコールサインを、コンピュータで検索してみると、その方のホームページにヒットしたのです。早速メールを差し上げ、レピーター利用の作法を教えていただきました。その後、レピーターやレピーター利用者のメーリングリストを通して、無線のイロハを先輩の皆さん(OM)から吸収。特に、JA1RFさんとJR1MAUさんにはお世話になりましたね。

こうした経験は、南極での野外観測にも大いに役立ったそうです。

その後、CQを一度も出したことのない無線局長さんは、ご縁あって、北海道へ転勤。この地は、魅力的な野外が多いのですが、携帯電話が通じないのが難点ですね。携帯電話が通じない野外へ調査に出かける場合、非常連絡手段を用意しなければなりません。アマチュア無線も、まだまだ捨てたものではありません。大学院生の皆さんも、アマチュア無線の免許を取得してみませんか?

さあ、北海道も本格的な野外調査のシーズンを迎えます。いざという時のために、ザックの片隅にアマチュア無線機をしのばせておこう!


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