福井 学の低温研便り

北海道大学 低温科学研究所 微生物生態学分野
大学院:環境科学院 生物圏科学専攻 分子生物学コース

伝統の重み

2007-02-13 22:16:00 | 教育

今、話題の納豆。しかし、納豆そのものに、罪はありませんよね。

近代的な納豆製造法が確立する以前は、蒸かしたした大豆を藁で包んで発酵させていたため、品質管理や衛生管理が一定ではありませんでした。それは、藁に存在する菌の種類が違っていたり、温度、湿度、大豆の種類といった多くの条件が複雑に絡んで発酵が進むからです。この問題点を解決した人が、半澤 洵教授(北海道帝国大学農科大学の応用菌学教室初代教授)です。それは、1918年のこと。納豆菌を純粋培養して、大豆に接種し、納豆を製造する技術を確立。

応用菌学教室(研究室)
の現教授は、浅野先生。以前彼の研究室にお邪魔したことがあります。教授室の扉を開けると、半澤教授の胸像が置かれています。部屋の壁には、歴代教授の写真が立派な額縁におさまって、ずらっと並んでいます。おおおー。まさに伝統の重みを感じます。3方を伝統に囲まれて、新たな伝統を作り出そうとしている浅野先生に脱帽!

一方、私たちの研究室はどうなっているかと言うと、芦田正明先生や茅野春雄先生のお写真が見当たりません。その前の先生方はどなたであったかも分かりません。今度、低温研の生き字引 Uさんに聞いてみようかと思っています。まあ、低温研の良さは、新しい研究分野を開拓できることでしょうか。

ただ、最近、伝統の重みをヒシヒシと感じているところです。先代の芦田先生のご専門は生化学。北大では、大学院共通講義(所属大学院を問わず受講可能)があります。その一つが、生化学特別講義I(前期)とII(後期)。火曜日の1時間目(8:45~)から理学部5号館2階大講堂で開講されています。5つの企画があり、各企画5名の教員がオムニバス方式で講義しています。

10程度の関連部局を取りまとめて、こうした共通講義を仕切ることは結構大変なことです。この全体のしきり役(世話人代表)を務めさせていただくことになりました。生態学者が生化学の専門的な大学院の共通講義を仕切るのですから、ヒヤヒヤものです。芦田先生から受け継いだ伝統の重みが背中にドシッと。

先週、ようやくシラバス(授業内容を学生に伝えるもの)やポスターを完成させました。講義内容からすると、我が研究室の院生の関心からは遠いですね。

しかし、生態学徒にとっては、ロシア語のような講義かもしれませんが、思わぬヒントを得たりするかも。

4月17日(火)から理学部5号館で開講します。最初に私が登場して、声を震わせながらガイダンスを行いますので、よかったら、聞きに来てください。

あ、あのー、そのー、と、5号館でつぶやいていても功を奏しないので、大声で前向きにいこう!


最新の画像もっと見る

コメントを投稿