若い頃のフィールド経験は、微生物生態学者にとっても得難いものがある。四半世紀前にテントを担いで大高明史さんと訪れた夏の尾瀬。その後、『地味だけれど面白い研究』に繋がっていく。2000年、小島久弥さん(当時、大学院修士1年)が尾瀬調査に初参加してからすでに12年が経つ。その頃の研究アプローチは主に「変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法(DGGE)」や『メンブレンハイブリダイゼーション』であったが、現在は、メタゲノミクスやメタプロテオミクスへと進展しており、複雑な生態系を網羅的に解析する時代となっている。もはや、一つの研究室のみで研究を完結できない状況にある。
(小島久弥さん。2010年尾瀬にて)
私たちの研究の狙いは、「寒冷圏における微生物による物質循環」を解明すること。現在、文部科学省科学研究費新学術領域『生命科学系3分野支援活動』(通称、『ゲノム支援』)の支援課題の一つとして、新たな挑戦を続けているところ。この研究のベースもやはり、尾瀬と言うフィールドの経験によるものかもしれない。
そんなことや、こんなことを、夏休みのひととき想い出していたら、NHKスペシャルの番組のお知らせが。今月19日、21:00から21:49まで、総合テレビにて『奇跡の湿原尾瀬』が放映されるとのこと(予定)。予告動画を拝見したが、三宅民夫アナウンサーのナレーションが実に良く、ある種の「癒し」を与えてくれる。「水の大地の神秘に迫ります」と語る三宅アナ。そして、これまでにない美しい映像。是非ともみてみたいのだが、その日から国際微生物生態学シンポジウム出席のためコペンハーゲンに出張。残念。
(国立環境研究所・野原精一さん。さあ、これから尾瀬調査! 2010年大清水にて)
(福原先生。30年以上使い込んだシリンジで積雪間隙水を採取中。2010年尾瀬沼にて)
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