淡水環境、特に湖沼での硫黄循環は不明な点が多々ある。硫黄の酸化過程で重要な役割を担う硫黄酸化菌に関して、小島さんはこれまでに新属の微生物を2つ発見して来た。小島さんの探求はさらに続き、とうとう第3の新属硫黄酸化細菌を琵琶湖より単離することに成功。
その名は Sulfurisoma sediminicola 。ドメインバクテリア・プロテオバクテリア門・ベータプロテオバクテリア綱に属する新属である。この菌は硫黄や水素を利用して独立栄養で増殖ができる。さらに、酸素が無くても硝酸があれば嫌気的にも増殖し、しかも、従属栄養性の特徴を兼ね備えている。この菌の生息環境を想像してみてみる、とても興味深い生理学的特性である。
ちなみに菌株名はBSN1。最初に小島さんからこの菌株名を告げられた時は、一瞬「新潟総合テレビ(BSN)かな」と思ったが、彼に嘲笑されることを案じ口にするのを止めた。「B」は琵琶湖(Lake Biwa)、「S」は硫黄(sulfur)そして「N」は硝酸(nitrate)のこと。
Hisaya Kojima and Manabu Fukui. Sulfurisoma sediminicola gen.nov., sp.nov., a novel facultative autotroph isolated from a freshwater lake. International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology. In press.
ご参考までに琵琶湖の様子をいくつか。
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