このところ涼しい日が続いている。時折、激しい雨も。低気圧に乗って、久しぶりに北の海へ。どんよりとした空。風もいささか強め。
干潮時、干潟を歩く。水深10cm程、時には膝まで浸かる。ゴカイ、二枚貝、カニ等の巣穴。砂の表面に黄色味がかった茶色の薄い層は、珪藻のバイオマットか?
園芸用シャベルで砂を掘ってみる。すると、黒色の層が広がる。まさに硫酸塩還元細菌が活躍している嫌気(けんき)の世界だ!
砂の垂直断面を観察すると、ゴカイ等の巣穴周辺は赤茶けている。酸素をたっぷり含んだ海水が巣穴の中を流れている証だ。こうした底生動物と微生物との相互作用も興味深い。
浜辺で椅子にゆっくりと座って、ボーッと何時間でも過ごしてみたい。
しかし、ラボに戻らねば。さあ、小実験開始!
ちなみに、東京湾にも干潟が存在する。東京ディズニーランド近くに三番瀬干潟がある。かつて(四半世紀前)、大学院生だった田渕敬一さん(現・大阪府庁)と有機物の嫌気的分解と微生物に関する研究を行ったことがある。15℃を境に、有機物分解過程が大きく異なることを発見。田渕さんの不断の努力の賜物である。この研究は、私にとって、低温環境での微生物世界を探求するきっかけの一つとなっている。
Keiichi Tabuchi, Hisaya Kojima and Manabu Fukui. Seasonal Changes in Organic Matter Mineralization in a Sublittoral Sediment and Temperature-Driven Decoupling of Key Processes. Microbial Ecology 60: 551-560. 2010. DOI: 10.1007/s00248-010-9659-9