気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Chalk Girl (the) by Carol O'Connel 

2014-01-12 11:52:33 | 読書感想

 

NYPDの刑事Malloryの友人Charles Butlerの家の掃除婦Mrs.OrtegaはCentral Parkで休憩しているとき、小児性愛者の男に少女が連れさられそうになるのを目撃し、護身用に持っていたバットで男を強打し少女を助ける。しかし、 彼女が男を撃退しているときに少女は行方をくらましていた。
連れ去られそうになった少女は天使のような微笑みを浮かべ、抱擁を求めて出会う人々に手を差し伸べていた。しかし ホームレスと思われるような薄汚れた身なりをした彼女は人々から拒否されていた、小児性愛者の男を除いて。また、Mrs.Ortegaは少女が着ていたTシャツに血痕があるのに気づき、駆けつけてきた警官に少女の行方を探すように要求するが、加害者と誤解され警察署に留置される。

やがて、Mrs.Ortegaが怪我させた男が指名手配中の小児性愛者と分かり、彼女は市長から感謝のしるしとして招待を受ける。 彼女は市長差し回しの車で市庁舎に向かう途中、警察署に立ち寄り、Malloryの上司であるJack Coffeyに会い、出会う人すべてにハグを求めて近づいて行く少女が他の変質者に連れ去られる可能性を指摘し、MalloryとRikerに少女の捜索を行わせるように談判する。Malloryは3ヶ月の無断欠勤の懲罰として内勤のデスクワークを強いられていた。Malloryを捜索に向かわせるのを渋るCoffeyにMalloryは、今日、公園で大量発生した野ネズミが女性を襲い死亡させた出来事を上げ、さらに少女のレイプ事件が起きたら大変なことになると脅して現場に復帰することを認めさせる。

Malloryはかって自分がホームレスだった経験からCocoと名乗った少女の在処を的確に推測して彼女を保護する。Cocoは一緒に住んでいたRedという名のおじさんが森に入って木になってしまった、と不可解なことを言い、彼女のTシャツについた血痕はその木の下にいたとき空から降ってきたと話した。

Cocoの指示した場所の木の下でMalloryとRikerは両手両足を縛られた半死半生の全裸の男を発見する。男はネズミにかじられ死んでいると思われたがかろうじて生きていた。しかし、昏睡状態で事情聴取をすることはできなかった。木を見上げたMalloryは枝に吊り下げられている穴の開いた麻袋を見つける。男は麻袋に閉じこめられていたが空いた穴から落下したと思われた。
また、付近の現場検証を行っている最中、同じように木に吊り下げられた麻袋があるのが発見され、Malloryは、両手両足を縛られた全裸の女性の死体を発見する。
そして、翌日には、麻袋に詰め込まれ木に吊り下げられたもう1人の女性が発見される、しかし、彼女は吊り下げられてから24時間以上経っておらず精神的ショック以外は元気だった。救出された女性はさまざまなスキャンダルで社交欄を賑わしていたため Malloryは彼女の名前が大金持ちの娘Willy Fallonだと気づく。
マスコミはこの一連の事件の犯人をHunger Artistと名付けた。

MalloryはCocoの話からCocoと一緒にいた男が彼女の叔父などではなく彼女を誘拐した小児性愛者で、Humphrey Bledsoeという男であることを突き止める。彼はDriscol財団の理事長Grace Driscol Bledsoeの息子だった。

もう一人の身元不明の遺体も美容整形に高額な費用を使っていた形跡があり、金持ちだと思われた。
被害者3人が富裕な階級の男女であることから Malloryは 犯行の動機はお金ではないかと考える。

MalloryはCocoがHumphreyが襲われ公園に拉致される一部始終を目撃したと確信して 情報を得ようとするが Charlesによって阻止される。少女に衝劇的な事実を思い出させることは精神的なダメージが多すぎるとCharlesは考えていた。

Malloryは過去に同じ手口の犯罪がないかFBIのデータべースで調べ、15年前に少年がCentral Parkの木に吊り下げられて殺された事件があったことを知る。しかし その事件は、担当した刑事によって公にされることなく秘密裏に処理されていた。
Malloryは事件を担当した刑事への事情聴取を要求する。その刑事は現在、市警察副長官になっていたが。
15年前の事件と現在の事件との関連生を確信したMalloryは解決済みとされた15年前の事件の再捜査にも取り組むんでいく。そしてそれは、Malloryを警察上層部の権力争いにも巻き込むことになっていく。

*************************************************************************************************

いきなりネズミが女性を襲うというおどろおどろしい場面から始まり、ネズミに齧られている被害者と、想像力豊かな僕にとって気持ち悪い場面が続き、この展開が早く終わらないかと願いながら読み進めていった。

読み終わった後、公園に吊り下げられていた3人の男女のミステリーよりもCocoとMalloryの姉妹のような関係の方が印象に残った。
この作者は子供の描写がうまいと思う。以前の作品でのMalloryの子供時代の様子もそうだが William症候群のCocoも読んでいるこちらが鮮やかにその子のイメージを思い浮かべることができる。自分を守ってくれる人を求めて野ネズミが大量発生して騒然としている公園内をさまよう、彼女の不安、畏れ、愛らしくけなげな様子が目に浮かぶ。
Malloryとの別れのシーンでのCocoの態度は胸にグッとくるものがある。
Malloryは犯罪の目撃者だとしてCocoを里親に預けることに同意せずCharlesをいらだたせる。しかし、Malloryは自分と同じような境遇にあるCocoに共感を覚え、彼女を手放すことを延ばし続けていたと考えるのは間違っているかな。たとえば、Cocoの寝室の蛍を毎晩、こっそりと補充してやった話などを考えると。


また女性のキャラクターが強力だった。
息子の死にも動じないGrace、命を狙われたにもかかわらずそんなことなどに無頓着に動き回るWilly、死者と話すPhoebeなど、Mallory顔負けのたくましい、狂気を持った女性たちが次々と登場、その生きざまに感服。

物語のテーマは今の日本にも置き換えられる。親が子供の魂の叫びに気づかないのは日米共通の問題のようだ。

★★★★ Kindle版374ページ

  William Syndrome(文中から)
   seeking physical contact from strangers
      They are musical people
      facial features,magnetic smile
      remarkable hearing                        **興味がおありならウィキペディアで調べてください


コメントを投稿