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気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

DeadLine :(Tina Boyd3) by Simon Kernick

2016-10-03 20:27:41 | 読書感想


ロンドンの高級住宅街に住む女性実業家Andrea Devernは、夜8時ごろ帰宅するが夫も娘も帰宅していないことに気づく。2人で買い物にでも出かけたかと考えている時、携帯電話に娘を誘拐したという電話がかかってくる。パニックに陥った彼女に誘拐犯は、48時間後、身代金50万ポンドと引き換えに娘を返すと話し 、警察には連絡するなと警告する。すぐに夫に緊急事態を告げようとするが何度かけても留守電になるため、彼女は彼もまた事件に巻き込まれている可能性を疑う。1人で誘拐犯と取り引きすることに不安を感じた彼女は思い悩んだすえ、十数年前に不倫関係にあった男に連絡をすることを決断する。Jimmy Galanteという男は武装強盗と麻薬取引で 生計を立てる暴力的な男だったが、その容姿で女性を惹きつける能力を持っていた。今、スペインに逃亡している彼は、最初、彼女の救助の要請に冷淡だったが、誘拐された娘は彼の娘であるという告白を受けて、共に誘拐犯に対処することに同意する。
Jimmyは一人で来るように要求されている身代金の受け渡しに同行することを主張する。万が一、彼らが身代金だけを受け取って娘を返さない場合に備えて身代金の行方を監視すると言って。そして、身代金引き渡しの時、事態は最悪に向かう。誘拐犯は身代金を奪うと共にJimmyを殺害、約束を破ったとしてさらに50万ポンドを要求する。事態にパニックに陥った彼女は交通事故を起こし警官に職務質問されて、誘拐事件について話す。

SOCA所属の刑事Mike Boltは9月の金曜日の早朝、、誘拐事件発生の知らせを受ける。事情聴取に望んだ彼はその女性がかって彼が愛した女性であることに気づく。心の動揺を隠して尋問を終え2人になった時、彼は彼女も彼に気づいたことを知る。そして、誘拐犯からの電話を受けた場合の対応を整えるべき、二人で打ち合わせをしている時、彼女は彼に衝撃的な告白をする。警察は誘拐犯がすでに人質を殺している場合や身代金を受け取ったら人質を殺してしまう可能性を考えて、人質を無事に取り戻すという言質を被害者の両親に与えることを規則で禁止しているにもかかわらず、彼はその告白を受けて、警察官としての一線を超え、彼女に娘を無事連れ戻すとことを誓い捜査に全力をあげる決意をする。

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誘拐を扱ったストーリーは、人質がどうなるのか?救出までのタイムリミット。身代金の受け渡しの方法・・・ここで捕まっては物語が盛り上がらないから・・・どうやって警察の目を逃れて金を奪うのか?などに引き込まれて一気に読める。
この本はTinaのシリーズの一冊になっているが。誘拐された少女の母親が10数年前に彼が恋に落ちた女性だと知り、普段通り の捜査が出来ず、刑事と私人との間で悩み、当惑する彼女の上司Mike Boltがメインのストーリー。
またAndreaのキャラが魅力的だった、娘を救うためにあらゆる手立てを尽くす母親としての姿、強さに驚嘆した。
誘拐犯がなかなかわからず、いろいろこちらも推理したけれど、こちらの予想外の展開で最後の最後まで冷や冷やさせてくれた。

E-book(Kindle版) ★★★★ 490ページ 2008年4月出版 500円(2016年購入)


NYPD RED4 by James Patterson

2016-09-22 19:06:59 | 読書感想


New Yorkの Ziegfeld劇場で 若手女優Elena Traversの最新作のプレミア上映が行われる。彼女は、上映会 に参加した帰途、2人組みの宝石強盗の待ち伏せに遭い、銃で撃たれ死亡する。強盗犯は彼女から著名な宝石デザイナーMax Bassettがデザインした800万ドルの価値があるネックレスを奪い逃走する。

New Yorkのセレブに関する事件を専門に扱うNYPDの特捜チームRED所属の刑事ZachKylieはこの事件を担当することになる。事件は、2人のチンピラが金目の物を奪おうとして女優を銃で脅したのに対し、宝石を黙って渡せば無事だったものを、女優の恋人の男が抵抗したため最悪の結果を招いたものと思われた。Zach達は、犯人と殺された女優との間に接点はないため、2人組みを捜すより、奪ったネックレスを彼らが闇で売りさばこうとするのを情報屋に見張らせ、そこから2人組みの犯人を突き止めようとする。彼らは、宝石商のMax Bassett、Leo Bassett兄弟に、犯人がネックレスを売りさばこうとする時に備えて、ネックレスの特徴や女優に身につけさせた経緯を聞きに行く。その事情聴取を通して、彼らは、経営方針をめぐって兄弟が対立していることを知る。

そんな時、Zach達は上司のCatesから直ちに市長のMuriel Sykesに会いに行くよう命令される。彼らを待っていたのは市長ではなく、夫のHowardだった。彼は、彼が理事を勤める病院を含めて、ここ2ヶ月の間に9つの病院から医療器具が盗まれる事件が起きていて、被害総額は2億円以上になっていると話して、事件の捜査を依頼する。Zachは、2つの事件を同時に捜査するのは強盗殺人事件の捜査を遅らせるとCatesに訴える。が、Catesは、市長とREDとの良好な関係を維持するため、また市長の二人に対する絶大な信頼に応えるべく窃盗事件の捜査も並行して進めるよう命令する。

そんな中、懇意にしている情報屋からRaymond DavisTeddy Ryderの二人組がネックレスを売ろうとしているという情報がもたらされ、2人はRaymondの住いを急襲する。しかし、彼らが彼の住いに踏み込んだ時、二人は銃で殺されているRaymondの死体を発見する。そして、監視カメラからの映像から撃たれた脇腹を抑えながら階段を下りていくTeddyの姿、そして彼を追いかけている襲撃者の姿を発見する。彼らは Teddyを指名手配するとともに、彼が母親のAnnieに助けを求めると考え、詐欺の常習犯として知られるAnnieの行方を突き止めようとする。

一方、KylieはBassett兄弟はこれまで4回、宝石強盗にあっていて保険会社から1900万ドルの保険金を受け取っていたことを突き止める。ZachとKylieは、今回の強盗は内通者がいるように考えられるとして兄弟の事件についての関与を疑い始める。二人は、上司のCatesに兄弟の財務状態などの精査の必要性を主張する。

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今回は、事件の追求とともにKylieの夫、麻薬常習者のSpenceが治療を拒否して行方不明になり、捜査の合間に、いや、捜査そっちのけで、Kylieが彼の行方を追うのが並行して描かれていく。kylieはどうしてドラッグ中毒の夫に見切りをつけないのかと苛立つが、彼女の両親が離婚した時に持った彼女の決意、一度心底愛した夫を簡単に見捨てない、もう一度、立ち直るチャンスを与えるという彼女の一途な想いはせつない。いい加減、この絆から解放させてあげたらと思って読んでいると、そんな我々の期待を予期しているような事態も起きるのだが・・

何はともあれ、印象に残ったのは、殺人の共犯者として警察に追われている息子の窮地を救おうとする詐欺師の母親Annie Ryder。詐欺で鍛えた知恵と度胸で、銃を持った男たちや警察を相手に渡り合う。読む側も、母親の行動の意味するところがわからない、いやぁ、お見事でした。

また、著者名が2人なのが納得するようなストーリー。医療器械の窃盗事件、と高級宝石強盗殺人事件、2つのストーリーが並行して進む。それにKylieの夫の問題が絡んでくるのだから、出て来るキャラがどの事件に関連しているのか混乱する。

ただ、ZachとKylieの2人、徐々に真相に近づいていく二人の捜査能力の敏腕さはもちろん、二人のやり取りの面白さで楽しく読めた。特に、Kylieに翻弄されるZachの悩める姿は微笑ましい。Kylieから電話があると、恋人のCherylをそっちのけにして彼女のもとに駆けつける。Cherylが怒って同棲をやめて出て行って、Zachがガックリしても、KylieはZachの事情など気にしない、当然の如く、何か必要があると思うと彼を呼びつける。

また、大岡裁きのようなものもあって面白かった。

E-book(Kindle版) ★★★★ 319ページ 2016年1月出版  550円(2016年購入)
NYPDシリーズ
NYPD  NYPD RED2 NYPD RED3



The Last Mile (Amos Decker #2) by David Baldacci

2016-09-11 10:30:24 | 読書感想


大学時代、将来を嘱望されたフットボールプレーヤーだったMelvin Marsは、両親を殺した罪で死刑を宣告される。それから20年間、彼は、テキサス州の州刑務所、処刑室から1マイル(last mile)しか離れてない死刑囚監房に収監されていた。彼は無実を主張して何度も裁判のやり直しを提訴したがことごとく棄却されてしまい、今は、彼も自分が処刑されることを覚悟していた。しかし、処刑当日数時間前、彼の両親の殺害を自白した男Charles Montgomeryが現れ、彼は処刑を延期すると告げられる。


元プロフットボールプレーヤーでプレー中、頭を強打する重傷を負ったAmos Deckerは、選手生命を絶たれた代わりに見聞きしたこと全てを記憶する能力を身につける。元警官だった彼はFBIのRoss Bogart捜査官がFBI内に創設した迷宮入事件(cold case)を捜査するチームに加わるためヴァージニアにあるFBI本部に向かう。その途中、彼はラジオのニュースでMars の死刑執行の延期を知る。彼は、大学時代、彼のいたチームと対戦し、彼のおかげで完敗したことを思い出す。彼は事件に興味を持ちネットで事件を検索し、一年半前に自分の妻子が殺された事件と彼の事件との類似性に気づく・・事件が迷宮入りになってから突然犯人が名乗り出るという類似性に。彼は、この事件を特捜チームの初仕事とするようメンバーに主張する。そして、他のメンバーが真犯人が名乗り出ている以上、捜査する意味がないと主張するのに対して、彼は、長い沈黙の後、突然、自分が真犯人だと名乗る男の自供には疑わしいものがあると話し、メンバーを説得する。

DeckerはMarsもCharlesも両親殺害の犯人ではなく、真犯人は他にいるという考えを持って捜査を進める。もしCharlesが犯人でないならば、警察と犯人しか知らない情報を彼に与えてMarsを釈放させようとしている人物は真犯人しか考えられない。今頃になってMarsを釈放させようとしている意図は何か?MarsとCharlesは知り合いだったのか?また、真犯人は、3週間後、他の殺人罪で死刑が執行される収監中のCharlesと何処で接触したのか?CharlesはMarsが処刑寸前という絶妙なタイミングで罪を告白した。どうやってMarsが処刑されることを知ったのか?彼はMarsやCharlesと会いその答えを得ようとする。

また、Deckerは、犯人はMarsの両親に怨みを持った人間の可能性が高いと考えて、彼らの過去について捜査を進めるが、彼は奇妙な点に気づく。彼らの過去はFBIの調査能力を駆使しても2人がここに来るまでに、何をしていたのか?何処から来たのか?突き止めることができなかった。また、彼らは極端に写真を撮られることを嫌い、家には彼らの写真が全く見当たらない。息子がプレーヤーとしてマスコミからも注目され、彼らも息子についてインタビューを申し込まれるが、ことごとく拒否していた・・まるで世間から身を隠しているように・・

両親と犯人との接点は発見できなかったが、DeckerはCharlesと犯人との接点の役割を果たした人物を突き止める。しかし、Deckerのミスにより、犯人像を聞き出す前に犯人に先手を取られて手がかりを失ってしまう。
そんな中、Deckerは犯人がMarsを出獄させた理由についてある仮説を立てる。そして、そんな彼の仮説を裏付けるような最悪の事態が発生する。

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犯人は、かって、Marsを罠にはめて死刑囚監房に彼を送り、20年後、突然、彼を死刑執行から救い、釈放させる。相反する行為を取った犯人の意図が謎として読む者を惹きつける。刑事時代に培われた洞察力の冴えと見聞きしたことすべてを記憶できる特殊能力で、Deckerがこの謎に挑んでいく。わかっている事実から事件についての仮説を立て、それが真実かどうか捜査する。彼の推理は、すごく論理的でこちらも物語に入っていきやすかった。彼の立てた仮説が捜査によって崩れると、また新しい仮説を立て捜査を進めていくというスピーディーで予想外な展開で一気に読めた。

ただ、チームによる捜査ということでは、Decker、ひとり活躍しているようで、チームの連携という点で物足りなかった。次作からもこのチームで行きそうなので、他のメンバーの活躍も期待したい。

E-book(Kindle版) ★★★★  418ページ  2016年4月出版 811円(2016年購入)

 


After She's gone by Lisa Jackson

2016-09-01 19:55:22 | 読書感想

1月、オレゴン州ポートランド
新進気鋭の女優Allie Kramerが主演する映画の撮影現場で、Allieの代役が実弾にすり替えられていることに気づかずに発射した小道具の銃で胸を撃たれて重傷を負う事件が起きる。そして、その日以降、撮影に立ち会わなかったAllieの消息も途絶える。映画関係者もマスコミも事件はAllieの命を狙った犯行だと考え、Allieは何者かに誘拐され、殺されたと思っていた

母親のような有名女優になろうと妹のAllieを誘ってオレゴン州からハリウッドにやってきた姉のCassieは、妹のAllieが女優としての才能を認められ、いきなり世間の脚光を浴びる中、女優の夢を諦め、脚本家として身を立てようとしていた。Cassieは、この事件から、有名女優であった母親のためにストーカーから命を狙われ死の恐怖を味わったことを思い出し、精神的に不安定な状態になり、自ら精神病院に入院する。

入院中、彼女は過去の悲惨な出来事の悪夢や幻覚に悩まされる。そんな中、悪夢にうなされて、午前3時に目覚めた彼女の病室に、見覚えのない看護婦の服装をした女性が現れて、Allieは無事、生きているというメッセージをCassieに伝える。彼女は、最初、看護婦が今時ありえない数十年前の制服を着ていたことなどから、看護婦は数年前に起きた出来事から受けた精神的障害による幻覚と考えるが、同じ病棟に住む少年の証言で実際に古い時代の制服を着た看護婦が、実際に彼女を訪ねてきたことを知る。彼女は妹は身の危険を感じて隠れていると信じ、彼女の行方を突き止めることを決意して精神病院を退院する。

退院したCassieは、メッセージを残して消えた看護婦の身元を調べ始める。そして、今回の映画の撮影に参加したスタッフと会い、Allieの行方について手がかりを得ようとするが、彼らの多くは彼女と会うことを拒む。警察と同様に、彼らは、Cassieが自分を差し置いて女優として成功したAllieに嫉妬していたと考えていて、Allieの失踪前夜、彼女とAllieが激しく口論していたという事実や彼女の夫がAllieと浮気していたことなどから、彼女がAllieを憎んでいると信じ、Allieの失踪に彼女が関与していると考えていた。

やがて、Cassieの調査に合わせるように撮影スタッフの女性が続けざまに殺される事件が起きる・・・それぞれの顔に彼女の母親と妹の写真のマスクを付けた状態で・・・。さらに彼女にとって最悪なことに、女性たちが殺された時刻に彼女は何処にいて何をしていたかの記憶がなかった。事件を捜査している刑事は、彼女を最有力容疑者として考え始める。

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サイコサスペンスのせいなのか、心理描写やヒロイン以外のキャラの描写が、そこまでは必要ないのではと思うほど、細かい。ただ、そのため もしかしたらこの人が犯人?と読むほうに思わせ、最後まで犯人がわからない展開、さらにうまいトリックがあったり、すごい仕掛けがあって面白く読めた。

普通、ヒロイ ンは優秀な探偵であることが多いのだが、このヒロイン、頑張って、妹の行方を探そうとするのだけど、幻覚を見たり、記憶の欠如する時間があるなど精神的に問題があり、なんか頼りない。探偵としては未熟でなかなか手がかりを得ることができないところが、ミステリーとしては新鮮だった?しかし、ヒロインのキャラクターがよくわからなかった。母親が女優だったために死の恐怖に陥ったにもかかわらず自ら女優を目指す?妹の行方不明を心配しながらも妹を題材にして映画の台本を書くつもりでいる。

E-book(Kindle版) ★★★☆ 2015年12月出版 394ページ 895円(2016年購入)

 


Dead Scared : Lacey Flint 2 by Sharon Bolton

2016-08-14 18:58:07 | 読書感想


イギリス ロンドンの北80キロ、ケンブリッジの1月
ケンブリッジ大学の学生心理カウンセラーのEvi Oliver博士は、ここ5年間で女子学生の自殺が19件、今年になってすでに3件の自殺が起きていることに異常を感じる。彼女は自殺を教唆している闇のグループが学内に存在すると確信し、その考えを大学時代の友人、ロンドン市警の警部Dana Tullochに話す。DanaはEviの懸念をSO10のトップに伝える。

ロンドン市警の刑事Lacey Flintは、上司の警部から警視庁の潜入捜査部門のSO10への出向を命じられる。そこで彼女は数ヶ月前に一緒に事件を解決したSO10の警部Mark Joesburyと再会する。Joesburyは彼女にEviの懸念を伝え、Laceyに女学生の自殺が相次いでいるケンブリッジ大学に学生として潜入することを命じる。彼は、女学生達は精神的な問題を抱えていたが、警察の捜査から自殺については疑いの余地がないと言い、自殺に見せかけた殺人の可能性については捜査する必要はないと話し、彼女に自殺志向のある精神的に脆い女学生に扮して、学生生活におかしなことがないか監視するよう命令する。

しかし、Laceyは、彼の忠告を無視して自殺した女学生達の捜査資料や自殺した現場、さらに渋るEviを説得して学生たちのカウンセリング資料を精査した結果、幾つかの不審な点を発見する。
自殺する前 彼女たちは悪夢に悩まされ、さらに、寝ている時に何者かが部屋に侵入しレイプされたと訴えていること・・・ただ、捜査した警察はレイプされた痕跡がないと彼女たちの訴えを取り上げなかったが・・・。また、身に覚えのないドラッグが、彼女たちの血液から発見されるなど。

そんな中、自殺について注意喚起したEviの周囲で次々と奇怪な出来事が起きる。侵入された痕跡がないにもかかわらず。クローゼットの中に骸骨の人形が置かれていたり、浴槽の湯が血の色になっていたり、浴室のミラーにI can see youと書かれていたり…。さらに、自殺した女学生の部屋に滞在することになったLaceyも自殺した女学生と同じように悪夢を見るようになる。

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自殺に見せかけて人を殺す、stagingというらしいが、よくミステリーで取り上げらるテーマだが、どれもいまいち僕を納得させるほどうまい手口に出会ったことがない。今回もナルホドと合点するには至らなかった。とは言え、Laceyが徐々に彼らの存在を明らかにしていくにつれ、彼らの逆襲が始まり緊迫した状態がどんどん大きくなっていき楽しく読めた。

ただ、最初にLaceyがピンチになるシーンから物語が始まる。そのシーンが来るのが分かっているのと、いきなりそのシーンに出くわした場合では読む側の緊張感が違うと思う。この冒頭のシーンは無かったほうが面白かったと思う。

自殺というテーマのせいか、全体的に暗い、重苦しい気分でストーリーが進む。LaceyとEviの孤立感。Laceyは警察という組織の一員であるにもかかわらず、何故か、孤立感が漂う。ただ、Eviが独りでいるときに感じる恐怖心が、あるものの登場によって癒されていくシーンは、読むほうをホッとさせてくれる。

E-book(Kindle版) ★★★★ 378ページ  2012年6月出版 500円(2016年購入)

 


NYPD Red3  by James Patterson

2016-07-15 19:30:17 | 読書感想

ニューヨークの大晦日、大金持ちのHunter Alden は、父親の主催するニューイヤーパーティーに出席していたが落ち着かない気分でいた。彼は息子のTripp から治安の悪いHarlemで車が故障したというメッセージを携帯電話に受け、急遽、お抱え運転手のPeter Chevalier を迎えに行かせる。しかし、メッセージを受けてから数時間経っても二人から何の連絡もないことに、彼は苛立っていた。パーティーから自宅に戻った彼は、ガレージの灯りがついているのを見て、息子とPeter が家に帰っていると思い、ホッとする。しかし、ガレージの中には迎えに行った車はなく、代わりに、血の付いた息子のカメラケースが置かれていた。そしてその中に切断されたPeter の首とメモ、Project Gutenberg について知っているというメモを発見する。彼は、Project Gutenberg を知っている人物がいることに戦慄を覚える。

新年の休暇を同僚の精神分析医Cheryl Robinson と楽しんでいたNYPD、REDのZach JordanはパートナーのKylie MacDonaldから電話を受ける。彼女は、ハドソン川沿いにある広大な公園Riverside Parkで首なし死体が発見されたと言い、死体はお抱え運転手の制服を着ており、近くに彼が乗ってきたと思われる大型高級セダンがあったことから、事件は、NY に住むセレブな金持ちの身体財産を守ることを目的とするNYPDのエリートチームRedの管轄であると話す。

現場に着いた彼等は、被害者は運転免許証からHunter 家のお抱え運転手、Peter であると知り、二人は雇用主であるHunterに会いに行く。彼等は、何故Peter が人気のない夜の公園にいたのか?疑問を持っていた。Hunter は、Peter は車が故障した彼の息子のTripp を迎えに公園に行ったと話す。二人は事実を確かめるためにTripp から直接、話を聞こうとするが、Hunter は、その夜、Trippから電話があり、彼はPeter と会うことができず友達に迎えに来てもらったと話していると言い、Tripp と彼らとの接触を拒否するそぶりを見せる。
Hunterの話の裏付けをとるため、Trippの車が故障したというHarlem に向かった二人はTripp の車が故障放置されている場所とPeter が殺された公園があまりに離れていることに違和感を覚える。さらに車が放置されていた場所の近くに住む老婦人からTripp ともう1人の少年が車に拉致されるのを見たという証言を得る。二人はその証言の信憑性を確かめるためにTrippの通う学校に行き、彼と彼の友人の二人が欠席していることを確認し、Trippが誘拐された可能性が高いと考える。そして、Hunterが彼らに息子の誘拐を告げないのは、誘拐犯が警察に誘拐を通報しないよう警告するためにPeterを見せしめに殺したためと推測する。

しかし、Hunterは頑強にTrippの誘拐を否定して、Peterの殺害とTrippの失踪を関連付ける彼らの捜査に協力することを拒否する。さらにHunterは警察の上層部に圧力をかけ、二人は上司のCates警部から、父親が息子の誘拐を否定している以上、Trippに関する捜査を中止するように命令される。そんな中、捜査の停滞と妨害に苛立つ二人に思いもよらぬ情報が入ってくる。

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プロットは二転三転、悪いのは誰だ?と戸惑うほどの複雑な展開、Hunter が怯えるProject Gutenberg は何なのか?と併せて、テンポよく物語が進み面白かった。

Redシリーズを読み続けたいと思うのはKylieとZachのキャラの魅力。二人のやりとりが今回も楽しませてくれた。特に、目撃者探しについての二人の知恵比べ?

"The widow in the window" 対 "sergeant at the front desk "理論、なかなか面白かった。そして、自分の理論が正しかったと分かった時のKylieの態度、原文で引用しておきます。

One of the life skills that Kylie has never seemed to master is the ability to not gloat.Humilility has never been her strong suit (P51ページより)

彼女はそこでまた警察学校時代、自分が首席で卒業したことをZachに自慢する。ちなみに彼は6番で卒業。なんとも愛らしいキャラ。

E-book(Kindle版) ★★★★ 409ページ 2015年3月出版 550円(2016年購入)

NYPDシリーズ
 NYPDRed  NYPD RED2


Final Minute (Tina Boyd7) by Simon Kernick

2016-07-02 19:20:07 | 読書感想

交通事故で重傷を負ったMatt Barron は3カ月後、意識を取り戻すが、以前の記憶を全て失っていた。彼は、行方を探していたという妹Janeに引き取られ、以前の記憶を取り戻すために催眠療法士のDr Bronsn の治療を受ける。彼は、Bronson に最近、彼が繰り返し見る二人の若い女性に関する悪夢について話す。彼は見知らぬ家にいて、寝室には全裸の若い女性がベッドで血まみれで死んでいる、さらに、玄関ホールでは、頭から血を流している半裸の若い女性が恐怖に怯えた目で彼を見つめている。これは夢なのか?それとも失われた彼の記憶の一部なのか?もし、これが現実に起こったことなら彼は殺人事件と関係があることになる。彼は自分の正体に恐怖を感じる。

そんなある日、二人の男女が彼らの住いを襲撃し、妹と看護士の男を拷問の上に殺す。プロの殺し屋と思われる彼らは、彼にJaneが彼の妹ではないと告げ、死体は何処にあるか答えるよう命令する。彼は彼と似ている点がほとんどないJaneが妹ではないという疑惑は持っていたが、死体は何処にあるという彼らの質問には戸惑う。拷問してでも聞き出そうとする彼らの態度に脅えながらも、彼は、一瞬の隙をついてその場を脱出する。

窮地を脱した彼は、行くあてもなく、通りに見かけたバーに入るが、そこで、たまたま目にした新聞記事に仰天する。そこにはTina Boydという女性探偵が失踪した若い女性の行方についての情報提供を求めている記事があり、行方不明の女性として載っている女性の写真は、彼が夢の中で見たベッドで死んでいた女性だった。

警察を辞めて探偵業を始めたTina Boydは、Mattという男から奇妙な電話を受ける。自分を殺そうとしている殺し屋がいるので、彼らが自分を殺そうとする理由を調べるのを手伝ってほしいと。彼女は、一度は、警察に相談するよう忠告するが、彼の懇願に負け会うことに同意する。
事務所を訪ねてきたMattを見た瞬間、彼女はMattと名乗る男が昔、一緒に仕事をしたことがあるSean Eganであることを知り当惑する。Seanは彼女の命の恩人だった。TinaはSeanが交通事故で記憶を失っていることや記憶を取り戻す治療を受けている時に起きた出来事を聞き、尋常ではない事態に彼が巻き込まれていることを知る。彼女は彼に警察か病院に行くよう勧めるが、彼は警察は自分の話を信じないと言い、以前、彼女の命を助けたことがあるならその借りを返して欲しいと彼女の助力を要求する。彼女は、彼の話に単調な探偵業務にはない、かっての刑事時代に感じていた興奮を覚える。また、彼女が行方を捜している女性の手掛かりを彼が持っている可能性を考え、彼の依頼を受ける決心をする。それは、彼女もまた殺し屋たちから命を狙われることになるのだが・・・

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一難去ってまた一難、殺し屋たちから逃げ切ったとホットする間もなく、すぐにまた殺し屋たちが背後に迫る。著者の作品に共通する息つく暇がない展開で面白かった。

Seanという男(「Last 10 Seconds」にも登場)、 窮地に陥っているのはわかるが、Tinaの助力を得るために、何かというと命の恩人だと強調するのは不快。また彼の経歴、元潜入捜査官という一面の他に強姦罪で刑務所に収監されていた性犯罪者という一面も持つ。二人の女性の殺害現場では善悪、どちらの彼がいたのか?最後まで緊張感が漂う。

男女二人組の殺し屋のキャラ、特に女性のキャラは魅力的だった。美人で近づく相手は皆、彼女に気を許す。情報を得るためには冷酷に拷問を繰り返す、それ以上情報が得られないと知ると迷わず殺す。即断即決、駆け引きがうまく、敵役として存在感があった。

TinaはSeanのことを警察に話さなくてはいけないと知りながら、彼のことを思ってワンテンポ遅らせて、かっての同僚Mike Boltに連絡する。そして、例によってバックアップを待てという彼の忠告を無視して、身の危険を省みず、一人犯罪現場に乗り込んでいく姿はかっこいい。

E-book(Kindle版) ★★★★ 392ページ 2015年1月出版   1195円


Find Her by Lisa Gardner

2016-06-19 20:32:03 | 読書感想

アメリカ、ボストン市、金曜日夜、バーで独り飲んでいた女はカクテルをおごってくれた男と店を出たところを、そのバーで働いている大男のバーテンダーに襲われ、意識を失い拉致される。意識を戻した彼女は、自分が全裸で手錠をかけられて男のガレージに放置されていることを知る。しかし、彼女はその事態に慌てることなく、ガレージにあったゴミ箱をあさり、自分を守る武器を作る。そして、男が現れたとき、彼女その武器では男を殺す。

1年前の大怪我から回復できず、一線の捜査から外され、捜査について監督指導する役職に異動させられたボストン市警巡査部長、DD.Warren(D.D) は、拉致されたと思われる20代の女性が両手を縛られていたにも関わらず誘拐犯に反撃して殺したことにショックを受ける。
女性は何者なのか?彼女は、自分の名前を名乗ることなく、FBIのBoston 支部と連絡を取る。さらに彼女は、自分を誘拐した男は、誘拐の手口から見て3ヶ月前女子大生Stacey Summersを誘拐した男だと断言し直ちにこの家を捜索するよう進言する。DD は、彼女が冷静に誘拐された経緯や捜査について助言したりする様子から、彼女は警察関係者かと考えるが、やがて、彼女の要請で駆けつけてきたFBI のVictim Specialist(誘拐事件専門の精神科医)、Samuel Keynesから彼女がかってマスコミを賑わしたFlora Daneであることを知る。

Flora は学生だった7年前に誘拐、拉致され、472日後に奇跡的に救出される。以来、彼女はサバイバル格闘術を学び、二度とあのような目に遭わないよう備えると共に、自分のような犠牲者が出るのを防ぐため自ら囮となってレイプシスト達を捕らえ、警察に引き渡していた。

DD は彼女が今までに3件のレイプシストを摘発し警察に引き渡しているが、この4件目ではレイプシストを殺していることを懸念する。男の部屋を捜索したDD達は、Floraが推測したStaceyのものではなかったが、拉致、殺されたと思われる二人の女性の運転免許証を発見する。そして、マスコミがこの事件を報じた後、Staceyの父親から殺された男が娘を誘拐した犯人であるかどうかについての問い合わせの電話がDDにかかってくる。彼女は電話の内容から、Floraと父親は娘の誘拐について話合っていて FloraはStaceyの行方を追っているのではという疑いを抱く。

DDはその疑問を解明しようとFloraのアパートを訪ねるが、そこで彼女が拉致誘拐されたことを発見する。DDはFloraがStaceyの行方を追っていたのを察知した誘拐犯が彼女も拉致したと推測する。FloraはStaceyの行方をどこまで追っていたのか?またFloraが殺した男はStaceyと関連があるのか?DDは上司から厳命されている刑事達を監督指導する捜査事務の立場を捨て、自ら捜査の先頭に立ってFloraたちの行方を追う決心をする。

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一味違った誘拐を扱ったストーリー。捜査する側と誘拐された被害者の様子が交互に描かれて物語が進んでいくというパターンはよくあるが、誘拐された女性がここまでたくましく、強い姿は痛快、DDが誘拐犯に迫っていくという期待感とFloraが誘拐犯に立ち向かっていくという期待感で、先が気になって終わりまで一気に読める。

特に、物語の冒頭、誘拐されたFloraが逆に誘拐犯を殺すという予想外の展開、いきなり物語に引き付けられてしまった。また、7年前の誘拐された時の彼女のひ弱さと現在の彼女のたくましさとのコントラストがうまく描かれている。

著者もあとがきで述べているが、FBIにVictim Specialsitという被害者の心のケアをする専門官がいるというのを初めて知った。長い拘禁生活の中、公共の場に連れ出されて、逃げようとすれば逃げられるという状況に置かれても逃げようとしないほど誘拐犯に精神的に追い込まれた被害者を元の生活に戻れるようカウンセリングしていくという仕事。たしかに 解放されたからすぐに元の自分に戻れるなんて思えないなと納得。

E-book(Kindle版) ★★★★ 400ページ 2016年2月出版 141円(2016年購入)


The Long and Faraway Gone by Lou Berney

2016-06-12 19:31:14 | 読書感想

2016年 MWA Best Paperback Original受賞作品

過去を忘れて生きようとする男がいる。
26年前、Oklahoma 市の映画館が強盗に襲われ、マネージャーと5人のアルバイトの高校生が射殺される事件が起きる。当時、そこでアルバイトをしていた高校生Wyatt は独りだけ生き残る。何故、自分だけが殺されなかったのか?仲良しだった仲間の高校生が殺され、自分だけが生き残ったことに言い知れぬ罪悪感を男は抱く。彼は、他の州に移り住み、この出来事を忘れようとした。
しかし今、ラスベガスで探偵業を営む男は、上得意である客の依頼を受け、Oklahoma に戻るはめになる。20数年ぶりに町に戻った男は、昔と変わらぬ町並みや建物を眺めるうちに彼を苦しめている過去の記憶が甦る。何故、自分だけが殺されなかった?男は、やむにやまれぬ衝動にかられ、この謎を解明すべく調査を開始する。

過去を忘れずに生きようとする女がいる。
26年前の祭りの夜、一ヶ月前の映画館での惨劇の後、母親は12歳のJulianna が一人で外出することを許さず、5歳上の姉が同行することを条件に州が主催する祭りに行くことを許す。そして、その祭りの会場で、12才になる彼女 を独り残して、姉 は15分で戻ると言って、何処へともなく去っていき、そのまま行方不明になる。皮肉屋だけど妹思いの姉が自分を置いてきぼりにすることはあり得ないと信じて、以来、26年間、彼女 は姉の行方を探し続けていた。
そして、今、彼女は最有力容疑者だった祭りの売店にいた男Crowleyが町に戻っていることを知る。Juliannaは、姉は彼女を残して彼に会いに行ったと思っていた。姉の事件を担当している刑事から犯罪常習者である彼に近づくなと言う忠告を無視して、彼女は、彼に会いに行く決心をする。男はアリバイが認められ、姉については何も知らないと刑事に話していたが、彼女は男が姉に関する手がかりを知っていると推測していた。

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ある意味で、何とも不思議な展開。こういうミステリーもあるんだ?というのが率直な感想。僕には予想外だった。

Wyatt(男)は探偵という能力を生かし、証言、証拠資料に疑問点を見つけると、その点を徹底的に調査し、その調査の過程で更なる疑問点を見つけるという手法で徐々に真相に迫っていく。現在の事件を含め、謎の解明の仕方が見事だった。
Julianna(女)も、は何度も何度も、当時の捜査資料を精査し、どこかに捜査漏れがないか調べ、26年経った今も、姉の事件を担当している刑事と会い、気付いた点を捜査してもらうよう提言する。姉に関する情報を得るためなら、たとえ、全財産を失っても良いと考えているところに彼女の意思の強さを感じる。

ふたりのキャラも魅力的。たびたび出て来る過去の思い出の感傷にひたるシーンは、そこで人生を終えた人々と今も生きている彼らとの対比でしんみりさせてくれる。そして、Arielという若い女性、天涯孤独で、子宮がんの可能性が高いにもかかわらず陽気で楽観的にふるまいながらJuliannaにつきまとってくる。看護師であるJuliannaが過去と決別して、今を生きようと決心する大きなきっかけを与える、最後に、彼女とArielが語るシーンは良かった。

E-book(Kindle版) ★★★★ 2015年2月出版 454ページ 231円(2016年5月購入)


Cuts Like a Knife by M.K.Gilroy

2016-06-01 19:48:23 | 読書感想


土曜日朝、7歳になる姪の所属するサッカーチームのコーチをしているシカゴ警察署(CPD)の殺人課刑事Kristen Connerはチームの祝勝会に参加していた時、上司からの若い女性が殺されたという電話を受け、直ちに捜査本部に向かう。
いつものように一番最後に捜査会議の席についた彼女は、いつもと違いそこにFBI捜査官が同席していることを知る。
FBI が作成した犯罪データベースプログラムProject Vigilance (VP)は、今回シカゴで起きた殺人事件を全米各州にまたがって47件の犯行を繰り返しているシリアルキラーの48件目の犯行と断定する。Killerは狡猾で手がかりをほとんど残さずに、ある街で数件の殺人を実行した後、他の町へ移動し、そこでまた複数の殺人を繰り返すという行為を数年に亘って行っていた。
Austin Reynoldsと名乗ったFBI捜査官は、Killerは47件目の殺害を行った後、ここシカゴに移り住み、6か月の周到な準備をした後、女性を殺害したと断言する。そして、PVの分析から、殺された女性はこの町で最初の犠牲者であり、Killerは第二、第三の犯行をこの町で計画していると主張し、一刻も早く彼を逮捕する必要があると力説する。
Kristenは 今までに48人の女性を殺し、さらになお女性を殺そうとしている殺人犯の存在に怒りを覚え、必ず、自ら逮捕することを誓う。
そして、FBIとCPDの合同捜査本部は48人の犠牲者のうちの半数近くが禁酒の会(AAmeeting)に参加していたことを突き止め、犠牲者とKillerの接点がこの会合にあると考えて、彼女たち捜査官に、この町のさまざまな場所で行われている禁酒の会に潜入捜査するよう命ずる。しかし、Killerに対するなんの手掛かりを得ることができないままに第2、第3の犠牲者が出る。またマスコミもKillerの存在を知り、世間は騒然となっていき、彼女達捜査陣は窮地に陥る。

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ミステリーとしては、物足りない。でもキャラクターは魅力的で最後まで楽しませてくれる。物語は、刑事である彼女の日常生活とその雑感が、彼女の目を通して語られていく。アメリカの理想的な家族像を具現する彼女の家族、日曜日、朝は必ず教会に行き、夜には家族が揃って夕食を取るという、善良無垢な母親を中心とした家族の絆の強さ、そしてお互いを思いやる微笑ましい会話。また同僚の刑事たちに対する彼女の人物評、および捜査会議についての感想観察がユニークで面白い。また彼女の母親、姉、妹や刑事達のキャラクターも魅力的。ただ、物語は、最後に彼女の捜査能力が認められてFBI にスカウトされるところで終わるのだが、彼女の捜査能力の優秀さが読んでいて分からなかった。

ただ ページを読み飛ばしたかと思うほど物語の繋がりの唐突さ、さっきの話の続きはどうなった?と一瞬戸惑ってしまう。とくに、クライマックスの物語の流れには抵抗があった。

ミステリーとしてはいまいちだけど、Kristenや家族のキャラが魅力的で次の作品も読みたくなる。

E-book(Kindle版) ★★★ 2012年10月初版  355円(2016年購入)