goo blog サービス終了のお知らせ 

気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

The Cuckoo's calling by Robert Galbraith

2017-02-05 13:13:09 | 読書感想


ロンドンの高級マンションで厳冬の1月、仲間内でCuckooと呼ばれる誰もが知る黒人のスーパーモデルLula Landry が自宅の4階ベランダから落ちて死亡する事件が起きる。マスコミや世間が騒然とする中、警察はマンションの2階に住む女性がLulaが転落する直前、彼女が男と口論しているのを聞いたという証言を得て、当初、殺人事件と考えて捜査する。しかし、証言した女性がコカイン常習者であることが分かり、さらにマンションには厳重なセキュリティが設置されており、当時、部屋には誰もいなかったことや、Lulaが精神的障害から薬を常用していたという事実などから警察は自殺と断定する。

3ヶ月後、Lulaの兄で弁護士のJohn Bristowは、幼くして事故死した彼の弟の親友だった私立探偵のCormoran Strikeを訪ねる。彼は、Lulaの死は自殺ではなく殺されたと主張し、Strikeに妹の死について調査の依頼をする。彼は、その根拠として、マンションの下の階の住人のTansy BestiguiがLulaが男と口論しているのを聞いた直後、彼女が落ちて来るのを見たと証言していることや、防犯カメラが事件前後に彼女の住まいの近くを背の高い黒人の男が往き来する様子、特に事件後彼女の自宅の方から全力で走りさろうとしている様子が映っている事実を挙げる。Johnは彼が犯人であると信じていた。

Strikeはこれだけ世間を騒がせた事件について警察の捜査に手抜かりはないと考えていた。しかし、事務所の家賃も滞納するほど金銭的窮地に陥っている彼は調査することに同意する。Strikeは、Lulaの死は自殺であるという証拠を集めて、Bristowに彼女が自殺した事実を納得させ、この依頼は終わらせようと考えていた。

調査に完璧を 求める彼は、Lulaの死に至るまでの行動や心情を探ろうとして、Lulaを知っている全ての友人、知人から聴き込みを行おうとする。事件の調査を進めるうち、Strikeは、仲間を求めて鳴き続けるCuckooのようなLulaの孤独な心情に気づく。白人の家庭の養子となった黒人の彼女は周囲になじめず、実の母親と父親を捜し続けていた。

そんな中、調査を続けるStrikeは聴き込みなどから得た情報や警察の捜査資料からLulaは殺されたという確信を持ち始める。そして、彼の確信を裏付けるような事件が起きる。

*********************************************************************

マンションの前には大勢のパパラッチ、セキュリティコード付きのドア、受付にいる警備員、彼女の部屋の鍵、もしLulaが自殺ではなく殺害されたとしたら犯人はどうやって彼女の部屋に侵入し、逃げたのか?昔の本格推理小説の密室殺人のような設定。ストーリーの随所に手がかりがさりげなく書かれている。最後に謎解きがあり、あとでもう一度読み返すと、ここに伏線が張ってあったのかと納得できる。関係者との聞き取りが延々と続き、物語の展開が退屈だと思い、油断して読んでいると作者に完全に騙される。

主人公のCormoran Strike,2年半前に従軍先のアフガニスタンで片脚を失うが、自尊心の強い彼は同情を嫌い、接する人に自分が義足を付けていることを悟られないようにしている。派遣秘書でやってきたRobinにさえも。軍警察で培った洞察力の鋭さ、最後まで事件について自分の考えを語らない昔風の性格などとてもユニーク魅力的なキャラクターだった。gumshoeという言葉を思い出した。とにかくStrikeはよく歩く、義足だとは思えないほど。現場に行き、当時の状況を推理する。また、事件の関係者に会いに行き、聞きこんだ情報を忘れないうちに整理して書き留めておく几帳面な点も大柄な体で粗野な性格な探偵と思っていた僕には予想外だった。

また秘書としてやってきたRobinはとても愛らしいキャラクター。探偵の秘書という仕事に興味津々、仕事で知りえた情報は他人に漏らすない秘密厳守規約にサインすることに興奮し、調査に関する手掛かりを発見した時は、自分の発見を褒めてもらいたくてワクワクしながらStrikeに報告する。

E-book(Kindle版)★★★★ 550ページ 2013年4月出版 752円(2017年購入)


Stalked by Elizabeth Heiter

2017-01-16 19:46:29 | 読書感想


一月、夜9時、恋人のKyleとデートしていたFBI、BAU(Behavioral Analysis Unit )所属のプロファイラーEvelyn Baineは上司からの緊急の電話を受ける。
1ヶ月前、 大学が休みに入ると人口1万人、大学の学期が始まると人口が3万人になる小さな町Virginia州Nevilleで、17歳の少女Haley Cooke が彼女が通う学校の校内で失踪する事件が起きる。
死体が発見されなかったことから、彼女は誘拐されたと思われた。BAUは見知らぬ人間による犯行としてプロファイルしなかった。しかし、今、『このメモを誰かが読むときは、自分は殺されている』と少女が書いたメモが発見され、犯人は彼女が知っている人物の可能性が高いとして、Evelynはこの事件の犯人のプロファイルを作成するよう命令される。
Haleyが行方不明になっている事件は、母親Linda Varnerの熱心な行動によって、毎日、マスコミに取り上げられていたので彼女の顔は誰もが知っていた。しかし、目撃情報は皆無だった。Evelynにとって17歳の美少女が行方不明になったこの事件、結末に明るい展望が見えなかった。
事件を捜査している刑事Sophia Lopez と会った彼女は捜査資料を検討して被害者のプロファイルを作成することから始める。彼女はHaleyが連れ去られた時、叫び声や争った跡がないことから、犯人は彼女の知り合いであった可能性が高いと考え、犯人のプロファイルを作成するにはHaleyの身近にいたすべての人に会う必要があると主張する。彼女はHaleyについて関係者に聴くとき、彼らの仕草や目の動きに注目し、彼らの言葉の裏に隠されたその人の本性を探っていく。

そんな中、Lindaと離婚したHaleyの実父Bill Cookeが、娘Haleyは誘拐されたのではなく、義父Peteの暴力に耐えかねて家出したと主張するビデオメッセージを公開する。そしてそれに歩調を合わせたかのように、ビデオが公開された3時間後、Haleyが書いたと思われるメモが警察に届けられる。『自分は無事だから、探さないで!義父に暴力を振るわれるから帰らない』というメモが。
このメモは父親のビデオを見た後、書いたものと思われた。メモは彼女が書いた本物か?誰かに彼女が書かされた?例え強制的に書かされたとしても、Haleyがこのメモを書いたならば、彼女はまだ生きている可能性が高い!

Haleyは、その人間にとって公にされると致命的になる秘密を知ってしまったため誘拐されたと思われた。その秘密とは何か?そしてそれは誰か?Evelynは捜査の範囲を狭めるために、プロファイリングに全力をあげる。そんな彼女の身に危険が迫っていることを知らずに・・

**********************************************************************

何時も言うけど、誘拐物は面白い。誘拐された少女が無事、救出できるのか?誘拐された家族、特に両親の苦悩に感情移入して、救出されて家族が喜ぶシーンを読むことを期待して、読むペースが上がる。
今回も母親の必死の思いが伝わってくる。また、この事件を通してEvelynも絶縁していた母親に対する思いを変えたようで、もう少しそこの部分を書き込んで欲しかった。

EvelynとSophia、2人のコンビが良い。2人で色々な可能性について議論し、1つづつ消去していき捜査を絞って行く。事件関係者の中から誰を事情聴取するかを決めて、事情聴取した後、2人で聴取した内容が有益だったか討論して次の捜査方針を決める。前作は読んでないのでわからないが、次作からもこのコンビは続けてほしい。

プロットもクリスティーの作品を思わせる展開で面白かった。ただ、作品の中で誰かが言っているけど、ヒューマントラフィキングをテーマにしている割には、スケールが小さく迫力不足を感じた。

E-book(Kindle版) ★★★★ 384ページ 2016年12月出版 941円(2017年購入)

 


Brutality (Fina Ludlow book3) by Ingrid Thoft

2017-01-08 10:42:30 | 読書感想


ボストンの私立探偵Fina LudlowBobbi Baroneという女性から彼女の娘Lizが襲撃され意識不明の重態に陥っている事件について、犯人を突き止めて欲しいという依頼を受ける。

被害者のLizは、彼女の認知能力が人より低下しているのは、サッカー選手として活躍していた20年前の大学時代、試合中に受けた脳震盪の治療を大学側が適切に行わなかったことによるとして大学に損害賠償の訴えを起こすことを計画していた。Finaはこの事実に注目する。訴えられることに不満を持った誰かが彼女を襲った?

FinaはLizの大学時代のサッカー仲間やチームドクターだった男などから当時の状況を聞いたり、訴えられることにより不利益を得ると思われる大学関係者に会いに行く。また彼女の職場での人間関係や近隣との関係で彼女に敵意を持っている人物がいるかの聴き込みも同時に始める。さらに、彼女はLizの夫Jamieが彼女の捜査に関心を持たないことに不審を感じ、彼についても捜査することを決心する。

会う人、それぞれがLizに殺すほどの悪意を持っている人はいないと証言するが、Finaは経験上から誰にも悪意を持たれない人はいないことを知っていた。やがて彼女はLizが訴訟を起こすことで不利益を得る人々が複数人いることや、彼らが最近、訴訟の件で彼女と会っていることをを突き止める。Finaは、彼らに焦点を定めさらに調査を進めて行く。

そんな中、Finaは彼女の行動を見張っている不審な車の存在に気付く。更に、事件を捜査している警部から呼び出しを受け、彼女が会いに行った事件関係者から苦情が来ていると言われ、捜査のやり過ぎを注意される。Finaはこのような動きは自分が行なっている捜査が真犯人に迫っている証しであるとして、自分の捜査方法に自信を持ちいっそう捜査に全力をあげる決心をする。

**************************************************************************

Finaのキャラクターがとにかく魅力的。
祖母が住んでいた見晴らしの良い高級マンションに、祖母が亡くなった後 ちゃっかり移り住む。裕福な弁護士一家に育ったせいで、金の問題で悩むことない。ミステリーに登場する探偵は暗く、狭い事務所できつきつの生活をしているのを多く見かけるが、彼女にはそういう暗さがなくマイペースで余裕を持って探偵活動している。特定の恋人は作らず、二人のボーイフレンドとその場の雰囲気で恋愛関係を持つ。太ることを気にしながらもカロリーが高そうな物をパクパク食べながら事件を考える。

探偵として超優秀。警察がそんなとこから何も手掛かりを得られないと諦めているところからも、もしかしたらというわずかな可能性にかけて調査をして犯人に迫っていく。警察がすでに行なっていると思われる近隣への聴き込みも自ら行う、警察には話さなかった何か有益な情報を隣人が思い出す事を期待しながら…しかもそれが大変だという感じを与えずにさらりとやっていく感じが良い。

彼女の家族とのやり取りも楽しい。彼女の兄弟が暴力的な出来事に及び腰なのに対して、彼女が一番そういう問題に立ち向かっていく頼りがいのある人物になっている。家族間にあるトラブルも彼女が解決していく。

探偵小説としては面白いがミステリーとしてはちょと迫力不足なので★一つ減。

E-book(Kindle版) ★★★★ 448ページ 2015年6月出版 1703円(2016年購入)


Circling the Runway by J.L.Abramo

2016-12-13 19:35:28 | 読書感想


2016年 Shamus Award for Best Paperback Original PI Novel

サンフランシスコの私立探偵Jack Diamondは、聖パトリックの夜、友人とバーをはしごする。二日酔いで迎えたの最悪の翌朝、彼は地元マフィアのTony Carlucciから従兄弟の息子Benny Carlucciが警察に窃盗、殺人の容疑で逮捕されたので何とかして欲しいと頼まれる。裁判所に向かった彼は審理を終えたBennyを発見、Carlucci一家のお抱え弁護士Lionel Katzから事件の概要を聞く。Bennyはトランクに死体があるのを知らずに、たまたま鍵付きの車を見つけ家まで乗って行こうとした窃盗だけを認め、殺人は否定していた。Carlucci家は、Jakeにトランクに入れられた男を誰が殺したか突き止めるよう要求する。Jakeは今日が最悪の1日になる事を予感する。

SFPDの巡査部長 Rocky Johnsonは高層マンションの夜勤の管理人が殺されたという通報を受け現場に向かう。現場に着いた彼は、そのマンションの35階に住む検事補のRoberto Sandovalが銃殺されているのを発見する。犯行は深夜に行なわれ、殺人犯はガードマンの首を捻って殺した後、35階に上がり検事補を銃で殺したと思われた。マンションの住人の1人が犯行時刻と思われる時間帯に、顔をサングラスとスカーフで隠した女性がマンションから出て来るのを目撃していたが、髪や目の色などの特徴を述べる事ができなかった。

現場を捜索していたJohnsonは休暇のはずのLaura Lopez警部が現れたのに驚く。また証拠品としてテーブルの上に置かれていた手紙を、彼女が秘かに持ち去ろうとしているのを彼は目撃する。不審な彼女の行動を問いかけようとした彼に、Lopezは彼をこの捜査から外し、昨夜起きた車のトランクの中に発見された死体についての事件を担当するよう命じ、彼を戸惑わせる。彼は、この事件から外されることに反論しようとするが、何時もと違う彼女の様子に何かを感じ命令を受け入れる。

彼は現場を去る時に、死体を発見、現場保存をしていた警官に女性を目撃した男に再度、事情聴取を行い、女性について具体的な情報を得るよう求める。その警官から聴取の結果を聞いた彼は、目撃された女性がLopezだった可能性が高いと思い始める。そして、直接、彼女から事情を聴こうとした彼は彼女から回答を拒否される。彼女の名誉を守るため警察内の誰かに相談することができないと考えた彼は、Lopezの不審な行動を探ってもらうために、Jake Diamondを雇うことを考える。

*************************************************************************
Jakeが主人公のこの本はシリーズ4作目のようだが、いきなり4作目から読んでも問題なかった。場面展開が早く、劇画コミックを読んでいるよう。ちゃらんぽらんな探偵Jakeと生真面目な刑事Johnsonという対比でストーリーは進んでいくが、Johnsonの捜査のほうが迫力があり面白い。別々に進められた捜査がやがて絡み合い、もつれて面白くなっていくのだが、とにかく登場人物が多すぎて誰が誰だかわからなくなって混乱してしまう。冒頭に人物紹介の一覧があるが電子書籍では戻るのが面倒である。

また、本の紹介で刑事と探偵は犬猿の仲と書かれていて、どうやって折り合っていくのか興味津々だったが、JohnsonがJakeに調査を頼むなど、彼とJakeは仲が悪いように見えず、ちょっと期待外れ(?)だった。

他の誰かが感想に書いているが、短い小説のわりにいろいろエピソードを詰め込みすぎだと思う。

E-book(Kindle版) ★★★ 242ページ 2015年4月出版 512円(2016年購入)

 


 The Promise by Robert Crais

2016-12-04 12:25:39 | 読書感想


私立探偵Elvis Coleは、国防省指定の爆発物の原料となる燃料製造業社の重役Meryl Lawrenceから会社の同僚で友人でもあるAmy Breslynを探して欲しいという依頼を受ける。
Amyは失踪時、会社から46万ドルを持ち去っていた。Merylは会社にはこの事実を隠しいて、会社に知られないようにColeが会社内で調査することを禁止する。また事が公になる事を怖れていて、秘密厳守をColeに約束させる。

燃料製造技術部門の副部長であるAmy Breslynは息子のJacobがテロで殺されてから精神的に不安定になる。息子の死の16か月後、、彼女は突然、消息を断つ。MerylはJacobの友人だったThomas LernerがAmyの消息を知っているかもしれないと言って、ColeにLernerの住居を教える。更にMerylはAmyの失踪の背後には男の存在があると断言し、男の正体を突き止めるよう要求する。

ColeはEcho Park にあるThomas Lernerが借りている家を訪ね、彼の不在を知り、彼が帰ってくるのを道路に止めた車の中で待つ。
Lernerの家を見張っていたColeは、Carlosという殺人犯を追跡中の警察車両や警察のヘリで一帯が騒然となるのを目撃、その騒音に出てきた隣人から彼が見張っている家は数年前から空き家であると教えられる。見張りを止め、その場所を去ろうとしたとき、Coleは、彼が見張っていた家から男が出て来るのを目撃する。物陰に隠れるように行動し、ついには走り出した男を殺人犯と思い、Coleは警官の応援を求めながら彼を追跡しようとするが、警官に銃を向けられ追跡を断念する。やがて、刑事から事情聴取を受けたColeは、Merylとの約束で、その家を見張っていた理由を曖昧にしたことから共犯者と疑われ、彼らの監視の対象に置かれる。

LAPDのK-9部門のScott Jamesは、Carlosの痕跡を警察犬Maggieに追跡させている時、小さな家の裏口から中年の男が出てくるのを目撃する。Scottは男に家の中に戻るよう要請する。だが、Maggieがその家に突進するのを見たScottは窓越しに追跡中のCarlosが死んでいるのを発見、彼と話した男が彼を殺したと気づく。しかし、男は玄関からすでに逃走していた。そして、家を捜索していたK-9、Maggieは近隣を吹き飛ばすほどの量の爆発物を発見する。
爆発物が発見されたことから事件はLAPDの重大犯罪課の担当となり、Scottは容疑者の唯一の目撃者として捜査の一員に加えられる。

Carlosを殺した男、Mr.Rollinsは、AmyとCarlosのボスEliとの取引の仲介をしていた。彼はひとつのルールを持っていた。決して、証拠や目撃者を残さない。彼はEliにScottの殺しを依頼する。
Amyと繋がりがあると思われる人物の家で発見された爆発物と爆発物の専門家である彼女との関連を危惧しながら、Coleは相棒のJoe Pikeの手助けを得て、警察の目を逃れながらAmyの行方の調査を続行する・・。だが、調査が進むにつれ、Amyがイスラム過激派と接触しようとしていることが分かり、さらにColeの危惧は増していく。

**********************************************************************

緻密な構成で文句なく面白い。物語冒頭、同じ出来事を犯人、探偵、警官、それぞれの視点から描くという手法はユニークで面白かった。K-9とのコラボも、無理なくストーリーに溶け込ませて、ふたり(?)に重要な役割を果たさせている。
Coleは依頼人と、ScottはColeと彼らの秘密を守る事を約束する。特に、Scottは、そのために窮地に陥るが頑なにColeとの信義を守る。ここまで追い詰められたら、自分ならついポロリと言ってしまいそう、彼の信義の強さに感動。また、その信義に応えるColeの対応にも、さすが、世界一優秀な探偵だなと納得。

Coleのキャラはやはり魅力的。読んでいる時も読んだ後も気持ちをさわやかにさせてくれる。
⇒ColeのAmyに対する心情。息子を爆弾テロで失った彼女の悲嘆を我がことのように思い、危うい彼女の行動を止めるために全力を挙げる。
⇒機知に富んだ会話、ある女性と。『何時、家へ来る?』『旦那さんのいないのは何時?』
⇒人を見つける方法や手段が卓越している。Lernerが住んでいると思っていた家が空き家であると知っても失望しない。家の所有者を調べて彼に当たればLernerの住いがわかると楽観的に考える。

ただMaggieの章は、ちょっともう、という感じで、ざっと読み飛ばした。★一つ減。

E-book(Kindle版) ★★★★ 401ページ 2015年11月出版 925円(2016年購入)


Dead Weight(Lizzy Gardner 2 ) by T.R. Ragan

2016-11-23 20:37:17 | 読書感想


カリフォルニア州の州都Sacramentoの私立探偵Lizzy Gardnerは、少女の時、シリアルキラーに拉致監禁されるが、隙を見て逃げ出した唯一の女性として世間に知られていた。2010年の夏、彼女の事務所に2人の女性が事件の依頼に訪れる。
1人は21年前に車で家を出たまま消息を絶った16歳の娘Carolの行方を突き止めて欲しいという娘の母親Ruth Fullerton。癌の末期症状にある彼女は、娘に何があったのか彼女が死ぬ前に知りたいと切に願っていた。
一人は6か月前に消息を絶った妹Dianeを捜してほしいという彼女の姉Andrea Kramer。Dianeは失踪前、ダイエットのカリスマ指導者Anthony Melbourneのセミナーにのめり込んでおり、警察は否定しているが、Andreaは妹の失踪には彼が関与している可能性が高いと言い、彼のセミナーに潜入して彼の動静を探るよう依頼する。
Lizzyは迷宮入りになっているCarolの事件について警察から当時の捜査資料を提供してもらい、アルバイトとして雇っているJessicaHayleyに資料の検討を命じ、捜査に見落とした点がないかどうか調べさせる。
一方、彼女自身はAnthony Melbourneのダイエットセミナーに参加し、彼の動静から不審な点がないか探ろうとする。
そんな中、Hayleyは母親を麻薬中毒にし、自分に性的虐待を加えた男たちに対し復讐することを計画していた。彼らを排除すれば母親が麻薬中毒から立ち直ることができるのではと思いながら・・・

***********************************************************************

ミステリーの題材にダイエットを取り上げたのはユニークだと思うが、どうもそこまでやるかという感じでピンとこない。また、性犯罪歴がある男に平然と事情聴取できるHayleyとそういう男と接触する事に躊躇してしまうJessica。二人のコンビは面白いが18歳と21歳の2人が調査に従事し、Lizzyに代わって、関係者に事情聴取するのは、ちょっと、年齢による違和感がある

Hayleyのキャラは魅力的だった。彼女の推理力、行動力、ときには違法な手段を使って証拠を手に入れる大胆さで事件の真相に迫っていく姿はLizzyも形無し。ただ、Hayleyが今まで虐げられてきた男に対して復讐する様子が描かれていくが結果は期待はずれ、もうちょっとスマートなやりかたを期待していたのだが…

ただ、プロットは良くできていて、どういう結末になるかわからず、最後にこういう事かと納得、面白く読めた。

E-book(Kindle版) ★★★☆ 304ページ 2011年12月 読み放題を利用

 


The Lost Girls(Lucy Kincaidシリーズ) by Allison Brennan

2016-11-16 19:25:57 | 読書感想


RCKのKane Rogan の友人で 写真家であるSiobhan Walsh は突然消息を絶った友人の2人の娘を2年間探し続けていた。そんな彼女にテキサス州の片田舎 の教会の神父から電話がかかってくる。神父は、教会の前に生まれたばかりの乳児が放置されているのを発見したこと、乳児は、若い2人の姉妹Marisol、Anaと彼女が映っている写真が入ったロケットを身につけていたことを伝える。直ちに教会に神父を訪ねた彼女は、乳児とともに残されたロケットが彼女が姉妹に与えた物だと確認する。さらに彼女は神父からロケットの他に『誰も信用するな!』というメモが残されていたことを教えられ、姉妹がただならぬ状況におかれていることを知る。
彼女は教会の信者の主婦から隣の家に複数の妊婦を含む多数の男女が出入りしていると聞き、その家に姉妹が監禁されていると信じ、主婦の家から秘かにその家に出入りする人々の様子を見張ることにする。そして彼女は乳児を抱いた女性や屈強な男達が家に出入りする様子をカメラに撮らえる。彼女は姉妹の手掛かりがないかどうか調べるため、一瞬の隙をついて家屋内を捜索しようとする。万一の場合はFBIのRickに電話してくれるよう に神父に依頼して。

Seanとの結婚式を1ヶ月後に控えて幸せ感に浸っているFBIエージェントLucyは同僚のNoahとRickの要請を受けてSiobhanの救出に向かう。彼女はSiobhanの話や教会の前に乳児が放置されていた事件から乳児を売買する闇市場の存在を感知する。そして売買組織に監禁されている可能性が高い姉妹を救出するためにも犯罪組織の解明に全力をあげる。

一方、結婚式の準備に忙しいSeanのもとに、大学時代の恋人Madison McAllisterが訪ねて来る。彼女は、メキシコに行った夫Carsonと息子Jesseが帰宅予定日を過ぎても帰らず、48時間連絡も取れないことから誘拐された可能性が高いと主張し、Seanに父子を無事連れ戻して欲しいと懇願する。彼女は、Seanの親族が人質救出を専門とする民間会社RCKを運営していることや、その評判も知っていた。彼は自分はRCKにはもはや関与していないと話して、KaneなどRCKのメンバーを紹介すると話し、暗に彼女との関わりを拒否しようとする。そんなSeanにMadisonは息子の写真を見せる。疑いもなくSeanの息子であることがわかる写真。彼は、今まで自分に息子がいたことを隠していた彼女に憤りを感じながらも息子救出のためメキシコに向かう。この事態をどうLucyに説明すべきか悩みながら…

*******************************************************************

SeanやKaneなどの男達より、LucyやSiobhan、そして非力ながらも妹を助けるために危機的状況と対峙するMarisol達の行動がカッコいい。
男達が自分の息子、身内、家族の血筋を引いているという理由で、助けに向かうのに対して、LucyやSiobhanは性犯罪の被害者を減らすために闘う、2人の行動には男たちにはない高尚さがある。

そんなLucyだが、今回は個人的な問題でかなり苦悩する。Seanとの結婚式を控えて幸せの絶頂にいたはずが、彼に息子がいたことが分かる。しかも、彼は、Lucyに息子がいたと言う事実を告げずに息子の救出に向かう。ただでさえ、自分が愛する人の子供を産むことができないことことに負い目を感じている彼女は大ショック。2人の関係はどうなるのか?事件より気になった。
面白かったが、ちょとアクションシーンが物足りなかったので★ひとつ減らしました。

E-book(Kindle版) ★★★★ 438ページ 2016年11月出版 836円(2016年11月購入)


Blind Sight Kathy Mallory12 by Carol O'Connell

2016-11-07 19:21:45 | 読書感想


ニューヨークの朝9時、かっては有名なジャズプレーヤーが演奏したことがあるSt Marks Placeの空き店舗の前で事件が起きる。杖をついた目の不自由な少年Jonah Quillが多くの観光客で賑わっている通りから行方不明になる。
その翌日、Kathy Malloryを子供のころから知っている Brenner神父はSt Marks Placeから半マイルも離れていないSoHo police stationに彼女を訪ねる。
神父はMalloryに昨日からMichaelと言う修道女が母親を訪ねる途中に行方不明になっていて、誘拐された可能性が高いと話す。Malloryは誘拐は自分の担当ではないと冷たく言い放つ。しかし、彼が身代金の要求はないと話すと、身代金や電話も来ないのに何故誘拐されたと思っているのか興味を持つ。神父は、修道女が自ら失踪するなら修道女の格好で出かけない、さらに彼女は母親のために、母親の自宅近くの花屋でバラの花を買ったと話して、失踪は考えられないと話す。また、市長は何故か、Missing Persons report(失踪人届)が受理される前に彼女の失踪を知っていたと告げる。
Malloryは修道女の本名がAngela Quillであることを知り、同じQUILLという名を持つJonah Quillが同じく昨日から行方不明になっていることに興味を持つ。彼の行方不明は誘拐の可能性を考えて、マスコミ協定により報道を控えられていた。やがて、AngelaとJonahは叔母、甥の関係であることがわかる。
そして、Angelaの死体が市長の公邸の庭で、3人の死体とともに放置されているのが発見される。4つの死体は、それぞれ心臓を抉り抜かれていたが、年齢、性別に共通性がなく犯人は無差別に被害者を選び殺したと思われた。
Malloryは警察がAngelaの行方不明を知る前に市長が知っていたことや死体が市長の公邸に放置されていたことから犯人は密かに市長に対して被害者に対する身代金を要求していたのでは推理するが、市長は否定する。
Malloryは修道女と甥は他の被害者のパターンに合わないと考える。他の被害者はそれぞれ世間との付き合いがなく、行方不明になっても誰も気づかない人々だった。AnngieとJonahは行方不明になったその日に警察に届けられていた。そして彼女は、むしろ同じ日、同じ通りで強盗にあった、ほとんど人付き合いのないAlbertという老人のほうが被害者のパターンに合致すると推理し、彼を自宅に訪ねるが、すでに犯人の手が及んでいた。
彼女は監視カメラを無効にする手口などから、殺人犯はプロの殺し屋だと断定する、そしてAngelaは殺し屋を知っていたという大胆な推理をする。また、4つの死体は死亡時刻が違っていることから、殺し屋は誘拐者を殺すまでしばらく生かしていたことがわかり、Jonahもまだ生きている可能性が高いと考え、Malloryは彼の捜索に全力をあげる。また、殺し屋を雇ったのは市長に恨みを持つ者と推測し、密かに市長の身辺を調べ始める。

***********************************************************************

大好きなキャラクター、Malloryシリーズの3年ぶりの新作(12作目)。このシリーズのいいところは、第1作Mallory's Oracleから20年以上経っていても、ヒロインは歳をとらず、相変わらず20代、誰もが振り返る美貌を維持しているところ。また、彼女の守護天使のような存在の養父の友人たちとのやり取りも相変わらず楽しい。同僚の刑事たちからMallory the Machineと言われているように、人間の喜怒哀楽に無関心、身内を亡くして悲嘆に暮れている遺族にも捜査に必要なら容赦なく尋問や協力を要求する。彼女独特の犯罪に対する見解、感性、彼女以外の刑事には思いもつかない方法で犯人に迫っていく姿は期待通りワクワクさせてくれる。
印象に残ったのはAngieという女性のなんと心優しい生き様、修道女の前には売春していたというがそれは兄の学費を出してあげるため、兄が卒業した後は盲人の甥のday careの費用を稼ぐため…自分のことより他人のために頑張る姿はまさに神に仕える修道女の生き方、心打たれる。
そして、殺し屋IggyとJonahとの緊迫した関係もドキドキさせてくれるが、興味深かったのはIggyがJonahに聞いた質問、盲人は夢を見るのか?生まれついての盲人は景色や物を認識できない。Jonahの答えは作者が実際に盲人に取材した結果の答えなのか、着眼点に感心した。

E-book(Kindle版) ★★★★ 388ページ 2016年9月出版 1183円(2016年10月購入)

 


The Girl on the train by Paula Hawkins

2016-10-23 19:25:30 | 読書感想


毎朝、8時4分発の通勤電車に乗りロンドンに向かう空想力豊かなRachelは車窓から見える家々の景色からいろいろなことを想像して楽しんでいた。特に、電車が信号で止まる時に車窓から見える家のテラスでくつろぐ若い美男美女の夫婦に興味を惹かれる。彼らの仲睦まじい様子は5年前、彼女が別れた夫Tomと幸せな日々を送っていたことを思い出させる。また、彼女は自分が理想としている夫婦の姿として彼らを見ていた。毎日、電車が止まるたびに彼らを見ている彼女は、彼らにJess,Jasonと名前をつけて、彼らの生活について職業を推測したり、休みは何処に行くかなど勝手な想像力を働かせて、彼らの様子を見ることを楽しんでいた。
だが、彼女は車窓から見えるその4軒先の家、かって彼女が住んでいた家を見ることを拒んでいた。2年前まで夫と暮らしていた家。今は、浮気相手だった女Annaと再婚した夫Tom、そして赤ちゃんが住んでいる幸せそうな家族の家。彼女は2年経った今も自分を裏切った夫を許すことができない。アル中の彼女は、呑んだ酒の勢いで、何度も何度も元夫Tomへの電話をかけ続ける、彼が応答しないことを知りながら。また、時には彼らの家の周りをうろついたりしていた。ただ、彼女には酔った時の記憶はなく、Tomからの抗議電話で自分のやったことを知る。

そんな中、彼女は、いつものように信号で止まった電車の窓から、彼女が理想的な妻と思っていたJessが、Jason以外の男性と熱烈なキスをしている衝撃的なシーンを目撃する。彼女は夫Tomの浮気を発見した時を思い起こして、夫Jasonへの裏切りだとして妻Jessに怒りを覚える。
翌日、一人酒を飲み始めた彼女は、Jessの浮気をJasonに知らせなけらばいけないと云う使命感にかられて彼に会いに行くため電車に乗る。酒で意識が朦朧とし始めた中、それが良いことか悪いことか自問しながら。

そして翌朝目覚めた彼女は、アル中による深酒のため昨日の夜の記憶がほとんどなかった。彼らの住む駅で降りたこと、地下通路でうずくまっていたことなど断片的なことしか思い出すことができなかったが、なにか彼女にとって最悪の事態が起こったと感じていた。
やがて、彼女の予感を裏付けるようにJessと彼女が名づけた女性Meganがその夜以来行方不明になっているというニュースを見る。妻が失踪した場合、疑われるのは夫Jason改めScotの可能性が高い。警察はMeganが浮気していたのを知っているのか?Scotを守るため警察にこの情報を与えるべきか彼女が悩んでいる時、警察が彼女を訪ねて来る。

**********************************************************************

女性3人がヒロイン、3人とも精神的に追い詰められていく。うーん、重苦しい気分が最後まで晴れなかった。

通勤電車から見ている風景をテーマにしたのは、面白い着眼点だった。確かに通勤時間、毎日、同じ車両に乗り、線路脇の家や風景を意識せずに見てしまっている。

酔った時の行動を全く思い出すことができない不安、アル中であることを告白するときの彼女の恥ずかしそうな様子、でも酒をやめられない。何か言いづらいことを話そうとするときは酒を飲んで自分を鼓舞しようとする精神的弱さ、別れた夫や家族へのストーカー行為、しっかりしろよと思って読んでいたが、元同僚や刑事たちからも蔑みや憐れみの目で見られている彼女がだんだん愛おしく思えてきた。最後はこちらの期待に応えてくれたと思っているのだが…

E-book(Kindle版) ★★★★ 326ページ 2015年1月出版 854円(2016年10月)


The Body Reader by Anne Fraiser

2016-10-18 19:18:17 | 読書感想


ミネソタ州ミネアポリス市警殺人課刑事Jude Fontaineは何者かに拉致され、窓のない暗闇の小部屋で3年間、凌辱を受け続ける。しかし、彼女は脱出することを諦めず、一瞬の隙をついて男を殺し脱出に成功する。そして4ヶ月の精神的、肉体的検査を受けた後、Judeは刑事として殺人課に復帰する。彼女のパートナーとして任命されたUriah Ashbyは、長い監禁生活から彼女は精神的に不安定であり、精神的緊張に追い込まれた時の彼女の行動に信頼が置けない、と言って彼女の復帰に強く抗議する。が、上司のOrtegaは4か月の監察結果を通じて精神的に何の問題もなかったとして彼の主張を退ける。しかし、彼は彼女とのパートナーの関係が長く続くとは考えていなかった。

そして、2人は、パートナーを組んでの初仕事として、少女の溺死体が見つかったという湖の現場に向かう。彼らを出迎えた警察官は少女が服のポケットには大量の石を入れていたことから自殺の可能性が高いと彼らに話す。Judeは17歳以下にしか見えない少女の死体を頭からつま先までじっくりと観察し、最後に少女の手を握る。彼女の行為に不審を抱いたUriahにJudeは少女の死体が自分に語りかけてくると言い、少女は自殺でない殺されたと主張する。Uriahは危惧していたことが起こったと思い、精神的問題を抱えてる彼女に刑事は無理だと説得しようとする。Judeは 少女の顔の表情、筋肉の緊張度などから少女が死の瞬間、怯えていたことが分かると反論。彼女は、3年間の監禁中、何時殺されるかという恐怖から、人の表情やしぐさから 彼が何を考えているのか読み取る能力を身に着けていた。
やがて、検死の結果、少女はレイプされ、殺害されたことが判明し、Judeの主張が正しいことが証明される。Uriahは彼女の能力を公にすると、彼女の精神に問題があると思われ彼女は刑事の職を追われると考え、このことを彼の胸の内にとどめておくことにする。二人は少女の私物から交友関係などを調べ、親友と思われるLola Holtから事情を聴こうとするが彼女はかたくなに証言を拒否する。Judeは怯えているように見える彼女に自分たち警察が守るから知っていることを話してほしいと言って彼女の名刺を渡す。
そんな中、Judeは彼女が監禁されていた場所を発見する。彼女は勤務が終わった後、閉じ込められていた場所を突き止めようと近郊の空き家を片っ端から当たっていた。監禁現場に入った彼女は、当時のことがよみがえり精神的に不安定になる。彼女は、平静を装いながらUriahに監禁現場を報告し、到着した鑑識チームなどに状況について説明する。しかし、現場からの帰途、彼女は何者かに襲われ、意識を失う。そして意識を取り戻した彼女は、傍らに少女の切断された首が置かれていることに気づく。
彼女の上司Ortegaは続けざまに起きた出来事に彼女の精神が耐えられないと考えて何か問題が起きる前に彼女を辞めさせようと考え始める。
JudeもOrtegaの考えに気付くが、彼女にとって刑事という職業は天職であり生きがいであるという信念を持って、上司の懸念を払拭するために連続殺人犯の捜査、逮捕に全力をあげる決心をする。

***************************************************************************

body readerなどという怪しげなタイトルなので超能力を持った刑事と思っていたが、本格的なミステリーで楽しく読めた。3年間、監禁されていた女性が刑事だったという事実にショックを受け、いきなり物語に引き込まれてしまった。
3年間、監禁されていたJudeの生き続けようとする唯一の希望は、彼女を待ち続けていた恋人からの暖かいハグ。しかし、やっと脱出できた彼女を待っていたのは現実の厳しさ。彼は彼女を待ち続けることが出来ずガールフレンドと一緒に住んでいた。また刑事に復職するも、監禁に伴うトラウマに苦悩し、仕事仲間や社会とうまく折り合うことが出来ない。父親の州知事Phillip Schilling とは母親の死を巡って絶縁状態。彼女の孤独感がひしひしと伝わってくる。
そんな絶望のどん底に陥った彼女がやがてそこから這い上がり再び少女の行方の捜査を始める姿はワクワク感動させてくれる。立ち直れそうでなかなか立ち直れない彼女の行く末が気になって先へ先へと読みたくなる。読後感が最高に良い。

E-book(Kindle版) ★★★★☆ 292ページ 2016年6月出版 読み放題を利用