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気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

The Last 10 Seconds by Simon Kernick

2016-05-15 19:27:32 | 読書感想

4か月前 ロンドン南部のCamden地区のCamden's Murder Investigation Team(CMIT)のDI、捜査主任のポストについたTina Boydは、ここ23ケ月の間に5人の若い女性をレイプしたうえで残虐な手段で殺害する犯行を繰り返しているNight Creeperとマスコミから呼ばれる男の捜査を担当することになる。

犯行はそれぞれの被害者の自宅で行われたが、犯人が自宅に押し入った様子がないことから Killerがどのようにして被害者宅に侵入したか謎とされていた。Tinaは被害者の友人の証言から被害者の女性宅に侵入警報装置を設置したAndrew Kentという男を割り出し、彼が他の被害者の女性宅の警報装置も設置していることを突き止める。

そして彼の部屋を捜索したTinaのチームは、殺人に使用された凶器と彼のPCの中に犯行の様子を映したビデオを発見する。Tinaは彼をNight Creeperとして起訴するが、彼は自分は無実、嵌められたのだと主張、彼女は彼の演技とは思えない怯えた様子から、彼が真犯人であることに微かな疑問を感じ始める。さらに、彼女は彼から衝撃的な証言を引き出す。改めて捜査資料を検討しなおした彼女は、彼をNight Creeperとするには、どうにも越えられない障害があることを知る。

潜入捜査官のSean Eganは、15年前に彼の兄を殺害したにも関わらず証拠不十分で、軽微な罪で放免された3人組のギャングを殺人などの重罪で逮捕することに執念を燃やしていた。今、彼は上司に無断で、彼らに接近することに成功し、彼らがある人物を拉致誘拐する計画に参加することにする、彼らに兄の殺害を告白させる機会を得たことに、興奮しながら。それが 今話題のNight Creeperという殺人犯を警察から奪還することだとも知らずに・・

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出だしの部分は緊張感があって、先を読みたくなるのだけど・・Kernickの作品にしてはスピード感が足りない。とくに、Seanのモノローグ、特に何かというと兄の殺害を取り上げるところは退屈だった。
Kentが真犯人かどうか悩み、戸惑うTinaの部分だけでストーリを進めたほうが面白かったと思う。
Kentが犯人か?彼を誘拐したのは誰の指示か?警察に内通者?など多くの謎が提供され、中盤からは面白くなってくる。ただ、プロットの主題はどこか他でも読んだようなもので、今一だった。

E-book(Kindle版) ★★★ 474ページ 2010年2月出版


Kiss Me Kill me by Allison Brennan

2016-05-07 19:28:36 | 読書感想

カリフォルニアの生活が気に入っていた17歳の高校生Kirsten Bentonは、3年前、両親の離婚によってカリフォルニアからバージニア州に引っ越して来るが、こちらでの生活に不満を持っていた。そんな彼女は、ネットの匿名性に曳かれParty Girlという アダルトサイトに自分のセックスライフを投稿していた。やがて彼女は、サイトで知り合った女子大生Jessica に誘われ 週末家を抜け出して彼女の住むNY に行き、大学生など若者が主催する廃墟のビルで行われるドラッグとセックスの秘密パーティーに参加するようになる。そして、いつものようにJessicaと一緒に参加したパーティーから家に帰ろうと考えたKirstenは、ドラッグで朦朧となりながらもJessica を探すため外に出るが、そこで彼女が殺されているのを発見する。恐怖にかられその場を逃げ出した彼女は、車に乗っている人物を見つけ助けを求めようと駆け寄るがその場で気絶してしまう。

友人のPatrick Kincaidと共同で、セキュリティサービスを事業とする会社RCKの支店をワシントンDCに開設したSean は、姻戚にあたるTim Benton から娘Kirstenが行方不明になっているので探して、家に連れ戻して欲しいという依頼を受ける。早速、Seanは母親と少女の住むバージニア州のWoodbridgeに向かい、少女の部屋の様子やPCを調べる。しかし、何の手がかりも得られなかったSean はFBI の採用試験を受け合否通知を待っているLucy に少女の捜索の助力を求める。10代の少女の生態に詳しいLucyは、Seanが送ってきた少女の部屋の様子を映したビデオの映像を見た瞬間、少女がネットに自分のセックスライフを投稿していることに気付く。少女のネット履歴を調べたLucyは少女が投稿しているアダルトサイトがParty Girlだということを突き止める。Lucy は自分がKirsten の年齢だった時に経験した悲惨な出来事を思いだし、彼女の行動の危うさを心配する。

Sean はKirsten の携帯電話の履歴から彼女がNY に住むJessica Bell という女性と連絡を取り合っていることを突き止める。さらに、Lucy はJessica もParty Girl のサイトのメンバーであることを発見する。Kirsten はJessica に会いにNY に行ったのか?そしてJessica と一緒にいるのか?二人はJessica に会いにNY に向かう。彼女のアパートを訪ねたLucyはJessica がここ4ヶ月の間に3件起きている連続殺人犯人、Cinderella Strangler の4番目の犠牲者であることを知る。殺人犯は、秘密パーティーに参加した女性を会場近くで待ち伏せて、パーティーで飲んだドラッグで意識が朦朧としている女性をプラスチックバッグをかぶせて窒息死させる手口で殺害し、何故か、被害者の片方の靴を持ち去っていることから、マスコミによってCinderella Strangler と呼ばれていた。Jessicaが殺された夜、二人は秘密パーティーに参加していた。Kirsten は犯人について何か知っている可能性が高い。彼女は殺人犯から身を隠しているのか?Lucyは、Kirstenの安全を守るため、犯人よりも早く彼女 の行方を探しだす必要性を痛感する。そして、Lucy は、FBI捜査官Suzanneの要請で、Cinderella Strangler のさらなる犯行を阻止するため、連続殺人の捜査に参加、協力していく。

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Lucy Kincaidの2作目、最新作と比べると犯罪のスケールが小さいが、彼女の犯罪に対する真摯な態度は変わらない。彼女の夢が破れ、絶望的な状況に置かれているにもかかわらず女性が被害者である犯罪を目にすると次なる犠牲者を出さないように、我を忘れて、捜査資料の調査に全精力を傾ける。
Lucyの犯罪心理学士として、また検死医のもとでの一年の研修経験が他の捜査官とは違った独自の分析をする、どうしてそれにこだわるのかと思っていたら、いやぁ、見事な推理だった。ストーリーもミスリードがうまくできていて、よく捻ってある。

事件を捜査する過程で、被害にあった女性達と自分の過去の過ちが重なり、Lucyが過去の出来事について何度もなんども悔やむ場面が出て来る。この精神的落ち込みを、過去には克服できたのだから、今度も必ずできると信じて行動する彼女には意思の強さがある。でも 彼女にもCinderella Strangler の最初の犠牲者Alannaの親友Jillが、Alannaが殺されたショックから大学を辞め家に閉じこもっていることに対して、FBI捜査官Suzanneが彼女に忠告する言葉は心にしみると思う。
" Don't live in the past. I know you harbor a lot of regret and guilt. But I can tell you that it'll eat you up if you let it....Alanna wouldn't want you stuck in limbo." (P146ページより)
この言葉で 僕はこの捜査官が好きになった。

E-book(Kindle版)   ★★★★ 398ページ 2011年2月出版 864円(2016年購入)


Lost Girls by Angela Marsons

2016-04-26 19:44:50 | 読書感想

2014年2月、仲良しだった二人の少女Emily BillinghamSuzie Cottonが誘拐される。そして、数日後、Emily だけがSuzie と一緒に閉じ込められていた場所から連れ出され釈放される。

2015年3月 イギリス、バーミンガム市の北に位置するBlack Country にあるWest Midlands police のDI、Kim Stone は上司のDCI Woodward (Woody)から至急、暑に出頭するよう命令される。暑に着いた彼女は、Woody のほかに彼の上司の警視Baldwin が彼女を待っていたことに気づき緊張する。

Woodyは 彼女に、今朝、二人の少女が拉致される事件が起き、誘拐犯から母親たちに誘拐したというメッセージが送られてきたと話す。
彼女は、1年前の未解決の少女誘拐事件を思い出す。同じように二人の少女が誘拐され、一人が釈放され、一人は現在も生死不明だった。Woodyは、少女の母親の一人Karenが、自分はKim の知り合いだと言い、Kim に事件を担当して欲しいと話していると告げ、彼女に事情聴取のためにKarenの自宅に向かうよう命令する。Kim は誘拐事件は未経験なので、Karen から事情を聴いたら誘拐事件専門の刑事に事件を引き継ごうと考えていたが、Karen はKim だけが娘を取り戻してくれると言い、Kim に事件を担当して欲しいと懇願する。Kim も二人の母親の悲嘆、絶望にくれている様子を見て、彼女たちの苦境を救いたいという思いに刈られ、自らこの事件を担当することを決意、上司に直訴し、Woody も彼女が捜査指揮をとることを認める。

彼女は、今回の誘拐事件と13か月前に起きた事件との類似性に注目し同一犯の可能性を考慮して、当時の捜査資料を取り寄せ、誘拐犯がどのように行動したかを分析するよう部下に指示する。また、誘拐犯はKaren が少女たちを迎えに行くのを妨害するために彼女の車に細工していたことから、たまたま彼女の娘を誘拐したのではなく彼女の行動を綿密に調べ、十分に計画して意図的に彼女の娘を誘拐したことを知る。彼女は、少女たちの安否を心配する両親たちに、犯人は誘拐したとメッセージを送ってきたことから、必ず犯人から誘拐の目的が何であるかを伝えるメッセージが送られてくると話す。そして捜査は非公開で行うことを家族に告げ協力を求める。

当初、二つの家族はこの事態を団結して乗りきろうとする。しかし、犯人から身代金の競売という残忍、狡猾なメッセージがそれぞれの夫婦に届いた時、団結の絆はもろくも崩れ、お互いがよそよそしい態度をとるようになる。
Kim はこのメッセージに家族が答えないよう要請するとともに、この誘拐事件が、ほぼ1年前に起きた誘拐事件の犯人と同一人物であると確信する。部下の刑事たちがどちらかの娘が帰ってこない可能性を危惧する中、Kim は少女二人を無事、両親のもとに帰すこと以外考えるなと部下を鼓舞し、誘拐犯との戦いを宣言するように、あるメッセージを犯人宛てに送る。

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二人の少女を誘拐し両親に身代金を要求、両親に身代金額を提示させ,高い身代金を提示した両親の子供を釈放、一方の子供は殺すという残虐だけどユニークな設定は面白かった。ただ、誘拐された少女たちに対する誘拐犯の扱いは読むのがつらい。しかし、両親の結束が徐々に崩れていく中、少女たちが最後までお互いを労り、励まし合う姿は心に沁みる。

日本製のバイク「忍者」を移動手段に使うKim のプロファイル、私生活、生い立ちはよくわからなかった。母親は刑務所?親友はいない?子供時代は養護施設で過ごす?そのせいか(?)捜査にはかなりクールで家族の悲しみに冷淡?Crying would not get their children back (p72)。自分は誘拐犯の逮捕に全力を尽くし、家族の癒しはFamily Liaison Officerに任せれば良いと割り切っている。

E-book(Kindle版) ★★★ 439ページ 2005年11月 400円(2016年購入)


Indelible by Karin Slaughter

2016-04-13 19:00:19 | 読書感想

Saraは警察署長で恋人でもあるJeffrey に一緒に住もうと提案しようと警察署を訪ねるがJeffrey はそんな彼女に素っ気ない態度をとる。そんな彼の反応にSara が苛立っている時、Jeffrey に会いたいという二人の若者が受付にいるという連絡が来る。、彼らに会いに行こうとするJeffreyの後を追って受付に向かった彼女は、Jeffreyを 待っている若者の異様さに気付く。真夏なのに襟元までジッパーをあげたコートを身につけ、落ち着きなく周囲に視線を走らせている。そして玄関から警察官が入ってきたとき、男はコートの下に隠していた銃で入ってきた警官を射殺する。それを合図にして男たちの乱射が始まり暑内は叫び声と悲鳴の混乱に陥る。そして乱射の最中、暑内にいた6人の警官が殺され、Jeffrey も銃弾を受け、意識不明になる。Sara は彼の手当てをしようとするが、一刻も早く病院に運ばなければ彼の命が持たないことを知り焦燥にかられる

その頃、Lena は再び刑事に復職できることに不安を感じながらも、自分の天職は刑事なんだという信念を持って、復職第一日目を迎えようとしていた。またこれを機に、彼女は、同棲していた男と別れようと考えていたが、予定日を過ぎても生理が来ず、彼女は、妊娠を疑って別れることに躊躇していた。そんな心の揺れと闘いながら登庁の準備をしているとき、元パートナーだったFrank から警察署が襲撃されたという緊急の報せが来る。現場についたLena はJeffrey に面会を求めた二人組の若者が暑内にいた警官を殺し、人質をとって籠城していることを知る。Frank の話によると人質には社会見学の小学生、数人の警官、重傷を負って生死不明のJeffrey 、そしてSara が含まれていた。

Lena とFrank はすでに6人の警官を殺している二人組が更なる殺人を犯すことを危惧し、一刻も早く人質を救出する必要に迫られる。そして、体調不良のFrank に代わって、暑内の配置を熟知しているLena は対策本部責任者から人質救出のための重要な任務を託される。生死がかかる任務だがLena は迷うことなく引き受ける。人質を救うのが刑事としての職務であるという責任感、復帰後の初仕事を見事やり遂げて、彼女の復帰に懐疑的な仲間の刑事たちに自分の刑事としての能力を認めさせたいという思いから。彼女は、任務を実行すべく行動を起こす。

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警察署が襲撃されJeffrey やSara が人質として取られ、襲撃犯は暑に立て籠る、という本の紹介文に引かれて思わず購入した。緊迫したシーンが続くと思っていたら・・・数年前のSara とJeffrey の初めてのドライブ旅行、Jeffrey の生まれ故郷での体験談がメインのようになってきて、ちょっとがっくり。
でも、Lena がやっと立ち直って、刑事らしく活動を始めたのは収穫だった。

人は過去に起きた悲惨な出来事をどんなに悔やんでも消し去ることが出来ない。レイプされて子供が出来ない体になってしまったSara、姉をレイプ、殺した犯人を捕まえようとして逆にレイプ犯に捕らえられ数日間にわたり残虐な方法でレイプされ続けたLena。性衝動にまかせ、めちゃくちゃな青春時代を送ったJeffrey。それを恋人に知らせるか悩み、もし恋人や同僚がその事実を知ったらどのような反応を見せるのか?三人の懊悩する様子が文脈から伝わってくる。

また、著者本人がこの作品について解説しているブログがある。

E-book(Kindle版) ★★★ 358ページ 2004年 1015円(2016年4月購入)

 


Kill Me Again by Rachel Abbott

2016-04-05 19:13:36 | 読書感想


ある裁判に勝訴すればパートナーにするという条件に曳かれて7週間前にManchester に引っ越してきた刑事専門弁護士Maggie Taylor。 彼女と夫Duncan は、引っ越しに当たって、彼女が生活費を稼ぎ、Duncan は家事と育児を担当し、彼らの二人の子供達Josh(8歳),Lily(5歳)の面倒を見、その合間に配管工の仕事をするという役割分担に同意していた。

ある日、Maggieは雪のため道路が渋滞して帰宅が遅れることを家に電話した時、幼い子供を置き去りにして夫が外出してしまったことを知る。
Maggie は夫が幼い子供を置き去りにして外出したことにパニックになりながらも、急な仕事など何か理由があったに違いないと考える。しかし、彼が洋服や洗面用具、大事にしまっていた私物を持ち出していることから彼が彼女や子供たちを見捨て立ち去ったことを知る。
翌日、子供たちの面倒を見るため法律事務所に行くことをやめ夫の行動についてさまざまな理由を考えているとき、Maggieは夫を探しているという正体不明の男から脅迫的な電話を受け、慄然とする。

そんな中、Maggie そっくりの女性が殺される事件が起きる。警察は女性に関する情報を得ようとテレビで女性の似顔絵を公開する。それを見たJosh は夫の携帯に送られてきた女性の写真と同一人物であると断言し、夫はその写真を見て、急遽、車で出かけたと話す。携帯電話に送られてきたのは似顔絵ではなく写真。しかも、夫が写真を受け取ったのは女性の死体が発見される数時間前、Josh によると女性の目は人形の目のようだったということからその写真の女性は死んでいた可能性が高い。夫はその女性の死と関係があるのか?脅迫電話をかけてきた男は女性の夫?彼が妻である女性を殺した?さらに男は彼女の住まいを知っていると言い、暗に彼女達の身の安全について脅迫していた。子供たちの安全のためにも警察に知らせるべき。しかし、殺された女性の写真が夫の携帯にあったと話すことは、夫を容疑者として告発することになるようで、夫への裏切りを意味する?彼女は、夫を信じたいと思う一方、殺された女性の写真が夫の携帯に送られたことから、夫が事件に関与しているのではと疑い始める。電話をかけてきた男はどうして夫と話したいのか?殺された女性は誰なのか?
悩んだ末にMaggie は、夫と女性の関係を調べ、夫が自分達家族を見捨てた理由を自ら突き止めようとする。そして、彼女は、夫の過去や子供の世話以外の彼の生活について全く知らないことに気付く。

一方、この事件を担当する刑事Tom Douglasはこの事件と12年前に彼が担当した未解決の連続殺人事件とのつながりに気付く。前回の事件では瓜二つの若い女子大生が殺されていた。まるで同じ女性が2度殺されたかのように。もし、今回の殺人が同一犯ならば同じ容貌を持った女性を狙った次の犯行が予見される。そして、彼は殺害された犠牲者と瓜二つの女性を知っていた。彼の元恋人で現在行方不明になっている女性。彼は彼女が次の犠牲者になっていることを危惧し、12年前の捜査資料を精査し犯人の手掛かりを得ようと努力する。そして、彼女の行方を突き止めることに全力をあげる。

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終わり方は衝撃的。このままだと納得いかないとイライラしながら読んでいたが、途中から、そういうことかと納得、心穏やかに読み終わるかと思っていたら?とんでもない終わり方だった。 
Gillian Flynnを思い出させるストーリー。プロットは今までにもあったようなものだが、うまく捻ってあってとても面白く読めた。特に、他人の空似をテーマにしたのはユニークだった。
Maggieの苦境を読んでいると、Tomが何時、彼女と出会い、Maggieの窮地を救ってあげるのか、読む方もそれまでの暗い気分からから脱して、いくぶんリラックスして物語を楽しめることを期待して、先へ先へとページをめくっていったが・・。ただ、刑事弁護士という設定のわりにはMaggieは性格が軟弱かな。

Tom DouglasとBecky Robinsonのこの刑事コンビのキャラは魅力的。この二人のコンビの物語はないのかあな?

E-book(Kindle版) ★★★★ 334ページ 2016年2月出版 599円(2016年購入)


The Guilty by David Baldacci

2016-03-29 19:32:38 | 読書感想

CIAの特殊工作員Will Robie はCIA が綿密に計画した暗殺計画に従い、標的の男が窓際に置かれた電話を取った瞬間を、通りを隔てた向かいのビルから狙撃する。Robie の放った銃弾は男の頭を貫通し、男に駆け寄ろうとしていた少女も射殺してしまう。Robie には少女は死角になっていて彼女の存在に気付くことができなかった。Robie は不可抗力だったとはいえ少女を巻き添えにして殺したことを深く悔やむ。そして、Robie は次の任務の時、標的に駆け寄る子供の幻影を見てしまい、標的の暗殺に失敗する。仕事を続けることに自信をなくしたRobie に上司のBlue man は休暇を与える。Blue man はRobie の幻影が少女ではなく少年と父親だったことから、彼のトラウマの原因は20年以上会っていない父親と彼との関係にあると考え、彼に故郷に帰って父親と話し合うようアドバイスする。彼の父親Dan Robieは、最近、殺人罪で逮捕されていた。
22年前、男はタフでなければならないと主張して、何かにつけて彼に暴力を振るう父親に反発して、Robieは高校卒業と同時に、父親に無断で家を飛び出していた。以来、彼は父親とも故郷とも縁を絶っていた。父親の苦境を救おうと故郷に帰ったRobie だが、貧しい弁護士だった父親が判事になり、彼と同年代と思われる美しい女性と再婚して失語症の子供をもうけていることに戸惑う。そして、父親は無断で家を出た彼を許さず、彼と会うことも援助の提供も拒否する。
父親の頑なな態度をある程度予想していたRobieは、彼の意向を無視して、事件を調べ始める。父親が殺したというSherm Clancyという男は以前は貧しい農夫だったが、彼の土地から石油が発見されて大金持ちになっていた。殺される数か月前、Sherm ClancyはJanetという少女を殺害したとして裁判にかけられていたが、事件当夜のアリバイが証明され無罪の評決がなされていた。裁判で、彼のアリバイを証明したのは事件担当判事Danの妻Victoriaだった。彼女は、事件当日、Shermと一晩中、一緒にいたと証言したため、町の誰もが彼女が彼と寝たと考え、Danも二人が不倫したと考え、人々の前で、彼を殺すと脅していた。そのような状況の中、 Shermが車の中で殺される事態が起きる。殺害の手口が彼の父親がかって所属していた海軍の暗殺手法を使っていることや、殺害現場近くで彼が運転する車が目撃されていたことなどから、町の誰もがDanがShermを殺したと確信していた。そのような最悪な状況に遭遇しているにもかかわらず、ようやく面会したRobieに父親は殺害当日のアリバイについて述べることを拒否する。

Robieは 父親の態度に不審を感じながらも彼の無実を信じ、同僚のJessica Reelの協力を得ながら、Janetの殺害とShermの殺害にはつながりがあると考え二人の身辺を調べ始める。また、彼がかって見捨てた故郷や父親とうまく折り合えることができるかどうかが、彼の現場復帰の必須条件であると感じて、父親の窮地を救うために、彼は全力をあげる決心をする。そんな、彼の前にFBIが、そして銃を持った暴力集団が立ち塞がる。

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父親と会うことが彼の問題をどうして解決できるのか?よくわからなかった。
故郷も父親も彼の人生の一部ではなかった彼にとって、父親に駆け寄る少女を殺してしまうまで殺す男の背後にいる家族のことは念頭になかった?少女を巻き添えにしたことで、彼も自分と父親の絆を意識したのか?

ストーリーが二転三転するが、Robie の生い立ち、親子の葛藤がテーマのためか、最後は迫力不足。特殊工作員であるRobie,Reel にとって相手がちょっと物足りない。

ただ、ストーリーはテンポよく進み、Robieは一時も休まず、気になることがあると深夜でも家から抜け出して捜査に向かう。Jessica Reelの登場の仕方もかっこよく作ってある。また、アメリカ南部の閉鎖的な町の様子がよく描かれている。夢も希望もない町を何とか出ようとするが出られない若者たちの苦悩、多くの雇用を生んでくれる悪徳企業にたいしては、町の雇用を確保するために多少の悪には目をつぶる警察など。

E-book(Kindle版) ★★★★ 2015年出版 417ページ 812円(2016年購入)


 Hounded by David Rosenfelt ( 2015年 PWA受賞作 )

2016-03-20 09:51:36 | 読書感想

2015年 PWA BEST HARDCOVER P.I. NOVEL部門受賞作

ニューヨーク市近郊のNew Jersey州のPaterson市 7月

自分が興味を引かれる仕事しか引き受けない、富豪の弁護士Andy Carpenterは、選手として参加している秘書のEdnaの応援のために、 ニューヨークBrooklyn地区で行われているAmerican Crossword Puzzle 選手権の会場に駆けつけていた、もっとも、クロスワードに興味のない彼はNBAの決勝戦の結果が気になって会場の片隅に置かれたテレビの中継を主に見ていたが?
そこに友人であるPaterson Police の警部Pete Stanton から電話がかかってくる。彼はDanny Diaz が射殺されたと言い、至急、元刑事でAndyの恋人でもあるLaurie Collins と一緒に殺人現場に来て欲しいと話す。Pete は、以前、Danny を逮捕したことがあるが彼が出所した後は親身になって彼の面倒を見ていた。Andyは刑事事件の弁護士である。なぜPete が彼を現場に呼ぶのか?友人であるDanny を殺した犯人を弁護させるため??不審に思いながら現場についたAndyを待っていたのはDanny の8歳になる息子Ricky と彼ら父子が飼っていた愛犬だった。Peteは継母が行方不明で身寄りのないRickyが養護施設に収容されることを避けるため、彼を引き取って面倒を見てくれるようにAndyに頼む。AndyはLaurieの快諾する様子を見て、しぶしぶ彼を預かることにする。

翌日、AndyはRicky をいつまで預かるのか?事情を聞こうとPete に会いに行くが、そこでPete がDiaz の殺害容疑で逮捕される場面に遭遇する。
その場でPete はAndyを弁護士として指名、AndyはPeteが殺人容疑で逮捕された状況に戸惑いながらも彼の依頼を受ける。

この事件を担当する検事は、警察によって集められた状況、証拠、証人からPeteの有罪に自信を持っていた。Danny は殺される数日前、Pete が麻薬犯罪に関与していると警察に密告していた。そのため、彼はPeteを恐れていた。またDanny殺害に使用された銃は1年前Pete が担当した未解決の殺人事件で使用された銃であることがわかる。そして、銃を発射した時着用していた手袋がPete の車の中から発見されていた。さらに、銃声の直後、DannyのアパートからPeteが出てくるのを目撃した隣人がいた。

検事から提示された証拠はPeteにとって最悪であったが、Andyは友人であるPete がこのような行為を行うことは100パーセントないと信じ、誰かがPete を巧妙な罠にかけたと推測する。Andy は3つの視点から事件について調査することを決定し、チームを招集する。
先ずは裁判でPete の無実を立証するための調査、弁護士であるHike Lynchに検察側の証拠、証人を収集させ、それを精査して反証の準備をする。二つ目は殺されたDannyについての調査、彼は誰に殺されたのか、その理由は何か?それを突き止めるために、天才的ハッカーであるSam Willisに、Dannyの電話履歴をハッキングさせて、最近、彼が電話で話した相手の名前を突き止め、その中に怪しい人物がいないか調査する。そして3つ目は、最も重要で危険を伴うと思われるPete を罠にかけた人間の調査。Andy はPeteを訪ね、彼に恨みを持っている者や疎ましく思っている犯罪者を過去の事件と現在扱っている事件からリストアップするよう求め、それらの人物の中から、このような犯罪を思いつく緻密な頭脳を持った犯人を突き止めようとする。用心棒としてMarcusを伴いながら。

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ある事実を指摘する。その事実の問題点をあげる。そして、それにたいしてどのように対応していけば良いか。推理が論理的で読んでる側も物語を整理しやすい。・・・と言いながら、最後はこうなるとは予想もつかなかった。でもストーリーの伏線を的確に捉えると、そういうことになるかと納得。

昔読んだ弁護士ペリーメイソンシリーズを思い出すような展開。法廷でのAndy の弁論は鮮やか、検察の証人尋問の盲点をうまく見つけて絶対だと思った証言、証拠を根拠の無いものにしてしまう。ペリーメイソンに調査を担当する探偵や美人秘書がいたように、Andyもそれぞれの特技を持った調査チームを擁して捜査にあたる。そして依頼人に感謝されると「私じゃない、チームが無罪にしたんだ」と言う。シリーズものであるが、それぞれのキャラクターを短くまとめて紹介しているのでいきなりこの本を読んでも問題なく楽しめる。

また、頭脳の冴えはあるが腕力はからっきしで、手掛かりを求めてPeteと因縁がある犯罪者と1対1で会うとパニクってしまうところも人間味があって良い。また、ちょっと皮肉を効かせた語り口は軽快ですごく読み易かった。

E-Book(Kindle版) ★★★★★ 2014年7月出版 312ページ 1717円(2016年3月現在)

 


Nearly Departed in Deadwood by Ann Charles

2016-03-13 09:24:28 | 読書感想

歴史的建造物が並ぶSouth Dakota州DeadWood市の7月

9歳の男女の双子を持つシングルママのViolet Parker は、二つの心配事を抱えていた。
一つは失職の危機。彼女は、Calamity Jane 不動産会社に勤め始めてからは2か月以上経ったにもかかわらず一件も売買契約を成立させることができず、3週間以内に取引を成立させることができなかった場合、解雇されるという局面に立たされていた。
そしてそれ以上に彼女が気を揉んでいたいたのは、Deadwood のような小さな町で今年になってから続けざまに起きている2件の9歳の少女の誘拐事件だった。誘拐された少女たちが彼女の娘Addyと同じ9歳だったため、彼女は言い知れぬ不安に駈られていた。

そのような時、地元で宝石店を営むWolfgang Hessler が母親が住んでいた家を売りたいと彼女を訪ねてくる。ほぼ同じとき、隣の事務所に越してきたDocという男が家を買いたいと彼女のもとにやってくる。やっと運が向いてきたと彼女が喜こんでいる時、AddyからKelly という友達を家へ連れてきたいという電話がある。彼女は、娘に友達ができたことを喜ぶが、娘からKelly の友達だった少女が、去年の夏誘拐されて行方不明になっていると聞き、衝撃を受ける。誘拐事件が2件ではなく3件起きていると知ったVioletは、次の犠牲者に娘がなることを心配し、誘拐事件について調査することを決断する。

3件の誘拐事件について調べ始めた彼女は、たまたま目撃したある出来事から一人の男を疑い始める。そして、Violetはその男と少女たちの接点も発見する。もしも男が誘拐犯ならばAddy にも危険が迫る。彼女は、娘を守るためにも決定的な証拠を見つけ出そうと決心する。

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 大金持ちの男Wolfgangと正体不明の謎の男Docとの間でヒロインの恋心が揺れ動くコージミステリー。

誘拐を扱ったミステリーと思って読み始めたが、誘拐小説に見られる緊迫感がなく、彼女が土地を売ることができるのかどうか、隣の男の正体が何者なのか?がメインの物語のような気がした。最後、思いがけない展開になるが、プロットも雑のような感じがする。

一人称で語る彼女のキャラはとても愛らしいのだが、知的な面が物足りない。仕事とプライベートは分けると云いながら顧客とデートを繰り返す、彼女の可愛さと言って許すか、それともプロ意識を持てと言うべきか悩むところ。でもやはり、彼女の顧客すべてが必ず誘いをかけ、彼女も誘いに乗るのは異常、わきが甘い!

同僚のRayの彼女に対するセクハラ、パワハラは、物語を面白くするためかもしれないが限度を超えていて不快を感じる。またDocのキャラも彼の癖(?)を見ると魅力的な男に見えないのだが。
シリーズの次の作品を読むかと問われると躊躇してしまう。
 

eBook(Kindle版) ★★  2011年1月出版 376ページ 336円


18 Seconds by Geroge D Shuman

2016-03-06 11:05:09 | 読書感想

2007年 PWA 新人賞ノミネート作品

何の証拠も残さずに多くの女性をレイプした上で殺す行為を繰り返していたEarl Sykes は、車の運転中、スクールバスと追突事故を起こして逮捕される。彼にとって不運だったことはドラッグを服用していたこと、その事故で17人の犠牲者を出したこと、そして警察署長がJim Lynch ということだった。彼についた国選弁護人は過失による殺人はせいぜい2年位の刑であると話していたが、Lynch は彼が違法ドラッグを服用して運転していたため、多数の生徒の命を奪ったとして、第2級殺人で彼を起訴し、裁判で彼は終身刑を宣告され刑務所に収監される。

30年後、彼の罪は過失運転によるもので殺人などの凶悪犯罪でないということで彼は保釈される。彼が住んでいた町、Wildwood に戻ったSykesは警察署長Jim Lynch と彼の共犯者だったSusan Markey の消息を調べようとする。彼は、もし、自分がシリアルキラーとわかれば刑務所に逆戻りする可能性が高いとを考え、唯一、彼の犯行、死体の放置場所を知っているSusan Markeyと彼女から何らかの情報を得ているかもしれない父親の元警官Andrew Markey を殺すことを決断する。

保釈から3週間後、Sykesは介護老人ホームにいたAndrew Markey を施設の階段から誤って落ちたように見せかけて殺す。
5日後、SykesはSusan がPhiladelphia の高級ブティックのマネージャーとして働いていることを突き止め、彼女が一人になった時を狙って射殺する。また彼は、Jim Lynch がすでに死亡していることを知り、彼の娘で地元警察の警部補Kelly Lynch O'Shaughnessy に標的を変える。そして彼は 昔のように、再び、女性を誘拐、レイプする行為を繰り返しながら Kellyを誘拐して殺すチャンスをうかがう。

Kelly はパンクされた車と大量の血痕を残して行方不明になっている17歳の少女の行方を追っていた。しかし、現場には少女が残したと思われる彼女の腕時計以外、物的証拠を見つけることができず、また重要な目撃証人もおらず捜査は手詰まり状態だった。
そんな中、Susan の殺人事件を担当するPhiladelphia 市警のJohn Payne 刑事から電話がかかってくる。殺害現場を捜索した彼は、Susanに性的暴行の形跡もなく、現金も手つかずのまま残されていたことから事件を怨恨による犯行と考えていた。彼は、Susanかの親族、友人交友関係を中心に捜査を進めていて、Wildwood に住む彼女の父親Andrew と連絡をとろうとしていた。
Kelly はPayne にAndrew は数日前に階段から落ちて死亡したと教える。Kelly はAndrewの死は事故死だと聞いていたが、娘が5日後射殺されたのを聞き検死報告を精査することを約束する。Payne は電話を切る前にAndrew の死体を死体安置所に保存しておいて欲しいと頼む。

Payne はSusan 殺害と父親の不審な事故死にはつながりがあると推測する。彼は超能力者Sherry Moore にSusan とAndrew の死体を触ってもらい、彼女が二人の記憶から殺害犯の記憶を取り出し同一犯による犯行と断定できることを期待していた。

Sherryは 5歳の時、石段から落ちて視力とそれ以前の記憶を無くしていた。警察は彼女の家族を見つけることができず、彼女は孤児として育てられる。11歳の時、彼女は、死者に触ると死者が最後の瞬間に思い浮かべた18秒間の映像を見ることができる能力を持っていることを知る。23歳の時、彼女は警察が行方を追っていた年金詐欺で告訴された男の死体の場所を特定したことで一躍有名になり、その能力で行方不明者の家族や警察の捜査などを助けていた。

Sherryは、長年の友人でもあるJohn Payneの要請を受けSusanの遺体と接触する。彼女はSusanのイメージの中に車の窓に頭を叩きつけられている女性、若い男のイメージ、さらに・・・Sherryは 絶対にありえないイメージにショックを受けて、その場に倒れこむ。

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犠牲者の手を触れば犯人がわかってしまうのでは、ミステリーにはならないなと思って読んでいたが、うまく考えてあってミステリーとして楽しめた。ヒロインはSherry というより、女性警部補Kelly のように見えた。女性が上司であることに不満を持つベテラン刑事によって窮地に追い込まれながらも、冷静に情勢を判断してわずかな手掛かりから犯人を突き止めていく捜査手腕、ピンチに陥ったときの的確な判断、行動力、かっこいいです。ただプライベートな部分の描写が長すぎるのは読んでいて退屈だった。

読むにつれて、それぞれの人物の繋がりが徐々にわかってきて、あぁ、そういうことかと納得感心した、最後の落ちはSykesも驚いたと思うほどよくできている。とくにエピローグはしんみりジーンとさせてくれる。
また、Sykes の仕事が市から委託された道路に放置された動物の死骸の回収作業というのはうまく考えてある。被害者を清掃車に拉致するとなると、警戒中の警察官も、公共の車だと思って、つい見逃してしまう。
eBook (Kindle版) ★★★★ 304ページ 1009円  2006年出版


Exit Strategy by Kelley Armstrong

2016-02-28 10:14:37 | 読書感想

32才になる元警官のNadia Stafford はカナダ,オンタリオ州トロント郊外の湖畔でロッジを経営している。しかし、その裏では、ロッジ経営の赤字を補填するために殺し屋として、アメリカのマフィアからの殺しの依頼を受けていた。

何時ものようにマフィアから殺しの依頼を受けた彼女は、ニューヨークで彼らの縄張りを荒らしている男を毒殺する。報酬を受け取っての帰途、彼女はラジオニュースから、警察は彼女が犯した殺人事件を、ここ数週間、アメリカ各州にまたがって4件の殺人を繰り返しているシリアルキラーの犯行と見ていることを知る。この男は犯行後、カルト的殺人者Charles Nansonの伝記本、Helter-Skelter の小説本の1ページを犠牲者の傍らに置いていくことからHelter-Skelter Killer(HSK) とマスコミから呼ばれていた。

彼女は自分の犯行がHSKの犯行と思われていることに戸惑う。それは捜査の主体が組織の規模も人員も地方警察の数倍の規模を持つFBIが彼女の犯行を捜査することを意味する。彼女は現場に何の手がかりも残さなかったことに自信を持っていたが、何がHSKの殺人と彼女の犯行とを結びつけたのかマスコミやネットを通じてHSKの情報を調べようとする。

そんな中、彼女に殺し屋としてのテクニックや心構えを教えてくれた凄腕の殺し屋Jackが、HSKに対するFBIの捜査情報をもって会いに来る。FBIは、何れの殺人現場にも手掛かりとなる証拠物件が残っていないことから、HSKの正体は単なる連続殺人犯人ではなくプロの殺し屋ではないかと考えていた。そして、彼らがプロの殺し屋としてマークしていた殺し屋たちをさしたる証拠もなしに勾留し始めていると、Jackは彼女に話す。また殺し屋たちはいつ自分も逮捕されるかもしれないとパニックになっていて、殺しの依頼を受けられない状況になっているとも。Jack は我々の誰かが、一刻も早くHSKの正体を突き止め、彼の犯行を阻止する必要があると主張し、元警官である彼女に協力を要請する。

彼女はこの仕事を長く続ける気はなかった。自分の存在が他の殺し屋たちに知られることは彼女にとって最悪の事態であると思い、彼女は、いったんはJackの要請を拒否する。しかし、殺人事件、犠牲者、捜査の手がかりがないというのを聞くと、彼女は、警察官として凶悪犯を逮捕することに全力をあげていたことを思い出して平静でいられなくなる。そして、彼女は、他の犠牲者が出る前にHSKを探し出すができれば、20年前に姉をレイプ殺人犯から守れなかったことへの彼女の悔恨の情への癒しとなることを期待して、Jackの要請に応える決断をする。しかしそれは、殺し屋という社会の裏側に存在する闇社会、自分以外、誰も信じることも頼ることもできない危険な世界に、より深く、彼女が踏み込んでいくことを意味していた。

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殺し屋が自分たちの商売に邪魔になっている殺人犯を、下手すると自分たちも逮捕されるという危険を冒して、捜査当局に代わって捜査するという発想が面白くて楽しく読めた。

ストーリーの展開はスロー、なかなか手掛かりが得られないが、クライマックスはかなり盛り上がり、ワクワクドキドキさせてくれる。

ヒロインのキャラは魅力的だ。常に主体的に行動する。何か決断するときは最終的には自分で判断する。たとえ、Jack の意向に逆らっても。また腕力もありそうだ。

exit strategyというタイトルから、彼女がこのまま殺し屋稼業を続けるのではなく、この事件をきっかけに探偵にでもなるのかと思って読んでいたが....TVドラマの必殺仕事人のようなものになりそうだ。
殺し屋たちが人殺しを商売としているように見えず、ごく普通の市民のように見える。暗さがない、Jackをのぞいて。Jack 以外の殺し屋とは知り合いになりたくないと思っていた彼女も次第に彼らに心を開いていく。ただ、闇の世界に生きる殺し屋たち、彼らが彼女に見せる好意的な態度が本物かどうか、裏があるのではないか?何時かどんでん返しがあるのではないかと読んでる僕をドキドキさせる。

ただ、犯人の動機、目的がいまいちわからなかった。そんなことをしても目的を達成できるとは思えなかった。

電子書籍(Kindle版) ★★★★ 480ページ 934円 2007年6月 出版