気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Blind Sight Kathy Mallory12 by Carol O'Connell

2016-11-07 19:21:45 | 読書感想


ニューヨークの朝9時、かっては有名なジャズプレーヤーが演奏したことがあるSt Marks Placeの空き店舗の前で事件が起きる。杖をついた目の不自由な少年Jonah Quillが多くの観光客で賑わっている通りから行方不明になる。
その翌日、Kathy Malloryを子供のころから知っている Brenner神父はSt Marks Placeから半マイルも離れていないSoHo police stationに彼女を訪ねる。
神父はMalloryに昨日からMichaelと言う修道女が母親を訪ねる途中に行方不明になっていて、誘拐された可能性が高いと話す。Malloryは誘拐は自分の担当ではないと冷たく言い放つ。しかし、彼が身代金の要求はないと話すと、身代金や電話も来ないのに何故誘拐されたと思っているのか興味を持つ。神父は、修道女が自ら失踪するなら修道女の格好で出かけない、さらに彼女は母親のために、母親の自宅近くの花屋でバラの花を買ったと話して、失踪は考えられないと話す。また、市長は何故か、Missing Persons report(失踪人届)が受理される前に彼女の失踪を知っていたと告げる。
Malloryは修道女の本名がAngela Quillであることを知り、同じQUILLという名を持つJonah Quillが同じく昨日から行方不明になっていることに興味を持つ。彼の行方不明は誘拐の可能性を考えて、マスコミ協定により報道を控えられていた。やがて、AngelaとJonahは叔母、甥の関係であることがわかる。
そして、Angelaの死体が市長の公邸の庭で、3人の死体とともに放置されているのが発見される。4つの死体は、それぞれ心臓を抉り抜かれていたが、年齢、性別に共通性がなく犯人は無差別に被害者を選び殺したと思われた。
Malloryは警察がAngelaの行方不明を知る前に市長が知っていたことや死体が市長の公邸に放置されていたことから犯人は密かに市長に対して被害者に対する身代金を要求していたのでは推理するが、市長は否定する。
Malloryは修道女と甥は他の被害者のパターンに合わないと考える。他の被害者はそれぞれ世間との付き合いがなく、行方不明になっても誰も気づかない人々だった。AnngieとJonahは行方不明になったその日に警察に届けられていた。そして彼女は、むしろ同じ日、同じ通りで強盗にあった、ほとんど人付き合いのないAlbertという老人のほうが被害者のパターンに合致すると推理し、彼を自宅に訪ねるが、すでに犯人の手が及んでいた。
彼女は監視カメラを無効にする手口などから、殺人犯はプロの殺し屋だと断定する、そしてAngelaは殺し屋を知っていたという大胆な推理をする。また、4つの死体は死亡時刻が違っていることから、殺し屋は誘拐者を殺すまでしばらく生かしていたことがわかり、Jonahもまだ生きている可能性が高いと考え、Malloryは彼の捜索に全力をあげる。また、殺し屋を雇ったのは市長に恨みを持つ者と推測し、密かに市長の身辺を調べ始める。

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大好きなキャラクター、Malloryシリーズの3年ぶりの新作(12作目)。このシリーズのいいところは、第1作Mallory's Oracleから20年以上経っていても、ヒロインは歳をとらず、相変わらず20代、誰もが振り返る美貌を維持しているところ。また、彼女の守護天使のような存在の養父の友人たちとのやり取りも相変わらず楽しい。同僚の刑事たちからMallory the Machineと言われているように、人間の喜怒哀楽に無関心、身内を亡くして悲嘆に暮れている遺族にも捜査に必要なら容赦なく尋問や協力を要求する。彼女独特の犯罪に対する見解、感性、彼女以外の刑事には思いもつかない方法で犯人に迫っていく姿は期待通りワクワクさせてくれる。
印象に残ったのはAngieという女性のなんと心優しい生き様、修道女の前には売春していたというがそれは兄の学費を出してあげるため、兄が卒業した後は盲人の甥のday careの費用を稼ぐため…自分のことより他人のために頑張る姿はまさに神に仕える修道女の生き方、心打たれる。
そして、殺し屋IggyとJonahとの緊迫した関係もドキドキさせてくれるが、興味深かったのはIggyがJonahに聞いた質問、盲人は夢を見るのか?生まれついての盲人は景色や物を認識できない。Jonahの答えは作者が実際に盲人に取材した結果の答えなのか、着眼点に感心した。

E-book(Kindle版) ★★★★ 388ページ 2016年9月出版 1183円(2016年10月購入)

 


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